07年度 宮古島市施政方針   

はじめに
 平成19年第3回宮古島市議会の開会にあたり、新年度の市政運営について、私の基本的な考え方と主要施策の概要を申し述べ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。
 さて、昨年宮古島市においては、長年宮古圏域の重要課題として位置づけ、旧伊良部町をはじめ旧宮古市町村会などで精力的に要請を重ねてきた伊良部大橋が着工されました。これは、圏域の大きな喜びであり、離島振興並びに経済の活性化に大いに期待されるところです。また、2期目の国営土地改良事業による新たな水源確保と伊良部地区への導水に向けた調査が開始されました。
 さらに、地球的規模の環境問題への対応となるバイオエタノールE3の本格的実証実験が国を挙げて行われるなど、各種大型プロジェクトが始動した年でした。
 一方、新市のシンボルとなる市花木等の制定や、昨年10月の市制一周年記念式典では、市民自らの手づくりで誕生した新しい市歌を発表することができました。
 また、全国的に教育問題がクローズアップされる中で、市独自の「教育の日」を設定し、活力ある教育環境の充実・発展を目指し、市民とともに取り組むことになりました。さらに、市教育研究所も始動し、教職員の資質向上に大いに役立つものと期待しております。
 新年度においては、「市民と行政で育てる宮古力」を合言葉に、市民との協働による市政運営を基本として誠心誠意取り組んでまいります。
1・市政運営にあたっての基本的な考え
 新年度は、合併して2年目に入り、昨年から着手した総合計画の策定作業は、今後10年間の将来像となる基本構想及び前期5年間の基本計画を定め、新しい総合計画のもとに宮古島市が始動する年になります。
 また、合併で大きくなった組織・機構の見直しをはじめ、定員管理適正化計画や財政健全化に向けた財政計画を策定し、今後10年間の財政見通しを示してまいります。
 新年度は、このような重要な転換期にあたり、次の3つを重要課題と位置づけ、市民の皆様をはじめ、関係機関と連携を図りながら、新しいまちづくりの具現化に向け全力で取り組んでまいります。
 第一に、総合計画をはじめとする宮古島市の将来ビジョンの策定です。
 新年度は、合併時に策定した「新しい島づくり計画」を土台に、多くの市民の声を結集して時代の流れに的確に対応し、市民の夢と希望をはぐくむまちづくりの指針となる「第一次宮古島市総合計画」を策定します。
 また、各種土地利用の基本となる国土利用計画や、都市計画の分野における将来ビジョンとして都市計画マスタープランなど、主要な計画の策定に取り組み、総合的、体系的なまちづくりを進めます。さらに、下地島空港と残地の活用については、伊良部架橋開通後を見据えた利活用の可能性調査を実施します。
 第二に、行財政改革の推進についてです。
 昨年12月、新しい地方分権改革推進法が制定され、地方分権も第2次ステージを迎え、さらなる地方の自立、自主性が求められています。本市においても、合併後の定員管理や組織・機構、財政の健全化についての10年間のビジョンを示す重要な年であります。
 そのため、簡素で効率的な行政の実現に向け、21年度までを期間とする「宮古島市集中改革プラン」に基づき、地域の声を反映させながら、分庁方式や支所機能のあり方を検討し、新市にふさわしい組織・機構の整備を図ってまいります。
 財政の健全化については、国において「新しい地方公共団体の再生法制」の制定が進められており、健全化判断の公表や財政の早期健全化、財政の再生など、厳しいチェック体制が図られます。
 本市としても、厳しい財政状況を踏まえ、財政健全化計画策定に向け、庁内財政問題研究会を強化して作業を進めるとともに、現在、専門家に財政診断を依頼しており、その結果を踏まえ、早急に長期見通しと健全化対策を講じてまいります。
 第三に、当面する懸案課題についてです。
 本市のごみ処理施設は築30年が経過し、施設の老朽化による処理能力の低下が懸念されております。建設候補地として現平良工場西隣を絞り込みましたが、引き続き周辺住民の合意形成を図り、早期建設に向け取り組みます。
 また、葬斎場の建設については、厳粛な中にも明るく安らぎのある空間づくりに向け、早急に建設候補地を決定し、早期建設に向け取り組みます。
 さらに、老朽化が著しい宮古病院の新築移転についても、県と連携してその展望を開いていきたいと考えています。
 以上、私の基本的な考え方を申し上げましたが、次に19年度の重点施策及び重点事業について申し上げます。
2・平成19年度の重点施策及び重点事業
 私は、新年度の予算編成にあたり、新しい島づくり計画の基本目標の実現に向けて6つの柱を立て、予算の重点配分を行いました。財政状況が厳しい中で、より重点的に取り組む必要のある施策を策定し、「選択と集中」により効率的な事業展開と地域の活性化を図ります。
 まず、1点目に環境を大切にした美しい島づくりについてです。 
 「美(か)ぎ島(すま)」実現に向けた取り組みについては、市民が誇れる美しい島づくりに向けて、市民並びに事業者等のご理解とご協力を得て環境問題に取り組むため、「宮古島市環境保全条例」(仮称)の制定をはじめ、「指定ごみ袋制」の導入、「流域公益保全林整備事業」に取り組みます。
 環境負荷の少ない循環型地域社会の形成に向けては、メタンガス発酵プラント建設をはじめ、関連施設建設など、バイオマス利活用施設整備事業を推進します。 
 2点目に、産業の振興と雇用の創出・確保についてです。
 農業の振興については、基幹作物であるさとうきびの生産基盤の整備等により、安定的な生産供給体制の確立に努めます。
 また、「離島地域資源活用・産業育成事業」を活用し、引き続き各種農作物の拠点産地の形成と特産品開発に向けた取り組みを促進するとともに、効率的・安定的な農業経営を目指す認定農業者等の担い手育成を図ります。
 農林水産業と観光との連携による経済活性化の推進については、質の高い観光地形成に向けて、「体験工芸村設置事業」を実施し、自然や文化を大切にした体験・滞在型観光の創出に取り組みます。
 3点目に、人材育成と文化の振興についてです。
 人材の育成と教育環境の充実に向けて、児童生徒が自ら学び自ら考える「生きる力」を育成するため、教育環境の充実及び国際社会に対応し得る人材育成に努めます。その重点事業として、「国際交流事業」、「教育施設整備事業」に取り組みます。
 また、国際大会として定着している全日本トライアスロン宮古島大会をはじめ、各種スポーツイベントを開催し、外国選手との交流会やスポーツ講習会などをとおして教育的効果を図ります。
 さらに、来る4月には、議会の議決を得て台湾・基隆市と国際姉妹都市締結を行い、人的、文化的交流を図るとともに、他の各友好都市との文化交流についても引き続き推進していきます。
 4点目に、保健・医療・福祉のネットワークづくりについてです。
 市民一人ひとりが安心して健やかでいきいきと暮らせる地域社会の形成に向け、保健・医療・福祉、全体を網羅したネットワーク体制の強化を図ります。
 また、それぞれの分野で抱える課題等について、情報の交換、共有を行うとともに、関係機関と連携した地域社会の整備を図るため、「次世代育成支援対策事業」、「地域支援事業」に取り組みます。
 5点目に、安全・安心・快適な生活環境の整備についてです。
 安全・安心・快適な居住環境の整備を促進するため、道路や公営住宅、下水道等の都市機能の充実を図ります。
 新年度は、合併に伴う「宮古島市都市計画マスタープラン」の策定に取り組み、都市計画の見直し作業を行います。
 さらに、18年度において、合併後の新しいまちづくりへ向け、「合併市町村補助金」が国から交付されることに伴い、新年度にかけて「高機能消防指令センター総合整備事業」、「ハシゴ付消防自動車整備事業」、「高機能救急車整備事業」、「水難救急資材整備事業」などを実施してまいります。
 6点目に、市民との協働による健全なまちづくりについてです。
 市民との協働によるまちづくりについては、地方分権に対応した市民との協働によるまちづくり制度の整備に向け取り組みます。
 行財政改革の推進については、簡素で効率的な行財政運営を目指して集中改革プランの着実な実行と、市民が行政に参画できる場の創出及びNPO法人等の組織化へ向けた支援を行います。また、市民の意見を行政に反映させるため、「市長と語る集い」を開催してまいります。
 公約事業の推進については、引き続きその実現に向けて取り組みますが、その進捗状況について市ホームページ等で随時公表してまいります。
 次に、各部門の主要施策について申し上げます。
3・各部門の主要施策
(1)地下水に配慮した資源循環型社会、花と緑であふれるまちづくり
 地下水保全対策については、18年度から専門家による学術委員会を立ち上げ、白川田流域における塩化物イオン濃度上昇の原因究明に向け、取り組んでいるところです。また、地下水保全の基礎となる水質モニタリング調査や、地下水保全啓発活動についても引き続き取り組んでまいります。
 さらに、地下水保全の法的基礎となる現行条例の見直し検討を行い、国に対しては地下水法の制定を引き続き求めてまいります。
 サンゴ礁保全対策については、宮古島周辺のサンゴ礁及び漁場の保全対策を講じる中で、引き続きガイドスタッフの養成を行い、観光産業振興につながるよう取り組みます。
 また、自然環境の保護を踏まえた「自然環境と共生する生活環境」を目指し、エコアイランドの形成に向け取り組みます。
 宮古島は、自然エネルギーの先進地として、風力発電、太陽光発電などの実証実験を含め、バイオエタノールやバガス発電などに大きな期待が寄せられており、エコ発信の島として新エネルギーの活用を推進します。
 ごみ対策については、環境保全の視点に加え、ごみの分別徹底及び減量化を進めるため、10月から指定ごみ袋制を導入いたします。制度の取り組みについては、市民説明会、マスコミ等を通じた周知徹底に努め、市民の皆様のご理解、ご協力を賜りたいと思います。
 不法投棄対策については、市民の意識啓発、監視パトロールの強化を図ります。
 また、18年度において環境保全を目的とした法定外目的税導入のための庁内検討委員会を立ち上げ、調査、研究を開始しました。19年度においては、有識者や関係機関による検討委員会を設置します。
(2)明日に夢をつなぐ活力と多彩な交流によるにぎわいのあるまちづくり
 観光産業は、本市の主要産業としての基盤を確立しており、新年度においても観光客誘致の取り組みと相互連携により、観光客数は緩やかに伸びていくと考えられます。
 観光行政の推進については、地域の特性を活かした体験型・参加型観光の確立、修学旅行等の観光客誘致活動、グリーンツーリズム等を促進し、自立的、継続的な観光振興を図ります。
 観光客誘致については、宮古観光の魅力について様々なPR活動に取り組むとともに、宮古島にゆかりのある方々のご協力を得て、姉妹・友好都市等をはじめ、各地において誘客キャンペーン活動を積極的に展開してまいります。
 毎年4月に開催する全日本トライアスロン宮古島大会は、地域活性化と地域の一体化に大きな役割を果たしており、引き続き安全対策を十分に行い、「安全で感動を呼ぶ大会」となるよう住民一体となって取り組みます。 
 また、市町村振興宝くじ事業を活用して地域イベントへの支援を行い、地域伝統文化の継承、発展に努めます。
 さらに、市民が中心となって開催しているクイチャーフェスティバル等の各種イベントの支援や各企業、大学、高校等のスポーツ合宿や修学旅行の誘致活動についても引き続き推進します。
 農林水産業の振興及び観光との連携による経済活性化へ向けた取り組みの一環として、昨年初めて日本一早いひまわりまつり、みゃーくハーリー大会、みゃーくなんこう大会等を開催しましたが、19年度も継続して開催いたします。
 宮古島を代表する景勝地として知られる東平安名崎においては、さらに付加価値の高い観光名所を目指し、テッポウユリのポケットパークを整備します。
 次に、農業の振興についてです。
 農業の振興は、土づくりが重要であり、有機質肥料購入補助事業をはじめ、緑肥種子購入補助事業、緑肥すき込み事業を継続します。また、資源リサイクルセンターを拠点として良質な有機質肥料の生産を図り、農家の土づくりを支援します。
 さとうきびについては、さとうきび増産プロジェクト計画に取り組みます。また、19年度産から実施される新価格制度の導入については、県及び関係機関、各地区のさとうきび生産組合との連携を密にし、生産農家の経営安定を図ります。
 葉たばこについては、葉たばこ耕作組合や関係機関と連携し、高収量・高品質葉たばこの生産向上を推進し、農家の経営安定に努めます。
 果樹栽培については、栽培講習会や現地検討会及び拠点産地づくりへ向けた農家台帳の見直しに取り組むとともに、マンゴー等のブランド化を含め、生産農家の生産拡大及び技術向上を図ります。
 野菜類については、18年度に拠点産地認定された「ゴーヤー、とうがん、かぼちゃ」の生産振興及び販路拡大に努めるとともに、地産地消を促進してまいります。また、有望作目等の拠点産地認定に向け取り組みます。
 畜産業については、引き続き良質な粗飼料の確保及び優良家畜の改良、品質向上に取り組み、畜産農家の経営安定と担い手の育成・確保に努めます。
 農業振興地域の整備については、18年度から地域性を考慮した総合的な整備計画に取り組んでおり、健全な農業経営の支援とともに、土地の合理的利用を推進します。
 森林振興については、森林の持つ公益的機能及び防風・防潮・水源涵養機能の充実を図るため、造林事業、植栽等を行い、併せて森林の生産力回復・増進と地下水の保全につなげます。
 むらづくり施策については、「元気な美しいむらづくり」を目指し、環境との調和に十分配慮した農業農村整備事業を実施します。また、「宮古地区農村振興実施計画」、「宮古島市バイオマスタウン構想」を軸とした関連事業に取り組みます。
 主な事業として、平良一円と宮原地区において美しいむらづくり総合整備事業、地域用水環境整備事業を実施するとともに、上野、名嘉山、久松地区に加え、新規で吉田地区においてむらづくり交付金事業を実施します。
 また、城辺の福東、福東西、上野の山根、元島西地区に加え、新規で友利地区において防風林を造成する農地保全整備事業を実施します。
 さらに、民間との共同によるバイオマスの環づくり交付金事業を実施します。
 「狩俣地区健康ふれあいランド」建設に向けては、地域住民一体となって都市と農村の共生・対流を図ります。
 国営宮古伊良部地区土地改良事業は、21年度着工予定になっており、19年度まで調査業務が行われます。この事業は、新たに仲原地下ダムと保良地下ダムの建設が含まれている大型プロジェクトであり、国・県・宮古土地改良区と連携を図りながら取り組みます。
 ほ場整備事業及びかんがい排水事業については、新規で下地の入江西地区、仲子ク地区において元気な地域づくり交付金事業を実施します。
 伊良部では、長山南地区、南コンマブキャー地区において農地基盤整備対策事業を継続して実施します。また、新規で南方原地区、鍋底地区において農地区画整理事業を実施します。
 さらに、基幹水利施設事業では、白鳥地区の貯水池を早急に補修整備し、利用地区農家の利便性を図ります。
 水産業の振興については、地元特産品であるモズクや海ブドウ養殖の拡大を図るとともに、安定的な生産に向けた取り組みを継続します。
 商業の振興については、「中心市街地活性化基本計画」との整合性を図りながら、下里公設市場の再開発の検討及び下里・西里・市場通り商店街の活性化へ向けた整備を推進します。
 下地島空港については、民間空港としての平和的利活用を推進するとともに、周辺残地の利用については、県と構成する連絡会議の中で、課題等の抽出及び解決に努め、企業誘致に向けた条件整備に取り組みます。
(3)個性豊かな文化をはぐくみ、一人ひとりが輝くまちづくり
 児童生徒の人材育成については、海外ホームステイ事業を充実させ、次代を担う子どもたちのより豊かな感性と国際的視野をはぐくむ機会を提供します。
 また、教職員の資質向上と地域教育力の強化へ向け、市立教育研究所の設備等の整備と充実に努めます。
 学校施設の整備については、平良第一小学校、狩俣中学校、西辺中学校屋内運動場の改築事業並びに砂川中学校屋外運動場の改修事業を実施します。
 外国人受け入れ事業については、JET外国青年招致事業により、外国語指導助手並びに国際交流員を配置し、各学校における外国語指導をはじめ、外国語講座、外国文化・風習等の啓発活動や、外国人観光客向けのガイドブック作成などに取り組みます。
 国際社会に対応できる人材育成については、宮古島市の歴史、文化、その他の地域的特性を活かした国際交流を推進するとともに、島内在住の外国人の協力を得て「宮古島国際交流協会」(仮称)を設立し、国際観光交流の振興に努めます。
 さらに、本市の国際姉妹・友好都市であるハワイ州マウイ郡及び今後締結する予定の台湾・基隆市をはじめ、アジア健康都市連合を組織する各国との交流を推進し、地域一体となって国際交流事業に取り組みます。 
 国内の友好・交流都市との地域間交流事業については、引き続き実施し、人材育成及び観光振興につなげてまいります。
 社会教育については、生涯学習の振興を図る上から、社会教育指導体制の強化や、家庭・地域の教育力向上へ向け、各種団体の指導者研修会を実施します。
 また、学習の成果を活かした有識指導者のリーダーバンク登録制度を実施し、充実した市民活動を支援するとともに、生涯学習フェスティバルの開催をとおして、市民と行政のネットワーク強化に努め、生涯学習推進体制の整備を図ります。
 子どもの居場所づくりについては、地域の指導者、ボランティア等を活用した放課後子ども教室の充実を図り、安全・安心な活動拠点づくりに努めます。
 芸術文化の振興については、優れた芸術にふれる機会を増やし、文化協会等の各文化団体の育成を図るとともに、市民総合文化祭をさらに充実してまいります。
 文化財の保護については、18年度に「下地島の通り池」と「東平安名崎」が、国の史跡名勝天然記念物の指定を受けたことを最良の機会として、自然保護意識の啓発に努めながら環境整備に取り組みます。
 重要無形文化財の宮古上布については、上布保持団体及び宮古苧麻績み保存会の伝承事業を支援し、後継者育成に努めます。
 図書館については、市民の知的情報や生涯学習の手助けが出来るよう、運営機能の強化に努めます。また、図書資料の充実はもとより、移動図書館を活用して市内各小中学校への配本を積極的に進めます。
 中央図書館建設に向けては、18年度に策定された基本計画に基づき、建築計画書等の策定に取り組みます。
 公民館の運営については、生涯学習の活動拠点として、市民及び地域のニーズに応じた各種講座やサークル活動の充実に努め、市民の教養の向上や生活文化の振興を図ります。
 総合博物館の運営については、引き続き展示資料等の収集、調査研究、企画展等の充実を図り、市民の要望に応えるよう努めます。
 文化ホールの運営については、地域の芸術文化活動の拠点として交流促進を図るとともに、映画祭、地域の舞踊家による舞踊共演等の自主事業を実施し、質の高い芸術文化にふれる機会を提供します。
 市民の健康と体力づくりにおいては、各種スポーツ教室や東平安名崎タートルマラソンの開催など、市民が気楽に参加できる生涯スポーツの普及促進に努めます。
 また、19年度には、県民体育大会が先島地区で開催され、10種目の競技が本市において行われることから、競技施設の環境整備に力を入れていきます。
 さらに、22年度に開催される全国高校総体男子バレーボール競技の準備に向けては、地元選手の育成・強化を図るとともに、全国高校総体準備室を設置し、各関係機関との協力体制を強化します。
(4)笑顔とふれあいで、ともに支えあう健康福祉のまちづくり
 福祉保健行政については、市民の生命・健康に直結した多岐にわたる行政サービスを担っており、近年は住民と行政が一体化した地域型行政運営が望まれています。
 本市においては、昨年10月、県宮古福祉保健所、宮古島警察署、市社協等と連携し「福祉保健行政ネットワーク協議会」を設置しましたが、引き続き各機関との情報交換、共有を図りつつ、市民のニーズに沿った福祉保健行政のサービス向上に努めてまいります。
 老人保健対策事業については、住民健診・婦人検診・各種ガン検診等の検診事業を実施するとともに、保健予防事業を計画的に行い、市民の健康管理や疾病予防対策を推進します。
 また、生活習慣病の予防対策については、食生活改善推進員・健康づくり推進員等の育成を図り、地域活動の支援を行うとともに、高齢者ゲートボール大会開催及び水泳などの各種教室を定期的に実施し、市民の健康づくりに努めます。
 乳幼児医療費助成事業については、保護者の経済的負担を軽減し、乳幼児の健全育成を図るため、引き続き実施します。
 精神保健活動事業については、訪問指導・相談・自立に向けた支援を行い、併せて精神障害に対する正しい理解を深めるための啓発活動を行っていきます。
 予防接種・結核対策については、各種予防接種事業を実施し、集団感染予防に努めます。また、一般の集団結核検診により結核感染予防に努めます。
 母子保健及び乳幼児健康診査事業については、保健指導・訪問相談・健康診査・子育て支援等、母子保健の向上に努めます。また、母子保健推進員の育成、強化に努め、そのサービス提供の充実を図ります。
 障がい福祉施策については、「障害者自立支援法」に基づく自立支援給付及び地域生活支援事業の充実、強化に努めます。
 高齢者福祉については、18年度に設置した「地域包括支援センター」を中心に、地域ぐるみの介護予防事業を各事業者や関係機関とともに実施します。また、介護保険サービスの適正給付に努めます。 
 児童福祉については、18年3月に策定された「宮古島市次世代育成支援行動計画」を年次的に推進し、次代を担う子どもたちが健やかに成長し、子育て世代が安心で暮らしやすい地域づくりをはじめ、子ども、母親の健康・安心・安全の確保に努めます。また、子育て支援センター事業、つどいの広場事業を引き続き実施し、子育ての支援を行います。
 さらに、子どもたちが一日の大半をより安全に過ごせるよう、老朽化した保育所の施設整備に取り組みます。
 認可外保育施設及び法人保育所並びに放課後児童クラブに対する助成事業については、引き続き実施するとともに、児童館が設置されていない地域への移動児童館事業の拡充を図ります。
 母子福祉については、女性相談員や家庭児童相談員の対応により、DV、児童虐待のほか、家庭内における様々な問題解決に向けた取り組みを行います。また、母子・父子家庭等に対しては、医療費の一部助成、職業能力開発支援、自立支援教育訓練給付事業などを実施します。
 国民健康保険については、国保税収納率の向上と医療費の抑制が不可欠であり、市民啓発に努めながら戸別訪問等の取り組みを強化し、国保財源の確保に努めます。
 また、各種保健事業を取り入れ、市民の健康と意識の高揚を図り、医療費の抑制に努めます。なお、税率の平準化につきましては、国民健康保険運営協議会において移行の時期を踏まえ、検討します。
 休日・夜間救急診療事業については、市民の休日・夜間における1次救急医療事業として市民が安心できる救急医療の確保に努めます。
 また、救急救命処置対策については、自動体外式除細動器(AED)の一般取り扱い講習会を開催し、市民への啓発に努めるとともに、年次的に各庁舎へ設置します。
 宮古南静園の将来構想については、18年度に庁内検討委員会を設置し、取り組みを開始したところですが、関係者で組織する南静園将来構想検討委員会で、早期に将来構想の策定に取り組みます。
(5)快適な暮らしを支える生活基盤の整ったまちづくり まず、都市機能の充実についてです。
 区画整理事業については、中心市街地の活性化に資するため、平良根間地区土地区画整理事業をはじめ、健全な市街地形成を目的とした平良竹原地区土地区画整理事業を引き続き実施します。
 街路事業については、都市計画道路である下里通り線、東環状線、大原線整備事業の早期完了に努めます。
 都市公園事業については、パイナガマ公園の整備を図り、海岸線の魅力と自然を生かした公園づくりを目指します。
 道路の維持管理については、道路の清掃及び街路樹の剪定作業等を実施し、地域の環境整備を図ります。また、本市が推進する「道路の里親」制度をより広く普及させ、ボランティアの啓発・育成活動を推進します。
 道路事業については、公共交通機関との連携強化を図り、市道幹線道路や通学路等の整備を計画的に進めます。
 また、新規事業として、添道1号線、B−60号線、島尻1号線、伊良部7号線の整備に取り組むとともに、平良B−53号線、B−54号線、下崎・西原線、城辺15号線、城辺32号線、上野北部線、野原学道線等の各路線を継続して整備します。
 市営住宅は、19年度から住宅の個別改善事業や全面改善事業に住宅整備をシフトしていくため、住宅関連基礎調査及び実態調査を実施します。 
 また、過疎化対策として城辺福中団地、下地皆愛団地、上野ガーラバル団地の整備を進め、新たに城辺福北団地整備に着手します。
 港湾改修事業については、トゥリバー地区内の臨港道路マリーナ線の整備を進めます。また、平良漲水地区において物揚場及び臨港道路漲水3号線、臨港道路下崎2号線の整備を進めます。
 さらに、港湾環境整備事業については、トゥリバー地区の海浜T、海浜Uの緑地整備並びに漲水地区物揚場背後の緑地を整備します。
 水道事業においては、引き続き伊良部地区の有収率向上対策を図り、安定経営に努めるとともに、老朽管改良工事を実施します。また、水道事業変更認可に伴う伊良部地域への送水計画については、19年度で調査設計をまとめ、伊良部架橋の本体工事と並行し、万全の体制で臨みます。
 公共下水道事業については、引き続き平良西里地区幹線工事、東仲宗根及び下里枝線工事を実施します。
 また、18年度に策定された「公営企業健全化計画」に基づき、下水道経営の健全化に取り組むとともに、本事業に対する協力と理解が得られるよう市民啓発に努めます。
 情報化推進については、18年度に策定された「宮古島市情報化推進計画」に基づくアクションプランを策定し、高度情報化に向けた施策を講じます。
 また、光ケーブルネットワークを利用して各庁舎のロビー等で住民が議会中継などをテレビ視聴できるよう、合併補助金を利用した全庁舎テレビ放送施設整備事業を実施します。  
 さらに、災害に強いライフラインの確保については、引き続き県が実施する平良・城辺線電線等共同溝事業に参加し、安全なまちづくりを目指します。
 消防については、引き続き予防業務の推進に努めます。また、社会福祉施設や病院などにおける消防訓練体制の強化と、大型店舗、ホテルなどにおける防火管理体制の強化を図ります。
 本市の産業振興の拠点である宮古空港の管理については、引き続き航空機の安全運航と空港利用者の利便性の向上に努めるとともに、周辺の環境整備に取り組みます。
 また、庁舎間のコミュニティバスの運行については、試験的に実施します。
(6)住民と行政の協働による自立したまちづくり 
 19年度は、行財政改革を進めるため、組織体制の強化を図り、引き続き全庁体制で取り組みます。
 また、「集中改革プラン」の取り組み状況を随時検証し、市民に公表していくとともに、行政評価システムの導入や職員の研修を強化するなど、効率的な市政運営と質の高い行政サービスの提供に努めます。
 本市の財政状況は、歳入面では自主財源に乏しく、依然として地方交付税等への依存度が高い状況です。自主財源の柱となる市税についても、大幅な増額が見込めず、基金等からの繰入れも非常に困難な状況にあります。
 一方、歳出面では、生活保護費や児童手当等の扶助費の伸びに加え、医療費の伸びが著しい状況となっており、一般財源の持ち出しが大幅に増加しております。 その解決策の一つとして、歳出の抑制や市税等の徴収率向上による自主財源の確保に努めることが最も重要な課題となっており、引き続き徹底した行財政改革に取り組んでまいります。
 市税の徴収対策については、18年10月に納税課を設置して徴収体制の強化を図っているところですが、効率的な滞納整理業務をさらに推進するため、合併補助金を利用した市税等滞納管理システム整備事業を実施します。
 次に、男女共同参画行政についてです。
 19年度は、「男女共同参画計画」の策定初年度となるため、積極的な出前講座を実施し、市民への浸透を図りながら、男女共同参画社会実現への機運の醸成に努めます。
 平和行政については、16年11月に開催された「下地島空港の軍事利用に反対する宮古島郡民総決起大会」における「下地島空港の軍事利用反対決議」並びに旧伊良部町議会での「自衛隊誘致決議白紙撤回」を踏まえ、下地島空港の軍事利用に断固反対し、空港の平和利用を促進します。
 また、戦争の悲惨さを風化させることなく次世代に伝えていくため、戦争資料展、有識者による平和講演会などを開催し、平和の大切さや命の尊さを市民と共に考える場を提供します。
 以上、市政運営に当たって基本的な考え方と主要施策のあらましについて申し述べました。
 新年度は、市の本格的な土台づくりを進めるうえで最も大切なステップの年であり、市民の皆様の全面的なご協力のもと、将来を的確に見据えた「島のすみずみまで豊かさと活力を感じるまちづくり」へ向け、職員共々全力を傾注していく所存であります。
 最後になりましたが、議員各位並びに市民の皆様のより一層のご理解、ご支援を賜りますようお願い申し上げ、私の市政運営方針と致します。
平成19年3月5日
宮古島市長 伊志嶺 亮