200平成19  327 火曜日

07年度予算案 人件費のカットを/市議会総務財政委
  歳出抑制で当局に要望/嘱託費や委託料の一部減額も

07年度一般会計予算案を審議した総務財政委員会=26日、委員会室
07年度一般会計予算案を審議した総務財政委員会=26日、委員会室

 宮古島市議会の総務財政委員会(前川尚誼委員長)が二十六日開かれ、市当局から提出された二〇〇七年度一般会計予算案を審議した。委員会からは市の財政が逼迫している状況を踏まえ、歳出の抑制案として人件費カットの要望が出された。当局側は、六月末までをめどに検討していく方針を示した。嘱託員報酬や委託料に絡む支出についても見直しを図り、一部減額の予算修正案を求めた。

 委員からは、財政破綻(はたん)した北海道夕張市を例に挙げながら「歳出抑制への努力が足りない」「結果をもって努力の跡を示せ」などといった厳しい意見が相次いだ。
 委員からは、歳出減の具体案として二百九十二人いる臨時職員の削減や職員の一時金カット、外部嘱託職員の一部削減と業務の見直しなどが示された。
 担当課長らに出席を求め、嘱託職員の業務内容などをチェックした委員らは「職員でできる業務は、嘱託せずに職員で対応すべき」などといった要望が出された。
 市町村の財政状況を判断する指標「経常収支比率」が、宮古島市では〇七年度予算で一〇七・一%の見通しになっていることに対し、委員らは「危機的状況」だと指摘。合併で膨れ上がった職員数約千人をやり玉に上げて「人件費の中で歳出の抑制を図るべきだ」といった意見が噴出した。
 総務課や財政課の担当課長は、委員から求められた歳出減の具体案については、伊志嶺亮市長ら市の幹部と協議し、条例改正や労使交渉などを踏まえた上で、同市議会六月定例会をめどに「検討、努力していく」と答えた。
 〇七年度一般会計予算案については、きょう二十七日に採決する方針。

◆◆ことば◆◆
 経常収支比率 人件費や公債費のように毎年度支出される経費に充当された一般財源と、地方税や普通交付税のように毎年度収入される一般財源との比率。財政構造の弾力性を判断するといわれ、おおむね七〇−八〇%の範囲が望ましいとされる。
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下地 九州4強/中学野球
  牛津(佐賀)に1−2惜敗

惜敗しベンチに戻る下地ナイン=25日、宮崎市のアイビースタジアム
惜敗しベンチに戻る下地ナイン=25日、宮崎市のアイビースタジアム

 第四回九州中学生選抜軟式野球大会(主催・全日本軟式野球連盟九州連合会)が二十五日、宮崎市のアイビースタジアムで決勝まで行われた。県代表の下地は準決勝で牛津(佐賀)と対戦し、1対2で惜敗した。先制したが四球と失策から逆転を許し決勝進出は成らなかった。優勝は飯盛(長崎)だった。
 下地は初回、芳山拓磨と花城尭がともに四球を選び出塁。洲鎌大地が犠打を決め一死二、三塁の好機をつくった。4番上地泰史が甘い球を見逃さず中前に適時打を放ち、先制点を奪った。
 下地の先発は上地泰史。初回を三者凡退で切り抜けたが、先制直後の二回に崩れた。四球で出した走者のけん制に失敗し、三塁まで進塁された。さらに四球などで一死二、三塁のピンチが広がった。真ん中に入った失投を痛打され逆転を許した。
 同点のチャンスは五回の一死一、三塁、六回の一死二塁と二度あったが、鋭い打球が野手の正面に飛ぶなどあと一本が出なかった。
 主将の友利太羅は「点が取れなかったのは気持ちが足りなかったから。力の差は感じなかった。気持ちの差で負けた」と振り返った。
 与那覇正典監督は「ワンプレーの重みを知った。プラスになることが多く良い経験になった。選手たちは物怖じせずプレーした。さらに上を目指す意識も芽生えた。十三人でもやればできると実感した」と述べ、「きょうの試合は監督が悪い。選手たちを勝ちに導けなかった」と唇をかんだ。

リリーフ洲鎌が好投/下地中
ワンプレーの重みに泣く

5回を投げ3安打無失点と好投した洲鎌=25日、アイビースタジアム
5回を投げ3安打無失点と好投した洲鎌=25日、アイビースタジアム

 「守り勝つ野球を相手にやられた」と主将の友利太羅は試合を振り返った。持ち味の守備が乱れそのまま敗戦につながる結果となった。
 二回の失点は四球にけん制のサインプレーの失敗が絡んだもので、送球がそれ、ボールが転々とする間に三塁まで陥れられた。
 その後も一死二、三塁とピンチが広がった。相手の七番打者に対し、捕手の洲鎌大地は外角低めの直球を要求。しかし上地泰史の投じた球は真ん中に入り左中間を破られる二塁打を浴びた。この2失点が最後まで重くのしかかった。「一つのプレーの大事さを知った」。選手らは口をそろえる。
 流れを変えようと三回から洲鎌大地をマウンドに送った。洲鎌は落ち着いた投球で5回を投げ3安打無失点。二塁を踏ませぬ好投で相手打線を封じ、反撃のムードをつくった。「投球の内容は良かった。球速、コントロールとも良かった。大会は自信になった」と振り返る。
 失点後は守備も安定した。けん制で三度、相手走者を刺すなど守備でリズムをつくり、攻撃につなげる下地らしさは見せた。好機もつくったがあと一本が出なかった。
 先発した上地は「負けたのは悔しい。この負けを良い負けにするためにも一からやり直したい」と目線を上げた。
 決勝の試合を観戦後、友利主将は「力の差は感じなかった。夏の大会ではもう一度この場所で戦いたい」と意気込みを語った。十分戦えるという自信が収穫だった。
 表彰式では、優勝チームに優勝旗が手渡されるのをナインでじっと見詰めた。「悔しさを刻み込め」と与那覇正典監督。その言葉と「九州でも戦える」という自信を胸に、下地ナインは球場を後にした。(洲鎌恵仁)
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300人が競演/島の伝統芸能祭
 
先人が残した芸能再現

14団体が各地域の伝統芸能を惜しみなく披露した=25日、マティダ市民劇場
14団体が各地域の伝統芸能を惜しみなく披露した=25日、マティダ市民劇場

 宮古島市制一周年・マティダ市民劇場開館十周年を記念した「島の伝統芸能祭」が二十五日、マティダ市民劇場で開かれた。宮古の各地域から十四団体、約三百人が出演。先人から受け継がれている芸能を堂々と披露し、会場を伝統文化一色に染めた。

 同芸能祭は地域芸能の再発見と子どもたちが夢と希望を持てる舞台芸術の創造に寄与することが狙い。「心に思いやりとゆとりを持って人に接しなさい」という意味の「余肝心(あますむ)」がテーマに掲げられた。
 開演に先立って、あいさつした伊志嶺亮宮古島市長は「出演者の皆さんには練習の成果を十分に披露し、観客と一体になって舞台を楽しんでほしい」と呼び掛けた。
 オープニングはツカサンマが神に祈りを行い、神秘的な空間を演出。各演目でスポットライトや幕などを効果的に用い、伝統を表現した。
 披露された演目は▽佐良浜ミャークヅツクイチャー▽松原の獅子舞▽保良ヨンシー▽池間のクイチャー▽川満の笠踊り▽西東の棒ふり▽新風太鼓▽新羅▽多良間の棒踊り▽比嘉の獅子舞▽下地原ぬクイチャー▽友利のミルク口説▽与那覇のヨンシー▽荷川取のクイチャー−。各団体とも威勢の良い掛け声と力強い舞で躍動感や華やかさを再現。観客は惜しみない拍手を送っていた。
 このうち「西東の棒ふり」では、城辺中学校の男子生徒が出演。「先輩たちから引き継いだ」という地域の伝統芸能を大人に負けない舞で堂々と発表した。
 また、下地クイチャー保存会は健康、豊年、豊作、子孫繁栄を祈願する「下地原ぬクイチャー」を披露。「子や孫に残せる唯一の伝統芸能として、大切に守り継ぎたい」と二十−五十代三十二人の地域住民らが演じた。
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不登校児童生徒 小学生12人 中学生10人/宮古教育事務所管内
 生活リズムの確立を/低年齢からの対策重要

不登校児童生徒数が報告された教育相談員らの連絡協議会
不登校児童生徒数が報告された教育相談員らの連絡協議会

 今年度一月末までの不登校児童生徒数は、小学生十二人、中学生十人で、前年同期に比べ小学生は五人増、中学生は十九人減少していることがこのほど、宮古教育事務所のまとめで分かった。中学生が小学生の不登校数を下回ったことについて同事務所は、日常的な地域の声掛けが子どもたちの成長に好影響を与えていると指摘。一方で小学校では、生活リズムの乱れが表面化していると分析。四月から市内二校に生活リズム支援員を配置して児童と保護者をサポートするほか、規則正しい家庭生活の確立に協力を求めている。

 同事務所が二十二日開いた宮古地区教育相談員等連絡協議会で報告した。不登校とは、三十日以上の欠席者。ただし、病気や経済的事情での欠席者、保健室登校など何らかの形で登校している児童生徒は除く。
 二〇〇五年度の全国の児童生徒数に占める不登校の割合は、小学生が〇・三二%、中学生が二・七五%。県では小学生が〇・三〇%、中学生が二・三九%といずれも中学生が高い。宮古地区では、同年度の小学生が〇・一七%、〇六年度は〇・三一%となっているのに対し、中学生は〇五年度一・三〇%、〇六年度〇・四六%と、全国、県の数値をかなり下回っているのが特徴だ。
 同事務所の田場秀樹指導課長は「小学生は、自分でも原因が分からないまま学校に行けなくなるケースが多いが、周囲の大人の継続的な声掛けが少しずつ子どもの心を解きほぐし、成長するに従って登校できるようになっているのではないか」とし、地域ぐるみの子育て支援が機能していると見る。
 不登校の未然防止に関しては、低年齢からの対策の重要性が指摘された。これまで小学校での取り組みが立ち遅れてきたとし「欠席や遅刻の目立つ『登校渋り』は、不登校の予兆サイン。しかし、担任は多忙できめ細かい対策を行うことが難しい」と現状を指摘した。
 この状況に対応するため県は〇七年度から、生活が不規則になりがちな子どもたちやその親へのサポートを行う「子どもの生活リズム形成支援事業」を導入する。宮古島市では、南小と東小に生活リズム支援員を配置し、家庭訪問や教育相談、体験活動などを通して登校支援を行う。
 各家庭に向けて田場課長は「『早寝早起き朝ごはん』を合言葉に、規則正しい生活を」と呼び掛け「教育に携わるすべての者が当たり前のことの大切さを見直す時期に来ている」と強調した。
 〇六年度に同事務所が行った教育相談関連事業は▽スクールカウンセラー配置(中学校二校)▽不登校が長期化している児童生徒の巡回相談(宮古全域)▽主に遊び、非行型の生徒のやる気支援(中学校一校)▽子どもと親の相談(小学校一校)▽サポートチーム(市全域)▽自立支援教室(中学校二校)▽問題行動の早期発見や未然防止の推進協力員(小学校一校)がある。
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婦人会結成など提言/狩俣地区
  地域福祉でシンポジウム

狩俣地区の現状と課題などを報告したパネリストたち=25日、狩俣集落センター
狩俣地区の現状と課題などを報告したパネリストたち=25日、狩俣集落センター

 「地域福祉シンポジウム−狩俣地域をみつめるアプローチの仕方−」(主催・宮古島市社会福祉協議会、狩俣自治会ふれあいのまちづくり推進会)が二十五日午前、狩俣集落センターで開かれた。同会委員でパネリストの六人が「婦人会の結成を」「男性高齢者のひきこもりが多い」などそれぞれの立場から現状と課題を報告した。会場には多数の住民らが出席し、熱心に聞き入っていた。
 パネリストは、狩俣自治会長の池間等志さん、宮古島市保健センターの本田光さん、狩俣地区老人クラブ会長の根間昌明さん、狩俣子供会会長の狩俣弘美さん、狩俣花と緑の会副リーダーの川満里美さん、狩俣青年会長の佐渡山誠さんの六人。沖縄大学助教授の上地武昭さんがアドバイスした。
 池間さんは「狩俣の人口は現在六百七十人。このうち、六十五歳以上のお年寄りが三割。男性高齢者のほとんどが、地域の行事などに参加しない。このため、家にひきこもり、寝たきりとなる」と指摘。
 その上で「寝たきりを無くすにはどうすればよいか」と提言した。
 本田さんは「平成十六年の宮古島市の自然死産(妊娠十二週以下で自然に亡くなった赤児)は八人」と前置き。「最近は妊婦がたばこを吸ったり酒を飲む人が多い」などと述べ「自然死産は、生活習慣と無関係ではない」と指摘した。
 根間さんは「婦人会をつくってほしい。婦人会が、地域の子どもたちに安全・安心な教育活動を行うことで、将来の地域が明るくなる」と提起した。
 狩俣さんは「子どもたちが、全員子ども会に入っているわけではない。幼稚園から小学生までの全員が入ってほしい」と要望した。
 川満さんは「ひきこもりのお年寄りが、花を見に来るように、狩俣地区を花いっぱいにしたい」と決意を新たにした。
 佐渡山さんは「青年会の会員は三十二人。行事がある時に参加する人と参加しない人がいる。今のままでは団結力が無くなる」と語り、会員の積極的な活動と会員募集を呼び掛けた。
 上地さんは、介護保健問題について触れ「介護を受けないで、健康維持しているお年寄りには賞品をあげては」などと提言した。
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389(みゃーく)はラッキーナンバー/体験滞在型観光シンポ
  3つのテーマ、8つのものづくり、9つの集客仕掛け
 木村さんが地域ブランドで講話

体験滞在型観光の促進に向けて、研修報告やパネルディスカッションが行われた=25日、ホテルアトールエメラルド宮古島
体験滞在型観光の促進に向けて、研修報告やパネルディスカッションが行われた=25日、ホテルアトールエメラルド宮古島

 体験滞在型観光シンポジウム(主催・宮古島市)が二十五日、市内ホテルで開かれた。市が二年にわたり実施している体験滞在型交流促進事業の活用者の研修報告や、基調講演などが行われた。パネルディスカッションでは、「地域の特性を活かした体験滞在型観光」をテーマに活発な意見が交換された。
 研修報告では、二〇〇五年度から市が二年にわたり実施している体験滞在型交流促進事業を活用し、先進地を視察した体験者三人が登壇。沖縄本島の東村・恩納村、石川県、長野県での研修の様子を説明した。
 基調講演では、三重県で「自然農業豚」をテーマにした「伊賀の里モクモク手づくりファーム」社長理事の木村修さんを招き、「地域ブランドで島を興そう!」と題して講話。「389(みゃ〜く)という数字はラッキーナンバー。宮古島にしかない三つのテーマで八つのものづくり、九つの集客の仕掛けをつくってください」と提案した。また、名所や旧跡などに設置している看板に関して「癒やしの島、宮古島にふさわしい看板を作るべき。看板に宮古をアピールしたいという気持ちがこもっていない」と整備を要請する場面もあった。
 パネルディスカッションでは、木村さん、西里長治さん(パラダイスプラン)、比嘉初江さん(美ぎ島グリーンツーリズム)、渡久山明さん(宮古観光協会)、宮國泰男さん(宮古島市)の五人が参加。宮古テレビの下地一雄さんがコーディネーターを務め、地域の特性を活かした体験滞在型観光について話し合われた。
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百歳おめでとう!/佐良浜の佐久田カマドさん
家族・親せき50人で誕生祝い

三線の音楽に合わせて踊りを楽しむカマドさん=25日、伊良部字池間添
三線の音楽に合わせて踊りを楽しむカマドさん=25日、伊良部字池間添

 今年一月に数え百歳を迎えた佐久田カマドさん=伊良部字池間添=の誕生祝いが二十五日、約五十人の親せきが集まって盛大に行われた。孫やひ孫は合わせて六十人。カマドさんはみんなから「百歳おめでとう。これからも長生きしてね」と祝福された。カマドさんは一九〇八(明治四十一)年一月二十八日生まれ。誕生祝いはカマドさんの意向で、誕生日ではなく大安吉日に開かれた。
 この日は、孫やひ孫らが沖縄本島や本土のほか、アメリカなどの国外からも祝福に駆け付けた。「きょうは体が元気。みんなにゆっくり楽しんでほしい」と顔をほころばすカマドさん。一人ひとりの手を握りながら「おばあの長生きをあやかって、あなたたちも長生きしてね」とハキハキとした声で話し掛けていた。
 午後からうたげが始まると、親せきらが三線を演奏。カマドさんは晴れ着に着替えると、三線に合わせ元気いっぱいに踊りを楽しんでいた。
 四男の郁男さん(61)は「自分を生んでくれたこと、長生きしてくれたことに礼を言いたい」と感謝の言葉を述べた。
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