200平成19  317 土曜日

1億2000万円の繰越認めず/06年度補正予算
  減額修正し可決/農村事業、工事ストップか
市議会総務財政委

06年度一般会計補正予算案を減額修正し、可決した市議会総務財政委=16日、宮古島市役所平良庁舎
06年度一般会計補正予算案を減額修正し、可決した市議会総務財政委=16日、宮古島市役所平良庁舎

 宮古島市議会の総務財政委員会(前川尚誼委員長)は十六日、二〇〇六年度補正予算案を審議しトゥリバー関連と農村総合整備事業の繰越予算合わせて一億二千三十万円を減額修正し可決した。減額された農村総合整備事業は、平良狩俣地区で実施している健康ふれあいランド整備関係の予算。すでに遊歩道整備などで工事発注を済ませており、十九日の本会議の判断によっては同工事がストップ、請負業者への契約金額も減額しなければならない事態に陥る。減額修正の理由は主に同事業に関する基本設計業務などにおける随意契約のあり方。「違法性が高い」として繰越予算を認めなかった。

 補正予算審議では、最後までトゥリバーと農村総合整備事業の繰越予算が焦点となった。トゥリバーの売却を仲介した業者(専任媒介業者)に支払う成功報酬四千万円の繰り越しについては委員の全会一致で減額。農村総合整備事業の繰越予算は採決を取り与党の仲間明典氏、山里雅彦氏、そうぞうの池間健栄氏、新里聡氏が賛成したが、野党の池間雅昭氏、真栄城徳彦氏、新城啓世氏、嘉手納学氏、公明の富浜浩氏が反対に回り、賛成少数で減額された。
 農村総合整備事業は〇二年度に導入、国や県の補助を受ける約二十億円の事業だ。市は今年度当初で四億四百万円を計上したが、資材の納入が遅れたこともあり、八千三十万円の繰り越しを今定例会に求めている。
 同事業で導入するのが狩俣地区における健康ふれあいランドの整備。過疎地域で農水産業と観光産業をつないで地域の活性化を図る目的で、今年度は遊歩道二百九十九bと管理道路二百四十六bを整備する。すでに工事請負契約は競争入札で決められ、工事そのものも走り出している。遊歩道と管理道路の工事請負金額は合わせて約一億九千万円だが、繰越予算が認められなければ、業者の請負金額は減額措置となり大きな影響が出る。
 委員会では減額修正をめぐり意見が割れた。減額の理由は、農村総合整備事業の健康ふれあいランド構想のプログラム策定業務と基本設計業務の契約のあり方。市は事業の性格から、競争入札に付することが不利と判断して東京都のNPOと随意契約を結んだ。
 この随意契約に至る過程については与野党ともに異論を唱え、地方自治法(随意契約)に照らしながら競争入札を行わずに契約するなどした市の行政手法を批判した。ただ、与党側は随意契約と工事関係で支出する繰越予算は「別問題だ」と訴え、予算を通すよう主張。これに対し野党側は「契約に違法性があるものは認めることはできない」として意見が割れた。
 最後は採決を取り、賛成少数で減額。この修正補正予算案は、十九日の最終本会議で報告される予定だが、可決されると工事請負契約の問題だけではなく、事業執行面でも影響が出る公算が大きい。
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大野越排水溝を登録/国の有形文化財に、宮古から初
  平良・大野山林

宮古島市として国の登録有形文化財第一号となった大野越排水溝
宮古島市として国の登録有形文化財第一号となった大野越排水溝

大野越排水溝ー図

 国の文化審議会(石澤良昭会長)は十六日、国の登録有形文化財(建造物)について、宮古島市の大野山林にある排水トンネル「大野越排水溝」など県内十七件の建造物の登録を文部科学大臣に答申した。宮古からの登録は初めて。同日行われた会見で伊志嶺亮市長は「貴重な文化遺産として国、県と連携し後世に残していきたい」と述べた。
 大野越排水溝は、宮古島市の大野山林に位置し、一九三四年に建設された。以前、この地域は低湿地の広がる土地だったため水はけが悪く常に湿潤な土地だった。国が農業上の土地利用増進を図る目的で大野山耕地整理計画を策定し、その事業の一つとして建設された。
 構造はアーチ型の鉄筋コンクリート造りで延長六百四十b、高さ約一・七b、幅約一・八b。トンネル内に一部コンクリートの剥離や鉄筋の腐食が見られるが保存状態は比較的良好で、現在も排水トンネルとして機能している。
 昭和初期の排水トンネルとしては、比較的規模が大きく、建設当時の技術的水準の高さや歴史的背景を反映する構造物となっている。
 十六日、市役所平良庁舎で会見が開かれた。市教育委員会の久貝勝盛教育長は「今回の登録は大野山林の価値を高める」、市文化財保護審議会の安谷屋昭会長は「住民が文化遺産を大切にする共通認識を持つ機会になる」とそれぞれ登録を喜んだ。
 同排水溝はこれまで、市の文化財指定はなかった。国の調査などでその重要性が再認識され、今回の登録となった。同様のトンネルで城辺字比嘉の瑞福隧道が市指定建造物の指定を受けている。
 今回、県内の登録は宮古島市を含む四市村に所在する建造物十七件でこれまでの登録件数を含めると五十一件となる。
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アオドウガネ 5年かけて根絶へ/可動式誘殺灯を989基設置
  きび土壌害虫防除確立支援事業推進協

今月下旬から設置される可動式誘殺灯=16日、県宮古支庁
今月下旬から設置される可動式誘殺灯=16日、県宮古支庁

 宮古の基幹作物サトウキビの根部に食害を与えて立ち枯れさせる、土壌害虫アオドウガネ根絶へ−。さとうきび土壌害虫防除確立支援事業推進協議会(会長・砂川光弘宮古支庁農林水産調整監)の第二回会合が十六日、同支庁で開かれた。可動式誘殺灯の設置計画および保管場所(案)などを承認。今月下旬から宮古島市・多良間村に同誘殺灯計九百八十九基を設置し、五年かけてアオドウガネを根絶する。県内で同誘殺灯が導入されたのは宮古が初めて。

 国の特別支援で県が実施するもので、総事業費は一億五千五百万円(国庫支出一億二千四百万円、県支出三千百万円)。
 宮古のアオドウガネ被害は、一九六五−七八年ごろまではキビ株出し面積全体の六○−七○%だった。それ以降急激に減少し、八八年以降には一○%以下まで減少。これは株出し不萌芽地域の急速な拡大によるもので、主としてアオドウガネなどによる地下部の食害が直接的要因とされている。
 同誘殺灯は、台風が襲来する前に移動が可能なことから、従来の固定式誘殺灯に比べ、耐用年数などでメリットが大きい。
 砂川会長は、宮古でサトウキビを搾った後の廃糖蜜でバイオエタノール製造を実証実験していることに関連して「バイオエタノールは全国的に注目を集めているが、農業振興上からはキビ増産が大事」と述べ、アオドウガネ根絶によるキビ生産農家の反収・収益増などに期待を寄せた。
 地域別の同誘殺灯設置は、▽平良三百七十四基▽城辺二百五十八基▽上野二十七基▽下地百二十一基▽伊良部百二十七基▽多良間八十二基−。
◆◆ことば◆◆
 誘殺灯 アオドウガネの成虫を電灯におびき寄せ、ぶつかって落ちた成虫を袋で捕獲する病害虫駆除設備。可動式誘殺灯に加え、既存の固定式誘殺灯千百六十一基も使用する。アオドウガネの成虫の活動期は五月から八月いっぱい。
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多重債務の相談最多/県民生活センター分室まとめ
  宮古、昨年4−12月 「マルチ商法」3倍に増加

 宮古地区における消費生活相談の受付件数は、昨年四−十二月までの九カ月間で三百四十三件と前年同期間より二十五件(七・九%)増え、相談内容ではフリーローン・サラ金(多重債務)が七五件と、全体の二二%を占めていることが県民生活センター宮古分室のまとめで分かった。特殊販売における苦情相談では「マルチ商法」が前年同期間より三倍も増加した。
 苦情相談件数が最も多かった多重債務は、若年層から高齢者までと年齢層が幅広く、同分室では「借金についての悩みが深刻であることがうかがえる。多重債務は本人が立ち上がらないと解決できない。一人で悩まず、まずは相談を」と呼び掛けている。
 相談件数はそのほか、身に覚えのない商品などの請求(三十件)やインターネットや携帯電話などのアクセストラブル(二十一件)、行政に関する苦情(十二件)などが上位を占めている。
 受付件数のうち「問い合わせ・要望」件数が五十二件(全体の一五・二%)と増える傾向について同分室では「個人同士の金銭問題など、経済的な問題がさまざまな要因と絡んでいる様子がうかがえる」と分析。相談のトップを占めている多重債務が、別のトラブルを引き起こす可能性もあることを指摘した。
 相談件数を男女別で見ると男性が三九%で、女性は五八%。年代別では、四十代が最多で全体の二四%、続いて五十代二二%、三十代一六%、二十代一二%となっている。
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小・中学校に果樹苗木配布/県緑化推進委宮古島支部
 緑を愛する心育てて

伊志嶺市長(後列左から4人目)らが子どもたちに果樹の苗木を手渡した=16日、市役所平良庁舎玄関前
伊志嶺市長(後列左から4人目)らが子どもたちに果樹の苗木を手渡した=16日、市役所平良庁舎玄関前

 県緑化推進委員会宮古島市緑化支部は十六日、二〇〇六年度緑の募金事業の一環として苗木の配布式を市役所平良庁舎で行った。学校の緑化を図るのが目的で、配布式で同支部長の伊志嶺亮宮古島市長らが西城中学校と北小学校に果樹の苗木を計十七本ずつ手渡した。
 近年、子どもたちが果実をつける木を見る機会が少ないことから、今年はミカンやシークワーサー、マンゴー、サクラなど計十七本を宮古島市立の小中学校三十八校にそれぞれ配布した。
 式典では、伊志嶺市長が「(果樹を)目で見て取って食べる楽しみは何ものにも代え難い。育てる楽しみ、実を取って食べる楽しみ、緑を愛する気持ちをはぐくんでください」とあいさつし、苗木を手渡した。
 代表で受け取った佐久田尚也君(西城中二年)は「大切に育て、すてきな花を咲かせたい。給食や部活の合間に食べるのも楽しみ」と話した。
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子ども郵便局閉局で感謝状/鏡原小
 お金の大切さ学んだ

砂川校長(右)に感謝状が手渡された=16日、鏡原小学校
砂川校長(右)に感謝状が手渡された=16日、鏡原小学校

 宮古郵便局貯金保険課の亀島誠志課長は十六日、鏡原小学校(砂川和子校長)を訪ね、同校「子ども郵便局」の閉局に当たり、感謝状を贈呈した。
 子ども郵便局は、日本郵政公社が金銭教育の一環として各地の小学校で支援してきたが、来年度の郵政民営化で廃止される。
 同校では、一九八五年に開局。以来、多数の児童たちが貯蓄に利用してきた。
 亀島課長は「郵政民営化を前に子ども郵便局は終わりになるが、金銭教育の浸透を図ることができた。皆さんのご協力に感謝します」と話し、感謝状を手渡した。
 砂川校長は「お金の大切さだけでなく、目的を持って物事をやり抜く精神を育てることができた」と話した。
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副村長条例制定など可決/多良間村議会閉会
6氏が一般質問、村政ただす

 【多良間】多良間村議会(西平幹議長)三月定例会は十六日、一般質問が行われ、西筋米吉、石原朝英、、佐久本昇、豊見城玄淳、本村健次、森山実夫の六氏が登壇し当局をただした。十五億二千三百八十七万六千円の二〇〇七年度一般会計予算案や〇六年度補正予算案、副村長定数条例の制定など当局が提案した二十七議案を可決し、閉会した。豊見城氏は助役制度の廃止について質問した。下地昌明村長は「離島という関係上、留守にして職務をこなすことも多く必要である。廃止は考えていない。四月から副村長という役職に変わる。権限を委譲しながら頑張ってもらいたい」と述べた。
 防災対策と地域防災計画について、下地村長は「真剣に考えなければならない問題。二〇〇七年度中に防災マニュアル作り、〇八年度には計画書の作成を行う」との方針を示した。西筋氏への答弁。本村氏は学校敷地内全面禁煙について質問。福嶺常夫教育長は「小・中の校長会を開き、敷地内の全面禁煙を実施することを決めた」と答えた。
 副村長を設置する条例案は改正地方自治法によるもの。今の助役を副市町村長とし、収入役を会計管理者に改めることを義務付けられ、その権限が拡大される。四月一日から伊良皆光夫助役が就任する予定。
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