赤土流出防止対策


(1)赤土流出はなぜ止まらなかったか

 続きまして流出防止対策の話をしていきます。

 10年前の土地改良事葉の赤土流出防止対策は,開発面積に対して

小さな池を申し訳程度に設置するぐらいで,ほとんど軽対策に近いもの

でした。当然,ちょっと雨が降り出すと,濁水が簡単にオーバーフロー

するのです。さらに,土地改良区の土砂溜マスや沈砂他のほとんどは

埋まったままで,まったく機能していない状況が一般的でした。こういう

こともあり,ある土地改良事業では、当時の設計基準の2倍半の面積の池を作ったのですが、1年足らずで土砂で埋まってしまったのです。

 それでは,土砂溜マスや沈砂池を作ってもほとんど役に立たず,赤土汚染が進行したのはなぜでしょうか。

沖縄の本土流出防止対策の設計基準は、0.2mmより大きな土粒子の捕捉を目的としていました。これは、国頭マージ

の平均的な粒径分布より判断して,わずか1/4しか捕れないことになり,残りの3/4は流れてしまいます。半分を捕る

ためには粒径が1/10の0.02mmの土粒子まで捕捉しなければなません。

 

 設計基準より1/10小さな粒子まで捕るにはどうしたらよいのか

黒板のチョークを例にとって説明します。同じチョークでも,使用前の

大きなものと粉になったものでは落下するスピードが違います。粉の

ほうがふわふわとゆっくり落ちていきます。これと同様に,水中でも

粒径が大きいほど沈降速度は速くなります。そのスピードは,粒径の

2乗に比例します。

 粒径が1/10になると,その沈降速度は1/10×1/10で 1/100まで遅くなります。これを沈殿させるためには,実に

基準より100倍大きな池を作らなければなりません。当時は1個の池でだめなら2個作れという意見もありましたが,沈降

理論からすると,1個も2個もさほど変わりはないのです。

 沖絶の赤土汚染は砂とか石が問題ではなく,微粒子が海まで流出して悪さをしていることが問題なのです。

開発事業で予算化されている沈砂池などの防災対策は,九州とか北海道とか大きな島で用いられている、砂や石をとる

ための対策であって,微粒子による赤土汚染防止のために開発されたものではありません。そのため,いくら沈砂池や

砂防ダムを建設しても,沖縄の赤土汚染は悪化の一途をたどったのです。


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※沈砂池に沈殿せず、側溝へ流出する赤土。(今帰仁村)
まったく機能を果たしていない沈砂池。

 


(2)恩納柑の新しい動き

 現在,沖縄で一般的に見られる土地改良事業における流出防止対策は土砂溜マスと沈砂地を組み合わせ

たもので,あまり効果はありません。容量が小さく,降雨時には濁水が溢れ出します。

 ところが,恩納村ではいろいろな対策を組み合わせて赤土流出防止に効果を上げています。まずマルチング

といって,造成した畑面にわらを敷きます。赤土がむき出しになって初めて赤土流出が起こりますので,これは

かなり有効な対策です。畑の周辺は畦畔(盛り土)で囲み,畑からの流出水が直接水路に落ちないよう管理して

います。流出水は土砂溜マスに落ちますが,これはろ過式になっていて、フィルターでろ過された水は地下のパ

イプを通って沈砂地に導かれます。沈砂池にもろ過フィルターがついており,ここに溜った水はろ過されながらゆ

っくり排出されます。このため土砂溜マスや沈砂池は水が抜かれた状態になり,次の雨による流出水も貯留する

ことができるのです。

 

 

 

(3)赤土流出防止対策の例

 ここでは、赤土流出の防止対策の例をあげます。

 まず一番基本的なことは、赤土を剥き出しにしないということです。先ほど紹介した恩納村の土地改良でも、造

成農地の畑面に敷きわらをし、かなりの効果をあげています。また、法面は侵食されやすいので、草を植えるなど

して保護しなければなりません。

 次にカバークロップという対策です。与論島のような島尻マージ地域での造成農地にマメ科の植物を植えていま

す。マメ科ですから,成長すると根っこに窒素分が増えて,これをすき込むと肥料にもなります。ところがこの草が

大きくなる前に大雨が降ると、島尻マージといえども侵食されます。まだいろいろと問題点があります。

 最近のゴルフ場造成では、プラスチックの乳剤に芝の種をまぶして法面に吹きつけていました。芝が芽生えるま

ではプラスチックの皮膜が法面をコーティングして赤土流出を抑えます。当然、プラスチックですからいずれは劣化

してだめになるのですが、その頃には芝が成長していて法面は保護されるのです。米軍基地内でも,捨て土置き場

でこの乳剤を吹きつけて転圧しているのが見られ,沖絶ではポピュラーな対策となっています。

 最後にリゾート造成における最新の流出防止対策をご紹介します。名護市の海岸近くの工事では、海岸沿いに土

を盛り、工事現場からの表流水が海に流れないようにしています。表流水は最初に沈砂池に導かれ,ここをオーバ

ーフローした濁水は処理装置のマスへ流れていきます。マスには電極が入っており、水位が上がると自動的にポン

プが作動して濁水を処理装置の反応槽に送ります。反応槽では塵集剤が添加され、さらに沈殿池までの水路で高

分子剤も加えられると赤土微粒子が互いにくっつき合ってフロックとよばれる大きな固まりになり、沈毅池では目の

前でズルズルと沈んでいくのです。水の濁りの指標に濁度というものがありますが,処理前の数千、1万の濁度が30

程度まで落とせるようです。草創を使うとかなりの効果が得られます。この装置は,久米島空港造成のための土取り

場の赤土流出防止対策にも用いられています。

 

 

 

 

(沈砂マス。写真右の沈砂池につながる。)明記原(ミーキバル)

 

■平成7年10月15日に施行された「沖縄県赤土等流出防止条例

@赤土等流出防止条例とは

 沖縄県では、赤土流出問題に抜本的に対処するため「沖縄県赤土等流出防止条例」を公布し、

平成7年10月15日から施行することになりました。

 この条例は、事業行為に伴って発生する赤土等(国頭マージ、島尻マージ、ジャーガルなど、県

内のすべての土壌を指す)の流出を規制するとともに、土地の適正な管理を促進すること等によっ

て、赤土等の流出による公共用水域の水質の汚濁の防止を図り、もって良好な環境の確保に資

することを目的として制定されております。

 

A赤土等流出防止条例の内容は?

 1. 1000平方メートル(10a)以上の一団の土地の区画形質を変更する者に対し、県への届け出、

又は通知を義務付ける。

 2. 1000平方メートル(10a)以上の一団の土地の区画形質を変更する者に対し、赤土等流出防

止対策責任者等の配置を義務付ける。

 3. 著しく赤土等の流出が確認される場合には、事業現場に対する立入検査を実施することが

ある。

 4. 赤土等流出防止対策のため、県は総合的な施策を図ることとする。

 5. 違反した場合には、罰金を課す。

 

 

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