新生宮古の行く路

宮古島の現状と課題
建設業、生き残り策は本業回帰


伊計 衛

 「たんでぃがたんでぃ」ありがとう・感謝の気持ちを表したいと思います。
 本年四月一日に宮古へ赴任し、早二カ月が経ちました。宮古の皆様の暖かい気持ち、宮古の素晴らしい自然(世界一の砂浜)に励まされ、これまでの人生のなかでも一番素晴らしい時を過ごさせて頂いているな…と感じております。
 着任直後、本島への帰省家族の送迎会の席で、新小学一年生の子が「帰りたくない」と涙ぐむ場面がありました。その姿に大きな感動を覚えましたが、そんな小さな子供でも「帰りたくない」と感じるほど素晴らしい宮古の皆様のために、金融・経済を通して地域社会に尽力していきたいと考えています。
 さて、おきぎん経済研究所は、四半期ごとに「おきぎん企業動向調査(おきぎんDI)」を発表しています。おきぎんDIとは、企業経営者の業況(売上、仕入単価、収益など)に関する経営事項を「好転・上昇・増加」、「不変(変わらない)」、「悪化・低下・減少」のいずれかでお答えいただき、「好転・上昇・増加」の割合から「悪化・低下・減少」の割合を差し引いたものです。この割合がプラスなら景気等が良い(または上昇見込み)、マイナスなら景気が悪い(または下降見込み)となります。皆様もこの「おきぎんDI(景気動向指数)」をお仕事や生活のなかで参考にして頂ければと思います。
 沖縄県全体の(全業種)一―三月期DIは、売上高、引き合い等が高くなっており販売関係指標は高いものの、原油価格高騰の影響などにより仕入単価も高騰しており、採算・収益面で悪化傾向が見られます。要因としては、観光客の増加でホテル、飲食店の売上が伸びたことや土木・建築業などで年度末の工事発注があり売上高は増加したものの競争の激化などで利益率が低下したこと等が挙げられます。
 宮古地区の一―三月期の業況をみると、オリックス宮古島キャンプ、大学、高校野球のキャンプ、ジュニアゴルフの合宿等観光客の増加(前年同期比二五%増加)はあるものの、公共工事発注が少なかったこと、輸送コストが上昇したことが主な要因となり全体的にはマイナス三〇・〇ポイントと厳しい状況となっています。
 県全体の来期のDI(〇六年四―六月期)による業況見通しは、公共工事の減少や競合の激化、談合問題の動向等により業況が悪化する建設関連の業種、好調な消費や観光関連の業種では業況が好転すると予測するなど二極化の様相を呈し、全体として「業況改善の動きは緩やかなものとなる見通し」となっています。
 宮古地区の来期のDI(〇六年四―六月期)による業況の見通しも同様に、消費や観光関連の堅調が予想される中、建設業関連は依然として厳しく、伊良部架橋工事、電線共同溝整備、将来の地下ダムに期待が懸かるものの、競争激化、コストカットの影響で更に厳しさは増すと予想している関係者もいます。
 その他の業種(不動産、運輸、通信)についても中東状況の先行き懸念による原油価格の不安等があり、輸送コストの上昇が宮古地域へマイナスの影響を与えないかが心配されます。
 最後に、原油価格の高騰による収益低下、公共工事の減少・競争激化等の厳しい環境が予想されますが、ある老舗建築業者は「建築業で生きてきた。厳しいときほど生業として特化する。自分自身(社長)が工事現場に出て陣頭指揮をとりコスト削減を図り収益を確保する」と強い決意を熱く語ってくれました。まさに「アララガマ精神」として感銘を受けました。
 生き残り策として色々な事業転換を図ることも重要ですが、基本的には“本業回帰”が大きなヒントになると思います。自身(自社)を見直し徹底した営業力の強化・コスト削減等の企業努力を図りこの厳しい環境を乗り切ってほしい。
 伊計 衛(いけい・まもる)1958(昭和33)年12月17日生まれ。北谷町出身。普天間高校卒業。77年沖縄銀行入行。経営監査部資産監査室長、大謝名支店長、安謝支店長などを経て宮古支店長。好きな言葉は「努力」。趣味はゴルフ、園芸。宮古へは単身赴任。

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