【 市町村合併から半年 】

 地域審議会の設置が急務/宮古島市 きょうから新年度スタート

 

 宮古島市(伊志嶺亮市長)の二〇〇六年度業務がきょう三日、スタートする。「最小の経費で最大の効果を上げる」と語る伊志嶺市長だが、市が抱える課題は山積しているのが現状だ。合併後半年を振り返り、新市の現状と課題を検証する。
 ◇業務の流れ
 「仕事がスムーズに流れないことは合併前から予想できた」と話す市の幹部。この言葉通り、今の行政がスムーズに、効率よく流れているとは言い難い。
 合併推進協議会で論議を重ねて決まった分庁方式だが、一つの決裁を取るために各庁舎間を行き来するという業務体系には疑問符が付く。上野庁舎にある経済部職員も「この仕事だけで一時間三十分を費やしている」とあきれ顔だ。
 ただ、分庁方式は旧五市町村の代表委員が決めた方式で、「重要なことは今の組織の中で改革を実施していくことだ」と主張する声も少なくない。
 電子決裁の導入を検討する宮古島市。無駄を省く効率的な行政運営に向け、電子自治体の構築は課題の一つに挙げられる。
 ◇支所の役割
 「こんな大事なことをすぐに決めることはできない」―。先月二十九日午後に開かれた部長級会議で、ある支所長が憤りをあらわにした。
 旧町村職員の支所長らが驚いた内容は支所機構の見直し案だ。示された案は事業推進班を廃止し、その機能を地域振興班に移行。支所の組織を市民生活班と地域振興班の二班体制とした上で、職員を大幅に削減するという改革案だった。
 「なぜ、こんな大事なことを突然に言い出すのか。現場をまるで分かっていない」。そんな支所長らの意向は受け入れられず、見直しは実施された。これにより、四支所の職員数は合併当初と比べて五十人も少ない八十三人体制に。今後は支所の存在意義そのものが問われそうだ。
 ◇地域審議会の意義
 合併から半年、宮川耕次総務部長が「行政区が拡大したことで戸惑いはあった」と明かすように、五つの自治体が一つになるという大きな変革への対応は誰もが初めての経験であり、取り組みが後手に回ったことは致し方がない現実だ。
 今後の行政運営に当たる過程で、伊志嶺市長は「市民の声を聞きながら判断したい」と市民参加型の行政運営に期待を込める。
 これを実践するためにも下地支所の上地廣敏支所長は「早く地域審議会を立ち上げなければならない」と強調する。地域審議会は旧市町村ごとに設置する市民組織で、市長の諮問に応じて▽新市建設計画の変更▽新市建設計画の執行状況▽新市の基本構想の作成および変更―などに関する事項を審議する。広く市民の声を行政に反映できるとあって注目を集めている制度だ。
 本庁と支所、旧平良市と旧町村。それぞれの考え方に隔たりが見て取れる宮古島市。新市建設計画が正しいのかどうか、市民の期待に沿っているか、地域と密着する支所の役割とは。多角的な意見を集める上でも、地域審議会の設置が急を要している。


                            (山下誠記者)


 

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