第22回全日本トライアスロン宮古島大会総括

 「ともに競い ともに讃え みんな輝け宮古島」をテーマに、第22回全日本トライアスロン宮古島大会(主催・宮古島市など)は23日、国内外から1346人が出場し、スイム3`、バイク155`、ラン42・195`の計200・195`のコースで競われ、総合はパク・ビョンフン(34)=韓国=が、女子は塩野絵美(26)=東京都=が、それぞれ初優勝を飾った。実行委員会事務局を中心に、各専門部で合わせて約4800人のボランティアが大会を支え、選手から「素晴らしい大会」との高評価を今年も得られた。一方で、宮古島市主催で初となる運営体制、82・1%と過去最低となった完走率など課題も見られた。今大会を各分野から振り返る。
 (砂川拓也)

 ◇レース
 前回優勝の松丸真幸(31)=茨城県=に、同2位のパク、同4位の河原勇人(28)=東京都=らが挑んだ。スイムは北京五輪のトライアスロン競技でメダルを狙う田山寛豪(24)=兵庫県=が力を発揮しトップ。バイクでは松丸の力走が光った。しかし松丸はランが伸びず、前回の雪辱に燃えるパクが逆転した。ランを得意とする河原が松丸を抜き2位に。松丸は3位。県勢では桑原寛次(25)=豊見城市=が10位に入る健闘ぶりで、来年に期待をつないだ。
 女子は前回2位の塩野がバイクでトップに立ち、ランで独走した。スイムで1位だった出場3度目の久保田早紀(24)=兵庫県=が自己最高の2位。3位にはベテランの岡いずみ(36)=東京都=が入った。
 ◇完走率
 一般アスリートにとっては厳しいレースだった。完走率は過去最低の82.1%。特にスイムで、123人と大量のタイムアップ選手が生じた。完走した選手でさえ、「波が高くどこを泳いでいるか分からなかった」「普段よりスイムのタイムが遅かった」との声が多数。特に1700b地点で50分の制限時間について、「もう少し余裕を持ってほしい」と、再考を求める声が少なくなかった。
 スイム開始前には競技実施検討委員会が開かれ、会場の気温、水温、波高、潮流など諸条件が勘案され、スイムが実施可能かを検討する。安谷屋豪一競技委員長は「大会は安全第一。当日は条件を満たしていた」と説明する一方、「沖の波や潮の干満などが、リタイア、タイムアップの要因になったかもしれない」とも述べた。
 数字として気象条件を満たしながらも、実際に競技した選手の声もあり、今大会で得られた情報を基に、制限時間の変更など柔軟に検討、対応する必要があろう。
 ◇宮古島市としての運営体制
 宮古島市の初主催で開催された今大会。これまで主催した宮古広域圏事務組合のノウハウを生かしつつ、新たな体制を模索する必要があった。
 大会実行委員会の長濱博文事務局長は「全体的に見ると順調に対応できた」と評価しながらも、「全庁体制の組織として機能するには、今大会を踏まえ、より進化させていく取り組みが必要」と話した。また、「元広域の職員が持つノウハウを、後継者になる若い職員に引き継いでいく必要もある。若い職員が出てくることで、大会への新たなアイデアも生まれていくだろう」との見方も示す。
 ◇原点見詰め直そう
 今年も、選手が口々に「素晴らしい」「力をもらった」と評価する約4800人のボランティアスタッフの活躍なしに、大会の成功は語れない。しかしながら観客に関しては物足りなさも。関係者からは、「沿道に出て応援する住民が少なかったのでは」との声が少なからず聞かれた。
 大会前の専門部長会議では、医療救護部の砂川伊弘部長から「行政サイドの大会の位置付けが見えない。明確にビジョンを示すべき。毎年同じことをやっていても発展しない」との指摘もあった。
 次大会以降につなげるため、安谷屋競技委員長は「早い時期に厳しく総括・反省し、今後の方向性を打ち出していくことが、大会の意義を深め成功させる力になる」と力を込める。
 「マンネリ化」が言われる中で、住民が自ら率先して「参加したい」と思える大会づくりへ。今大会だけでなく、住民、選手が一緒に参加しうるイベントの立ち上げなど、大会に付随する部分の充実も不可欠だ。島を挙げて選手を迎え入れた原点に立ち返り、大会関係者のみならず、住民一人ひとりが今大会を見詰め直す時期に差し掛かっているのではないか。
                      
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