第5集「飛躍」 スポーツ

大海へこぎ出せ/全国制覇に挑戦
  翔南高校カッター部
 大海へこぎ出せ―。県立翔南高校カッター部が二〇〇五年七月の全国大会で準優勝の快挙を達成した。九bの「カッターボート」に十二人のこぎ手と艇長、艇指揮の計十四人が力を合わせて覇を競うレースで、「翔南魂」を発揮し、県勢では最高位を記録。息を合わせて、力を合わせて、今年は頂点を狙う。
 カッターボートは救命艇。もともとは水産・海洋系の高校で授業として行われ、それが競技となった。
 翔南が出場したのは昨年七月に島根県浜田市の浜田漁港で行われた「第七回全国水産・海洋高等学校カッターレース大会」(主催・全国水産高等学校長協会)。五〇〇bを折り返す一〇〇〇bのコースを着順で争う。第五回大会まで連続出場した翔南だったが、〇四年の第六回大会には九州大会で敗退した。昨年は九州大会で二位となり、全国大会の出場権を獲得した。
 翔南は一回戦、二回戦を順調に勝ち上がると、準決勝でも力漕を見せ決勝進出。決勝は静岡県立焼津水産高校、国立宮古海上技術学校(岩手県)とデッドヒートを展開した。三校とも譲らぬ熱戦は焼津水産が制した。翔南は惜しくも準優勝。トップとは〇・四五秒の小差だった。
 主将を務めた石嶺武政君(三年)は「みんなで力を合わせてレースをするところが楽しい」とカッターの魅力を語る。「全国大会の準優勝はうれしさ半分、悔しさ半分。もう一歩で届かなかった優勝を手にしてほしい」と後輩にエールを送る。
 来間智成君(一年)は「来年はもっと体力をつけて、最後のレースまでしっかりこげるように頑張りたい」と気を引き締めた。
 「みんな海が好きな子供たち」とは、教え子を見守る顧問の前泊光男教諭。部員たちはパイナガマビーチで厳しい練習を積み、大会に備える。「先輩を敬い、後輩を思いやる。チームワークが大事。夏場には必ず、卒業生が『こぎたい』と戻ってきますよ」。オールをこぎ、固いきずなが生まれる。その団結力で今年は全国制覇に挑む。

 写真説明・全国大会準優勝となり笑顔のメンバー。(前列左から)浜川航(3年)、石嶺武政(同、主将)、長間智之(同)、豊里忍(同)、砂川斗希(同、艇長)、(2列目左から)勝連翔太(2年)、来間智成(1年)、柴田優人(2年)、長浜正志(同)、川満吉幸(同)、下地貴之(同)、(後列左から)吉永巧(2年)、川満高樹(同、艇指揮)、長間貴久(1年)=2005年7月、島根県浜田市の浜田漁港

それぞれの夢にチャレンジ!
 さまざまなスポーツで活躍を見せる「ホープ」たち。全国大会を目指すものや、県制覇を目指すもの。それぞれ見据える夢は異なるが、競技に対する熱い気持ちは共通する。そんな選手たちに今年に懸ける意気込みや目標などを聞いた。

プロの世界で活躍・小さな島でもやればできる/島袋脩
 昨年十一月に日本初のプロバスケットボールリーグとして開幕した「bjリーグ」で、多良間村出身の島袋脩選手が活躍を見せている。島袋選手はスピードあふれるプレーと高い得点能力が評価され、二〇〇五年ドラフトで第十九位指名を受け大分ヒートデビルズに入団した。リーグ戦デビューは十一月十二日の仙台89ERS戦。出場はわずか6秒だったが、2点差を追う緊迫した場面で起用された。初得点は同二十六日の大阪エヴェッサ戦。2本シュートを決め、4得点を挙げた。プロとしての選手生活をスタートさせた島袋選手に今シーズンの目標などを聞いた。
  ―今シーズンの目標は
 目標はやっぱり初代チャンピオン。一試合一試合を大切に、チーム一丸となって頑張りたい。個人では、このシーズンで自分の課題を見つけ出し、レベルアップしたい。
 ―初出場の感想は
 初出場はたったの6秒だったが、多くの観客の前でプレーするのは初めてだったのでとても興奮した。家族や宮古の先輩も応援に来ていて、出場できて本当に良かった。
 ―初ゴールの感想は
 ただガムシャラに相手に追いつくためにプレーしたので、得点した時はあまり初得点という特別な気持ちはなかった。ちょっと落ち着いてからは『スタートラインに立てた』という気持ちも出てきた。チームは負けてしまったが、うれしかった(笑)。
 ―プロとして心掛けていることは
 今心掛けていることといえば、体調管理。いつでも良いパフォーマンスができるようにしたい。1シーズンを戦えるようにウエートトレーニングで体づくりをしている。
 ―自分の持ち味は
 自分の持ち味は起動力。ディフェンスを頑張って速攻に繋げるのが自分のプレースタイル。コートの中を駆け回り、チームに良い流れをつくり出せる選手を目指したい。
 ―宮古島、多良間島で応援するファンに一言
 「アララガマ魂」と「小さな島の人でもやればできる!」という気持ちを持ち、少しでも長くプロという環境でプレーしたい。将来は教員として、地元で後輩たちに学んだことを伝えたい。多良間、宮古まで良い結果をお知らせできるように頑張りたい。応援よろしくお願いします。
 島袋 脩(しまぶくろ・おさむ)1982(昭和57)年6月21日生まれ。身長187a、体重75`。背番号6。ポジションはガードフォワード。宮古高校―天理大学卒。12月19日現在で8試合出場。8得点1アシスト4リバウンド。

 写真説明・大阪戦でシュートを放つ島袋(右)=11月27日 (C)G.Abe/OitaHeatDevils/bjleague

実力高野球部の中心選手、今夏、両者対決へ
  伊志嶺君(沖尚2年)と池間君(中部商2年)
 沖縄尚学高校二年の伊志嶺翔大君(平良中卒)は、野球部の三番打者でキャプテン。中部商業高校二年の池間裕也君(西辺中卒)は、野球部のエース。普段二人は仲良しだそうだが、今年の夏の大会では、激しく火花を散らすに違いない。
 沖尚の伊志嶺君は走攻守そろった選手。角田篤敏監督は「特に足は高校生離れしている。打つ方はリストが強く、センターに大きなものが飛ぶ」と太鼓判を押す。
 同校は昨年の春と夏の県大会で優勝。春の甲子園では、ベスト8まで勝ち進んだ。今年も夏の甲子園出場を目指す。
 伊志嶺君は「チーム全体をまとめ、引っ張っていく。もっと強くなれるよう、みんなで頑張りたい」と気を引き締める。
 角田監督は、三月に監督を退任するが「習ったことを、しっかり継続してもらいたい。(退任後も)何か連絡があれば対応する」と、選手達にかける眼差しは温かい。
 中部商の池間君は百三十八`のストレートが一番の武器。切れの良いスライダー、カーブの持ち球もあり、速球と変化球の組み合わせで三振が取れる。
 上原忠監督は「天才的な投げ方をする。とてもひじが柔らかい。ストレートもどんどん伸びており、百四十二、三`まではいくと思う」と、才能にほれ込む。
 池間君は「県大会で優勝して、甲子園に行く。そのために、もっとピッチングを安定させ、失点を少なくしたい」と甲子園行きに意欲十分だ。
 同校は二〇〇二年と〇四年の夏の県大会を制し、甲子園に出場。今年は三回目を目指す。
  
  池間君のピッチングは速いストレート
  が一番の持ち味
 
 リストの柔らかい伊志嶺君のバッティングはセンター方向に大きな当たりを飛ばす


V3目指すファミリー与那覇/本社主催軟式野球
 第三回宮古毎日新聞社杯軟式野球大会(第十四回全宮古軟式野球選手権大会)で二連覇を果たしたファミリー与那覇。安定した戦いぶりでトーナメントを勝ち上がり、参加九十二チームの頂点に立った。与那覇登監督は「V3目指して頑張りたい」と意欲を見せた。
 チームは今から約二十五年前に親せき同士が集まって結成された。その後、実力者らがチームに加わり、現在は三十代から五十代までの幅広い年齢層で構成されている。
 チームの柱は投手陣。与那覇監督が絶大な信頼を寄せる川満隆男、下里勝信の両投手を継投で使い試合の流れをつくる。
 また、両投手を支えるのが堅い守備。好守備を随所に見せ苦しい戦いを乗り越えてきた。
 打線は四番前川直喜を中心にシャープなバッティングでつなぐ野球を見せる。ノーヒットでも相手のミスを誘い得点のチャンスを演出するなど、豊富な試合経験で得点を奪う。
 昨年大会の決勝では猛打を誇る西辺D打線と対戦。緊迫した試合展開の中で持ち味を十分に発揮し、優勝をたぐり寄せた。
 チームを率いる与那覇監督は「すべての大会で一試合一試合を大事にしたい。県大会で上位に入れるようにしたい。宮古毎日杯はもちろん三連覇を狙いたい」と抱負を語った。

 写真説明・宮古毎日新聞社杯軟式野球大会で2連覇を果たしたファミリー与那覇

 

 
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