200平成17  10曜日

サンゴ再生実験宮古近海で開始/新技術で世界初の試み

1-1.jpg (55383 バイト) 大手スチールメーカーのJFEスチール(本社・東京都)は東京海洋大学と共同で、製鉄の処理過程で発生する「スラグ」という副産物を、サンゴ礁再生に活用する試みを宮古でスタートさせることになった。実験地は平良港のトゥリバー地区埋め立て地沖。スラグを使った縦横各一b、高さ五十aのブロックを沈め、そこにサンゴの幼生を着床させ、その成長状況を調査研究する。今回のようにスラグを用いた大型ブロックでのサンゴ再生実験は新しい技術で、世界初の試みという。
 JFEスチールによると、高炉で鉄鉱石から鉄を取り出す際には、石灰分を含むスラグと呼ばれる副産物が大量に発生する。現在、スラグはセメントや道路舗装の材料に利用されているが、公共工事が減少する中で新たな用途を見つけることも課題となっている。
 今回、実証実験に使われるスラグを使った「マリンブロック」は、主な成分が炭酸カルシウムでサンゴの成分に近い。サンゴの再生に活用できるか、東京商船大学と東京水産大学が統合された東京海洋大学とJFEスチールが、共に研究を続けてきた。
 その結果、サンゴが育つ場所としてスラグのブロックが適していることが分かり、宮古島で実用化に向けた本格的な実験を行うこととなった。
 具体的には、縦横一b、高さ五十aのスラグのブロックを海底に沈める。ブロックには十a間隔で小さな穴が開けられていて、そこにサンゴの幼生を植え付けたセラミック製の着床具を接着し、そのままサンゴの成長を待つ。生育が悪いサンゴがあっても着床具を取り替えるのは容易であるため、サンゴの再生に向けた取り組みが行いやすい。
1-2.jpg (17515 バイト) 宮古を実験地とした理由として、実験に参加している東京海洋大学海洋環境学科の岡本峰雄助教授は「宮古のサンゴ礁は白化減少により死滅が進んでおり、その上に藻が発生して、幼生を移植できない状況」と指摘。池間周辺などは岩盤に直接移植することも可能だが、今回実験地のトゥリバー沖などではそれができないことから「ブロックを使うことで、着床具を装着することが容易になる。サンゴの幼生を着床させ、小さなサンゴの状態にまで育て上げられるかがこの実験のポイント」と話している。
 実験では、トゥリバー地区でスラグのブロックを四個沈めて年単位でサンゴの成長スピードなどを調査研究する。これがうまくいけば、「スラグ」の新たな活用方法が見いだせるとともに、難しいとされていたサンゴ礁の再生にも役立つとあって、JFE側も大学側も期待を寄せている。JFEスチールは「量的に『スラグ』はふんだんにあるのでサンゴの再生に必要な分は十分に供給可能」としている。
 岡本助教授によると、サンゴが壊滅状態にある沖縄本島でも、スラグのブロックによる再生作業は技術的に可能ということで、今回の技術の実用化は宮古のみならずサンゴ礁再生に向けた大きな足掛かりとなりそうだ。

 写真説明(上)・海中に沈められた「マリンブロック」
 写真説明(下)・サンゴ再生のためブロックに接着されるセラミック製の着床具


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連絡事項をメール送信/平良中・保護者の反応上々

2-1.jpg (31523 バイト) 学校からの知らせをケータイ≠ノ―。宮古島市立平良中学校(平良正校長、生徒数五百五十三人)では、学校行事やPTAの会合といった連絡事項を、保護者の携帯電話やパソコンにメールで送信する「平良中メーリングネットワーク」を九月からスタートさせている。宮古の学校では初の試み。六日までに九十人の保護者が登録しており、「すぐに情報が伝わる」と反応は上々。学校は保護者の八割の登録を目指しており、不審者情報や台風による休校など、即時性が必要な情報の発信にも役立てたい考えだ。
 学校から保護者への連絡事項は通常、生徒を通して文書で伝えるというのが定番となっている。しかし「この方法では三割程度しか届いていないのが現状」(宮国敏弘教頭)だった。
 宮国教頭が学校と保護者を結ぶ連絡手段を模索していたところ、メールによる連絡システムの情報を入手、沖縄本島にある情報システム会社に問い合わせた。その後、PTA役員とも相談の上、導入を決定した。
 同ネットワークを利用するには、利用を希望する保護者が登録用フォームで自身の名前や生徒の名前、学年、クラス、部活動などを登録する。携帯電話だけでなくパソコンからも登録できる。学校は登録者に、学校行事やPTAの会合などの情報を一斉送信する。
 このネットワークを利用すると、「三学年の保護者のみ」、「サッカー部の保護者のみ」、「PTA役員のみ」など、送信先を特定することも可能だ。また、保護者は生徒の病欠の連絡を、学校にメール送信することもできる。
 宮国教頭は「学校の情報公開、説明責任を果たす上で一つの手段となる。保護者と学校の連携を深めることができるのではないか」と語り、メールと文書による連絡を併用して連携強化を目指す。
 同ネットワークを立ち上げ時から利用しているPTA副会長の平良隆さんは、これまでに数件のメールを受信した。「非常に便利で、学校との距離が近づいた感じがする。学校で何があるのかを知っていれば、子供との会話のきっかけにもなる」と話し、周囲の保護者にも登録を呼び掛けている。

 写真説明・学校から保護者への連絡事項をパソコンから一括送信=平良中学校


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大物マグロが続々/伊良部 1日15万円水揚げの漁師も

3-1.jpg (38895 バイト) 宮古近海で釣れた大物キハダマグロが連日、伊良部町漁業協同組合の魚卸市場に次々と水揚げされ活気づいている。漁師の中には、一人で一日当たり十五万円稼ぐなど、漁師らの間にホクホクの笑顔が広がっている。
 伊良部でマグロ釣りなどを専門にする漁師らは、午前二時ごろに佐良浜漁港を出航。宮古近海に設置されている浮魚礁(パヤオ)周辺で操業し、正午すぎには帰ってくる。大物キハダマグロの平均の重さは五十`。五十`のマグロなら、仲買人が約三万円で引き取る。
 漁師の中には一日当たり五匹水揚げする人もおり、約十五万円の取引額から燃料費やえさ代などの二万円を差し引くと、純利益は十三万円。
 六日午後、大物マグロを水揚げした漁師の一人は「今年は相次ぐ台風の影響で、赤字経営だった」と話し「今月の水揚げ高目標は二百万円」と宣言した。

 写真説明・連日大物キハダマグロが水揚げされている=6日、伊良部佐良浜漁港の浮桟橋


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シーカヤックなど体験/下地小・西辺小児童ら自然と触れ合う

4-1.jpg (26228 バイト) 宮古島市立下地小学校と西辺小学校の宿泊学習が六日から始まった。両校の児童計五十七人は、初日、シーカヤックや夜間ハイクなどを体験。きょう七日までの二日間、自然との触れ合いを通して自然の中で、心と体を鍛える。
 このうち、高野漁港でシーカヤックに挑戦した児童らは、慣れない手つきながらも懸命なかいさばきを見せた。下地小学校の上地瞳さん、
 平良花恵さんは「シーカヤックは初めてで、思ったより難しく、疲れたけど楽しかった」と感想を話した。
 西辺小学校の友利龍太郎君は「最高な気分。下地小のみんなとも友達になれればうれしい」と話した。

 写真説明・シーカヤックを体験する児童ら=6日、高野漁港


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知念かおり連敗喫す/女流本因坊戦第2局

 【那覇支局】第二十四期女流本因坊戦五番勝負の第二局は六日、福島県福島市で行われ、知念かおり女流本因坊・棋聖は中押しで負けた。挑戦者の矢代久美子5段は二連勝。知念は二敗となり、角番に立たされた。第三局は二十日、岩手県花巻市で行われる。
 序盤から中盤にかけては、白番の知念が中央の黒大石を攻めて厚みを築き、快調なペース。その後、黒は左上隅に入った石を中央白大石の死活とのからみでうまく生き、地合でリードし逆転ムードとなった。白は最後、黒石の攻めを狙って上辺に打ち込んだが及ばず、百八手すぎで投了した。
 知念は今回も前回同様に優勢になった後の詰めが甘く、今後に課題を残した。


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   勤労の楽しさと厳しさ学ぶ

久松中学校・生徒らが職場体験学習

6-1.jpg (29019 バイト) 宮古島市立久松中学校(大田敏盛校長)の二〇〇五年度職場体験学習が五日から三日間の日程で始まった。二年生四十五人の生徒たちが「総合的な学習の時間」でスポーツショップや保育園、宮古空港など計二十事業所で職場体験を行い、勤労の尊さや楽しさ、厳しさを体験した。
 このうち日本トランスオーシャン航空(JTA)宮古空港所(小浜勝弘所長)では、村吉穂奈美さんを含む計六名が空港業務を体験。それぞれ運送課、貨物上屋課、旅客課など普段見る事のない空港の内側をのぞいた。
 旅客課を担当した村吉さんは「空港業務は大変。でも、人を案内するのは楽しい」とカウンターの荷物下ろしや、タグ付けに奮闘。未来の先輩に温かく見守られながら、大きなスーツケースを重たそうに運んでいた。
 この学習は地域にある施設や職場に興味・関心を持ち、社会人としての規律・礼儀・言葉遣いの大切さを学び将来の自分の生き方や、勤労の尊さを知る機会として設けられている。

 写真説明・大きなスーツケースを重たそうに運ぶ村吉さん=6日、宮古空港搭乗受付カウンター


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