◆ 「宮古島」の魅力を発信
「宮古上布は生きがい」
宮古上布の保持団体代表/洲鎌 ツルさん(75)=下地字上地
昨年八月、宮古上布製作技術者として第一回ものづくり日本大賞内閣総理大臣表彰を受賞。宮古上布の保持団体代表として取り組んできた活動と熱意が評価された。「こんなにうれしいことは今までなかった。身に余る光栄で感謝している」と振り返る。
戦時中、防空ごうの中でブー(苧麻)績(う)み作業をこなした。まだ小学生だった。成人前には立派な上布を織った。宮古上布の創製者とされる稲石の直系の子孫。「宮古上布は私の人生そのもの」と誇る。
洲鎌さんは宮古上布とともに人生を歩み、衰退する上布の歴史も見てきた。収入が減少しても、宮古上布を愛し、その可能性を信じ続けてきた。
そんな上布の魅力について「今までいろいろな布を見てきたけど、その中でも宮古上布は最高の布だと思う。軽くて通風性があり、着ると気持ちがいい」と強調。その上、宮古上布が出来上がるまでの工程までこよなく愛している。
洲鎌さんは今、宮古上布の普及、振興に熱意を注ぐ。それまでの「なるようになる」の姿勢からは一転、「私たちが伝承していかなければならない」と強い信念を固めている。
今年の目標は「忙しいけど充実した毎日を送りたい。苧麻を利用した洋服、ネクタイ、名刺入れなどの小物を観光客用に手掛けたい」と力強く話す表情には、今年も宮古上布の保持に全力で取り組む決意が見て取れる。もう一つの目標は「今のように楽しい人生を歩みたい。健康が一番なので運動は欠かさないようにしたい。ゲートボールやグラウンドゴルフで遊ぶときは遊びます」と笑顔で語った。
宮古の方言を織り交ぜた曲を書き続けている下地 暁さん
宮古馬を愛し育てる島尻さん。現在は雌馬の四頭を西平安名崎近くの牧場で飼育する。なぜ宮古馬なのか、この問いに島尻さんは「自分の子供の情操教育の一環で始めたこと。子供たちに動物と接する機会を多く与えたかった」と話す。飼育するうちに子馬誕生の素晴らしさにひかれた。「今は一頭でも多く増頭させて、それを観光面で活用していくことが希望」と力強く話した。
写真説明・宮古上布と共に人生を歩んできた洲鎌ツルさん
「増頭、観光活用が夢」
宮古馬飼育/島尻 博之さん(45)=平良字狩俣
現在、宮古島で宮古馬を飼育する人は十人に足りない。そのうちの一人が島尻さんで、多いときには九頭もの宮古馬の世話をしてきた。育て続ける理由は近い将来、宮古馬が乗馬体験など観光面で活用できるという信念があるからだ。「今までは一頭産まれたら、一頭が死ぬということを繰り返して全体頭数の増減がなかったけど、今は若い馬が多いので、これからの頭数は右肩上がりで推移するはずだ」と宮古馬の現状を語る。頭数が増えれば観光客らに乗馬や触れ合い体験を提供できるため、観光面で大いに役立ってくる。島尻さんは「自分の牧場から西平安名崎までの道のりを馬車に乗って体験してもらいたい」と誇らしげに話した。
ただ、増頭に向けて課題もある。それは飼育する人が全体的に高齢化していること。「もっと若い人が入ってこないといけない」と話し、自らも宮古馬保存活動の強化に全力で取り組む決意を強調した。
子供たちの情操教育から始まった宮古馬の飼育だが、今となっては保存の第一人者となり活動を続ける。これまで十頭を誕生させたが、そのたびに生命の素晴らしさを体感したという。「宮古馬の将来に期待してほしい」と語る島尻さんの表情は自信に満ちあふれている。
写真説明・「将来は観光に役立てたい」と話す島尻博之さんが飼育する宮古馬 |