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 宮古島市(伊志嶺亮市長)が十六日に最終内示した二〇〇七年度当初予算案。国、県への依存度は高まるばかりで、財政難という厳しい現状を打開できるような明るい材料は見いだせない。各課の要求ベース段階では四十億円もの財源が不足。その後の査定で収支の帳尻は合わせたものの付け焼刃的な編成作業は否めない。歳出(性質別)を中心に、市の当初予算案を検証する。

 〇七年度の当初歳入予算は、前年度より十四億五千五百万円増となる三百三十三億九百万円の財源を見込む。うち市自らの財源(自主財源)は五十三億七千八百八十三万六千円。歳入全体に占める割合となる自主財源比率は一六・一%と前年度より一・五ポイントも減少している。残る八三・九%はすべて依存財源。この数字から見ても、国や県に頼らなければ「生活」できないのが今の宮古島市の現状だ。歳出抑制は至上命題と言える。
 その歳出予算の総括表を見ると、議会費や労働費、土木費、消防費、教育費、公債費は軒並み減額した。その半面、大きな伸びを示したのが農林水産業費。これは、補助事業の導入が〇六年度に比べて大幅に増えたことが要因だ。農業関係の補助事業は高率補助であることから財源への影響を極力抑えつつ各事業を積極導入する狙いがある。
 歳出予算を性質別に見ると、さらに予算の使い道が明確化される。
 人件費や扶助費、公債費に当たる義務的な経費は前年度比二億三千百七十五万六千円減の百五十六億一千五百五十八万五千円。歳出全体にみる構成比は四六・九%という高い数字を示した。
 人件費の内訳は▽議員報酬等一億六千六百九十七万九千円▽市長給与等四千三百四十三万五千円▽職員給六十二億七千二百九十二万三千円▽総合事務組合負担金十億百三十二万一千円−。
 特筆すべきは総合事務組合負担金だ。同組合は退職手当の支払い業務を担っているが、その団体への負担金が前年度より二億六千九百三十三万円も増額している。団塊の世代の大量退職が要因で、同組合の負担金率が二%上昇、この影響を受けて前年度を二億円以上も上回る支出を余儀なくされている。
 退職者の増加で人件費は抑えられても、退職手当は増え続けるという格好だ。
 生活保護や児童扶養手当に当たる扶助費は三千六百九十一万八千円減の三十七億六千五百十九万五千円とした。制度変更で介護給付費負担金三億三千三百三十八万六千円の支出が「その他経費」に回されたことが減額の大きな要因。生活保護費や児童扶養手当にかかる財源の捻出は今後も大きな課題となる。
 投資的経費を見ると補助事業が前年度比八億八千九百二十一万円増の九十四億三千二百五十九万円。単独事業は砂川保育所建設や竹原地区区画整理事業などで三億七千五百七十三万九千円を計上している。
 その他経費は、電算使用料や委託料、臨時職員などの賃金を含む物件費が前年度比八千百六十七万九千円減の三十三億四千三百七十一万五千円とした。特別会計への繰出金は二億四千七百九十二万八千円増の二十一億六千六百七十七万一千円。予備費は、捻出に苦慮したが三千七百九十四万八千円を確保した。
(山下誠)