ぺん遊ぺん楽


これが私の「自分流」


柳ヶ瀬 清美(やながせ きよみ)


<2005年04/29掲載>

 朝8時、インターホンがなる。
 んっもうこんな忙しい時間に誰?「はーい」の声はややつっけんどん。
 「あのう、今日集団登校日ですけど…」と町内の子供リーダーの遠慮がちな声。「えー!」しまった。また忘れていた集団登校。「あーらごめんなさい。今すぐ下ろしますね。(我が家は7階)」フォンを置くと同時に息子をせかす。「ハイ、キュウヤ集団登校ッツア、サアチイ服ウ着ガイル。マタキュウマインーナユマタシイナバシヌフファ!」
 子をせかしたり、自分がいらいらしてたりするときには、どうしても宮古弁がでてしまう。息子も慣れたもので、全部いい終わらないうちから「はいはい」と宮古弁にしたがって行動を起こす。いやはやなんとも効果的である。むふふ…
 「お待たせしてすみませーん。気を付けていってらっしゃーい」。おやおや今度は丁寧な日本語ですね。いつの間にか使い分けることが自然に身についている。
 日本語といえば、そのイントネーションで、散々苦労した。
 保育士の養成学校在学中の幼稚園実習のときのことは苦い思い出である。絵本の読み聞かせで、「りのなかで…」と始めると、そのフレーズが終わらないうちに1人の子が叫んだ。
 「りってなーに?」
 「えっ!くまさんやきつねさんたちがいるもりのことだよ」
「それならも・りでしょう。りってへんなの」
 「へんなのお〜へんなの〜」と子供たち。
 うっ…そうなのだ。、のところにアクセントをつけすぎたためイントネーションが上下激しく揺れ、完璧に狂って不自然な発音になってしまったのだ。単なるなまりで済ませられそうにもないくらい、救いようがなかった。
 「りねっ?」とその子のイントネーションを真似し、自分の発音をもっともらしく訂正して絵本の話をすすめたもの、「もり」と書いてあるところに来ると、ちょっと意識して、うまくいきますようにと祈りつつ読んだ。その日の実習ノートには、正しいイントネーションでの読み聞かせがこれからの課題です。との所見があった。
 今でも時々、り以外でもカレーライスのカレーと魚のカレイなど、逆になったりと他にもいっぱいある。狂うときがあるのだがしょうがない。正しいイントネーションって誰が決めた? これが私の日本語だと開き直る。最近では、イントネーションが狂いそうなときには、ちょっとリズムをつけつつ、ゴスペル風に歌いながらリズムをつけて発音することを身につけた。
 で、歌とリズムだが、これもまたオキナワン音階とリズムになってしまうのだ。どんな歌にも、♪ハイ!サッサー!とはやしをいれたがり、音を半音はずしたりする。児童館のシビアな子供たちから、「そこにそれはおかしいでー」との指摘をうけるのだが、ついついそうなってしまうのだ。今流行りのマツケンサンバの踊りを教えながら、両手を上にして互い違いにひねりかえしているのだから、足はサンバ、手はカチャーシーになっている。大笑いであった。
 これまた自分流。自然に身についてしまったものはしょうがない。アミーゴ!

   (宮古ペンクラブ会員・児童厚生員)

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