ぺん遊ぺん楽


飛 翔

花城 千枝子(はなしろ ちえこ)


<2005年01/15掲載>
 宮古は、大小8つの隆起珊瑚礁の平坦な島々からなる。
 リーフにあたる白波とティダ(太陽)の光の織り成す七色の大パノラマの海と空は、朝昼夕と変化し、どの時間帯も美しい。また、夜は夜で月のころは月、星のころは、満天の星空が美しい。
 海と空の大パノラマをさらに広さと美しさを際立たせるために、宮古の島々は小さく平坦に創造されたのかな…。

 今年の正月3日の晴れた日に、海沿いの一周道路をドライブしながら、島のカタチの意味を気づかされた。
 波打ち際の透明な浅瀬は白砂を見せ、青、群青、エメラルドグリーン、藍、紫などの水面にティダ(太陽)の光がさしこみ、輝きを放つ模様は、どんな錦織も緞帳(どんちょう)もくらべられないほどに壮大で美しい。
 海の向こうのニライカナイもティダの向こうに広がる天空も宮古より、もっともっと美しい(たぶんきっとそう)…。いにしえの人々(今の人々も)が、海の向こうのニライカナイの夢を信じ、また天空に向かって願い、あるいは祈るのが、わかるような気がした。
 人の力では、行き果てない時空のニライカナイや天空。だから人は、大空を自由に舞い飛ぶ鳥に、夢や願いや希望を託さずにはいられなかったのだろう。

 先駆的活躍をする人々の記録番組、NHKの「プロジェクトX」の主題歌、「地上の星」(中島みゆき作詞作曲)は、ひたむきに生きる人々、地上の星々の越し方や行方やその輝きをつばめに問い、加藤登紀子の歌う「この空をとべたら」(中島みゆき作詞作曲)は、恋愛歌ではあるが、心を空にたとえて、達成感のない現在の自分を、大空を舞い飛ぶ鳥のような自由な心を鳥に願っている。

 人は、空を自由に舞い飛ぶ鳥に、夢や希望、願いを託すが、保育園にも、それらを未来に運んでくれるひよひよどりたちが、身も心もすこやかにのびのびとあそんでいる。
 今の彼らは、親をはじめとする周りの大人たちの愛情につつまれてはぐくまれながら、島人の知恵、島ならではの文化、見慣れた自然風景などを心にやきつけている。この小さいころの良き思い出が、大きくなると、島への愛着と誇りとなる。
 そんな彼らが大きくなると、島にいても、たとえ島を出て世界のどこにいようとも、島に心の軸をおいた人となり、よりよく生きる人になろう。

 未来のあなたたちが、この島を飛び立っていつ帰ってきても、親のカギツム(美しい心)も、小さく平坦な島々も、海も空も、今のままのカタチで迎えてあげるから、思い切って飛翔していいよ。

   (宮古ペンクラブ会員・保育園園長)

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