新生宮古の行く路

企業調査から見る宮古島の現状と課題

玉城 篤

 おきぎん経済研究所が四半期ごとに発表している「おきぎん企業動向調査(二〇〇五年十―十二月期)」によると、県全体では、原油価格の高騰などにより原材料の仕入れ価格が上昇したことや輸送コストが上昇、建設業などで競争が激化したこと等から利益率が低下。天候不順で青果物が高騰したこともあるが、個人消費は堅調に推移し観光関連業種は好調なことなどから「業況改善の動きが緩やかになる」結果を示しています。
 また、業種別に見た場合、DIが高いのは、観光入域客数が過去最高を記録するなど好調なことから、ホテル、病院など、その他のサービス業、不動産業者の賃貸物件の稼働や観光関連の業種が好調であったそのほかの業種となっています。
 一方、DIが低いのは、公共工事の減少のあおりを受けた、土木業、建設業となっています。地域別の業況DIでは、宮古地区が最も低く、次いで中部、南部が低くなっています。これらの地域は、公共工事発注減や市町村合併などの影響が主な要因として考えられます。
 宮古島経済の現状として、建設関連は、道路建設に伴う民間住宅建築の増加はあるものの、公共工事の減少、天候不良によるマンゴー収穫量(前年同月比三五%減)など、一方で、宮古地域観光入域客数は、〇五年は過去最高の三十九万九千人余り(同一・八%増)となり、その効果により、十二月の雇用動向は、おもに飲食・宿泊業、サービス業の求人が増加しています。
 県全体の来期のDI(〇六年一―三月期)による業況の見通しは、好調な個人消費、建設業界では、公共工事年度末発注増加などの期待により「業況改善の動きがみえる」となっています。地域別では、公共・民間工事などが好調な八重山地区が高く、一方、公共・民間工事などの減少により宮古地区が最も低くなっています。
 宮古地区の来期のDI(〇六年一―三月期)による業況の見通しとしては、建設業は依然として厳しく、昨年度の公共工事二百七十九億円(前年同月比一七・六%減)を下回ることが予想されています。伊良部架橋工事、電線共同溝整備、将来の地下ダムに期待が懸かるものの、更に厳しさは増すと予想している関係者もいます。
 その他の業種(不動産、運輸、通信)についても中東状況の先行き懸念による原油価格の不安などがあり、輸送コストの上昇が宮古地域へ悪影響を与えないかが心配されます。
 観光においては、プロ野球オリックスキャンプの開始により報道陣、特に今年は、清原・中村、また、特別参加のイチロー効果に期待が懸かっています。
 その他にも大学野球部などの春季キャンプが予定されており、宮古島市観光協会では、三月末までに延べ一万人の増加を見込んでいるようです。
 サトウキビにおいても、宮古地域全体の生産見込み量二十八万三千d余として、前期の実績を大幅に上回る豊作が見込まれています。
 その他では、昨年好調だった肉用牛、昨年低調だった葉タバコ、ブランドとして定着しているマンゴー、ゴーヤー、新しいブランドとして期待される宮古島産の薬草を原料とした健康食品などにも、期待が懸かっています。
 今後の宮古島経済は、建設関連では、厳しい環境、不透明感は続くものの芽出しされた事業もあり一抹の明かりが見え始めています。
 観光については、音楽イベントなどの誘致活動、スポーツ施設の充実など、農産物では、将来有望なサトウキビ糖蜜からエタノールの生産、青果物・薬草の安定した供給とその定着化が必要ではないかと考えます。
 また、そのような中でも観光客の増加、観光収入増は地域経済への波及(観光収入二百五十億円)も大きく、宮古島市、宮古島市観光協会、観光関係者、関連各界の努力による毎年の観光客の誘客、プロ野球キャンプの維持継続、その他スポーツキャンプの誘致など、不断の努力は宮古地域の経済基盤を大きく支えているといえます。
 今、沖縄ブーム、特に離島観光なども人気があり追い風が吹いている中、一過性のブームに終わらないためにも農産物、加工品を含めた宮古地域のブランド化に注力するとともに、一層、地域住民が一丸となって取り組むことが求められています。

執筆者プロフィル
 玉城 篤(たまき・あつし)1955(昭和30)年11月18日生まれ。50歳。名護市出身で那覇市育ち。80年に琉球大学経済学部卒。同年沖縄銀行に入行。牧志支店を皮切りに本店、各支店を経て2000年に鳥掘支店長、04年4月宮古支店長。

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