第3集 「活力」 地域版・郷友会特集 昨年十月一日に平良、城辺、伊良部、下地、上野の五市町村が合併して新市「宮古島市」が誕生した。合併をめぐっては、旧平良市を中心とした振興策が図られることを懸念する他の旧町村からの声や、新市の名称で住民アンケートが実施されるなど紆余曲折があり、生みの苦しみも味わった。ともあれ、新市が誕生したことで、住民側の意識も高揚。新しい年へ向けての気分の高まりとともに新市へ懸ける期待は大きい。五市町村が合併し一つになっても、やはりその地域独特の個性は持ち続けたいもの。豊かな地域社会の実現へ向け、多良間村を含めた各地域でさまざまな活動を展開している団体や個人を紹介する。
<多良間地区> ノニ栽培で農業活性に情熱/美里さん夫妻 「多良間島をノニの島にしたい」。農業法人グリーンヘルスの美里泰秀代表(63)。妻の絹代さん(58)とともにノニ栽培を手掛ける。「換金性もあるし、生命力の強い永年木なので島の環境美化にもつながる」と、一緒に夢を追い続けている。 美里さん夫婦がノニ栽培を本格的に始めたのは二〇〇五年から。現在は二千五百本以上を村内の畑に植え付けている。ノニは約八カ月で実を付けるというが、本格的に収穫ができるのは一、二年後を見込んでいる。 美里さんがノニ栽培を始めたきっかけは、生命力が強く、多良間島にも自生し、健康補助食品として注目を集めているノニを多良間ブランドとして確立すれば「島全体の農家所得が向上するのでは」と考えた結果。夫婦二人で夢実現のため、試行錯誤をくり返しながら可能性に挑戦している。 「多良間島は四方八方を海で囲まれており、ノニの栽培には適している」と強調する美里さん。「多良間産ノニを、有名な黒糖並みに付加価値を付けていきたい」と夫婦で口をそろえる。 ノニの現状については「本土の市場は沖縄県産のノニを求めている。現在は需要に供給が追い付いていない。島全体で取り組み、特産品化すれば一億―二億円産業に発展する」と分析。 そのため、「島を特別振興地域として指定するなどの支援が必要」と行政への協力も求める。 「大好きな島に恩返しがしたい」。美里さんの原動力だ。「ノニ栽培が成功すれば私が青年のころから愛した島の経済活性につながる。責任は重大だが、ぜひ成功させたい」と普及に意欲を見せる。 写真説明・ノニ栽培を本格的に始めた美里さん夫妻。円内はノニの実
>>>新年号トップページへ