宮古上布の魅力 感じて

染・織布とキリムの店ゆう 店主         

吉浜 有子( よしはま ゆうこ)さん(33歳)

(平良市下里)

wpe7.jpg (5288 バイト) 八年前から、全国各地で宮古上布の古布を収集、その数は商品が約百枚、個人的なコレクションが約百五十枚にも上る。これを材料にした洋服やバッグ、小物類など、日常生活で利用しやすい商品を提供する。「宮古上布を扱えば扱うほど、魅力的だと思う。着物でも洋服でも小物でも、広がりが出てくる。より多くの人に使ってほしい」という熱意が活動の原点になっている。
 布に興味を持つようになったのは本土で暮らしていた二十代のころ。OL生活の傍ら、美術館をめぐり、世界中の布を見るのが趣味だった。特にイランやトルコ、アフガニスタンなどで織られる「キリム」と呼ばれるじゅうたんのような敷物をはじめ、アジアやアフリカの染物、織物に関心が高かった。
 アジアの布を見るうちに「沖縄の染物や織物にも似ている」ことに気付かされる。それらを研究すると、それまで関心の薄かった地元の伝統工芸品「宮古上布」にたどり着いたのもこのころだ。
 帰郷した一九九八年以降、趣味が高じて、知り合いの業者らに協力する形で「アジアの布展」を催し、好評。これをきっかけに二〇〇〇年、「染・織布とキリムの店ゆう」をオープンさせるも客足はさっぱり。
 「宮古や沖縄に合うのは何か」。考えた結果、「多くの人に宮古上布を使ってもらいたい」との思いを強くする。開店前から始めていた宮古上布の収集に力を入れた。全国で行われるオークションに参加する業者を通し、全国に散った古い宮古上布を探した。
 「どのようにして宮古上布の良さを出すか。どこにもないものを作りたい」。商品づくりの過程は試行錯誤の連続だった。専門的にデザインを勉強したわけでもない素人ながら、洋服やバッグのアイデアを絞り出した。
 商品の仕立ては人づてで地元の人にお願いする。「地元の人の手で作ったものを、地元の人に使ってもらいたい」と、「地元」へのこだわりも見せる。そのような努力の結果、開店当時と比較すると、宮古上布に興味を持つ人は増えているという。「宮古の、地元の人が関心を示してくれることがうれしい」と喜ぶ。
 昨年六月に「もどってきた上布の彩」、今年六月に「上布の彩展」を開催。来場者には、「これは自分が織った上布だよ」という人もいた。予想外の人出や反応に自信を深めた。
 「コレクションを常時展示する」のが目標だ。収集した多くは、目に付かないところに保管したまま。より多くの人に、宮古上布の素晴らしさを感じてほしい、と願う。「でもこれは個人では無理。なんとか行政の力を借りることはできないか、と思っているんですけど」とちゃっかり注文も。
(砂川拓也記者)

 吉浜 有子(よしはま・ゆうこ) 1972(昭和47)年4月3日生まれ。伊良部町佐良浜出身。宮古高校、東京パシフィックビジネスカレッジ卒。東京での会社勤務の後、98年宮古に帰郷。アルバイトなどをしながら、布の即売会などに携わり、2000年4月に「染・織布とキリムの店ゆう」をオープン。宮古上布をはじめ、日本各地やアジア、アフリカなどの染物、織物と、それらを使った商品を手掛ける。

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