ぺん遊ぺん楽


希 望 の 国

近角 敏通
(ちかずみ としみち)


<2004年12/25掲載>
 「財政難」「すすまぬ島の活性化事業」「民間と公務員所得の格差拡大」「福祉・文化・スポーツ・観光等への補助金・扶助費の削減」「行事の中止」「補助金の不公正な運用」「軍事基地化問題」等々。住民軽視の、暗い課題が山積している。

 議員の在任特例に伴う人件費も新市のスタートに重くのしかかる。島をどうおこしていくか。その理念と具体策こそ聴きたい。これまで何をやり、何をするべきか。

 島のある活性化事業で、中南米コスタリカへ海外視察に行ったメンバーの5名中4名が、沖縄のコンサルタント会社の社員だと知った時、何故、メンバーに地元の人を入れないのか、本当に島を活性化していく担い手をつくろうとしているのか、疑問に思った。せめて、視察報告はしっかり住民にして欲しい。役場の事業報告書には、コスタリカの国のあり方と観光メニュー体験内容がよく書かれている。今回、あらためて、これを読んでいて、コスタリカという国のあり方が、現在の日本や宮古に、大切な示唆を与えている事を再発見できた。明るい一筋の光が射しこむ思いがした。

 インターネットで「コスタリカ」を検索すると、貴重な情報が得られた。「世界で唯一の非武装永世中立国」「自然保護の先進国」「観光立国」「軍事費がない分、教育費に、全国家予算の22%をあてる。識字率97%」「自分の意見を持ち、他人の意見に耳を傾ける平和教育の徹底」「選挙管理裁判所による清潔な選挙」「公的機関の構成員を男女平等に近づける割当制の導入」「真の民主主義の確立」「差別・貧困の解消等平和の根幹治療」「医療費無料」「上水道普及率96%」「平和を築く市民社会の強化と国際連帯」「近隣国との対等な対話」「周辺国にも平和主義波及。パナマ軍備廃止。サルバトーレ軍備廃止検討」「国連、国際機関での積極的な平和・軍縮外交」…「19世紀は中南米一の軍隊保持」「1949年憲法で常備軍廃止」「隣国ニカラグアで内戦激化。アメリカ、コスタリカ国内に出撃拠点要請。この脅威に対して、コスタリカ1983年永世的、積極的、非武装に関する大統領宣言」「武器を持つということは、人間が武器に支配され、武器の奴隷となり、武器の犠牲となるのです」(フィゲレス元大統領夫人カレン氏)「半世紀間・武力なき平和確立」…「乱開発により、1983年、原生林17%に減少。現在、国土の25%を国立自然保護区」「豊かな動植物の楽園」「観光産業への税制優遇措置」「武力なき平和」「自然を楽しみ、学び、守るエコツーリズム観光発祥・発展」「外国からの投資、学術研究推進を可能」。

 コスタリカを訪れると、ごく普通の市民や子供たちまでが、「軍隊を持たないから平和なのだ」と語り、美しい自然環境を誇りにしているという。ここに、平和憲法や市民の暮らしが揺らいでいる今の日本にとっての原点がある。はじめに並べた、島の課題を解決していく理念と姿がある。われわれ市民が平和と自然環境を守る確固とした意思を持ち、地場産業を興していく取り組みをする中で、代表たる議員を選出し、行政を質しながら、共に力と知恵を合わせて、未来につながる暮らしを作っていきたい。希望の国に出会った。この希望はもちろん私たちの中にもある。

 (宮古ペンクラブ会員・農業)

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