2005年 元旦特集・6市町村 多良間村

【 新春インタビュー 】

■ 自立向け団結と融和がテーマ   多良間村長 兼濱 朝徳

 ―2004年を振り返って、どんな年だったか
 合併という大きな波に区切りを付けた大きな決断の年だった。住民投票や議員のリコール問題など揺れ動いた1年だった。予期せぬ方向にエネルギーを使い、あっという間に過ぎた。自立するのか合併するのかこれほど大きな問題はない。村の存亡にかかわることでもあり、村民には不安も与えたと思う。みんな頑張っていただいた。大きな節目の年だったと思う。
 ―新多良間空港が完成し1年がたった。今後の見通しは
 中高年の中には、「空港に行くと多良間ではないようだ」という人もいる。観光客など村民以外の人が増えたということ。前泊港のフェリー海路も完了し、交通網が整備された。住民の主な収入源は第一次産業。サトウキビが5億円、葉たばこが1億円、畜産が4・5億円となっている。新しい1つの産業として観光産業をつくらないといけない。サトウキビ産業に匹敵するよう観光産業を育成したい。昨年はそれを整えた観光元年。新年度は観光産業をしっかり育成していく。
 ―今後の課題は
 多良間島をブランド化しないといけない。多良間には山も川もなく、今の状態ではリピーターは増えない。参加型、体験型の観光産業をつくっていくことが必要。それも、宮古とは違う多良間だけのものをつくらなければならない。今年はそれを見つけだす年になると思う。ヤギは他には負けない。希少価値がある。1つの施策として、旧空港跡地を別の地域にない多良間だけの活用をしたい。今は食肉処理場が問題。国に特別区にしてほしいと要望している。宮古島と石垣島の中間に位置する多良間には2万人ぐらいの観光客が入れば約5億円近い収入になり、サトウキビ産業に匹敵する産業になると思う。昨年の多良間の観光客数は約7000人。2万人達成の手段として旧空港の跡地利用をヤギ牧場として整備し、ヤギの博物館やバラエティーに富んだメニューなど、ヤギについては県内では多良間が一番と言われるようになりたい。また、村民と村外の人が親しくなれるよう、村民の温かい心を生かし水納島を含めた村全体を観光公園にしたい。八月踊りなど昔からあるものを観光資源として目を向けること、日本一の黒糖を活用すること、水納島を生かすことが大きな柱になってくると思う。
 ―台風被害、干ばつ被害の対策は
 台風では第一次産業が大きな打撃を受けた。他の地域からサトウキビの苗を購入したことは大きな収穫となった。老朽化で水が漏れていた資料館隣の貯水池は今年から改修工事が始まる。また、仲筋に7万トンの貯水池工事設計が入っている。塩川にも5万トンの貯水池を造りたい。家畜用の貯水池も整備する。これができれば干ばつは天災にならない。農家も対応できると思う。
 ―福祉・教育については
 給食センターを改築する必要がある。村営住宅も2003年度で10戸、04年度で8戸整備した。今年度も8戸整備したい。若者が必要としているのは生活環境。観光産業が増え雇用が増えれば若者が戻ってくる。
 ―来年の行政改革方針は
 新年は実行に移す。議会議員や農業委員、教育委員の定数の削減などに取り組んでいきたい。これまで一律だった補助金や助成金も集中型にし、頑張っている団体や生産者に多く与えるようメリハリを付けていきたい。刺激を与えればいい効果が生まれる。補助金を出してもらうことが当たり前でなく、自己で収益を上げることが大事。自分たちで財源をつくるために頑張るのが本来の在り方。行政がやることは民間がやってもいいと思う。視点を変えた収入を得る方向を考えなければならない。多良間は外海離島なので独特のやり方で取り組まないといけない。多良間は出生率が日本一。政治は最終的には人口を増やすためのものだと考えている。
 ―2005年はどんな年にしたいか
 別の地域は合併する。多良間は自立し新たな位置づけとしてスタートする年になる。そのために大事なことは村民の一致団結と融和。それがテーマ。自己決定、責任で自立を選択した。しっかりした気構えが住民にも必要。融和があればできると思う。

《 利用者増で島に活気−新多良間空港開港から1年

 新多良間空港が開港し、昨年の10月で1年が経過した。就航する機材も9人乗りから39人乗りのDHC−8型機へ変わり、滑走路も800メートルから1500メートルに延長。旅客数も着実に増え始め、開港前と比べ約1万人増となった。観光客を受け入れるため長期滞在型宿泊施設も新しく供用開始し、多良間初のダイビングショップもオープンした。今後の観光客増加と地域活性化に期待が掛かっている。
 新空港の開港は2003年10月10日。04年9月までの旅客数は3万7014人で、前年比約30%の増加となった。以前は旅客数が各月とも2000人台で推移していたが、新空港開港後はほとんどが3000人台で推移。いずれも前年を上回る実績となった。琉球エアコミューター(RAC)でも、「順調に推移している」とみている。
 多良間村では新空港開港に伴い、これまで使用していた旧多良間空港跡地はヤギ牧場としての活用を目指している。ヤギ牧場は旧空港跡地の8・3ヘクタールを利用し、総事業費1億9924万円をかけて整備する計画。村と地元農業者が互いに150万円ずつを出資し、農業生産法人を設立させて運営に当たる計画。
 利用内容としては、滑走路を中心とする跡地および字有地を肉用ヤギの放牧ゾーンとして活用するための造成と植栽を実施。隣接する字有地などは乳用、肉用ヤギの採草地ゾーンへ、またヤギ舎、堆肥場、加工施設なども建設する計画。

 写真説明・機材が大型化し毎月3000人が利用している=多良間新空港

《 「夢は動物園」− ダチョウ7羽を飼育 豊里 実さん

 多良間村の一周道路沿いで、ダチョウを飼育している動物好きの豊里実さん。一昨年から趣味で飼い始め、現在は雄2羽、雌5羽の計7羽のダチョウを飼育している。「本当にかわいい。いつも見に来ているが飽きない。7羽それぞれ顔つきも違うし、雄は特に羽根がきれい」と我が子のようにかわいがっている。いずれは孵卵器を購入し繁殖させるのが目標で、ヤギや牛、ニワトリなども周辺で飼育しミニ動物園を開くことを夢に描いている。
 ダチョウを飼育し始めたのは平良市大浦で飼育されているのを見て、「飼ってみたい」と思ったのがきっかけ。元々動物好きだったことから、さっそくひなをゆずってもらい多良間村で飼育し始めた。
 昨年5月には一周道路近くにある敷地内に、ダチョウ専用の屋根付き小屋を建設。手作りで庭付きの飼育小屋を完成させた。サトウキビ農業を営む傍ら、毎日2回、砕いたトウモロコシやムツウサ、果物の皮などのエサを与えかわいいダチョウたちの様子をチェック。首筋をなでたり体を触ったりしてダチョウをかわいがっている。ダチョウも豊里さんにすっかり慣れ、豊里さんが歩くと同じ方向に移動。豊里さんが柵に近づくとみんな寄り集まってくるほどの親しみようだ。
 村内でも珍しいダチョウの飼育とあって子供たちが見に来たり、知人や友人が訪れたりとすっかり多良間村では有名になっている。
 昨年は雌が10個の卵を産んだ。生きている鳥類の中で最大とされるダチョウの卵は、鶏卵の20倍から25倍ほどになる。豊里さんはその卵の殻をドリルで開け、中身を取り出したという。殻は飾りとして自宅に飾り、中身は数回に分けて卵焼きにして食べた。味は「もちろんおいしかった」。
 ダチョウの飼育に慣れれば、いずれは自分で繁殖させ数を増やしていきたい考え。「もともと動物を飼うのが好きなので趣味で飼っているだけ。友人や子どもたちも珍しがって見に来るし、喜んでくれる」と話し、「動物園でも開ければ。夢だけどね」と笑った。

 写真説明・ダチョウを飼育している豊里実さん。7羽のダチョウを我が子のようにかわいがっている

《 仲良し にぎやかクラス−多良間小5年1組 酉年生まれ

 「気合い!」と「根性!」をクラスの合言葉に、男女とも仲良しな5年1組のみんな。授業も休み時間も全力で楽しむ、にぎやかな仲間がそろったクラスだ。少々恥ずかしがり屋なところもあるがいざというときは持ち前の根性を発揮する。体育の持久走では粘り強い走りを見せ、初めてのプールでは練習に練習を重ねほとんどが25メートルを泳げるようになった。そんなみんなの将来の夢と10年後の自分へのメッセージを紹介する。 (※@将来の夢A10年後の自分へメッセージ)

【男 子】
 垣花武志@拳法の達人A頑張って拳法を習得して!

 上地高司@スポーツ選手(陸上)A夢に向かって、くじけず頑張れ!

 東風平勝平@スポーツ選手(サッカー)Aスポーツ選手になっているか?

 古謝圭祐@社長Aいい会社入っているか?俺!社長目指せ

 美里輪@プロ野球選手A頑張って野球選手になれよー!

 島袋正志@動物研究家Aおーい俺!夢には届いているか?届いてなかったら承知しねぇぞー!

 安里寿@スポーツ選手(陸上)A夢に向かって頑張れ!

 知念塊斗@家の事務所を継ぎたいAくじけずに頑張れ!

 糸数昌平@サッカー選手Aサッカー選手になっているかな?なっていなかったら頑張れ!

【女 子】
 友利彩音@リハビリ師Aくじけないで頑張って!応援してるぞ!

 仲間美稀@デザイナーAミキー!夢に向かってガンバレ!

 波平真希@看護師A一生懸命夢に向かって頑張れ!

 譜久村鈴香@小学校の教師A胸を張って、一生懸命頑張れ!

 本村亜香莉@医者A一生懸命勉強頑張って医者になれ!

 渡口美奈子@空手の世界チャンピオンA大変なこともあるけれど頑張れ!

 伊良皆汐里@ファッションデザイナーAいい仕事をしてますかー?

 羽地亜美@声優A大変なこともあるだろうけど頑張れ!

 【担 任】 蒲池いづみ先生
 5年1組のみんなへ。先生の願い
 「自分の考え、意見をしっかりと主張できる人間になってほしい。相手の痛みを分かってあげられる人間になってほしい」

 写真説明・男女の仲が良く元気な5年1組の子供たち

 

 
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