2005年 元旦特集・6市町村 上野村

【 新春インタビュー 】

■ 希望ある実り多き年に   上野村長 川田 正一

 ―2004年を振り返って
 天皇、皇后両陛下が宮古島を行幸啓され、上野村では両陛下のご訪問を熱烈に歓迎、役場においては両陛下がご休憩をとられた。その際、休憩室にお招きいただき、両陛下から激励のお言葉や村の現状を説明申し上げたことが非常に意義深く記念すべき年だった。5月には日独観光交流促進協議がドイツ文化村で開かれ、両国の担当政務次官が出席し観光交流促進について協議されたことは有意義で、ドイツ文化村を国内外に広く発信し宣伝効果につながったことは大きな成果であった。
 村政運営では、村民の御理解と協力により諸施策を着実に推進することができ、一定の成果を挙げたと思っている。
 国は三位一体改革を容赦なく断行し、地方財政は、深刻な状況に直面しており、財政逼迫(ひっぱく)に拍車を掛ける年となった。
 県内は普天間での米軍ヘリ墜落事故、宮古では下地島空港の米軍使用問題など米軍基地の存在ゆえに起因したことから、平和な住民生活を脅かすような極めて重大な問題として県民世論が行動を起こした年でもあった。
 ―農業、畜産振興について
 農業は村にとって重要な基幹産業であり、これまでも精力的に基盤整備をはじめ各種支援策を進めてきたが、今後も農業政策に変わりはなく、引き続き基盤整備や野菜栽培施設の事業導入に努め経営の安定と生産性の向上を図るため更に支援を講じていく。
 近年、農業労働力は高齢化が進んでいるため、機械化の推進は早急な課題。ハーベスター追加導入に向け取り組んでいきたい。また、輸送コストの低減も最重要課題。国、県などへ支援を強く働き掛けていきたい。
 畜産業は、農業経営の安定に大きな比重を占めていることから今後も重要施策の1つとして位置付け市場性の高い優良品種の飼育農家を育成する必要がある。昨年11月から家畜排泄物の管理適正化法が施行しているが、村は管理基準に基づき農家への管理指導を行うとともに、適正処理対策として総合的な環境保全と地力の増進を図るため地域資源リサイクルセンターを建設しており、今後の有機農業化への成果を期待している。
 ―教育行政の施策について
 「博愛の教育」という特色を全面的に打ち出して教育を推進していく。
 学校の施設整備はもとより、幼児、児童・生徒が自ら努力する博愛っ子に成長することを願って学校教育の充実を支援していきたい。また、昨年は中学生5名を鳴門市に派遣し交流を深めたが、来年は鳴門市の中学生を受け入れ、中学生との親善交流をして行きたい。
 そのほかにも、教育指針に基づいて子供から高齢者に至る学びの場の条件整備、文化の薫り高い村づくりのために努力していきたい。
 ―観光産業の振興について
 観光産業は、本村にとっても重要産業として位置付けておりドイツ文化村を核とした南岸観光リゾート地域一帯は、宮古島観光地の一翼を担っている。今後も広く情報を発信し、ニーズに対応した施設の拡充を図り、魅力ある観光拠点づくりに努めていく。
 ―5市町村合併、今後の方向について
 行政は村民が主役であり、行政サービスの維持向上・子や孫たち次の世代が、生活を営む上で合併は正しい選択だと思っている。
 合併後は、経済の活力低下がないよう新市計画に盛り込まれた事業の実施を期待したい。特に清掃施設・葬祭場の建設については、建設場所のめども立たない状況であり早急の取り組みが必要。国の三位一体改革から見て新市において財政事情が好転するとは考えられず、思い切った行財政改革の断行は避けて通れない。役職員はじめ選良の皆様・住民1人ひとりが改革の意識を共有することが必要だと思う。また、町村においては、農村部の過疎が一番大きな懸念事項で、都市部に偏らない均衡ある発展・活性化を図るためにも農業振興策の重視、過疎対策を誤らないようにしてもらいたい。
 ―新年に向けて
 歴史に1ページを刻む年になろうかと思うが、希望に満ちた実り多い年にしたい。三位一体改革で極めて厳しい財政状況になっているが、そういう時代であるだけに村民および議会の皆様の御理解とご協力、御支援をいただきながら村民福祉の維持向上に精力的に取り組んでいきたい。
 どうか、本年も村民皆様のより一層の村政に対する御支援、御協力をお願い致します。

《 卒業生 一堂に−上野中同窓会レク大会

 上野村立上野中学校卒業生が一堂に会し、世代を超えて交流を深める「上野中同窓会レクリエーション大会」が昨年12月12日、盛大に行われた。同窓会初代会長の野原徳清さん(70)=名加山=は「村民が一致協力すれば何でも頑張れる。今回も盛会に終わって良かった」と喜んだ。
 同校は1948(昭和23)年に新里中学校として創立。同年8月に下地町から現在の上野村が分村したため、翌49年に現在の上野中へと改称した。
 野原さんによると、同窓会は同校の創立10周年を控えた58(昭和33)年ごろに設立されたという。
 設立当初は同校の運動会で同窓会リレーに出場するなどの活動を行ってきたが、徐々に会員が増え、65(昭和40)年ごろからバレーボール大会などを催すようになり、現在のような大掛かりなレクリエーション大会に発展した。
 レクリエーション大会は同校の1期卒から、その年で30歳を迎える卒業生までが参加する同窓会の一大イベント。例年、300人以上の卒業生が一堂に会し、旧交を温めている。
 昨年は約300人が参加し、1期−22期卒がグラウンドゴルフ、23期−34期卒がソフトバレー、35期−42期卒がバレーボールと、それぞれ体力に合わせ、軽スポーツを満喫。年の差を超えて親ぼくを深めた。
 野原さんは「同窓会レクリエーション大会は今や村の一大イベントに成長した。これも同窓会の会長を引き継いだ歴代の後輩たちが頑張ってくれたおかげ。市町村合併しても『上野村民は1つ』という気持ちを忘れずに発展させていってほしい」と話した。

 写真説明・昨年も大勢の村民が参加し、レクリエーション大会を満喫した

博愛みそ 島内外に発信上野村博愛農産グループ代表 宮国くみ子さん

 みゃーくの味加工推進協議会会長、宮古地区農漁村生活研究会副会長、上野村博愛農産グループ代表、上野村生活研究会会長、上野村教育委員を務め、多忙な毎日を送る宮国くみ子さん(49)。「自分がいろいろな事に興味を持つ性格だから。忙しいながらも楽しいです」と充実感あふれる笑顔を見せる。
 上野村博愛農産グループは1996年に発足。地元産の農産物などを加工し、村の特産品を作ることが目的だった。
 宮国さんは発足当時からグループにかかわり、特産品を生み出すため、メンバーらとともに何度も何度も試行錯誤を重ねたという。そのかいがあってグループは、「博愛宮古みそ」の製品化に成功する。
 1998年、宮国さんがグループの代表となる。需要もどんどん増え始め、現在では年間平均で7200キロを生産、島内ではスーパーや小売店などで並べられているほか、島外からも多くの注文が寄せられるという。また、上野小学校、中学校の給食の材料にも使用されるなど、製品への信頼も厚い。
 「『地産地消』の動きは賛成だが、もっと島外にも発信していかなければいけない」と今後の目標。石垣島の加工所や土産品店などを視察した際に、観光客の目を引くパンフレットや、豪華な包装で商品を目立たせる手法を目の当たりにして感じるようになったという。
 「商品の改良もそうだが、もっと商品をPRしていかなければいけないと痛感した。メンバーとともに、今後取り組んでいく課題ですね」とチャレンジを続ける。

 写真説明・上野村博愛農産グループ代表の宮国くみ子さん

《 2年目に意欲−国際交流員 ゲルバー・ダニエルさん

 上野村の国際交流員として2004年8月に赴任したゲルバー・ダニエルさん(27)。「ドイツの情報を発信するだけでなく、もっと宮古のこと、上野村のことを知りたい」と流ちょうな日本語で2年目に意欲を見せる。
 冬になるとマイナス15度にもなるというドイツ中部のフランクフルトで生まれ育ち、大学で日本語と日本史を学んだ。その間、奈良県の大学に留学。日本語の基礎はこの時期に学んだ。ドイツ語、日本語のほかにも、英語、フランス語も操る。
 役場では、村主催のイベントなどを担当する企画調整課に勤務。「初めての土地、初めての仕事など初めてづくしで大変だったけど、周りの先輩や上司が親切にしてくれた。そのおかげで仕事もスムーズに入る事ができ、宮古にも早くに慣れることができた」と出会いに感謝する。
 現在、2年目の新しい取り組みとして「ダニエルを借りてください」というプログラムを計画中。農家、企業などに赴き、作業を通してさまざまな体験をすることが目的だ。
 「私も幅広く、いろいろなことを体験できる。相手方にも私の労力を使ってほしい。共通の体験をすることでもっとコミュニケーションが取れるし、交流の輪が広まる」と話す。「そのほかにも、1年目はカルチャーショックなどがあって、大変な部分もあったが、2年目からはもっと腰を据えて取り組んでいきたい」と新年に向けての抱負を力強く語った。

 写真説明・2年目に意欲を見せるダニエルさん=うえのドイツ文化村

 

 

 
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