新生宮古の行く路

―宮古島市行革推進会議の様子から―
 
自治体のあり方は市民の責任

砂川 泰政

 二〇〇六年三月十四日付の宮古毎日新聞で「宮古島市 行革大綱を決定 5カ年計画の指針」の見出しで、宮古島市行政改革推進本部会議の模様が掲載された。その報道された記事の内容から、大綱決定の議論の場がどのようなものであったかをうかがい知ることができ、会議のあり方に少なからず疑問を持った。
 〈宮古島市行政改革推進本部は十三日、行革推進委員会から答申のあった「宮古島市行政改革大綱(案)」の内容を確認、決定した。(宮古毎日新聞)〉
 「宮古島市行政改革大綱」は喫緊の課題といえる事項が簡潔にまとめられて、若干の文言を無視すれば、現時点での改革への意気込みを期待するには十分な内容である。市長から諮問された大綱(案)を市民の代表として審議し、答申した行革推進委員会の役割も果たされたことになる。ところが、
 〈答申に加え委員会から提言された福祉保健部の平良庁舎配置など組織見直しについては、業務量の把握や地域の声の取りまとめなど、慎重な審議が必要であるとして、集中プランが策定される九月ごろまで議論を重ねる方向でまとまった(宮古毎日新聞)〉
 行革推進委員会から付帯事項として提言された組織の一部見直しについて、市長は職員一人ひとりの意見を求めた。その結果、組織の見直しは慎重に議論を重ねるという方向でまとまってしまった。要するに組織の見直しについては職員レベルの議論でしますということで、具体的なことは彼らの議論次第ということになる。
 制度の骨格構造は、骨太で単純・明快なとき、市民にわかりやすくなる。制度はその基本構造が誰からみても透明かつ明快となっているべきだ。組織を系統的に構成して市政を効率的に運営するのが市長の責務であって、組織について職員の意見を聞くことはまだしも、組織のあり方まで職員に議論させることは論点を枝葉末節にまで追い込んで、不毛にするばかりでなく、市民をなおざりにしている。職員が職種と与えられた職務の範囲を超えて市政の根幹に関わることについて発言することが奇異なことであるし、職員にそれを求める市長の指導力と責任が問われる。
 組織・機構について、大綱では「本市は五市町村の対等合併により誕生し、合併による住民の不安感の解消と住民サービスの低下を防ぐため、分庁方式を採用した組織・機構の編成がなされています」と説明しているが、このような説明の仕方は明らかに市民に対する欺まんである。分庁方式を説明するのであれば、当然支所設置についても説明がなされるべきだ。行政機関が自ら改革を策定し実施する場合、改革の対象となっている事柄の内容説明を行政の都合で操作すると市民はことの実態を知ることができない。支所設置の説明が無い状況で組織・機構の議論をすると、分庁方式の正当性を主張する論議が正論になりかねない。それでは組織全体を見直す改革にならないのではないか。
 宮古島市行政改革推進本部は、市民にとって有益な議論をしてほしいものである。現在の地方自治制度は、地域社会の主人公である住民が、自ら代表を選び、自分たちのまちづくりを負託することを考えれば、市民の代表として選んだ市長の言動が私たちのくらしにどのように関わってくるのか常に関心を持つべきだし、市長は市民から提案される市政に関することやまちづくりのために職員組織を統制・制御・活用すべきだ。
(元県庁職員)

 

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