ぺん遊ぺん楽


漢字学習が嫌われるゆえん
 

照屋 盛(てるや もり)


<2006年02/22掲載>

 小学校児童の大半は、漢字学習をあまり好きではない。そのことは、学年が進むにつれて顕著になる。その要因は、枚挙にいとまがないほどある。その中からいくつか列挙してみよう。
 中国の歴史には、殷賑を極めた国がいくつか成立し、そのつど小国日本にも計り知れない様々な影響を及ぼした。漢字は、その一つで漢の時代に入ってきたのでそう呼ばれている。
 漢字の用法や読み方等には、いくつかある。それを挙げてみる。日本に入ってきた時代によって同じ漢字が呉音、漢音、唐音、清音の区別があり、慣用としての読み方異体字やら音そして音便、連濁等がありきわめて複雑多岐にわたっている。
 また熟語は、原則として呉音ならば呉音同士で構成される。ところが原則が守られずに呉音と漢音が結びつくこともある。その他に作り字たとえば「働」「闘」等がある。前者の場合は、「重」の字をカットした文字にしたり、後者は「斗」の字を当てたりである。
 漢字は、表意文字で単なる記号ではない。文部科学省は、後者の立場のようである。その証拠に戦後学んだ漢字の約70%は、略字である。ちなみに国の元字は國で、囗(かこい)+音符域の会意兼形声文字で境界を限る意を含む。(学研・漢和大辞典)
 3年前漢字文化を産んだ中国へ行った。そこでも毛沢東の文革のあおりを受けて略字が目立った。たとえば産の字は肝心の「生」がぬけた形で表示されている。世界に誇れる文化を持つ国中国は、自分の文化に誇りを持つべきだ。
 日本では、「慣用読み」というものがある。列挙すると「弟」の呉音はダイ(第一)漢音テイ(子弟)慣としてデ(弟子)がある。「便」呉音ベン(便利)慣ビン(郵便)等がある。このように慣用読みによって漢字学習を複雑化している。
 異体文字(異体字)は、日常的にはあまり見受けられないけれども結構ある事例を挙げてみる。起源からのものとして國、国、圀があり、後者の圀は、日本歴史に名高い徳川光圀のそれである。
 音便にイ音便、ウ音便、撥音便、促音便の4種類がある。それぞれ書きて↓書いて、寒くございます↓寒うございます、読みて↓読んで、待ちて↓待っての類である。これを国語学上の用語として規定したのは、本居宣長である。
 彼は、連濁をも音便に含めた。「国語大辞典・学研」このように同一漢字でも用法、読み方が多岐にわたっている。このことが、漢字学習を一層困難にしている最大要因ではないかと考える。
 (宮古ペンクラブ会員・無職)
 


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