2005年 元旦特集・6市町村 伊良部町

【 新春インタビュー 】

■ 念願の伊良部架橋着工へ   伊良部町長 浜川 健

 ―2004年を振り返って
 伊良部架橋が実現に向けて大きく前進した。昨年は、1974年に当時の伊良部村長が沖縄開発庁(当時)へ初めて要請してから30年の節目の年だった。要請当時の原点に戻り、県や国に早期着工の要請を行った。
 また、市町村合併については町議会で推進を決議した。今年10月の合併に向けては、伊良部島・下地島の発展に向けた施策などを強く要望していきたい。
 ―今年着工の伊良部架橋について
 今年4月から陸上部分が手掛けられる。国は莫大な予算を投じようとしており、地元としてはそれ相当の協力態勢が必要。解決が急がれるのは、伊良部架橋の整備で漁業権の一部が抹消されることに伴い、3漁業協同組合(伊良部町漁協、平良市漁協、池間漁協)に漁業補償をしなければならない。3漁協の漁業補償交渉委員らとゆっくり話し合い、交渉員の考えや意見、要望などを把握したい。
 県が昨年提示した漁業補償額4020万円について、漁業交渉委員らは『補償額が少ない』と不満を漏らしていた。解決方法の選択肢の1つとして、漁協の老朽化した事務所の建て替えや製氷・貯蔵施設の整備などを行政が考えてもいいのではないか。建て替えなどの基盤整備が充実すると、漁師の後継者も出てくる。
 ―市町村合併について
 当初の予定通り5市町村(平良市、城辺町、伊良部町、下地町、上野村)が合併するようになった。合併すると平等の行政サービスが受けられる。合併しないと、合併した市町村との行政サービスなどの格差が出てくる。合併に向けて積極的に取り組みたい。
 ―下地島空港について
 伊良部架橋と連動した下地島空港の有効活用については、市町村合併した新市の中で考えていく。下地島空港の有効活用は、必ず宮古圏域の発展に結びつく。有効活用については、県にこまめに要請することで実が結ぶ。
 ―福祉について
 健康で安心、安らぎのある生活ができるよう保健・福祉施設の充実強化を図りたい。行政と地域が連携し、福祉サービスの充実を推進する。
 ―教育について
 国際化・情報化社会への対応をはじめ、時代の変化に対応し得る心豊かでたくましく生きる人材の育成を図るとともに、共同社会の一員としての自覚と誇りの持てる個性豊かな人材の育成に力を入れたい。
 引き続き「いつでも、どこでも、だれでも」学べる教育環境を整備し、生きがいのある生涯学習社会の構築を進める。県立伊良部高校の存続や中高一貫教育の充実についても取り組んでいきたい。
 ―水産業振興について
 水産資源の増大と漁獲量の安定、所得向上を図るため、沿岸漁業の振興と漁業基盤の整備を推進していく。
 漁業基盤事業については、防波堤、船揚場などを整備するとともに漁港の多目的な機能を促進する漁港機能高度化事業を推進する。
 ―農業振興について
 合理的な農地利用を推進し、安定品目の生産供給体制の強化を図りたい。基幹作物であるサトウキビについては、生産の安定を確保するため、引き続き病害虫防除事業、植え付け時農薬助成事業、優良種苗安定確保事業、有機物堆肥利用農家助成事業を実施していく。
 ―商工業の振興について
 伊良部町商工会と町内事業所とが連携を図り、地元商工業者の育成を図る。併せて特産品の開発・シェア拡大などを推進し、販路拡大や宣伝活動を展開したい。
 ―行財政について
 国の三位一体改革で地方交付税が大幅に削減され、極めて財政運営が厳しくなった。このような状況を踏まえ、行財政運営の健全化、効率化に全力を挙げたい。そのための、事務・事業の見直しや事業の適正執行、職員定数の適正化などを断行し、歳入の確保や歳出の節減に力を注ぐ。

《 水産経済を潤す−カツオ一本釣り漁で活躍「喜扇丸」

 伊良部町佐良浜地区で、伝統のカツオ一本釣り漁業で活躍する「喜扇丸」(9・9トン、漢那一浩船長)。漢那船長は「カツオ一本釣りは激しい動作が繰り広げられる。全乗組員のチームワークがないと安全な操業はできない。私たちの自慢はチームワーク」と強調する。
 晴天の日の「喜翁丸」は、午前2時ごろに出港し、北方の沖合などで操業を展開する。
 カツオの群れが回遊する海域の上では、鳥山と呼ばれる海鳥の群れが乱舞する。漢那船長らは鳥山を見つける仕事から始まる。鳥山が発見できない場合は、浮魚礁(パヤオ)周辺でキハダマグロの一本釣りをする。大漁の時は午前10時までに入港する。
 漢那船長は「近年の年平均水揚げ量は300トン」と話し「今年は500トン以上の大漁で祝杯を挙げたい」と新年の水揚げ量計画を力強く話す。
 「喜扇丸」の経営者である漢那船長は、月1回は船員らを自宅に招き祝宴を開く。「船員らの労をねぎらい、さらなる奮闘を促すことで大漁につながる。航海安全が一番」と語った。
 船長と乗組員は次の皆さん。(敬称略)
▽漢那一浩(56)▽長間幸雄(71)▽下里繁雄(74)▽池原勇人(49)▽我那覇武光(49)▽仲宗根友弘(43)▽伊舎堂武雄(63)▽池間克治(51)

写真説明・「今年も大漁だ」と 誓い合う船員ら=伊良部町佐良浜漁港

《 現役バリバリ、レジ担当32年目− 90歳の下地カメさん

 伊良部町伊良部のシモジスーパーで、頭脳明せき、元気なおばあさんがレジを担当し話題となっている。
 90歳の下地カメさんがその人。雑貨店経営の時から数えて今年でレジ担当32年目を迎える。健康の秘けつは、レジの操作。同スーパーの隣に住む下地さんは「毎日午前7時から午前10時までレジを担当する。今まで計算は間違ったことがない。いつも楽しい」と笑顔で語り「お客様との信頼関係が大事です」と言葉を強めた。
 下地さんが30歳の時に夫は他界した。その後、魚類や野菜類専門の仲買人となり、2人の子供を立派に育てた。
 59歳で雑貨店を経営し、経営手腕は町内で有名になった。
 現在はスーパーを経営する長男正之(63)・直子(61)夫妻と同居している。
 下地さんは「これからもレジ担当として頑張りたい。働くと元気が出る」と声を弾ませた。

 写真説明・レジで笑顔で対応する下地カメさん=伊良部町南区のシモジスーパー

《 体動かし健康長寿−タカラガイ装飾品作り 仲地タケさん

 仲地タケさん(83)=伊良部町長浜=の手作り装飾品が口コミで観光客らに人気を呼んでいる。仲地さんは「多くの観光客が来て買っていく。愛情を込めて作ったものが売れてうれしい」と笑顔で話した。
 装飾品の材料は、近くの佐和田の浜などから採取してきたタカラガイや二枚貝など。生きたタカラガイは砂の中に埋めて腐らせ、中から取り出し水で洗う。天然の美しい色つやと輝きは変わることがない。
 仲地さんは、四角い板の上にタカラガイをいくつも配置し、中央に亀と鶴に似た装飾品を張り付ける。
 完成した壁掛けの装飾品はまぶしいほどに光沢を放ち、訪れた観光客らの目を引き付ける。
 貝類を用いた装飾品作りを始めて、今年で3年目。手が器用な仲地さんは、多種類の装飾品作りに情熱を傾け、これまでに同町主催の生涯学習フェスティバルで何度も入選した。
 仲地さんは「これからも工夫を凝らした装飾品を作り、観光客にたくさん売りたい」と意気込む。

 写真説明・自慢の装飾品を披露する仲地タケさん=伊良部町長浜の自宅

 

 
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