2005年 元旦特集・市町村合併 【選挙】
 新市 市長、市議選展望

【新市 市長選展望】
 保革とも群部票に重点 /カギ握る「保守系1本化」


 5市町村合併で新市が誕生した場合には保守地盤と言われる郡部票が当落のカギを握りそうだ。郡部でも人口の多い城辺町は革新票が他の郡部に比べて多く存在し、革新系候補者にその票は着実に流れそうだ。一方で人口の多い伊良部町は革新系の候補者次第では票が保守系から流れる見込みとなっている。また、下地町、上野村は基本的に保守地盤であることから革新系候補者がどれだけ入り込んで切り崩せるかが注目される。
 大票田の平良市は保守票が若干多いものの保革の支持票は拮抗(きっこう)している。しかし、ここ数年は保守分裂での選挙となり革新系に議席を明け渡している状況が続いている。
 市区保守系の分裂は県議選や国政選挙でも大きく影響し1本化した選挙がここ数年展開されていない。新市の市長選でも今の状況が続くようでは保守分裂選挙となり、厳しい選挙戦を強いられそうだ。
 また、前回の各首長選は無投票だった上野村以外は城辺町、伊良部町、下地町とも拮抗した選挙戦を展開している。
 市区の保守分裂の余波などで、郡部票を分断する結果を招いている。
 宮古の保守系は実質、前衆議院議員の下地幹郎氏派と反下地派に分裂していた。しかし、下地氏が昨年の衆院選で敗北。その後も自公路線に反対し自民党県連とも対立し除名処分を受け、その後の那覇市長選では革新系候補者の応援にまわり敗北となり窮地に追い込まれている。
 下地氏の求心力の低下は宮古の保守系にも大きな影響を及ぼしそうな情勢で、新市の市長選までに反下地派が一気に主導権を握り一本化を構築できるかが注目されている。
 一方の革新系は保守系の動向を見極めた選挙を強いられそうだ。保守の分裂が続けば、これまで通り追い風に乗って議席を獲得する可能性も高いが、保守一本化となれば保守地盤である郡部票の獲得が難しくなり厳しい選挙となりそうだ。
 新市選挙を占う上では保守系は一本化実現がカギとなり、革新系は保守系の動向を見極めた上で、保守地盤の郡部票をどれだけ獲得できるかに重点を置いた取り組みを展開しそうだ。


【新市 市議選展望】
 多数乱立の公算 /定数「26−30」めぐり攻防へ


 昨年末の宮古5市町村合併推進協議会で継続審議が確定した合併後の議員身分。議員側と住民側の意見の相違は解消されず、在任特例適用か否かの決定は今年に持ち込まれている。ただ、適用するにしてもしないにしても、各地域の議員は合併後の新市市議の選挙に向けて水面下での動きを活発化させることが予想される。告示後は多数乱立の公算が大きく、その集票活動においては宮古島における選挙風土の変化が注目される。

 新市の市議選で最も注目されるのが各陣営の集票活動だろう。有権者枠が拡大するため、各立候補者は基礎票プラス他地域での集票活動を強化しなければならない。
 この場合、市部の立候補者は郡部票の切り崩しを図り、反対に郡部の立候補者は市部にある郷友会票を中心に市部の票の切り崩しにかかる。
 この展開について城辺町内に住むある議会関係者はこう指摘する。「市部の立候補者が郡部で票を集めるのは地縁・血縁の結束が強い地域性から考えて困難だろう。逆に郡部の立候補者は郷友会の票を中心に市部の票を切り崩しやすいというメリットがあるのではないか。ただ、郡部でも多数が乱立した場合は厳しい。ただでさえ基礎票が少ないのに乱立すると郡部立候補者のメリットはなくなってしまうことが懸念される」と言う。別の関係者は「例えば告示された後、市部の候補者が城辺町や伊良部町で遊説しても有権者は興味を示さないと思う」などと話した。
 とはいえ、やはり市部の立候補者に有利な点は多々ある。まず大票田であるということが最大の利点だ。基礎票の多さが郡部の立候補者と比べて格段に違う。中には「基礎票だけでも郡部の立候補者と対抗できる」と話す関係者もいる。市部の立候補者はその基礎票を守りながら市部、さらには郡部での運動を展開することが予想され、実際にふたを開けると獲得票に大きな差が生まれることも否定できない。
 このような選挙活動の内容とともに注目を集めるのが投票率だ。各市町村の前回選挙(議員選挙)のデータは平良市85・66%、城辺町95・32%、伊良部町91・12%、下地町94・37%(上野村は無投票)。どの市町も高い投票率だが、市部に比べて郡部の投票率が高く、地縁・血縁を中心に選挙運動を展開する郡部の選挙風土を反映しているものと言える。
 新市の市議会議員選挙の投票率がどのくらいになるのか現段階で判断するのは困難だ。ただ、各市町村ともに選挙熱が高いため、80%以上の投票率になることは見込まれる。
 選挙の1つのキーポイントとなるのが市部に多い浮動票の行方。各候補者ともに、この浮動票の獲得に乗り出し、票の上積みを図る構えだ。
 新市の市議選では多くの若手の新人候補が出てくる可能性もある。2年以上にわたって合併に関する報道が島内を駆けめぐったことで、若年層の関心が高まりつつあるからだ。これまで政治、選挙に関心が低かった若年層が新市の将来を模索し始めれば市議選への立候補という道筋を立てることができる。若い力を集約する候補者が出てくることは十分に考えられることだろう。
 このように注目される新市の市議会議員選挙だが、現状は定数、在任特例についても決定されていないため、本格的な動きはまだ見えてこない。ただ、新年1月早々にも開催される合併推進協議会の結果次第では、その動きは一気に加速するはずだ。


【多良間村 選挙展望】
 「自立」舵取り役は誰に /任期満了で村長選、村議選


 6市町村の中で唯一、合併不参加の立場を示し自立へ向けて進んでいる多良間村は、今年6月に村議会議員、7月に村長が任期満了を迎えそれぞれ選挙が実施される。選挙経費節約や事務手続き簡素化などから同日選挙の可能性も見込まれている。自立を選択した多良間村は、国の三位一体改革に対応するため議会議員定数を10人から7人へ削減するほか、教育委員、農業委員も定数を削減。収入役廃止も視野に入れるなど、さらなる行財政改革が進められている。多良間村をのぞく5市町村合併で新市が誕生すれば、今年10月から単独自治体として新たなスタートを切る。今回の選挙で多良間村の「舵取り役」として村政運営にいかに手腕を発揮できる村長、議員を選ぶかが、今後の多良間村の未来にかかっている。

■多良間村長選
 多良間村長は今年7月8日で任期満了を迎える。選挙が行われた4年前は、前村長の故・安里茂男氏が健康上の理由で辞職したことから村長選挙が実施された。4度目の出馬で初当選を狙う兼濱朝徳氏と、安里村政の流れをくむ前議会議長の下地昌明氏による一騎打ちとなり、村を二分した激しい選挙が展開された。結果はわずか1票差で兼濱氏が当選した。今年の村長選へ向け目立った動きはないが、先に行われる議員選挙の結果次第では下地氏再出馬の可能性も予想される。一方で、前回の選挙で下地氏を支持した村民からは、自立を選択した兼濱村長の今後の手腕を見たいとする声もあり、対抗馬の擁立は混とんとした状態となっている。

■村議会議員選挙
 今年の村議員選挙はこれまでの定数10から3議席少ない定数7で行われる。前回の選挙では定数10に対し12人が立候補した。現在の議席は議長をのぞき与党3席、野党5席、欠員1。長嶺春勝議長は今期限りでの勇退を示しており、現段階では8人の議員が候補者として考えられる。
 しかし、これまでの選挙の流れでは新人の擁立が目立っており、今年の選挙でも与野党ともに同様の動きが水面下で展開されるなど多数乱立の可能性も高い。
 同村では合併賛否をめぐって議員、住民それぞれで溝が深まっており、合併せず自立を目指していく中でこのことがどう影響するかが注目される。議員選挙の結果次第で村長選挙の対抗馬擁立にも影響が出ることから、議員選挙は大きなカギを握っている。
 

 

 
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