200平成1  13曜日

西銘氏、表情晴れやか/衆院選沖縄4区

 【那覇支局】第四十四回衆院選沖縄4区(宮古、八重山、沖縄本島南部含む)で当選を果たした西銘恒三郎氏は、投開票から一夜明けた十二日、那覇市内で本紙のインタビューに応じた。西銘氏は、「農業振興を積極的に後押ししたい」などと晴れやかな表情で述べ、国政に臨む姿勢を示した。伊良部架橋の整備や電線地中化にも力を注ぐ構えだ。
 「昨夜は開票しないうちに当選と言われ、実感がわかなかった。今朝、新聞で数字を見て実感がわいた」と、約一カ月間を走り抜け勝ち取った勝利に喜びもひとしおの様子。体重も東京にいたころより四`減り、理想形になったという。
 今回の選挙では郵政民営化是非をめぐる住民の反応や、前回の当選以来、宮古の議員、首長らと少し疎遠になっていたなど、一抹の不安もあった。しかし「今年の製糖期に各製糖工場や大神島を訪れ、住民と出会えたのが一つの救いになった」と宮古の順調な得票に胸をなで下ろす。
 六万八千票という前回を上回る得票に「多くの方に支えられ当選できた。とてもありがたい。これだけ支持していただけると、もっと頑張らねばという意欲がわく」と感謝。二期目に向けては「農林水産委員会に入れてもらえればありがたい。農業振興を後押ししたい」と、意欲を燃やす。
 干ばつ、台風常襲地域の宮古・八重山についてはかんがい排水事業や防風林など、一次産業基盤の総合的な整備の必要性を強調する。
 今回の選挙の離島振興策には「地域の資源、アイデアを生かした産業育成」を盛り込んだ。「離島の振興はその地域の特性を生かしたやり方が望ましい」と話し、模範事例に牛の数が人口を上回るまでに発展した黒島を挙げた。
 プロジェクトの面では、伊良部架橋や電線類の地中化、新石垣空港の整備に力を入れる考えを示した。
 県全体の問題は、米軍基地負担の軽減を重視する。現在最も問題になっている普天間基地移転に関しては「県外、国外がベスト、ベターは辺野古」の立場だが、「政治判断は住民が納得する形でないと意味がない」と、住民主体の政府の対応を促す。
 西銘氏はきょう十三日、あいさつ回りのため宮古を訪れる。

 写真説明・当選から一夜明けて抱負を話す西銘氏=12日、那覇市内


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「沖縄の声を発信する」/衆院選沖縄1区 下地幹郎氏

 【那覇支局】第四十四回衆院選の県内選挙区の中で最も注目を集めるとともに激しい戦いとなった沖縄1区で、自民党を離党し無所属で民主、社大、社民の推薦、支持、協力を得て当選を果たした宮古出身の下地幹郎氏(44)。激戦の勝利から一夜明けた十二日に今回選挙に関する感想、国政への抱負、ふるさと宮古島、郷里の人々に対する思いなどを聞いた。
 今回の選挙戦については「とにかく沖縄の声を発信する、沖縄が主体的に物事を提案していく、との訴えを多くの皆さんに理解してもらった結果で勝てたと思う」と述べた。
 自公協力のモデル地区で勝利を勝ち取ったことについては「今回の勝利が沖縄の政治の起点になることは間違いないと思う。自公が沖縄の政治の主流だったわけだから、県都那覇市を含む1区で私が勝ったことでこれからの沖縄の政治が大きく変わることは間違いない。保革の枠を超えた第三の波は今回の勝利で間違いなくスタートした。私はその流れをこれから大きくしていきたい」と意気込んだ。
 今後、自民党県連、稲嶺恵一県政は今回の敗戦を受け自公路線の立て直し作業を早急に行う見込みとなっている。自公に対する現在の考え、これからの見解については「自公に対して『イエス』のサインは出せない。これまで通りのスタンス(NO)を通したい」と述べた。
 また、ふるさとの宮古については「宮古の振興策に関してはこれまでも全力で取り組んできた。これからも各方面と相談しながら宮古の活性化のために頑張っていきたい。また、今回の選挙にも宮古からたくさんの支持者が応援に駆け付けてくれた。やはり自分の郷里はありがたいと思う気持ちでいっぱいだった」と感謝した。
 十一月の宮古島市長選や来年秋の県知事選への対応については「これについては多くの人と相談しないといけない。今回の選挙も自分の力だけでなく、たくさんの人たちの力で勝てたわけだから相談して決めたい。宮古島市長選については前県議の坂井民二氏らと相談していきたいと思う」との見解を示した。

 写真説明・激戦の1区で勝利を収め、投開票から一夜明けてその感想を述べる下地幹郎氏=12日、那覇市おもろまちの下地氏の選挙事務所

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「秋の渡り」で宮古に立ち寄る/迷鳥ブッポウソウ

 県内では迷鳥のブッポウソウ(ブッポウソウ科)が十二日、平良市内の山林で二羽確認された。枯れた樹木の止まり木で、体の青緑色が一段と輝いていた。環境省レッドデーダブックリストでは絶滅危惧種に指定されている。
 北国で夏を過ごしていた夏鳥は、九月ごろから越冬するために南の国へ移動する。この時期の渡りを「秋の渡り」という。ブッポウソウも南方へ渡る途中に立ち寄った。
 ブッポウソウは「ブッポーソー」(仏法僧)と鳴く鳥と言われていたが、一九三五年に鳴き主はフクロウの仲間の「コノハズク」と判明。このため、ブッポウソウは「姿のブッポウソウ」、コノハズクは「声のブッポウソウ」と呼ぶ。ブッポウソウは「ゲッ、ゲゲッ」と鳴く。
 羽の大部分が黒で、他は青緑色。くちばしと足は赤い。全長約二九a。サハリン、朝鮮半島などで繁殖し、オーストラリアなどで越冬する。

 写真説明・南方へ渡る途中に立ち寄ったブッポウソウ=12日、平良市(撮影・伊良波彌記者)

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下地町が総合8連覇/04年度農業共進会褒賞授与式

 農・畜産業を営み、各種共進会で優秀な成績を収めた個人・団体を表彰する、二〇〇四年度各種農業共進会褒賞授与式(主催・宮古地区農業振興会)が十二日、平良市のJAおきなわ宮古地区事業本部で行われた。団体の部の総合優勝には下地町が輝き、八連覇を達成した。二位には城辺町が入り、三位は上野村だった。個人の部では八部門で延べ五十八個人・団体が、特別表彰は三部門で四人が表彰された。伊志嶺亮会長(平良市長)は受賞者一人ひとりに賞状を授与し、「地域のリーダーとして、ますますの活躍を期待する」と激励した。
 同授与式は各種共進会や競作会で優秀な成績を収めた個人・団体を表彰することで、地域の担い手育成、農・畜産業の振興発展を図ろうと毎年開かれている。
 審査報告の中では、同年度の概況が説明された。基幹作物であるサトウキビは、台風の影響を受け大幅な減産を余儀なくされた。特に伊良部町と多良間村では生産量および反収も低い水準で、復帰後最低の記録になった。
 野菜の生産状況は台風と日照不足の影響などで出荷は遅れたものの、全国的に品薄傾向で販売額は増加。マンゴーは着果率が低く出荷量は低下したが、出荷時期の好天に恵まれ高品質になった。
 畜産は子牛一頭平均価格が昨年を上回り好調さを持続。しかし、飼養頭数が減少傾向にある。また、葉タバコは生産量・販売額とも前年を大幅に下回った。
 受賞者を代表して荷川取広明さん=下地町=は、「多くの人に祝福され表彰されることは、生産者の所得向上の励みになる。今後も農業発展に取り組んでいきたい」と意気込みを語った。
 来賓の県宮古支庁の兼城克夫支庁長(代読・長濱政治次長)は「沖縄ブランドの確立を図り、地域の創意工夫を加えてもらいたい」と述べた。

 写真説明・団体の部で8連覇を飾った下地町の川満省三町長(中央)ら=12日、JAおきなわ宮古地区事業本部


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不動産会社社長が非を認め陳謝/池間島保安林伐採問題

 平良市池間島の県指定の海岸保安林の一部が無断で伐採された問題で、市内の不動産会社社長が十二日午前、宮古毎日新聞社のインタビューに応じ、「測量のために、海岸近くのツル性の植物をユンボで取り除いた。樹木の伐採は無かった。県から原状回復の指導・命令が出れば早急に回復する」と非を認めた上で、原状回復に積極的に取り組む姿勢を示した。
 今年八月、同社は池間自治会と字有地で原野(字前里三二○番地、約千三百平方b)の売買契約を締結した。原野はギンネムに覆われ、地形がはっきりしないことから、同社はギンネムを伐採した後に測量を行った。
 同社長は「原野の測量で方位を出すため、隣接する海岸保安林に生えていたツル性植物を取り払った」と述べ、悪意が無かったことを重ねて強調。「県に迷惑を掛けた」と陳謝した。
 池間自治会の字有地の所有権移転手続きについては、自治会に法人格が無いことから、財産管理者の平良市長の決裁が必要だが、市は、自治会総会で決議されていないとして決済を見送っている。
 この社長は「他の自治会では、字有地の売買は理事会に一任されている」と語り「池間自治会の字有地の売買については、総会決議が必要であるということは、売買契約締結後に知った。池間自治会から『字有地を有効に活用してほしい』との申し出があれば、今後とも協力は惜しまない」と述べた。

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   メロディー、天国に届け/故仲間さんしのび追悼ライブ

 沖縄本島を拠点に全国でライブを行っているデュオ「すべりだい」のけんこさんとさとしさんは十日、ロックバンド「スカイメイツ」のトロンボーン奏者で、今年五月に病気のため二十八歳で亡くなった仲間由希子さんをしのぶ追悼ライブをあさひ保育園で行った。
 音楽をきっかけに由希子さんと家族ぐるみで付き合いのあったけんこさんは、由希子さんの形見である青いウクレレで曲を披露。由希子さんとの思い出話や自分自身の思いを織り交ぜながら、由希子さんの家族や親せきに曲を贈った。
 「すべりだい」は昨年三月から活動をスタート。今年、由希子さんの誕生日に当たる九月七日にファーストアルバム「すべりだい」をリリースした。形見の青いウクレレとギターで温かみのある曲十一曲を収録した。
 由希子さんが生前、けんこさんあてに「お母さんを元気づけてほしい」とのメールを送っていたことから、今回、由希子さんの母親が運営するあさひ保育園で宮古島ライブを開催した。
 ライブでは、アルバムに収録されている曲や美空ひばりさんなどのカバー曲も披露した。けんこさんは「このウクレレを持って歩くたび由希子のことをいろいろな人に話すと思う」と思い出話を語りながら曲を奏でた。
 由希子さんの母親の育子さんは「たくさんの方が花を贈ってきたり由希子のために曲を作ったりライブをしてくれたりしているので、改めて娘の良さを分かった。生きていてくれればとなおさら悲しいが、昔から音楽が好きな子だったからとてもうれしい」とけんこさん、さとしさんの温かい励ましに感謝した。

 写真説明・由希子さんの形見の青いウクレレで曲を披露するデュオ「すべりだい」のけんこさん(左)とさとしさん=10日、あさひ保育園

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