ぺん遊ぺん楽



継続は力なり

梶原 健次
(かじわら けんじ)


<2005年10/21掲載>
 全国地下水サミット二〇〇五が千葉で開催され、出張参加してきました。昨年三月に平良市で開催されたのが第一回のサミットで、平良市を含め七つの自治体首長が宮古に集い、地下水の保全について討議し、国に総合的な地下水法の制定を求める決議をしました。前回平良市の呼びかけに応えた自治体の一つ、千葉県の市川市が第二回サミットを引き継いで下さり、今回の開催に至りました。
 ただ開催日程が宮古市町村合併の日を挟んだ、九月三十日から十月二日であったため、サミット(=首長会議)であるのに市長はおろか部課長クラスも参加不可能でした。主催の市川市からは、第一回サミットを呼びかけた平良市の参加をぜひお願いしたいとの強い要請があり、限りなくヒラ職員に近い私が市長代理で参加したのでした。先方の了解があるとはいえ市長代理がヒラとは、正直、冷や汗ものでした。
 サミットの首長討論会で壇上に上がったのは七人の自治体首長(そのうちの一人が私)と地下水に関わる国の三つの省、環境省(地盤沈下)、国土交通省(河川・水道)、農林水産省(農業用水)の担当者。これにコーディネーター、コメンテーターを加え、総勢十一人。これだけの人数がいると、それぞれが一方的にしゃべるだけで討論にならないのが普通ですが、コーディネーターの進行が巧みだったこともあり、しっかりとした討論ができました。
 地下水を取り巻く課題は、その地域の地層構造と気象、水利用の状況によって様々です。宮古と同様、地下水に全ての飲料水を利用している自治体(秋田県三郷町、鹿児島県喜界町)もあれば、飲料水には利用していないが水害防止や観光利用、農工業用水利用の点で地下水保全が必要な自治体もありました。一方、七自治体で共通したことは、各自治体がそれぞれの状況に合わせて条例制定や事業を展開して地下水保全に努めていること、地下水は公共資源として管理されるべきであると認識していること、そして地下水保全に国が積極的に関与すべきであるとの認識でした。
 七首長連名によるサミット宣言では、国の総合的な地下水保全に関する立法措置を求め、自治体としても保全施策の推進で連携を図ることが表明されました。討論を通じて国の担当者からは地下水法制定に向けて積極的な発言はありませんでしたが、前回サミットでは参加すらしてもらえなかったのですから、サミットを継続開催し、自治体連携の輪を広げ深めることに十分な意義があるように思えました。
 サミット宣言の直前に市川市の司会から、宮古農林高校の前里先生と環境班の生徒の皆さんが会場に紹介されました。一昨年ストックホルム青少年水大賞を受賞した有機肥料「バイオ・リン」を、宮古島の高校生が研究・開発したことは大いに関心を集めました。その傑出した業績は、宮古はもちろん国内外でも認知されているところですので、ここで私が改めて評価を述べる必要は全くないでしょう。しかし肝心なのはそのあとの「継続」です。次回の地下水サミットでは、高校生の業績を宮古の行政や農家、市民がしっかりと受け止め、こんな風に活用していますよ、と報告したいものです。

 (宮古ペンクラブ会員・公務員)

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