サンゴ働き

ここでは、サンゴの働きを解説する。

サンゴの働きには

@漁場機能の好条件の維持

A環境浄化機能

B景観機能

C防災機能

D二酸化炭素循環機能

の以上5つが挙げられる。



漁場機能

 サンゴ礁は現在まで漁場として利用されてきた。その漁法はさまざまであり,

徒手採集,釣りあるいは投網による個人的な漁から,船などを利用した伝統的

漁法,あるいは近代的漁法を駆使した漁業共同組合に加盟して営む組織的な

漁まで実に変化に富んでいる。

 いずれにしてもサンゴ礁域で漁業を営んでいる人々,あるいは海から食料を

得ている人々にとっては,この機能は生活そのものであることは言うまでもない。

従って,サンゴ礁域は将来ともに安定した収穫が期待・保証される漁場でなけ

ればならない。

 イセエビ類の漁獲量が他の水産物に比較して少ないのは,その資源量の絶対

的な少なさに由来するものであろうが,この30年間,比較的安定した漁獲量が得

られていることは注目される。1976年に一時期水揚げがかなり落ち込んだものの,

すぐ復活し,約10年間にわたって安定した供給が認められている。資瀬の保護が

行き届いている現れとも考えられる。

 タコ類は極めて興味ある漁穫高の年変化を示している。すなわち1960年代から,

1970年代初頭までの水揚げは極めて少なかったが,1972年から急増し1979年

には激減し,以後再び少量の漁獲高を示す年が続いている。時期は若干異なる

ものの,ウニ類(大部分はシラヒゲウニ)も同様のパターンを示していることが理解

できる。

 シャコガイ類に関する資料は1970年代に入ってから集められている。最初,漁獲

量は少なかったが,その後の3年間の急激な上昇が認められた。タコ類やウニ類の

ような落ち込みはないが,緩やかではあるものの漁獲量の減少傾向が認められる

のは気になるところである。

 沖縄県魚のタカサゴ(グルクン)は1960年代から1980年に至るまで漁獲量は徐々

に上昇してきた。1980年をピークにやや減少傾向にあるものの現在まで一定量の水

揚げは確保されているようである。

 フグイ類に関する公式の資料も1970年代に入るまでなかったようである。1790年

代の漁獲量は毎年大きく変化していたが,1980年代に入ってからは比較的安定した

漁獲量が得られている。

 ウニ類,タコ類,あるいはシャコガイ類のようにこの20年間に漁獲量が一時期急増

し,後に激減しているものがある。ある時期「取りすぎ」をした結果の影響であろうか,

あるいは他の何等かの理由によって個体数が減少したのであろうか?原因は定かで

はないがこのような大きな変化は水産業のみならず生態系の構造に何らかの影響を

及ぼしている可能性がある。これらの水産物の漁獲量が増加した時期が沖縄の日本

復帰の時期(1972年)の直後であることは,沖縄県における食生活の変化,特に日本

本土からの影響があったことを示すものであるかも知れない。当時の記録,流通機構

の変化などを解析することにより何らかの答えを得られるものかも知れない。

 


環境浄化

 サンゴ礁が貧栄養水域であるにもかかわらず,そこには多種多様な生物が生息し,

高い現存量が維持されている事実については古くから興味がもたれ,その機能が議

論されてきた。

 堆積物あるいは懸濁物として海底上あるいは水中に存在する有機物は動物に採食

され,そめ量が減少する。ニセクロナマコなどが触手を出して摂食している様子やスナ

モグリ類が地中から砂を吹き出す現象,タマシキゴカイ類が排泄した糞塊が普通に観

察される。イガイ類やカキ類の濾過活動も願著である。

 3つの例を示そう。海底の堆積物の有機物含有量は6.77%であるが消化管内容物

ではそれより多い7.15%の有機物が含まれていた。これはナマコが海底推積物の中

から積極的に有機物含有量の多い粒子を選択的に摂取していることを意味する。糞中

に含まれている有機物量はもちろんそれより少なくなっているが,それは海底に含まれ

ている量よりも少ない。つまりナマコは日食活動によって海底の堆積物中の有機物量

を減少させている,すなわち浄化機能を持っていることが理解できる。

 タマシキゴカイの仲間は堆積物中で生活しており,スパゲッティを巻いたような糞を海

底表面に排出する。還元的な推積物が糞として排出されていることからも,堆積物が地

中から海底表面に運びだされていることが確認できる。この持食活動によりベルトコンペ

ア式に堆積物が移動する過程で有機物量が減少することがわかる。

 懸濁物食者としてはカキ類,イガイ類,ホヤ類などが挙げられる。サンゴ礁域での研究

例はほとんどないので,ここでは温帯域におけるムラサキイガイの研究例を紹介し,懸

濁物食者の役割について理解を深める。ムラサキイガイ個体群が摂取する有機物量は

8.73kg/uと推定されており,糞や凝糞として排出される量を差し引くと 4.20kg/u

が海中から固定されたことになる。この浄化機髄に加え,この個体群は多様な小動物の

生息場所として利用されており,種の多様性を高める役割を果たしている。

 サンゴ礁に流れ込む陸上起源の物質の運命はどのようなものであろうか。流れ込んだ

土砂がサンゴ礁に降り懸かった場合,微細粒子はサンゴ自身によって生産される粘液

によって除去されるが,陸上起痴の物質や粘液には有機物が含まれているので他の動

物の餌となりうる。サンゴの粘液除去活動は他の動物の持食活動を通して環境浄化に

関わっている。

 砂浜にも浄化作用がある。栄養塩を含んだ潅水は満ち潮時に砂浜の中に浸透し,砂

粒やバクテリアによる濾過作用を受け,引き潮時に有機物含有量が減少して再びサン

ゴ礁へと戻ってくる。CODの値の変化に最も明確にその傾向が現れていたが,1年間の

調査が終了した時点で年間の有機物の濾過量が計算されるであろう。砂浜中に集積さ

れた物質は海浜植物の栄養源になる可能性がある。

 幾つかの浄化機能が共同してサンゴ礁の海水を清澄な状態に保っているが,食物が

供給されなければこの機能を維持する生物の生活が保証されないこともまた事実であ

るので,供給されていく有機物量,生物の現存量と活動量のバランスの維持こそが重要

であると理解できる。別の言い方をすればサンゴ礁はこのバランスが見事に取れたシス

テムであるといえよう。

 


景観機能

 太陽に輝く美しいサンゴ礁や泳ぎながら楽しむシュノーケリングでの水中の景観は、

なんと言ってもサンゴが織り成す、輝きである。サンゴ礁をはじめ多くの自然が同様の

機能を有し、私達に精神的な安らぎを与えてくれることは疑いの余地はない。

 また、この景観こそがわれわれ、沖縄の産業を支えているといっても過言ではない。

沖縄の産業の中心は、第三次産業である観光業である。海水浴やダイビング、モータ

ーボートなどのレジャーを楽しみにくる観光客も少なくない。そういった産業の振興にも

おおいに役立っていることは言うまでもない。

 


防災機能

 サンゴの機能として忘れがちであるが、非常に重要な機能がある。それは、防災機

能である。沖縄県一帯は,台風の銀座といわれているほど、台風の通過数が多い。

 そういった地域で、サンゴは高波の力を弱める働きをもつ。

 


二酸化炭素の循環機能

 地球温暖化にかかわる二酸化炭素の役割に関する議論が盛んになっている。サンゴ

礁におけるその役割は明確ではない。サンゴ礁が二酸化炭素を吸収するという説と、

それとは裏腹に、放出するといった説もあり、両者は対立路線をたどっている。しかし、

石垣島の白保海岸において二酸化炭素の動態を計測した結果、少なくともその調査

期間においては、二酸化炭素を吸収しているという結果が得られた。

 また、サンゴ礁が炭酸カルシウムの貯蔵場であることは明らかである。

 生きたサンゴも死亡した骨となったサンゴ群体も、それぞれ特有の小動物のすみ家

となっている。またそれぞれ多くの魚類をひきつけている。生物の多様性を高めている。

 

 

データは(財)沖縄環境科学センターの研究をもとにした。

 

 

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