200平成19   水曜日

市当局 「違法は自治法96条のみ」/市有地売買契約問題
  特別委報告に独自の見解

 平良下崎の市有地売買をめぐる宮古島市の行政手続きの不手際で、宮古島市は三日までに、市議会調査特別委員会が提出した調査報告書に対する見解をまとめた。報告書で指摘された二十件余に及ぶ違法性については顧問弁護士による「土地売買による法令違反は地方自治法九六条違反だけである」とする意見書を踏襲。「市長をトップとする組織ぐるみの違法な行為がなされた」という同委の報告にも疑問符を付けた。ただ、調査特別委の数々の指摘に対しては「真摯(しんし)に受け止めて職員の綱紀粛正に努めていく」とした。

 市は今回、同委の報告を受けて直ちに対応を協議。「全面的には受け入れられない」との方針から顧問弁護士の見解を求めていた。
 これを受け顧問弁護士が意見書を提出。問題となった土地売買契約で議会の議決を得なかったことは「明らかに地方自治法九六条一項八号に違反しており、弁解の余地はない」とした。ただ「市長をトップとした組織ぐるみの違法な行政行為がなされた」とする部分については「あまりにも酷で、客観性がないと思量する」などと反論した。
 理由として、法令をはじめ条例、規則、規定で違反の恐れのある行為が二十件余に及んだとする報告に対して「これは明らかに誤り」との意見を付した。さらには同委の調査内容を疑問視。問題となった土地売買契約は地方自治法九六条に違反していることから、契約そのものが「無効」であることを指摘し、その後の変更契約など一連の市の行政手続きは「論評すること自体あまり意味はない」としている。その上で「地方自治法九六条違反の責任追及だけで十分である」との見解をまとめた。
 この意見書を受けて三日午後、市幹部が取材に応じ「(違法性が)二十件余という報告は全面的には納得できず、誤解を招く恐れがある」などとした。その上で、基本的には顧問弁護士の意見書を踏襲し、違法は地方自治法九六条のみとする市の方針を示した。
 調査特別委による報告書は市議会三月定例会最終本会議で示された。法令、条例、規則、規定違反の恐れのある行為が二十件余に達したとし議会の議決や指揮監督、契約履行の確保などの地方自治法をはじめ、信用失墜行為の禁止や職務に専念する義務の欠如といった地方公務員法、起案や持ち回り決済、文書の審査などを示した市の文書事務取扱規定を列挙し、これらに抵触する恐れがあると指摘した。
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ミヤコノロジカ化石を保管/伊良部公民館
 絶滅種、今後は教材活用へ

保存中の岩石に点在するミヤコノロジカの化石=3日、伊良部公民館前
保存中の岩石に点在するミヤコノロジカの化石=3日、伊良部公民館前

 宮古島市教育委員会は三日までに、伊良部の土地改良区域で見つかったミヤコノロジカの骨化石を伊良部公民館に保管した。
 岩石表面に骨化石が多数存在するのは極めて珍しく、同教委は教材として活用していく方針。
 ミヤコノロジカは三万年前の洪積時代に絶滅したとされている。一九七三年、新種で絶滅種として記載された。標本は宮古諸島でしか産出されておらず、世界的に見ても貴重種。
 骨化石が点在する岩石が見つかったのは、長山港近くの土地改良区域の石積み擁壁。昨年三月末、二つの岩石で確認した。
 最初確認した岩石には骨化石のほかに歯化石が数本あった。しかし、大半の骨化石と歯化石は風雨などの影響で落下。
 今回保存された岩石の化石は、最初の化石より保存状態が良好だった。
 作業員らは「人骨か?獣骨か?」で意見が分かれたが、専門家の鑑定でミヤコノロジカと判明した。
 伊良部では、これまで数カ所の洞穴からミヤコノロジカの化石は見つかっている。また宮古本島の上野野原のピンザアブ(ヤギの洞穴の意味)などからも出土している。
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ハリガネムシを撲滅へ/県が実証展示圃設置
   サトウキビの天敵退治に特効薬

サトウキビの芽を食い荒らし株の出を阻害しているハリガネムシ
サトウキビの芽を食い荒らし株の出を阻害しているハリガネムシ

 サトウキビの芽を食べ株の出を阻害しているハリガネムシの駆除剤「プリンスベイト」が昨年、農薬登録されたことを受け、県は先月から同農薬の効果を試す実証試験を宮古地区の畑で開始した。プリンスベイトは、ハリガネムシの生息密度をかなり減らせる画期的農薬。県は実証展示圃(ほ)での試験の成果をPRし、同農薬の農家への普及を目指す。

 「プリンスベイト剤」は、アリの巣コロリやゴキブリコンバットのように、餌の中に毒物を入れ、食べたハリガネムシを駆除する農薬。従来の農薬は、虫が触れると死ぬという偶発性などに頼っていたが、新農薬は餌で虫を誘き寄せるため効果は高い。
 二〇〇五年四月に県農業研究センター宮古島支所で実施した農薬試験で、大きな成果が出た。試験は春植えの時期に、新農薬を散布する区と、従来の農薬を使う区に分けて実施。その結果、新農薬使用区では、多くの株が立ち、株出し栽培が可能になることが明らかになった。県農業研究センターは「区内に生息するハリガネムシのほとんどが駆除され、株が立ったのだろう」と、受け止めている。
 実証展示圃は宮古島、伊良部島、多良間島の春植え圃場を対象に、それぞれ五e設置した。引き続き、夏植えについても設置する。
 「プリンスベイト剤」の農薬登録は昨年の十一月。今年の夏植え期から、本格販売が予定されているが、その効果は確実視されており、同農薬の普及によってはサトウキビの一年一回収穫できる株出し栽培が復活すると期待されている。
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美ぎ島パトロール隊・添道自治会を表彰/ちゅらうちなー安全なまちづくり
伊志嶺市長に報告

伊志嶺市長(左から2人目)に表彰を報告した砂川隊長(同3人目)と池田会長(同4人目)=3日、市長室
伊志嶺市長(左から2人目)に表彰を報告した砂川隊長(同3人目)と池田会長(同4人目)=3日、市長室

 ちゅらうちなー安全なまちづくり推進会議(会長・仲井真弘多県知事)がこのほど、犯罪のない安心な地域を目指す「ちゅらさん運動」への活動が顕著だった個人・団体を表彰した。宮古では防犯パトロールなどを積極的に行った美(か)ぎ島(すま)パトロール隊と添道自治会が表彰を受け、三日、伊志嶺亮宮古島市長に報告した。
 美ぎ島パトロール隊は毎月二回の防犯パトロールのほか、学校前でのあいさつ運動や通学路の安全点検などを実施。添道自治会は公共施設の安全点検や少年への居場所づくりなどを積極的に協力し、安心安全な地域づくりを目指した。
 報告を受けた伊志嶺市長は「安全指導など市民の模範となる活動をされた。これからも安全な街づくりに向けて頑張ってほしい」と激励した。
 美ぎ島パトロール隊の砂川朝賢隊長は「諸団体と声を掛け合って、防犯のため地道な活動を続けていきたい」、添道自治会の池田健吉会長は「活動を通して感じたのは、大人が変われば子どもも変わるということ。大人から安全な環境づくりを推進し、子どもたちとも接する機会を増やしていきたい」と決意を述べた。
 「ちゅらさん運動」は二〇〇四年から継続して行われている。今年度は県内の十三個人、十三団体が表彰された。
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市内学校が全面禁煙に/平良中
    立て看板設置し周知図る

『敷地内禁煙』の看板を設置し、来客者にも周知を求めている=3日、平良中学校
『敷地内禁煙』の看板を設置し、来客者にも周知を求めている=3日、平良中学校

 宮古島市内の小中学校では一日から、敷地内全面禁煙が始まった。教育指導への影響や児童、生徒および教職員の健康保持などを考慮して市教育委員会が推進しているもので、敷地内を出入りする業者や保護者、一般来客も対象となる。
 このうち平良中学校では昨年決定した市教委の方針を受けて、今年一月一日から一足早い全面禁煙を開始。『敷地内禁煙』と表示した立て看板を正面玄関付近に設置し、来校者らへの周知を促している。
 同校の宮国敏弘教頭は「保護者などにはPTA活動などで協力いただいているため、校内活動時などは気の毒な思いをさせるかもしれない」と話した。
 同校では以前まで、約二割の教職員が喫煙していた。ストレス解消や気持ちの切り替えの手段としても愛煙していたが、「生徒あっての私たち。子どもたちのことを一番に考えて環境を正したい」と禁煙に熱意を燃やしている。
 私生活でも禁煙を始めたという教員は「個人的にも良いきっかけになった。今までは生徒に『喫煙は体に悪い』と注意しても効き目がなかったように思うが、自信を持って指導できる」と話した。
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会員の結束呼び掛け/関東伊良部郷友会
総会と懇親会で親睦

郷友会が集まり定期総会と懇親会で親睦を深めた=神奈川の鶴見沖縄県人会館
郷友会が集まり定期総会と懇親会で親睦を深めた=神奈川の鶴見沖縄県人会館

 【東京】関東伊良部郷友会(島袋健会長)の定期総会と懇親会が一日、神奈川の鶴見沖縄県人会館で行われた。関東在住の伊良部出身者ら約五十人が一堂に集まり、互いの近況報告を行なうなど親睦を深めた。島袋会長は「会員の結束をさらに強固なものにしていきたい」と抱負を語った。定期総会では役員改選も行われ、島袋会長ほか全役員の留任を決定した。
 引き続き行われた懇親会では、舞踊やカラオケなどの余興が次々と披露され大いに盛り上がった。
 関東にある宮古の各郷友会の役員らも出席し、情報交換しながら、古里の話でにぎわった。
 あいさつで島袋会長は「今年度も運動会をはじめ、いろいろな催しをしたいと思う。郷友とともにますます盛り上げていきたい」と述べた。
 上京して三十年になるという長浜輝一さんは、親子三代での参加。「公私ともに支え合っている仲間の元気な顔を見るのは励みになり、とてもうれしい」と話した。
 新年度の役員は次の皆さん。(敬称略)
 ▽会長=島袋健▽相談役=豊里盛泰▽事務局長=謝花明次▽会計=儀間方栄▽監査=照屋美江
 (菊地優子)
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