【 新春インタビュー 】
■ いよいよ合併、スタートの年 城辺町長 仲間
克
―2004年を振り返って
昨年は新庁舎での業務が印象に残った。職員も心機一転、新たな気持ちで職務に励めた年だったと思う。長い間、論議を重ねてきた新庁舎の建設だったが、このように完成した立派な庁舎で業務に当たれたことが強く印象に残っている。
2月の天皇、皇后両陛下の行幸啓は宮古全体はもとより、わが城辺町にとっても歴史に残る出来事になった。地下ダム施設をはじめティダファームたらまを紹介できたことは、この上ない喜びであるとともに、町民の励みにもなった。
自然災害、特に台風が多い年だった。いずれもそれほど「強い」という台風ではなかったが、それでも農作物に与えたダメージは大きく、基幹作物のサトウキビも減収を余儀なくされた。施設園芸もビニールハウスなどの栽培施設が破壊されたために思うような収量を確保できなかった。台風の威力をまざまざと見せ付けられた年だったと言えるのではないか。
福祉面での成果は顕著に表れた。特にデイサービス事業が充実し、参加するお年寄りが増えたことが大きい。多くのお年寄りがデイサービス事業を通して生きがいを感じているということは何よりの成果で、これも新しい社会福祉センターを有効に活用できていることの証し。これまで憩いの森公園に集まる町民は少なかったが、社会福祉センターができたことで多くの町民が同センターや憩いの森公園を利用するようになり地域に活気が出てきた。今後もデイサービスをはじめとする各種福祉事業の充実、発展に努めたい。
昨年、一番苦しかったことは三位一体改革。この改革により、昨年の予算編成は非常に苦しいものとなった。改革は「三位」ではなく「酸味」でしかない。そんな中、ほとんどの基金を取り崩して予算を編成し、歳出を抑制しながら行政業務をこなしてきた。職員も厳しい財政事情を理解しながら頑張ってくれた。町民、職員の協力のおかげで乗り切れた年だったと言える。
―今年の重点的な取り組みは
今年は昨年以上に財政面で厳しくなる。新年度の予算も編成できるかどうか懸念しているが、いずれにしても何とかしなければならない。保良の分譲宅地など各種事業における条件緩和や飛び地状態となっている町有地の整理、ほかに実施している事業の見直しなどを積極的に進めながら財源を確保したい。
今年の目玉になるのは地下ダム資料館(コミュニティー施設)。これまで世界に誇れる地下ダムの概要を示す施設が少なかったが、この施設が完成すれば地下ダムの概要が一目で分かるようになる。城辺町だけでなく宮古圏域全体の観光振興に役立つと期待している。
ほかに天然ガスを有効活用する新エネルギービジョン計画や(副都心の形成を図る)シンボルタウン整備構想なども事業化を推進する。いずれも農業、観光の振興に役立つ事業などで、これは新市に引き継いで具体化させていきたい。
―市町村合併について
合併の枠組みをめぐり忙しい1年だったが、昨年末までに5市町村合併でまとまり、私としては良かったと思う。
私は一貫して「合併推進」を強調し、たとえ平良市、伊良部町とだけでも「合併」という考えを持っていたが、やはり下地町と上野村も一緒に合併した方が将来の宮古圏域のためになると思っていた。そういう意味でも昨年末に5市町村が足踏みをそろえたことは本当に良かったと思う。
城辺町の場合、議会も真剣な論議を重ねて合併推進の姿勢を示し続けてくれた。「合併しなければならない」という考えの下で取り組んでくれたことは評価できるし感謝している。
―城辺町として最後の年になるが
城辺町という町の幕引きについては複雑な気持ちだが、時代の流れなので仕方がない選択。この最後の1年をどのような形で締めくくるか、これから具体的な検討を進めていきたい。具体的には城辺町という歴史を示す資料館の整備などを考えている。
―最後に新年の抱負を
繰り返しになるが、今年は城辺町として最後の年になる。決して悔いを残さないような年にしたいと決意している。町民の皆さんも長い合併論議の末、その必要性は認識されていると思う。合併後は宮古市民という立場で頑張ってほしい。 |