200平成19  329 木曜日

伊志嶺市長に辞職勧告/市議会
  賛成多数で決議案可決/野党 土地売買、随契を追及

 宮古島市の土地売買をめぐる行政事務の不手際や市発注業務における随意契約が市民に不利益を与えたとして、宮古島市議会(友利恵一議長)は二十八日、伊志嶺亮市長に対する辞職勧告決議案を野党の賛成多数で可決した。同決議には強制力がないため、伊志嶺市長は辞職を拒否。「多数決の乱用で抗議する」と不快感をあらわにした。この日の本会議では、平良下崎の土地売買問題を調査してきた特別委員会が調査報告書を提出。同報告書が辞職勧告決議案提出の引き金にもなった。

 決議案は池間雅昭氏が提出し、ほか十二人の野党議員が賛成者として名を連ねた。決議案では平良下崎の土地売買問題において「違法性が指摘され自らも違法であることを認め、売買契約の破棄に至るまで数々の法令違反を行っている」などと主張。伊志嶺市長の海外出張時に作成されていた文書も、本来なら職務代理者の下地学助役名でなければならないことを指摘して「公文書偽造に当たり議会はもとより市民に対する背任行為と断ぜざるを得ない」とした。
 さらに、農村総合整備事業(平良地区)における旧平良市および宮古島市発注のコンサルタント業務で、東京都のNPO法人と随意契約を結んだことを疑問視。「市民のために採択された補助事業の利益を税金も払わないNPO法人の利益に供したことは、著しく市民に不利益を与えるもので断じて容認できない」などと記した。
 トゥリバーに関する伊志嶺市長の政治的、行政的な手法も追及。「過ちを犯し結果としてトゥリバーの売却は失敗を繰り返した」として伊志嶺市長の責任を追及した。
 この決議案に対し、与党と「そうぞう」が反対の立場から、野党が賛成の立場からそれぞれ討論を行った後に採決。多数決の結果、野党全員が賛成して可決された。今の議会内勢力は友利議長が病気療養中で出席していないため、数の上では野党が十三で勝っている。
 決議案提出の引き金にもなった平良下崎土地売買に関する調査特別委員会(前川尚誼委員長)の報告書は本会議の中で示された。同委は、地方自治法で定められた議会の議決を得なければならない決定事項を無視したなどと指摘し、「法令順守を義務付けられた地方公務員としての資質が疑われる行為」と断じた。
 調査結果では法令、条例、規則、規定等違反の恐れのある行為が二十件余に達したと報告。議決事件や指揮監督、契約履行の確保などの地方自治法をはじめ、信用失墜行為の禁止や職務に専念する義務の欠如といった地方公務員法、起案や持ち回り決済、文書の審査などを示した市の文書事務取扱規定を列挙。民法や市の財務規則も記し、これらに抵触する恐れがあるとした。その上で「市長をトップとした組織ぐるみの違法な行政行為がなされた」とした。さらに当局提出の資料が「著しく整合性を欠く」などとして虚偽の疑いが濃厚と断定。「違法性を指摘された職員に対する内部調査もなしえない状況は自浄能力を失った組織と言わざるを得ない」とも記している。
 ただ、「疑問点、いわゆる便宜供与があったか否かについて解明するには限界がある」ということを認めている。

市長 「多数決の乱用」と拒否

辞職勧告決議を拒否する伊志嶺市長=28日、宮古島市役所平良庁舎
辞職勧告決議を拒否する伊志嶺市長=28日、宮古島市役所平良庁舎

 伊志嶺亮市長は二十八日、宮古島市議会の辞職勧告決議案を受け「納得できず受け入れるわけにはいかない。多数決の乱用ではないか」とし辞職を拒否した。さらに「私の責任は、私が決めて取ることになる」とし、下崎土地売買問題に絡む責任を今月中にも取る姿勢を示した。
 議会が辞職勧告決議案で示した土地売買契約に係る当局の不手際などを認めた上で、「これまでの不手際については議会でもおわびした。担当した職員についても、私の監督不行き届きを感じており、責任は取ると申し上げている」と述べ、辞職ではなく別の形で責任を取るとした。
 野党の賛成多数による決議案可決について「多数決の乱用ではないかと思う。抗議したい。この決議案に強制力がないことは彼らも知っているはずなのに、多数決でやるのはおかしい」などと強い不快感を示した。
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大学・民間との連携促す/医師確保で検討委最終報告

長谷川委員長(中央)が離島・へき地の医師確保対策について最終報告を県の仲井真知事(手前)に提出した=28日、県庁
長谷川委員長(中央)が離島・へき地の医師確保対策について最終報告を県の仲井真知事(手前)に提出した=28日、県庁

 【那覇支局】離島・へき地の医師確保について、協議を重ねてきた県医師確保対策検討委員会(委員長・長谷川敏彦日本医科大学教授)は二十八日、県の仲井真弘多知事に対して二〇〇六年度沖縄離島活性化特別事業離島・へき地医師確保対策検討調査事業に伴う医師確保対策についての最終報告を行った。
 報告を受けた仲井真知事は「この報告書を基に病院事業局、政策部局を含めて医師確保対策を着々と実行に移し、前進させていきたい。宮古とか八重山の大きな圏域の専門医不足などについてはドクターバンクなどの取り組みと連携して対応していきたい。また、中・長期的な観点からも医療体制の構築に向け地域の人々、市町村との関連の在り方も検討していくので、これからも指導、支援をお願いしたい」と述べた。
 長谷川委員長は「最終報告の特徴は、沖縄県全体を一つの病院と位置付けて医師確保に努めていくということ。県立病院、大学、民間の医師が一緒になって離島・へき地の医師確保に努めてほしい」と要望した。
 今回の最終報告では、当面対応すべき方策として▽全国組織を通じた県内外からの医師情報集約(ドクターバンク)と専門医派遣システムを構築し、県内外の民間医療機関等からの医師派遣▽魅力ある離島勤務プログラムの充実拡充▽医学生を対象に離島医療に対するモチベーションを有する医師の育成▽医学部志望者(高校生)等を対象に離島地域や住民を理解した医師を増やすことを目的とした奨学金制度の実施−などが示されている。
 また、中・長期的な医師確保策としての検討結果とその方策として、大学入学における地域枠および離島枠の設置なども示された。
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3団体13個人を表彰/第1回心豊かなふるさとづくり
 地域美化活動を実践/宮古島市誕生で対象拡大

心豊かなふるさとづくり受賞者の皆さん=28日、レストランクール新館
心豊かなふるさとづくり受賞者の皆さん=28日、レストランクール新館

 第一回心豊かなふるさとづくり(主催・宮古島市同推進協議会)の表彰式が二十八日、市内のレストランで開かれた。地域の美化に貢献したとしてクリーン、グリーン、グレイシャスの三部門で計三団体、十三個人が表彰された。

 同表彰は旧平良市民運動実践協議会が主催となり一九七七年から、旧平良市を対象に審査を実施してきた。宮古島市発足に伴い、今年から名称を「宮古島市」に変更し、対象を旧町村まで広げた。
 式典で同協議会の前川尚誼会長は「長い年月をかけた努力が実を結び、地域の皆様に喜ばれ、地域を明るくする運動を進めたことが認められた」と受賞者を激励した。
 代表してあいさつした「緑の街角賞」受賞者の佐和田恵栄さんは「本人の努力、苦労はもちろんだが、家族や友人の協力があったからこそ表彰を受けられた。これからも知識を深め、緑づくりにまい進したい」と話した。
 受賞者は次の通り。(敬称略)
 【クリーン賞】▽村山正成(平良字池間)▽池原力三(伊良部字前里添)▽高東会(平良字西里)▽コスモス通り会(同)
 【グリーン賞】▽緑の街角賞=佐和田恵栄(伊良部字佐和田)▽緑化推進賞=国仲繁男(城辺字下里添)▽植栽美化賞=我如古俊雄(上野字新里)▽特別賞(緑の塀賞)=棚原善助(平良字下里)▽同(花いっぱい賞)=仲里京子(下地字洲鎌)▽同(植栽努力賞)=謝花政広(伊良部字長浜)▽同(美化アイデア賞)=川満敏雄(伊良部字池間添)
 【親切運動活動賞(グレイシャス)】▽根間タケ(城辺字保良)▽下地ヨーンシー愛好会(下地字上地)▽久貝ハツ子(下地字川満)▽下地和子(同)▽平良光正(平良字西里)
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佐良浜 8強ならず/九州中学バレー
 決勝Tで稙田南(大分)に惜敗

 【大分県で砂川拓也】第二十四回九州中学校バレーボール選抜優勝大会は二十八日、大分県大分市で予選グループ戦と決勝トーナメント一回戦を行った。県代表として出場した佐良浜(沖縄一位)は予選グループ戦で別府北部(大分二位)にセットカウント2−0で快勝したが、決勝トーナメント一回戦で稙田(わきだ)南(開催地推薦)に0−2で敗れ、ベスト8進出はならなかった。
 佐良浜は初戦、レシーブから攻撃につなぐ持ち味を発揮し、別府北部に第一セット25−16、第二セット25−18で快勝。決勝トーナメント進出を決めた。
 同一回戦の相手は開催地枠で出場の稙田南。序盤は佐良浜が最大5点のリードを奪ったが、サーブミスや相手のブロックでリズムを崩し、第一セットを21−25で落とした。第二セットも接戦で一時は21−20とリードしたが、最後はジュースの末、24−26で振り切られた。
 エースで主将の久高雄彦は稙田南戦について、「相手にレシーブで返され、流れがつかめなかった。負けたのは悔しいが、次につながると思う。全体的にレベルアップしないといけない」と前を向き、「県大会で優勝して、夏の九州大会、二年連続の全国大会につなげたい」と雪辱を誓った。
 仲間智監督は「初戦はしっかりレシーブを上げ、サーブで崩して、コンビも使えていた。稙田南戦は相手のレシーブ力が上回り、ワンタッチを取られるなどうまい攻撃をされ、波に乗れなかった」と振り返った。
 佐良浜は福岡県に移動し四月一日まで、同県のチームとの合同合宿に参加する。仲間監督は「ボールを絶対に落とさない、絶対に1点を取りにいくという気持ちがまだ足りない。九州のチームが持つうまさも吸収したい」と気持ちを切り替えていた。
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港湾内放置車両/支庁が撤去警告文

不法に放置された車両=28日、平良の荷川取漁港
不法に放置された車両=28日、平良の荷川取漁港

 県宮古支庁農林水産整備課漁港水産班が二十八日までに、県管理の平良の荷川取漁港などに不法に放置されている車両を撤去するよう、車両所有者九人に警告文を発送していたことが分かった。
 同日現在、所有者から撤去した報告はない。一方、宮古島市港湾課は「市管理の漁港には放置車両はない」と説明した。
 同班は、放置車両を荷川取漁港で八台、佐良浜漁港と池間漁港で三台ずつの計十四台を確認した。このうち、所有者が判明した車両は、荷川取漁港で七台、佐良浜漁港で一台、池間漁港で一台の計九台。全車両に燃料が入っているかは不明という。
 同班は、放置車両は県漁港管理条例に違反していると指摘。車両所有者に漁港外へ移動するよう警告文を発送し、放置車両にも警告書を張り付けた。
 同班は今後の対応策として「宮古島警察署と連携し撤去したい」と話し、撤去費用は所有者に負担させる方針だ。
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船舶給油施設が完成/佐良浜漁港
  来月中旬から供用開始

新設された船舶給油施設=28日、伊良部の佐良浜漁港
新設された船舶給油施設=28日、伊良部の佐良浜漁港

 宮古島市が伊良部の佐良浜漁港一角で急ピッチで建設を進めていた船舶給油施設が二十八日、完成した。伊良部漁業協同組合が管理運営。四月中旬から供用を開始する。
 同漁協は、十五年前に現在使用中の船舶給油施設が老朽化しているとして、旧伊良部町に給油施設の新設を要請。一昨年の市町村合併で、同市に引き継がれた。
 新設の給油施設は、A重油専用の野外タンク(最大容量四十`g)一基とコンクリート平屋造りのポンプ室兼事務所(面積十五平方b)。同タンクはスチール製で高さ約四b、長さ約七bで横型の円柱形。総事業費は約千九百万円。
 既設の船舶給油施設は、老朽化に伴い修繕を何度も繰り返していた。新設により同漁協の修繕費負担が無くなり、同漁協の経営改善が図られる。
 同市伊良部総合支所水産観光課の池原豊課長は「新設の船舶給油施設は、伊良部漁協をはじめ漁民らが長年待ち望んでいた。来月からの供用開始により、これまで以上に水産振興が図られる」と語った。
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収穫作業始まる/葉タバコ/好天で豊作に期待

収穫作業に汗を流す農家ら=28日、上野字上野
収穫作業に汗を流す農家ら=28日、上野字上野

 二〇〇七年産葉タバコの収穫が始まっている。農家らは葉を一枚一枚丁寧に摘み取っていた。今期は一時雨が多く降ったが、その後は好天が続き農家も豊作へ期待を寄せる。収穫作業は六月ごろまで続けられる。
 このうち上野地区のある農家は二十五日から収穫を開始。家族四人で協力して作業に汗を流していた。農家の男性は「出来は昨年より良い。十e当たりで昨年は百四十dほどだった。今年は二百dになると思う。豊作だ」と笑顔で話した。
 収穫した後の葉タバコは強い日差しに弱いため、葉に直接日が当たらないよう布で覆うなどしながら作業に当たっていた。
 県たばこ耕作組合によると、宮古地区の〇七年産葉タバコの栽培面積は合計六万三千二百七十四eで、前期と比べ六十一eの増加。地区別に見ると▽平良八千六百二十e(農家戸数二十五戸)▽城辺二万三千e(同四十九戸)▽下地一万四千六十e(同三十七戸)▽上野一万一千六百三十四e(同三十一戸)▽伊良部三千六百五十e(同十五戸)▽多良間村二千三百十e(同十一戸)−となっている。
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