春な忘れそ 〜 外来つれづれ日記 2 〜

目次  4 別れ  5 同じSLEでも違うことから  6 奈落の底脱出作戦



4 別れ
 病気の診断がついた時から頭の中にあった、その可能性。ばけぐちでもふれた彼との別れについてのお話です。

 彼とは5年半の付きあいでした。でも、私の病気の事でだめになりました。
 これまでにも私の病気が原因の別れ話がでなかったわけではありません。SLEの診断がついた時、私が入院した時(これは私がわがままになったからだが(^^;))、2年前に彼の両親に会って私が病気だからと反対された時に、どうするか二人で考えました。そのたび、これからの状況を見ながら考えていこうと決めてきました。しかし、彼の両親に会った時の場合は、将来をどうするか条件みたいなものを考えました。
 彼は県外に出ているのですが、彼が沖縄に戻るかもしれない来年の3月までの間に、形だけでも私が就職していれば、彼の両親をどうにか説得できるのではないかということから、それまでに普通レベルの生活ができていればこれから先も付きあおうという事を私から言いました。私にとってなかなかシビアなもので、彼もその条件だと私が追いつめられて大変ではないかと心配しましたが、2年あればそれくらいにはなっているだろうと考えていたからです。
 で、実際はというと、良くなってはきているものの就職できるレベルではなく、考えていたより回復が遅れて私はあせっていました。でも最近は、彼も「人生は思うようにいかないもの」と言ってくれたりして、いくらかは気分が楽でした。でも、彼の方は機会あるごとに両親から私と別れるようにと色々言われていたようで、だんだんと苦しい立場になっていったようです。
 そういう最近、ある事で、向こうの両親の反対が決定的になりました。彼の話によると、最近彼の親戚で膠原病の女性と結婚した人がいるということですが、そちらの家庭が女性の体調等もあって苦労しているそうです。それを知った彼の母親に、彼まで苦労してくれるなと泣いて言われた時、もう私を守る事ができないと思ったことで、先の話より早いけれど別れを決めたそうです。

 膠原病に分類される病気でもそれぞれ病状は違うし、また同じSLEだとしても個人によって、病院に入院している重症の人もいれば、元気で働いている人もいる…。私は、今だ働けないけれど薬も減ってきて、だんだん活動できる時間も増えてきているのに。でも、身近で病気で苦労してる人を見ると、個人によって症状が違うと言っても「これが膠原病なんだ」という印象を受けるだろうし、将来的にはこういう状態になりかねない…なる確率が高くて苦労すると思うんだろうなあ。苦労させたくないという親心も分からないわけではないです。しかし、しかし…。頭でわかっていても感情で思うことは
 「そんなに病気というのは駄目なんでしょうか」。
#うーん、でも、恋愛の三大障害(病気、身分差、異宗教だったはず)だと
 どっかで聞いた事があるしね〜。

 彼の両親の気持ちも分からないでないし、彼は本当に私によくしてくれたし、親と私との板挟みで大変だっただろうということは容易に想像できるし、哀しいけれど別れる事を恨むより、彼に感謝の気持ちしかないです。
 実は最初は、私の事を考えて「好きな人ができた」と嘘をついていた彼ですが、話しあって病気の事が原因という本当のことがわかって良かったと思っています。だって今回は、病気だという以外は胸はっていいんだもんね。それにつきあってた日々は無駄じゃないんだと思える言葉ももらいましたし。お互いをよく知っているものとして、友人としてこれからもやっていけるように、直接逢いに行って話をしてきましたし。周りに迷惑かけた分(^^;)、この先後悔することは少ないんじゃないかと思います。

 出会いがあれば、遅かれ早かれ別れはくるものだとわかっているから、絶望はしない…ようにしていますが。やはり、こういうことがあるとこたえます。辛いです。哀しいです。彼とずっと一緒にいたかったです。
 今回、私と彼とは残念な結果になってしまいましたが、病気でも結婚して幸せになっている人はたくさんいるし。私もあきらめずに。いつか、病気も含めて私を受け入れてくれる人がいたら…、できたら周りの人もわかってくれる、そういう人に出会えたらいいなあと願っています。そういう人に会えるのがいつなのか、いつになったら哀しみが素敵な思い出に変わるのか、わからないのが辛いところですが。久しぶりに一人で立ってみようと思います。
 どんなに辛くても、朝の来ぬ夜はないと知っているから、きっと弱音を吐いてでも、これからも生きていくんだろうなあと思っているところです。

('99 10 8)




5 同じSLEでも違うことから
 SLEは人によって現れる症状が様々。同じSLEの方のサイトや掲示板を見るとほんっとーにそうだな〜と思ってしまいます。私と妹でもそうです。
 私のもう一人の妹もSLEでした。彼女はもう亡くなっているんですけどね。15年の人生の約半分が闘病生活。だから、自分が病気になる前からSLEの事は知っていました。
 SLEは遺伝の関係も多少疑われているので、私が中学校時分に抗体検査も受けたんですが異常のいの字もありませんでした。でも、発病して今に至ります。同じSLEなので闘病生活が参考になる事もあるけど、色々違うこともあります。

 二人共詳しい事は明らかではないですが、発病のきっかけは違うようです。母の話によると妹は、風邪をこじらせ死線をさまよったという出来事の後、学校に復帰後の行事で長時間陽に当たった後から紅斑が出始めて、病院に行ったらばSLEの診断がつきました。彼女は紅斑の症状がひどかったようで、陽に当たると赤い紅斑が紫色になり、発熱したりしました。
 私は、経過にも書いてありますが、過度の疲労や食事状態の悪さの後に、いつの間にか発病していたという感じです。痩せたわ〜と喜んだ後には、大変なことになっていた訳ですね(^^;) また、野外で活動する機会が多かったので、沖縄という土地柄で発病要因としてあげられる紫外線を多くあびていたでしょうし、それが発病のきっかけとしてうなずけるものがあります。でも、よくはわからない。うむ、本などの説明にあげられている中の一つというところで追求が終わってしまうのですね。私の場合はそれなりに症状が出ているので、おかしい時に病院に行って追求したらよかったのかもしれませんが、まさか自分が病気になるなんて思ってもみませんでしたからね。

 妹は入退院を繰り返し、腎臓が悪くて人工透析までしましたが、私は今のところ肝臓のみで1度の入院と投薬です。でも、私が自覚症状として一番ひどい、足の甲の関節痛は妹の時はなかった(膝はあったらしい)ので、母も違うねと首をひねるわけです。SLEの症状で多種多様という事が、姉妹でもそうなのねと納得できるのです。でも、腎臓は予後を左右する事が大きいと言われてますし、妹の闘病生活を見ていることから「腎臓は気をつけよう」とそれが役立っているとも言えるのです。
 が、たまーに自分に「悪くしないようにって、本当は無理をしないといけない場面で色々することを逃げてない?」と思ったりもします。でも、無理をして調子が悪くなると悩んでしまうことも確かで。後悔をする人生はおくってないけど、でも、「人生は攻撃の姿勢(笑)でアクティブにどんどんいくべきでは」という思いに駆られてしまうのです。後、就職の事と結婚に関してのことは、妹が学生だった為にこのあたりは手探り状態なんですが、なんとかこなしておりますかね!?(苦笑) そんなことを妹から聞けたらよかったのになあと思っています。

 それと、病気になって、一応は両方…見守る家族の立場と病人の気持ちが分かったかなぁ?と思います。やはり、同じ立場にならないと分からない事ってありますし。でも、子を思う親の気持ちはわからないかもしれない(^^;) 頼まないのに仕事を休んで付き添おうとするのに「いいのに」を連発して、分からずやと言われましたから(苦笑) それなら、病気の彼女の気持ちがわかったかというと、あまり話す機会がなかったし、何考えてるかなんてあの時は思いやろうとしなかった姉だっただろうから、彼女の思ってることなど知らないに等しいのではないかと思うのですが。うう、昔を思うと切なくなってしまうぞ。
 とまあ、過去を振り返ってしまいますが。身近に同じ病気の人がいたということ、同じ病気だったことは、精神的な面でプラスになっていると思います。…っと思ってないとやってられないという気持ちで頑張っています。

 家族に同病の人がいるなんて書くと、「やっぱり遺伝するんだ」とか「親戚に膠原病(に限らず)がいるので…」と遺伝関係で心配される方が出てくるかもしれませんね。…当たり前の反応だと思います。でも私としては、「病気になるかもしれない、どうしよう…」と心配されるより、「そういう可能性もあるかもしれないからちょっと用心しておこう」という前向きな心配…つまり注意ですね、をお願いしたいです。(どこかの本には、きょうだい間の発病率をあげていましたが、一桁台の%だったと思います)
 人類も人口が増えてきて、病気のもとになりそうな遺伝子的な欠陥は、わかっていないだけで、誰でも持っているのではないかと私は考えています。病気の大部分は、病気を引き起こすような遺伝子がそろって・現れてしまい、環境の影響(生活環境・過ごし方、食生活)もあって病気になってしまったのではないかと思うのです。家族だとそれら環境も似てしまうので、発病する確率は自然と高くなってしまうのかもしれません。可能性としては高いかもしれない、でも、今のところ確実ではない。だったら、恐怖や不安にかられるより、ちょっと前向きに考えてもらえたらなと思います。

 話がそれてしまいましたね(^^;)
 SLEはぱっと治療できるものではありませんが、同じ病気で症状が十人十色だから、自分の症状に合わせて自分なりの人生の過ごし方を見つけていく、という生き方を強制される(苦笑)病気なのかもしれません。人のリズムにあわせるのでなく、自分でリズムをつくり、己の状態を把握しながら生きていく、そんなことをしていく病気のようです。「だから、なおんみたいなマイペースかつ、自分勝手な人間になるんだ」と言われるのは困るのですが。(^^)ゞ
 「なんてやっかいで、素敵なことかもしれない」と、弱気と強がりが交代で顔を出す中、毎日過ごしてる私です。

('99 11 25)




6 奈落の底脱出作戦
 ここでは私の実践してる「奈落の底脱出作戦」、すなわち、落ち込んだ時の立ち直り方でやってることをご紹介します。(^^;)
「個人的な趣味も入ってる実践」ホワイトレベルから、「それはやめといたほうがいいかもしれないので考えのみ」ブラックレベルまで、星の数で表示。(^^;) しかし、これを参考に実践して不都合が生じて私を責められても困ります。なので、実行される時は各人の責任においてお願いします。

☆☆☆「毎回やってるさー」
・自分の好きなものを食べる
(麦麦さんのアドバイスでもあります)
 人間、空腹だとろくなこと考えませんから、食欲でごまかす。結構いける。
 でも、体重計はごまかせないので太りすぎに注意。
・TVやビデオ、映画を見る
 映画ならすかっとするアクション、TVなら素直に笑える「SMAP×SMAP」や
 「鉄腕 DASH!」なんか好き。
・本屋で漂う
 大きい本屋に行って、目についた興味のあるものを片っ端から読む。
 時間潰しにもなり、新しい世界発見できるかも?
・泣く
 ひたすら泣く。ただでさえはれぼったいまぶたが、すごいことになるまで
 泣く。

☆☆「結構やってるさー」
・とにかく、ネットする、パソコンいじる

 新しい情報収集もかねて。何か面白いこと見つけられるかも!?
 目も疲れてそのうち寝てしまえる。(^^;)
・酒に酔う
 頭がくらんくらんするくらい飲んで、世界がまわる幸せな?めまいを味わう。
 で、そのまま白河夜船。
 しかし、肝臓を悪くしたり、アルコール依存症にならない程度にする。
・読書をする
 本で心のすき間を埋める訳。でも、本を選ばないと、よけい気分が
 落ち込むことがあるから注意かも。小説だと飛翔度が高くてぐー。
・寝る
 ひたすら寝つづける。眠れるだけ寝る。寝る前には「良いことがあります
 ように」との願い事も忘れないように。睡眠時間の自己最高を打ちたてる
 つもりで眠る。しかし、悩みにヒットする夢を見て、余計落ち込む場合有り。
・NHKラジオ「ラジオ深夜便」 こころの時代を聞く
 年配の方に人気があるというこの深夜放送。午前4時台に放送する「こころの
 時代」はなかなかいい話が多い。始まるのを待っていて寝てる場合もある。

☆「あんまりねー」
・ゲーセンに行く

 好きなゲームをする。台を占領してやるくらいの気合いで行く。たまに
 ゲーセンのやがましい雰囲気が悲しさを誘う場合も有り。ゲームにうちこみ
 すぎて、財布の中に悲しさが漂う場合もあるので注意(笑)
・「完全自殺マニュアル」を読む
 どの方法がいいか?と読んでいくうちに、その気も失せる(苦笑)
 後、本の隠し場所は、本棚の奥にしないといけませんよ。
・迷惑をかけないで死のうと具体的に考える
 あれもこれもやらなきゃと出てきて、そのうち難儀になってくる。
 特に友人たちに借りたものをちゃんと返さないと、うらまれるだろうと
 思うので(笑) それはちゃんとしないといけないと考え出すと、その気も
 失せてくる。

★「やってみたいと思って最近やってない」
・真夜中クッキング

 家族が寝ついた中、なんとも言えない良い香りが漂うのは至福の時。
 がちゃがちゃやってると家族が起き出すので注意。
 特にパンづくりなんて、生地をたたきつけたりできるので、ストレス解消
 にも体力使ってへとへとにもなってぐー(笑) しかし、まわりに迷惑が
 かかるだろうから、生地づくりは早めにしていた方がいいかもしれない。

★★「やってみたいと思って1回もやってない」
・失踪同然に、ふらりとどこかにお出かけor旅行

 お金はかかるが気分転換にはいいのかも。誰にも行き先を言わないのがミソ。
 携帯など、どこでもつかまるグッズを持っているとちょっと難しいけど
 行方不明な時間で癒す。後、旅行予定を立てるついでていいからJTBの
 時刻表を眺めてみると、結構面白い。読者のから成り立ってる柱記事がぐー
 だったりする。

★★★「やめたほうがいいあんにー?」
・昼間の晴れた海で遊ぶ

 こーれは、SLEの私にはちょっと自殺行為かな。(^^;)
 大自然な海の懐にいだかれて、波まかせで漂うのはとても素敵なこと。
 まぶしい太陽と自然のリズムに身を任せ、心がリフレッシュ!(するはず)
 後の出来事が恐い…。レベルは★★に落ちるが、夜間や室内プールでも可。

 いつもやってるのを書き出すと結構な数、ありますね〜。ある意味、防波堤なのかもしれませんね。また、どちらかというと一人で静かに解決できるような方法がほとんど。傷は一人で癒すものって考えなのかは、自分でもよくわかりません。あ、でも、愉快な出来事を話してくれる友人がいるので(そういう風にとらえるのがうまいのかも)、その友人に電話をかけてみるということもします。「本当に人の話を聞くというのは、自分に余裕がないとできない」と思っている私ですが、こんな時に彼らの話を聞いてると「人生楽しく考えなきゃな〜」という思考に大抵戻ってくるので大好きです。
 奈落の底からはい上がってくる方法は、人それぞれ。また、こう書き並べてみると自分の状況によって違ってたりして。なんだか自己理解の手がかりにもなりそうです(苦笑)

('99 11 25)