 「沖縄を代表する伝統的な無動力の舟、サバニ。そのサバニの模型を作る時の優越感と、完成した時の充足感は体内に渦巻き最高の気分に浸る」と強調し、模型を手にして満面の笑みを浮かべる。
実物のサバニは、1本の材木で作る「刳舟(くりぶね)」と板を張り付けて仕上げる「接(は)ぎ舟」の2種類がある。接ぎ舟は軽量で速く、外洋で転覆してもすぐに復元できる優秀な舟である。
佐久真さんのサバニの模型はすべて接ぎ舟である。「小学5、6年のころ、近所にサバニ大工と呼んでいた上里金五郎さんがいた。子供ながら大型のサバニの魅力に引かれ、毎日サバニを作る工程を観察した。何時間もじーっと見る。ある日『模型なら僕にも作れる』という自信が沸いてきた」と、サバニとの出合いを振り返る。
少年は、初めて接ぎ舟の模型作りに挑戦した。
乾電池でスクリューが動く模型を見事完成させた。佐和田の浜の海で試運転を行った。小さな舟は潮路を切り、快走した。少年は、喜んで飛び上がり、舟を脇に抱えて家へ駆けた。試運転の結果を両親に報告した。
「両親が『すごいものを作ったね』とほめてくれた。両親の言葉は一生忘れない」と語り、目頭を熱くした。
中学校と高校ではスポーツに打ち込み、社会人になると仕事に忙殺された。しかし、サバニの模型はいつも心の片隅にあった。
一念発起。昨年11月、約40年ぶりにサバニの模型を作ろうと決心した。鉋(かんな)やノコギリ、小刀などを買いそろえ、材料の板は地元の製材所から仕入れた。過去の記憶をよみがえらせ、模型作りに奮闘した。
完成品を手にした佐久真さんは「これなら、宮古を代表する土産品として売れる」と胸を張った。
サバニの模型作りは口コミで広がり、自宅を訪ねて来た女性に土産品第1号は販売した。
今年1月、サバニの模型作りは本格化した。図面は頭の中で描いた。実物サバニの全長は8・5メートル。模型の全長は実物の15分の1と20分の1の2種類を製作した。
佐久真さんは「これからは、宮古、沖縄本島、石垣の大型ホテルや空港ターミナルの観光土産品店で販売できるように営業を展開したい。大量生産を行い、安い値段で提供したい」と、今後の取り組みに意欲を示す。
自宅の仕事場には、20隻余りのサバニの模型がずらりと並ぶ。最近は観光客が訪れ買い求めていく。
「サバニの模型を通して伊良部町の観光土産品の活性化を図りたい」と決意を新たにし、帆掛け舟の製作に取りかかった。
佐久真 明男(さくま あきお) 1951(昭和26)年11月20日生まれ。52歳。伊良部町佐和田出身。伊良部小学校、伊良部中学校卒。70年琉球政府立宮古水産高校卒。同年4月にダイエー(大阪府)入社、74年退社。同年4月に西友ストアー(同)入社、78年退社。奥浜組(伊良部町)などを経て、94年伊良部町議会議員選挙で初当選。現在はサバニ模型作り職人。
(伊良波彌記者)
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