2005年 元旦特集・6市町村 下地町

【 新春インタビュー 】

■ 農業中心の活気ある町に   下地町長 川満 省三

 ―2004年を振り返って
 合併を推進し、昨年8月の臨時議会で賛成少数で否決されたが、その後、地域の世論が変わった。11月の臨時議会で提案したが流会となり廃案となったが、再提案し可決していただいた。各市町村の議会にも事情を説明し、了解を得ている。合併しなければ住民サービスが低下し、住民が不利益を受ける。どうしても合併したいと考えている。合併しないと財政的なものが厳しくなり、住民サービスが低下する。他の市町村と協力していかなければならない。
 ―下地町は合併に遅れての参加となるが、どういったことを訴えていくか。また合併後、新市の行政はどうあるべきと考えるか
 以前出した新市計画に沿って一生懸命取り組んでいく決意。今年3月の議会で可決していただくことで、3月31日の期限をクリアできる。住民へ周知を図っていくことも必要。合併後は新しい市長、議員となることで行政のあり方が変わってくると思う。地方交付税の落ち込み、補助金の削減はあるので、これから財政的に苦しくなっていくと思う。財源確保が大切になると思う。下地町は農村部なので、助成金など行政のバックアップは必要。これまで取り組んできたことは継続したいので、合併協議会でしっかり話し合っていきたい。
 ―観光産業について
 前浜にあるウインディまいばまの管理者が昨年いっぱいで解約したので、今後はどういった計画を持っている人に委託していくかを検討していかなければならない。前浜は海びらきやビーチバレー大会、トライアスロン大会のスイムなどこれまで通り行われると思う。前浜の活用が観光にもつながってくる。これからは長期滞在型の観光が目玉になってくる。グリーンツーリズムも地域と連携し、取り組んでいく必要がある。施設など新しい箱ものを造るのは財政が厳しいので、今ある自然をPRしながら観光化に取り組んでいかなければならない。
 ―農業振興について
 助成金などこれまで取り組んできたものは継続していきたい。国の三位一体改革で財政は厳しくなるが、状況を見据えながら助成は考えていきたい。トウガンのビニールハウス設置も町単独で助成し、国や県の補助で施設導入もできている。またトウガンは県から拠点産地認定を受け、農家も意欲を出している。新規農家が増えたことはうれしく思う。ニガウリも健康食ブームで消費があり、今後、伸びていくと思う。
 ―第三セクター、コーラル・ベジタブル社の経営について
 5期は黒字決算となった。今後はニガウリの規格外のものをカット野菜として出していくので、JAと協力して確実に進めていきたい。行政とJAが協力してやっていけば六期も黒字決算が見込める。合併することで契約農家も増え、会社運営も楽になっていくと考えられる。アロエベラは飲料関係だけでなく、果肉が生食用として利用されている。新しい商品の開発の研究も始まっているので期待できる。
 ―集落排水事業が完了するが
 管路工の整備は2004年度中に終わる。今年は最終処分場の汚水処理場も整備できれば。上地、与那覇、川満で下水処理の基盤整備がされることで、地下水を守ることになる。集落排水事業は重要。与那覇は高齢者世帯が多いため加入率が低く、100%加入するには住民の理解がないと厳しい。行政としても住民にあまり負担をかけないようにしていきたい。
 ―教育、福祉関係について
 文教施設は整っている。下地小学校、中学校、来間小中学校の建設も終わった。台湾との国際交流は継続していきたい。以前の6市町村合併推進協議会でも継続の確認はできている。これからも続けていけるよう取り組んでいきたい。福祉については社会福祉協議会がしっかり取り組んでいる。行政から運営補助を出している老人福祉施設や保育所を含めた福祉関係のすべてにこれまで同様に取り組んでいく。
 ―今年の抱負を
 5市町村の合併に向け一生懸命取り組んでいく決意。住民の生活につながっていけば。トウガンや葉タバコ、畜産などで頑張っている若い人を支援していくことが地域活性化につながると思う。それに向かって取り組んでいくことが大事。農業を中心とした活力ある町にしていきたい。

体験型観光で地域の活性化/下地町のグリーンツーリズム

 農業体験や郷土料理体験などをメニューに盛り込んだ滞在体験型観光「グリーンツーリズム」。農業が盛んな下地町では、観光産業の振興を目指し農業と観光をリンクさせた取り組みが住民レベルで盛り上がりを見せている。サトウキビや野菜の収穫、郷土料理、宮古上布など町内で取り組んでいる個人や団体を紹介する。

体験メニュー豊富な名物民宿/
  農家民宿「津嘉山荘」・津嘉山千代さん

 多くのリピーターや観光客からの人気が高い津嘉山荘。切り盛りするパワフルな津嘉山千代さんを「お母さん」と慕ってやってくるリピーターも多い。豆腐作りや郷土料理作り、三線演奏、サトウキビ植え付け・収穫などの農業、追い込み漁など幅広い体験ができる。食事に最もこだわる津嘉山荘では、化学調味料は一切使用せず無農薬野菜を中心に安全・安心な食事を提供している。現在は黒糖作りが行える小屋を手作りで建設中。

 −−−−−−−−−−−−−−−−
作品が生まれる感動を/
  宮古壺屋焼「金城陶芸」・金城敏彦さん

 素朴さと温かさが伝わる壷屋焼き。その昔、朝鮮や中国、薩摩の技法が融合し独自のスタイルを確立した。金城陶芸では宮古島の赤土と壷屋の土を混ぜたオリジナルの土で焼き物を作っている。いつでも誰にでも見学ができるよう工房を設計。見学は自由。陶芸教室も行っており、予約があれば皿やコップなどの作品作りも受け入れている。目の前で壷やシーサーなどが宮古の土から生まれてくる瞬間を見学できる。

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
伝統技術の魅力を感じて/
  宮古上布工房「藍風」・洲鎌ツルさん
 宮古上布の創製者、稲石の第13代目の子孫に当たる洲鎌ツルさんの工房。原料となる苧麻績みから染め、織りまですべての工程を行っており、代々受け継がれてきた高度な技を見ることができる。洲鎌さんの指導の下で、苧麻績みや織りを体験することも可能。洲鎌さんの宮古上布にかける熱い思いに耳を傾け、上布の素晴らしさに触れてみてはいかが。

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
地元食材のおいしさPR/カフェ・おみやげ館「楽園の果実」

 来間島の竜宮城展望台の側にある地域食材施設カフェ・おみやげ館「楽園の果実」。女性農家らで結成した有限会社・楽園の果実が運営しており、島で取れた新鮮な食材を提供している。カフェでは島内で取れたマンゴーやドラゴンフルーツなどを使ったケーキ、デザート類のほか、宮古島産和牛ステーキ、佐良浜で取れたマグロを使ったハンバーグなど地元素材にこだわったメニューを取りそろえている。隣接するおみやげ館では、宮古みそやハーブ、ゴーヤー、パパイアの加工品など各市町村の女性グループが手掛けた特産品がずらりと並び、宮古島の食材をPRしている。

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
安全な食べ物を提供/
  長崎たまご園・長崎正彦さん
 約1500羽のニワトリと6頭の豚を飼育している長崎たまご園。産みたての卵拾いを体験でき、その場でゆでたばかりの卵も食べられる。植物を主原料とした餌で育てられた新鮮な鶏肉、豚肉も取り扱っており、安全な食物の提供を心掛けている。また微生物を生かした飼育方法のため悪臭がなく、ハエもいないのが特徴。いずれは有機野菜栽培も行い、訪れた人々が農業体験しながら自然の中でバーベキューを満喫してもらえる施設を目指している。

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
農家の女性たちが取り組みへ/
  下地地区Gツーリズム「豆の会」
 グリーンツーリズムを推進するために、下地町内で農業を営む女性たちで立ち上げた。郷土料理や農業体験、黒糖作り、海水を使った塩作りなどメンバーそれぞれが取り組めるメニューで観光客受け入れを行っていく。これまで、宮古島産の大豆を使った昔ながらの豆腐作りや新鮮な海水を使った塩作りなどを実施。新しい体験メニューとして取り組んでいけるよう、研修を重ねている。いずれは宿泊なども実施していきたい考えで、各会員が準備へ向け取り組んでいる。

 

 

 
<<< 元旦特集トップページへ