年月かけ自分のイメージに


緑の街角賞を受賞

佐和田 恵栄さん(63歳)

(伊良部字佐和田)

佐和田 恵栄さん 宮古島市となって初めての緑の街角賞に選ばれた。「合併して初めての街角賞を頂き感激している。受賞は家族や友人、知人、職場仲間の協力のおかげだ」と喜びと感謝の言葉を口にした。
 伊良部字佐和田にある敷地約三百坪の自宅には、住宅を包むようにきれいに剪定(せんてい)された樹木が立ち並ぶ。小鳥のさえずりや心地よい風が吹き抜ける安らぎや癒やしに包まれた緑の空間。
 庭の中でひときわ大きな存在感を放つのは主木のクロキ。主木を中心に高低をつけ、車輪梅、ツバキなどが並び絶妙なバランスを保つ。積み上げられた岩や石灯籠(とうろう)も独特の味わいを醸し出す。
 道路沿いの前庭には、ガジュマルなどが通路の両側に並び玄関まで導く。玄関前には手作りとは思えないほどの重厚な門が待ち構える。門をくぐり抜けると中庭が広がる。
 庭造りに取り組んだのは三十年ほど前。自宅を新築した際に始めた。完成のイメージは庭造りを始めた当時からあったという。長い年月をかけ少しずつイメージに近づけてきた。
 「庭は今日造って、明日完成するわけではない。あきらめることなく続けること。庭造りに苦労はあるが、その影に感動がある」と穏やかな表情で語る。
 緑の街角賞は平良市民運動実践協議会グリーン部会が主催し、平良市地区を対象に審査が行われていた。合併により宮古島市に名称を変更、対象を旧町村まで広げている。今回が合併後初めての開催だった。
 佐和田さんの庭は「それぞれの木の個性を生かした配置や緑を生かすために岩をバランスよく設置している」と高く評価され「過去の緑の街角賞を受賞した庭の中でも群を抜く庭」と絶賛された。
 刈り込みなどの樹木の手入れは時期を見て行う。新芽が出る春には手を付けず、新芽の成長が落ち着いた後に、約一週間ほどかけて作業する。機械などは使わず剪定ハサミで丁寧に刈り込む。「庭は人に見せるために造るものではない。自分のため。楽しみながらやるから苦にならない」と話す。
 現在植えられている木の多くは三十年前に植えられたもの。当時は一人で持ち運べる大きさだったが、今では二―三bほどに成長。長い年月をかけ庭にどっしりと根を下ろした。
 生い茂る緑で外部からは家の中の様子はうかがえない。庭はプライバシーを守る役目も果たしている。
 「庭にはいろんな顔がある」という。昼間や月夜、雨降り、カンカン照り。四季折々それぞれ庭の「表情」が違う。
 中でも月夜と雨が庭の美しさを際立たせるという。柔らかな月光に照らし出される樹木は神秘的な雰囲気を漂わせる。また、雨の日は「庭が生き生きする」と目を細める。
 現在の庭は思い描いた通りになった。しかし、「庭造りに完成はない。細かな修正をして、深みのある庭にしたい」。自らの理想や庭造りへの飽くなき探求心や愛情がさらなる高みへと突き動かす。

 佐和田 恵栄(さわだ・けいえい)1943(昭和18)年5月10日生まれ。伊良部字長浜出身。伊良部中、宮古水産高校(現翔南高)を卒業後、伊良部製糖(現宮古製糖伊良部工場)に入社。2003年に定年退職。   (洲鎌恵仁)
 

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