200平成19  320 火曜日

補正予算案を修正/市議会本会議
  トゥリバー委託料カット/農村事業は繰越認める

06年度一般会計補正予算案を減額修正し可決した市議会本会議=19日、宮古島市議会議場
06年度一般会計補正予算案を減額修正し可決した市議会本会議=19日、宮古島市議会議場

 開会中の宮古島市議会(友利恵一議長)三月定例会は十九日午前、本会議を開き、当局提出の二〇〇六年度一般会計補正予算案を減額修正して可決した。総務財政委員会が減額とした二件の繰越予算のうち、トゥリバー売却に関する委託料四千万円の減額は全会一致で認めたが、農村総合整備事業に関する八千三十万円の減額案については否決。狩俣地区で進められている健康ふれあいランド整備の工事中断と請負金額の減額は回避された。ただ、トゥリバー関係の委託料減額の影響は大きく、市は当面、売却に向けて独自の交渉を余儀なくされる。

 本会議では、はじめに総務財政委の前川尚誼委員長が委員会の審議結果を報告し、トゥリバー売却を仲介した業者(専任媒介業者)に支払う成功報酬四千万円と農村総合整備事業(平良地区)の八千三十万円の繰越予算をいずれもゼロとする修正案を提示した。
 トゥリバー委託料の修正理由は、委託料の支出について議会の議決を得ながら、予算執行を持ち越した当局の行政手法を疑問視。農村総合整備事業は「事業に対する基本計画の契約のあり方が問われている」とし、委員会で採決に至った結果、修正としたことを報告した。
 この修正案に対し、与党と与党寄りのそうぞうが、トゥリバーに関する委託料の減額修正は認めるが、農村総合整備事業の減額は認めないとする新たな修正案を提出した。
 これを受けて、まず委員会報告と与党側の修正案で共通するトゥリバーに関する委託料を減額修正とする案を審議、採決を取り全会一致で可決した。次にトゥリバーに関する委託料を除き、農村総合整備事業に関する繰越予算の減額修正をめぐり採決を取った。与党は反対、野党は賛成で可否同数となったため、最後は下地智議長代行の判断で同事業に関する繰越予算の減額修正案は否決された。
 野党側の棚原芳樹氏は二件の予算審議ともに「納得しかねる」として退席。このため、議会内勢力は与野党とも十二の同数となっていた。
 〇六年度補正予算案はトゥリバー売却に関する委託料四千万円のみが減額され、その他の予算案は原案可決。補正後の歳入歳出予算の総額は三百三十六億二千百九十一万二千円となった。
 このほか、国民健康保険事業、港湾事業、農漁業集落排水事業、公共下水道事業、介護保険の各特別会計の〇六年度補正予算案もそれぞれ可決した。
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「混乱」の責任に言及/トゥリバー売却問題で市長
  
市議会一般質問

 宮古島市の伊志嶺亮市長は十九日、専任媒介業者の選任をめぐるトゥリバー地区の売却問題について「責任の取り方は一日も早く売却し、財政状況改善や地域の活性化につなげること」と従来の見解を繰り返す一方、「今月中にでも公表したいと考えている」と述べ、混乱に対する処分を近く明らかにする姿勢を示した。同日始まった市議会三月定例会一般質問で下地明氏の質問に答えた。下地氏のほか佐久本洋介氏、前川尚誼氏らが登壇し、当局をただした。
 トゥリバー地区売却の仲介業者(専任媒介業者)に支払う成功報酬四千万円は昨年八月の臨時議会で可決されたが、当局が専任媒介契約を結ばなかった経緯があり、今定例会では野党を中心に強い反発の声が上がっている。
 懸案事項の一つである葬祭場建設問題で下地学助役は「内部の検討委員会で候補地を絞り込み、周辺住民の合意形成に取り組んでいる。早急に住民説明会を開き、用地を確定したい。絞り込んでいる用地と市有地の交換で交渉している」と、進ちょく状況を説明。建設場所については明らかにしなかった。前川氏の質問に答えた。
 環境保全などへの財源とする法定外目的税の導入について、伊良部平師企画調整課長は「新年度に有識者や関係機関を含めた検討委員会を立ち上げ、検討を進めたい」との見通しを示した。佐久本氏への答弁。
 前川氏の「従軍慰安婦について宮古での記録を残すべき」との質問に伊志嶺市長が「従軍慰安婦は自分の家の近くでもあった。記録として市史などに残したい」と答弁したことに、池間雅昭氏は「従軍慰安婦の定義は何か」などと求め、長時間空転。予定されていた一般質問は深夜に及んだ。
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06年度30億円届かず/肉用牛競り
  
前期比1500万円減/上場頭数減が響く

 二〇〇六年度の三月肉用牛競り市が十九日、JAおきなわ宮古家畜市場で開かれ、宮古地区二市場(宮古、多良間)の同年度総販売額がまとまった。販売額は二十九億四千二百十四万九百五十円で前年度を千五百四十万一千四百円下回った。一頭平均価格は四十三万四千九百六円(前年度比一万六千百九円増)、平均キロ単価は千六百四円(同二十円増)と、ともに前年度より高値となったが上場頭数、成立頭数が減少したため、目標の三十億円には届かなかった。
 今年度の上場頭数は宮古五千四百五十六頭、多良間千四百十二頭の計六千八百六十八頭(前年度比二百六十三頭減)。このうち宮古五千四百四頭、多良間千三百六十一頭の計六千七百六十五頭(同二百九十七頭減)の取引が成立した。取引率は九九%だった。
 市場別の実績は宮古が販売額二十四億四千六百九十二万六千三百円(前年度比二千百八万四千円減)。一頭平均が四十五万二千七百九十九円(同一万六千九百九円増)、キロ単価が千六百三十四円(同十八円増)。月別キロ単価は五月の千七百三十六円が最も高かった。
 多良間は、販売額が四億九千五百二十一万四千六百五十円(前年度比五百六十八万二千六百円増)。一頭平均三十六万三千八百六十一円(同一万四千百九十五円増)、キロ単価が千四百七十四円(同三十五円増)だった。月別キロ単価の最高は四月の千六百十九円。
 性別で成績を見ると、去勢は一頭平均価格四十七万七千七百九十円、キロ単価千七百七十六円。雌は一頭平均三十八万一千四百四十一円、キロ単価千三百九十三円だった。
 前年度より販売額が下回ったことについて、JAおきなわ宮古地区営農センター畜産部は「一月の販売額が例年より伸びず、八月は上場頭数が少なかった」と要因を挙げた。
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工事の分割発注を/伊良部大橋建設
  建設業協支部が県に要請

松川支部長(右)が県の首里土木部長(左)に伊架橋工事について地元企業への優先、分離分割発注を求める要請書を手渡した=19日、県庁
松川支部長(右)が県の首里土木部長(左)に伊架橋工事について地元企業への優先、分離分割発注を求める要請書を手渡した=19日、県庁

 【那覇支局】県建設業協会宮古支部(松川勝弘支部長)は十九日、県庁に首里勇治土木建築部長を訪ね、「伊良部架橋建設工事に係る分離分割発注」と地元、同協会加盟社への優先発注について要請した。
 要請で松川支部長は「島民の夢だった伊良部架橋が着工を向かえ、広域公共工事の核として地元業界への活性化と経済効果は大きい。工事の発注については圏域企業が工事可能な発注規模で最大限に分離分割での発注をお願いしたい」と求めた。 
 これに対して首里部長は「皆さんの心配はもっともだと思う。同事業は地元への波及効果が期待されており、実現に至ったのも地元の努力が大きい。仲井真知事が事業を二年加速するとの方針でわれわれとしても一日も早い、供用開始を目指している。これまでも地元優先発注を心掛けており、圏域の状況を考慮して地元に発注できるような対応を十分に整えていきたいと思う」と述べた。
 伊良部大橋は、宮古本島と伊良部島を結ぶ離島架橋で橋梁(きょうりょう)と海中道路を併用。総延長は四・三`でこのうち本梁部が三千五百四十b、取り付け橋梁が百七十b、海中道路が六百b、大橋や取り付け道路を含めた総事業費は三百二十億円を見込み、完成は二〇一二年年度を予定している。
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方言や伝統行事で幸せに/下地敏洋さん論文報告
「交流と慣れ」が影響/高齢者の「幸福感」で調査

高齢者福祉関係者らが研究報告に耳を傾けた=19日、宮古島市老人福祉センター
高齢者福祉関係者らが研究報告に耳を傾けた=19日、宮古島市老人福祉センター

 今春、県立看護大大学院で博士号を修得した下地敏洋さん(48)=県立総合教育センター教育経営研修課主任研究主事・宮古島市城辺出身=の学位論文報告会が十九日、市老人福祉センターで行われた。下地さんは、高齢者の「地域文化行動と幸福感」の関係について発表。「地域生活の中での『交流と慣れ』が高齢者の幸せの要因」とし、地域文化を通した高齢者ケアと老後を見据えた教育の重要性を説いた。

 この論文は、高齢者の文化的行動がそれぞれの幸福感に及ぼす影響を調査・分析したもの。地域文化行動を▽方言で会話する▽地域に住む▽伝統行事に参加する▽地域行事に参加する−の四つに分類して調査。昨年、介護保険サービスを利用していない七十歳以上の宮古のお年寄り百人を対象に実施した。
 調査の結果、下地さんは「四つの行動に見られる『交流と慣れ』の共通点が、安心感や楽しさにつながることが分かった」とした。さらに、地域文化行動を通して「健康と役割・義務」を推進することで高齢者が幸せを感じることができると結論付けた。
 下地さんは「老年期の幸福の要因を明確にすることは、高齢者だけでなく他の世代にとっても人生の質を高める意味で重要なこと」と説明。超高齢社会を生き抜くために、地域文化を通してさまざまな人と心を通わせ、ともに生きる能力を育成することの必要性を強調した。
 下地さんは研究で「医療福祉だけでなく教育界にも生かせる結果を得ることができた」と話し、今後学校や教育行政へ提案していく考えを示した。
 報告会には、宮古の福祉関係者や調査協力者らが出席した。福祉関係者は「高齢者のニーズが明確化され、より効果的な生活支援の在り方を考えるきっかけになった」と感想を話した。
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下地さん 県工芸士に認定/宮古上布
高度な製糸技術を評価

安里副知事から宮古上布製糸部門で県工芸士認定証を授与された下地さん(奥)=19日、県庁
安里副知事から宮古上布製糸部門で県工芸士認定証を授与された下地さん(奥)=19日、県庁

 【那覇支局】二〇〇六年度県工芸士認定証授与式が十九日、県庁で行われ宮古上布の製糸部門で宮古島市の下地ヨシさん(74)ら九人に安里カツ子副知事から認定証が授与された。
 認定者を代表してあいさつした下地さんは「県の工芸士に認定されて身に余る光栄。各地域で人々が守り続けてきた伝統工芸に携わることを誇りに思うとともに責任の重さを感じている。この技術を沖縄の宝として後継者育成にも頑張りたい」と述べた。
 仲井真弘多知事に代わり、認定書を授与した安里副知事は「この認定は書類審査と作品審査で行われ、皆さんはその高度な技術と技法が高く評価された。これからも産業界に新しい風を吹かせ、県の工芸産業界発展のために協力してほしい」と期待した。
 同認定事業は、一九九七年度の第四次県伝統工芸産業振興計画に基づき、九九年度より実施。県内で工芸品を製造し、優秀な技術・技法を保持する人を認定することにより社会的評価を高め、工芸産業の振興を図ることを目的としている。
 認定者は、今回を含め計六十三人。宮古上布では今回の下地さんを含めて、製織や製糸、意匠部門に計十人が認定されている。
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高校生がイベント収益30万円寄付/チャリティーフェスタ10RUN
オニヒトデ駆除に一役

募金を届けた(前列左から)垣花里絵子さん、根間春奈さん、武富沙織さん、砂川倫瑠さん、與那覇賢美さん(後列中央)=19日、宮古支庁
募金を届けた(前列左から)垣花里絵子さん、根間春奈さん、武富沙織さん、砂川倫瑠さん、與那覇賢美さん(後列中央)=19日、宮古支庁

 昨年八月に高校生が実施した「第三回チャリティーフェスタ2006−10RUN−」の代表五人は十九日、宮古支庁を訪れ、宮古圏域海洋危険生物対策協議会オニヒトデ部会に同フェスタの収益金三十万円を寄付した。このイベントは、高校生がリレー形式で十時間走り続け、周回数に応じて企業などから募金を集めた。高校生が企画運営し、社会勉強の一環とするとともに、宮古島の活性化を図る目的で行った。
 募金の贈呈式で、今春宮古高校を卒業した垣花里絵子さんは「サンゴ礁をオニヒトデから守りたいとの願いが込められている」と話した。
 募金を受け取った同協議会の砂川光弘宮古支庁農林水産調整監は「宮古の自然保全や福祉向上に寄せる皆さんの思いは素晴らしい。オニヒトデの駆除活動に活用し、皆さんの気持ちに応えたい」と感謝の言葉を述べた。
 同伴した仲間博之宮古高校校長は「自分たちの手で社会を良くしたいという高校生たちの姿勢を誇りに思っている。また、募金という形で子どもたちの気持ちを受け入れてくれた皆さんに感謝している」と述べた。
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