Last update 7 Jan 2005

膠原病・SLEについて



膠原病SLEについて

膠原病とは・・

どんな病気?  膠原病に含まれる病気は?  発病の原因は?  膠原病になった場合・・・ 

日常生活において  病気に関する情報など

●どんな病気?
 膠原(こうげん)病は、1942年にアメリカのクレンペラーによって名付けられた、細胞と細胞を結びつける結合組織中の膠原繊維に特有な病変が見られるいくつかの病気を総称した名前です。
 最初は結合組織疾患と位置づけられていました。その後、骨や関節や筋肉に痛みやこわばりを来す症状(リウマチ性疾患)や、本来は体外から侵入する異物や細菌を排除する働きである免疫が、自分自身の身体の成分に対して反応を起こし続ける現象(自己免疫疾患)が共通して見られることがわかっています。
●膠原病に含まれる病名は?
 病気としては大まかにいって、よく知られている慢性関節リウマチのほか、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎・多発性筋炎、シェーグレン症候群、混合性結合組織病、結節性多発動脈炎、リウマチ熱などがあります。
●発病の原因は?
 今はまだよくわかっていません。遺伝性の病気ではありませんがかかりやすい体質と素因はあります。しかし、それらがあっても必ず発病するとは限りません。患者さんには、病気を悪化させる原因にもなるので注意が必要です。
 膠原病の多くは、妊娠できる年齢層の女性に発病しやすいという特徴があるため、女性ホルモンの関与が考えられています。
 [環境因子] 感染症(特にウイルス?)、薬物、紫外線(日光)照射
       美容形成(異物注入)、妊娠・出産、外傷、外科的手術
       ストレス、寒冷
 [その他]  加齢による免疫力の低下、栄養状態
●膠原病になった場合には
 膠原病ははっきりとした原因が分からないために、根本的治療ができず、長期間の治療を要する難病とされています。その為、国から特定疾患として認定されている病気があり、それらの病気は申請すれば、国から医療費の公費助成を受けることができます。また、病状によっては、身体障害者として障害者手帳の給付も受けられるようです。
 沖縄のコザ保健所管内では290人の膠原病患者が特定疾患認定を受けているようです('98年の情報)。治療法はかなり進歩していて、昔よりも生存率は高くなっています。投薬などにより異常な免疫反応と炎症反応を抑えて、傷害された体組織をできる限り正常に戻すことが行われます。
 [治療] 投薬・・・副腎皮質ホルモン薬(ステロイド薬)
          非ステロイド抗炎症薬
          免疫調整薬(抗リウマチ薬)
          免疫抑制薬
     一部に併用・・・血漿交換療法
 加齢による影響と治療薬による副作用(合併症を含む)も起こることがあります。「ハイリスク・ハイリターン」かもしれませんが、医師も定期的にチェックするので、合併症について理解し、療養を続けることが必要です。
●日常生活において
 症状が良くなったり(寛解 かんかい)、悪くなったり(再燃 さいねん)することもありますが、医師と相談し、上手に日常生活をしながら根気よく治療を続け、普通の人と同じ様な生活を送ることもできます。
 [日常生活での注意] 十分な睡眠・休養、寒さや湿度、過食
           適度な運動(慢性関節リウマチ)、育児疲れ
           家事・仕事での無理、日光を避ける、怪我
           薬の勝手な服用中断
 また、女性ならば病態が落ち着いていれば妊娠・出産は可能だということです。服用している薬の関係もありますから、希望する時は必ず医師に相談してください。家族、周囲の人々、職場の人々等周りの理解と協力も重要になってくるかと思います。
 膠原病でも人生を楽しむことは十分できるので、焦らずに病気と上手につきあうことが大切です。

 難病患者の在宅での療養生活を支援しようと、ホームヘルパー派遣や日常生活用具の給付などをする「難病患者等居宅生活支援事業」が'97から国(厚生省)の補助事業として始まっているとのことです(1999年2月19日沖縄タイムス夕刊より)。サービスを受けられる対象者は、SLE、潰瘍性大腸炎、パーキンソン病など119疾患の難病患者。
 同事業の内容は、市町村が事業主体となる
 1 ホームヘルプサービス
 2 医療施設への短期入所
 3 日常生活用具給付
のほか、県が主体となる、ホームヘルパー養成研修の4つ。
 現在のところ、市町村によって取り組みに違いがあるようなので、同事業を所轄するところ(沖縄県では健康増進課)に、サービスを受けられる対象疾患や居住する市町村の対応等の詳しい事をお問い合わせ下さい。
 沖縄県の場合
「県健康増進課」 沖縄県那覇市泉崎1-2-2 沖縄県庁内
            TEL 098-866-2209(直通)
●病気に関する情報など
 友の会もありますし、都道府県の保健所で患者会等を行っている
ところもあるようです。各関係機関へお問い合わせください。

「全国膠原病友の会」 〒102 東京都千代田区富士見2-4-9-203 
              「全国膠原病友の会本部事務局」

「膠原病友の会沖縄県支部」
〒904-1101 沖縄県石川市東山本町2-5-25 A-101
 支部長:平安 千代子


全身性エリテマトーデス(SLE)とは・・・

どんな病気?  症状は?  診断・検査  治療は?  日常生活の注意 

●どんな病気?
 全身性紅斑性狼瘡(こうはんせいろうそう)とも言われます。
 自己抗体を産生する免疫の異常(自己免疫)などを基盤として、皮膚、関節や多臓器障害を起こす、慢性の全身炎症性疾患です。患者さんは圧倒的に女性、10〜20歳代で発症するケースが多いようです。
●症状は?
全身症状:発熱(時に高熱)、体重減少、倦怠感、筋肉痛など
臓器症状:腎臓(しばしばネフローゼ症候群)や、肺(肺炎)、脳(精
     神症状含む)などあらゆる臓器への影響の可能性あり
皮膚・関節:関節痛、寒い時などに指先が白くなる(レイノー現象)
      顔面の鼻を中心に両頬を対称に蝶が羽を広げた様な形の
      紅斑(蝶形紅斑)、日光の当たりやすい皮膚にできる赤い
      斑点(紅斑)など
 十人十色と言われるほど、現れる症状の組み合わせが人それぞれ…個々の患者さんによって現れる症状が多種多様です。
●診断・検査
 SLEの診断基準には、アメリカリウマチ学会から出された以下の診断基準があり、11項目のうち4項目以上認められるとSLEと診断されるとのことです。
(1) 顔面、頬部に紅斑がみられる
(2) 慢性の円盤状皮疹がみられる
(3) 日光に対する過敏症がある
(4) 口のなかに潰瘍ができやすい
(5) 関節の痛みや腫れがみられる
(6) 尿の検査で蛋白や円柱などの異常がみられる
(7) けいれんが起ったり、精神症状がみられる
(8) 胸や心臓に水がたまる(胸膜炎、心外膜炎)
(9) 血球の検査で、溶血による貧血や白血球減少、リンパ球減少、
   血小板減少が見られる
(10) 血液の検査で、DNA抗体やSm抗体、LE細胞、ワッセルマン反応
   偽陽性がみられる
(11) 抗核抗体が陽性に出る
 これらの項目など、体調に応じて検査が行われます。
●治療は?
 病状が落ちついている場合は、特に治療を必要とせずに、定期的な経過観察だけのこともあるようです。炎症が活発になっているときには、免疫抑制療法が行われます。
 主として副腎皮質ホルモン薬(ステロイド薬)を服用、またはパルス療法(静脈注射)を行い、異常な自己免疫を抑えます。これらは少量で強力な効き目があり、症状に応じて量を変えていきます。効果が十分でない場合、免疫制御薬、血漿交換療法を用いることもあります。また、腎臓の働きが低下したら、人工透析などを行います。
 上記の薬は副作用(合併症をおこす)があるので、医師が常にチェックをします。また、自分勝手に薬をやめたり、量を減らすのは病状を悪化させる場合があるので気をつけましょう。
[副作用]副腎皮質ホルモン薬
    (重度)感染症、精神症状、糖尿病、骨粗鬆症、骨壊死、
       副腎機能低下、緑内障・白内障、動脈硬化、血栓症
       胃潰瘍
    (軽度)ムーンフェイス、多毛、にきび、筋萎縮、紫斑、
       皮膚線条、血圧上昇、むくみ、頭痛、食欲亢進等
    免疫制御剤
       貧血、感染症、脱毛等    
●日常生活の注意
 膠原病の欄とほぼ一緒ですが、特に強い直射日光にあたったりすること、妊娠・出産、ステロイド薬を服用中の怪我は治りにくいこと等には注意します。できるだけ注意する要因を避けるようにして、自分の体調を知って管理することが大切です。

[参考文献] NHK「きょうの健康」 '98 1月号,'99 7月号
     「新版 膠原病を克服する」橋本博史 保健同人社 など

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