200平成1 6  1 26 曜日

南静園で入所者にお気遣い・

天皇皇后両陛下宮古視察

1-1.jpg (45614 バイト) 「んみゃいふぃさまい、たんでぃがぁーたんでぃ(お越しいただいて誠にありがとうございます)」―。天皇、皇后両陛下が宮古島視察をされた25日、各地の沿道では多くの人たちが詰め掛け「日の丸」の手旗を振って両陛下の初来島を喜び、島はこの日一日歓迎ムード一色となった。両陛下はティダファームたらま、国立療養所宮古南静園などを視察。南静園では納骨堂で白い菊の花束を献花し、亡くなった方々のめい福を祈った。また、不自由者棟では25人の入所者に対して体調を気遣う言葉を掛けられた。宮古島視察を終えた両陛下はこの日夕方、次の視察地である石垣に向け出発された。

 冷たい北風が島全体を包んだこの日も両陛下を一目見ようと沿道にはたくさんの人たちが詰め掛けた。平良市内のサンエーショッピングタウン宮古前から北給油所までの沿道では、たくさんの人たちが詰め掛けて歓迎。この熱烈な歓迎ぶりに両陛下も笑顔で手を振り応えていた。
 ティダファームたらま  城辺町にあるティダファームたらまでは栽培されたゴーヤー、トマト、カボチャなどを職員が両陛下に紹介した。ゴーヤーを手に取った皇后陛下が調理方法について質問すると、職員は「チャンプルー以外にも最近はお茶などに利用されています」と答えた。また、赤、オレンジ、黄色のプチトマトに対しても興味を引かれた様子で味などについて質問されていた。  上野村役場  視察の休憩地となった上野村役場では川田正一村長らが両陛下を出迎えた。両陛下は関係者らと歓談し休息した後、昼食場所の下地町役場に向けて出発された。
 下地町役場  昼食場所となった下地町役場では両陛下が六市町村長ら関係者とともに用意された料理を堪能された。
 国立療養所宮古南静園  最後の視察地となったハンセン病療養所の宮古南静園では納骨堂で両陛下が白い菊の花束を献花し、施設で亡くなった人たちのみ霊を慰めた。また、不自由者棟では25人の入所者とご歓談。両陛下は入所者に対して「こちらでの生活はどうですか」「お体を大切にして下さい」など、気遣いの言葉を掛けられた。両陛下の気遣いに「たんでぃがーたんでぃ」と方言で感謝する入所者の姿も見られた。天皇、皇后両陛下の滞在期間中、宮古島地方はこの冬一番の寒さとなったが、島全体の熱い歓迎に後押しされ、視察は無事に終了し、両陛下は次の視察地である石垣島に出発された。  行幸啓とは 天皇陛下と皇后陛下がおそろいで外出されること。行幸は天皇陛下一人で外出されること。行啓は皇后陛下、皇太子殿下、皇太子妃殿下が外出されること。 

写真説明=国立療養所宮古南静園では不自由者棟の入所者25人に対して両陛下から体調などを気遣う言葉が掛けられた=25日、国立療養所宮古南静園

 

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住民投票、反対が圧倒的/伊良部町、合併に赤信号

2-2.jpg (37375 バイト) 宮古では初めて執行された伊良部町の合併の意思を問う住民投票は25日、投票が行われ、有権者の過半数以上が投票し「投票」は成立した。即日開票の結果、「合併しない」に1773票が投じられ、「合併する」の757票に1016票の大差をつけた。県内では反対多数が占めた伊江村に次いで2例目。有効投票数は2530票で投票率は50・95%。無効投票数60十票。


 合併の賛成を表明していた浜川健町長は開票終了後、記者会見を行い「町議会と相談し、臨時議会で法定協議会の離脱を図りたい」と述べ、町民の意思を尊重する考えを重ねて強調した。  この日の投票では、特に佐良浜地区で、合併に反対する有権者らがお年寄りなどを自宅と投票所間を車で送迎する運動を展開し、反対の投票数を押し上げた。 住民投票条例では「住民投票に関する投票運動は、自由とする。ただし、買収、脅迫等町民の自由な意思が拘束され、又は不当に干渉されるものであってはならない」と明記。 同町選挙管理委員会では「投票する人を車で送迎するのは、住民投票条例には違反しない」と明言する。
 反対運動を展開していた島尻始町議は「住民投票条例では、町民の自由な意思が反映されるものでなければならない、とあり、町議会は反対の意思を尊重すべき」と強調した。
 住民投票は、同町が平良市、城辺町、下地町、上野村、多良間村と合併することの是非について、町民の意思を確認し、もって民意を反映した選択をすることにより、町の将来の方向性を定めることを目的に実施された。
 当日の有権者数は、5083人(男2489人、女2594人)。

写真説明・有権者の過半数の投票で開票は成立し、即日開票が行われた=25日、伊良部町の女性若者等活動促進施設

「法定協から離脱」/浜川伊良部町長が会見
2-3.jpg (33153 バイト) 合併反対が合併賛成に1016の大差を付けたことを受け、市町村合併に賛成を表明していた浜川健伊良部町長は25日夜、町役場で記者会見を行い、「反対が賛成に大差をつけるとは思わなかった」と困惑した様子で話し「反対の意思は尊重したい。議会と相談し、法定協議会の離脱を図りたい」と重ねて強調した。
 浜川町長は「町民が合併を反対し、自立の道を選んだ。これから行財政改革を断行し、職員人件費抑制、職員削減やリストラなどを実施したい。『町政運営がどうにかなるさ』では通らない」と述べ、行財政の建て直しが厳しい状況に複雑な表情を見せた。同席した友利浩一町議会議長は「あさって(27日)にも議員全体協議会を開いて、法定協議会からの離脱について話し合いたい。臨時議会の開催も決めたい」と話した。浜川町長は、今回の住民投票の結果に終始、沈痛の表情を見せていた。  

写真説明・記者会見した浜川町長(左)と友利議長=25日、伊良部町役場

架橋予算への影響大?
 伊良部町(浜川健町長)の合併の意思を問う住民投票が25日に投開票された。投票の結果、約千票の差で住民意思は「合併せず」となった。この結果は、宮古圏域最大の懸案事項である伊良部架橋の実現にも大きな影響を与えそうだ。また、単独での自治体運営となった場合は、厳しい行財政改革の断行、職員の大幅削減、福祉サービスの急激な低下などが予想されている。  今回の住民投票は、投票成立のポイントとなる投票率50%を超えるかに注目が集まった。投票の結果、投票率は50・95%で成立し、投票数2530票のうち「合併賛成」が757票、「合併しない」が1773票。無効投票は60票となった。
 この結果について浜川町長は「議会と相談して臨時議会で法定協議会からの離脱を図りたい。単独での自治体運営となれば厳しい行財政改革を断行して職員の大幅削減なども行わないといけないと思う」と述べた。今回の結果は、来年度予算に実施設計費の明記が期待されている伊良部架橋についても大きな影響を与えることは必至の状況だ。この問題では町長、役場職員にも国から架橋の実現は「合併が条件」であるとの意思も伝わっていたこともあり、合併推進を掲げる国からの強力な揺さぶりが今後、町に対し行われることも予想される。
 また、伊良部町の財政は6市町村の中でも厳しい状況にある。来年度の予算編成についても今年度比2億5000万円減額の見通しで、編成作業も厳しい状況だ。また、公債費比率も20%を超えており、先行きも好転する見通しは少ない。
 こうした町財政の中で下した今回の「合併せず」の判断。町民が本当に自らの地域の現状を踏まえて投票した結果であれば今後、いっそうの自助努力としっかりとした自治体像を視野に入れた取り組みが必要となる。  同町では昨年末に住民投票を前に市職員や建設業者などを対象に合併問題に伴う説明会を開催してきた。その中で当局は合併しなかった場合の財政推計について「2005年度には、累積赤字が5億4000万円となり、再建団体に突入する見込み」と厳しい町の財政状況を説明している。  不況の嵐が吹き荒れ、国の財政も厳しさを増す中で、財源のほとんどを国からの支出によって自治体運営をしてきた伊良部町を含む宮古の6市町村。大きなウエートを占める国からの依存財源が減少していく中で自主財源をいかに確保していくかが自治体存続のカギとなる。
 これから、多良間村、下地町で住民投票が予定されている。二町村の住民がどのような判断を下すか今の段階では分からないが「合併する」「合併しない」はただ漠然と投票するのではなく「合併」について理解し、明確な意思を持って一票を投じないと合併「する」「しない」にかかわらず、今住んでいる地域の未来を崩壊に導いてしまう可能性もある。住民が「合併」を自分の問題として捉えた投票が多い自治体こそ未来を描くことができるはずだ。


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両陛下、地下ダム利用農業に理解/ティダファームたらま視察

3-1.jpg (376422 バイト) 天皇、皇后両陛下は25日午前、城辺町の「ティダファームたらま」(多良間伸也代表)を訪れ、ハウス内で栽培されているゴーヤー(にがうり)やピーマンなどの成育状況や選別作業などを視察された。地下ダムの仕組みも熱心に質問、水を利用した農業に理解を深めた。案内した同社の多良間代表は「ゴーヤー料理に興味を持ってご質問されていました」と大役を果たしてほっとした様子。お迎え、お見送りをした仲間克城辺町長は「『地下ダムが建設されて、若い人たちが農業に関心を持っておられるようですね』と話していたのがとても印象に残っている」と話した。
 天皇、皇后両陛下は、午前10時過ぎ、同社の農場を訪れた。入り口前には、多良間代表や仲間町長、同町議会議員らが出迎えた。
 最初に仲間町長が、国営宮古土地改良事業計画を説明。地下ダムの仕組みが一目で分かる立体的な模型を使って、地下水を利用した宮古の農業を紹介した。
 天皇陛下に「地下ダムは、どういう人が設計なさったのですか?」と聞かれ、仲間町長は「農水省の優秀な職員が設計しました」と答えていた。
 この後、野菜の選別作業を視察した両陛下は、取れたての青々としたゴーヤーに関心を示された様子。ゴーヤーを手に取って「ゴーヤーチャンプルーにして食べるんですか?」との質問に職員が「はい。最近はお茶にも利用されています」と答えるとびっくりしていた。
 両陛下は、トマトやゴーヤーが栽培されているハウス内にも足を運んで、成育状況なども熱心に視察。農場を出発する際には、案内した多良間代表に「体に気を付けて、これからも頑張ってください」と言葉を掛けた。
 視察後、多良間代表は「天皇陛下は九州地方の30─40センチサイズのゴーヤーを見慣れているようで『ゴーヤーのサイズはもう少し長めではないですか?』とご質問されていたので『沖縄ではこのサイズが一般的です』と答えました。農場を視察していただいて大変光栄です」と笑顔を見せていた。
 仲間町長は「遠い宮古島まで来てくださったことに大変感謝している」、伊志嶺幹夫同町議会議長は「皇后陛下から『立派な施設ができて良かったですね』とお声を掛けられた。台風のことを気遣ってのお言葉だと思う」と語った。

写真説明・多良間伸也代表の説明に耳を傾けられる天皇皇后両陛下=25日、ティダファームたらま

 
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「きょうは最高の一日」/
入所者ら両陛下の心遣いに喜び

4-1.jpg (38130 バイト) 宮古南静園入所者自治会(宮里光雄会長)は両陛下のお発ち後、自治会事務所で記者会見を開き、6人が陛下との触れ合いの様子や感想を語った。
 宮里会長(69)は「皇室は園創立以来70年間、ハンセン病に対する偏見が強かった時代から園に温情をお示しになった。常にそのことを胸に秘めてきて、両陛下をお迎えできたきょうの日は最高の1日。とても和やかな雰囲気を感じた」と感無量の様子。
 前里財祐さん(81)は「私は大変運のいい男と思う。陛下とお会いできる機会は、めったにないこと。陛下は普通の庶民的な感じの方。親しみをもっていろいろ話された」と興奮気味に話した。
 与那覇次郎さん(86)は「皇室には戦前、戦後お世話になっている。昭和17(1942)年には貞明皇后さまが歌碑を建てられ、戦後は高松宮さま三笠宮さまが慰問された。そしてきょう、幸せの時が与えられた。私は皇后さまに握手され喜びを感じている。この手は洗いたくない。生きていて良かったと思う」と述べ、目にうっすらと涙を浮かべた。
 嵩原勝米さん(76)は「陛下から生きるエネルギーを頂いた。精いっぱい生きようという気持ちになった。喜びの気持ちを陛下の前で歌いたかった」と話した。
 伊志嶺玄忠さん(89)「陛下の祖母の貞明皇后が歌碑を建てられた。陛下は貞明皇后さまのことを胸に秘め立ち寄られたと、私なりに思っている。『つれづれの友となりても慰めよゆくことかたき我にかわりて』。私はこの歌から、貞明皇后さまの母親以上の愛情を感じる」と話した後、同歌を高らかに詠いあげた。
 前田島正夫さん(73)は「陛下は『どこが痛みますか』『どうお過ごしですか』などと聞かれた。私は趣味の囲碁やグラウンドゴルフなどを通し、楽しく過ごしていると答えた。きょうの一日を忘れることはできない」と、陛下との触れ合いを話した。

写真説明・不自由棟の入所者一人一人に腰をかがめてお言葉をかけられる皇后陛下=25日、国立療養所南静園

 
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両陛下の通過に歓声/沿道を埋め尽くす住民

5-1.jpg (35278 バイト) 島内各地の沿道では天皇、皇后両陛下を歓迎しようと多くの住民が足を運んだ。このうち市内のサンエーショッピングタウン宮古前には午後1時ごろから付近の住民約1000人が集まり、日の丸の手旗を手に、両陛下の車列を今か今かと待ち続けた。
 車窓から両陛下のお顔が見えると、「ウワァー」と歓声が上がった。中には「天皇陛下」「皇后陛下」などと声を掛けながら、日の丸の手旗を両手で振る姿も見られた。
 家族で沿道に訪れた与那覇久乃さん(35)は「皇后陛下が間近で見えた。すごくきれいだった。テレビで見るよりも優しいイメージがさらに強くなった」と声を弾ませていた。
 また、前泊弘己さん(38)は「両陛下を一目見ることができ満足している。皇后陛下がとてもきれいだった」と話していた。

写真説明・大勢の住民が足を運び天皇皇后両陛下を歓迎した=25日、サンエーショッピングタウン前
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本畑植え付け始まる/葉タバコ

6-1.jpg (36563 バイト) 宮古地区2004年産葉タバコ苗の本畑植え付けが各地で始まっている。6市町村全体では6万4760アールの植え付け面積となっており、前年に比べ約1000アール増えている。
 上野村の砂川克敏さんと父親の芳一さんは、25日から本畑への植え付けを開始。下地町上地にあるマルチビニールを張った畑へ苗を丁寧に植え付けた。今年は四ヘクタールの畑に植える計画だという。
 克敏さんは「種をまき苗を育てていた時期の天気が良かったので、苗の育ちが早かった。例年より大きく育った感じ」と話し、「去年は大豊作だったので今年もまた期待したい。これからは適度な雨が降れば順調に育つ」と話した。
 宮古地区の04年産葉タバコ生産農家戸数と植え付け面積の内訳は、▽平良市29戸、9460アール▽城辺町51戸、2万3070アール▽下地町40戸、1万4420アール▽上野村34戸、1万1980アール▽伊良部町15戸、3570アール▽多良間村11戸、2260アール―となっている。

写真説明・各地で葉タバコ苗の本畑植え付けが始まった
=25日、下地町上地


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