200平成19  315 木曜日

「県の管理責任」認めず/西原産廃火災住民訴訟
  那覇地裁 著しく合理性欠かない/業者には2500万円賠償命令
原告納得せず控訴方針

判決を前に入廷する原告団=14日、那覇地裁
判決を前に入廷する原告団=14日、那覇地裁

 【那覇支局】二〇〇一年十一月の宮古島市平良字西原の産業廃棄物処分場火災で、健康被害などを受けたとして、大浦地区の住民八十八人が処理業者と、監督責任を持つ県を相手取り、約六千万円の損害賠償を求めている訴訟の判決が十四日、那覇地方裁判所(田中健治裁判長)であった。田中裁判長は業者に対しては原告一人当たり十万−三十万円、総額で約二千五百万円の損害賠償を命じたが、県の監督責任を求めた住民側の主張は退けた。県に責任は無いとの判決に原告団は「厳しい判決」との認識を示し、控訴の方針だ。

 原告団の下地博和団長は「常識的なことがなかなか通らないし、正されない。県の責任は無いとする判決には憤りを感じる」と判決内容に納得できないとの見解を示した。
 原告団はこの日の夕方に宮古島市で報告会を開き、控訴する方針を確認した。
 今回の判決について、県文化環境部の伊佐嘉一郎部長は「県の主張が認められた正当な判決と喜んでいる。県としては引き続き宮古島市と連携して処分場およびその周辺環境のモニタリングの実施に努めていきたい」と述べた。
 原告側は県の責任を「処理業者の違法行為に対し関連するすべての廃棄物処理業許可の取り消しなどの措置を取るべき義務があり、監督責任を持つ県にもこの問題の責任はある」とした上で「当義務を尽くしていれば、そもそも本件火災の発生事態があり得なかった」として、県には責任があったと主張していた。
 この主張に対して、田中裁判長は「産廃処分業の許可取り消しや事業の停止、処分場に係る産業廃棄物処理施設の設置許可の取り消し、使用停止等を命じなかったという規制制限の不行使がその許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くものと認めることはできないことから、民法上の共同不法行為責任を認めることもできない」として、原告側の請求を棄却した。
 

県責任棄却「非常に残念」/西原産廃火災判決
肩落とす原告住民/進む環境悪化に危機感

梶山弁護士と下地団長から判決内容について報告があった=14日、大浦公民館議会攻勢受け、異例の緊急声明
梶山弁護士と下地団長から判決内容について報告があった=14日、大浦公民館議会攻勢受け、異例の緊急声明

 宮古島市平良字西原の産業廃棄物処分場火災で、地元大浦地区の住民が健康被害などに関して処理業者と監督責任を持つ県を相手に損害賠償を求めた訴訟の那覇地方裁判所の判決を受け十四日夜、大浦公民館で裁判報告会があった。処理業者の責任を認める一方、県の監督責任について棄却した判決について、住民からは「非常に残念」という声が多く聞かれた。原告団は控訴する方針を固めており、きょう十五日朝に改めて原告住民集会を開いてその手法を確認する。

 原告団に名を連ねる八十代の女性は「テレビの夕方のニュースで判決を知った。県の責任が認められないという判決ではどうしようもない」と肩を落とした。
 五十代の男性は「判決はある程度は予想していた。県の責任を認めてほしいという気持ちは強いので残念」と話す一方で、「裁判を続けていくには、費用的な面で難しいのでは」と複雑な心境ものぞかせた。
 報告会には、原告となった同地区住民をはじめ、一般市民ら約四十人が参加。原告団の下地博和団長が感想を述べた後、弁護代理人の梶山正三弁護士が、判決内容について説明した。
 下地団長は「業者に勝って県には負けたという内容。判決次第では県といろいろな対話ができたと思うが。晴れではなく真っ黒の曇り」と表現。「求めるのは原状回復。大浦地区の存亡が懸かっている。県の責任を認めない方向ならば、私たちの周辺環境は悪化の一途をたどると危機感を感じている」と語気を強めた。
 引き続き判決内容について、梶山弁護士が解説。地裁が棄却した県の監督責任に関し「多くの都道府県の産廃行政を見てきているが、無許可の焼却炉設置を認めたところは一つもない。無許可で焼却炉を設置し、医療品を燃やしていても、『許可を取りなさい』という指導しかしていない。いくらずさんな産廃行政でもこんなひどいところはない」と厳しく指摘した。
 その上で「これほど著しい例はないのに、判決は『著しく逸脱したものとは認められない』としている。『著しく』の意味が分かっていない。実態に即した理解力、実態に対する洞察力や想像力のない判決だ」と断じた。
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「総合庁舎」本格検討へ/市行革推進本部
  組織の見直し案固める

 宮古島市行政改革推進本部は十四日、組織機構の見直しに関する方針を審議した。現在の分庁方式を総合庁舎方式に移行する案については「できるだけ早く」と明記。時期は示していないが、総合庁舎方式を本格的に議論する方針を固めた。この案は、市民で構成する行革推進委員会へ提案される。市の外郭団体の見直し案も確定。行革推進委員会の意見を付して改革を実行する。
 組織機構の見直しに関しては、課長級で構成する行革幹事会で示された案を軸に議論。五年後、十年後の組織体制とした上で▽総括的事項▽組織機構の新設▽組織機構の移管および移行▽組織機構の統合▽組織機構の統廃合▽組織機構の廃止▽支所機能▽職員定数−の改革案を固めた。
 市の庁舎は、旧市町村に配置している分庁方式を取りやめ、総合庁舎方式に移行する方針。これに併せて、各庁舎および施設のあり方を検討、財政負担の軽減を図る。会議では、庁舎確保の方法などが課題に挙げられた。
 組織機構の新設では五年後に「イベント・スポーツ担当局」の設置を検討する。組織機構の移行では、「水道局」を「水道部」に移行していく案が示された。
 統廃合では、保育所や幼稚園、小中学校の統廃合を盛り込んだ。組織機構の廃止では、二〇〇八年四月に城辺、下地、上野の教育委員会分室を廃止する方針。
 外郭団体の運営健全化は見直し案が確定。土地開発公社は「近い将来解散する」とし、同公社の業務は市が引き継ぐ。パブリックゴルフ場は民間売却を検討。ただ、下地島残地の有効利用と併せての改革案となる。
 行革推進委からは「建設目的である住民の健康増進に寄与しているのか」などの疑問の声が挙がった。
 宮古島マリンターミナルは会社の自助努力で見直していく。市社会福祉協議会、宮古島食肉センターも同様の見直し案に沿って改革を進める。
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十五の春にサクラサク/県立高校入試合格発表
  宮古5高校では637人合格

受験番号を見つけ歓喜する受験生ら=14日、宮古高校
受験番号を見つけ歓喜する受験生ら=14日、宮古高校

 二〇〇七年度県立高校入試の合格者発表が十四日、県内一斉に行われた。宮古地区五高校では計六百三十七人が合格を果たした。このうち、一般入学試験の合格者は四百六十一人。連携型・推薦内定者は百七十六人だった。第二次募集の願書受付は四校十二学科できょう十五日と、あす十六日の二日間行われる。志願変更は十九日、合格発表は二十六日。
 午前九時から行われた合格発表には発表前から多数の受験生たちが訪れた。
 受験番号を見つけると達成感と安堵感に満ちた表情を見せていた。
 各校合格者の内訳は▽宮古高校三百二十人▽伊良部高校四十九人▽宮古農林高校七十二人▽宮古工業高校九十三人▽翔南高校百三人−となっている。
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「関係法令の順守を」/伊志嶺市長
  議会攻勢受け、異例の緊急声明

 宮古島市の伊志嶺亮市長は十四日、各部長を集めて自治法や条例など関係法令の順守を呼び掛ける異例の「緊急メッセージ」を発表した。
 開会中の宮古島市議会三月定例会の常任委員会審議で、事業導入の経緯や行政手法について厳しい指摘を受けているための措置。メッセージでは随意契約の見直しや業務日誌の作成、内部における協議内容の議事録の整備ほか、課内研修計画を立てるよう指示した。伊志嶺市長は「当たり前のことが十分守られていない現状がある。しっかり順守してほしい」と各部長に命じた。
 メッセージでは「『自己決定、自己責任』を合言葉に、議会および市民に説明責任が果たせるよう部課長の強いリーダーシップの下、全庁を挙げて取り組むように」と指示。業務を遂行するに当たり自治法や条例、事務決裁規定、財務規則など関係法令の精査、順守を十分心掛けることも促している。
 具体的には▽「議会の同意を必要とすること」に細心の注意を払う▽契約段階(随意契約など)における自治法、条例の順守▽事業を進める際の協議内容など、必要事項の記録(議事録整備)▽公文書の受付、出張復命書など適切な事務処理−などを求めている。
 これを実行するため、二〇〇七年度から部課長を中心に課内研修計画を立て、互いの情報交換を積極的に進めることも促した。
 伊志嶺市長は「夕張市の財政破たんでは、議会のチェック機能も問われたことから、宮古島市議会のチェックもさらに厳しくなる。(メッセージの内容が)十分守られていないこともあり、いろいろなことが起きているので、しっかりと順守してほしい」と述べた。
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洋菓子製造者に改善指導/食中毒対策ネット
 保健所 年末取り締まり結果報告

ホテルや飲食店が食中毒対策で認識を深めた=14日、宮古福祉保健所
ホテルや飲食店が食中毒対策で認識を深めた=14日、宮古福祉保健所

 ホテルや飲食店で構成する「大規模食中毒対策ネットワーク会議」の第三回会議が十四日、宮古福祉保健所で開かれ、同保健所が昨年末実施した食品衛生調査の結果が報告された。対象四十七業者すべてに安全面などに違反はなかったが、洋菓子と豆腐の一部製造者に改善指導を行ったことを説明した。
 この調査は昨年、年末一斉取り締まりとして実施。年末年始に繁忙期を迎える飲食店、菓子製造業、魚肉練り製品製造業など九業種四十七事業所で行われ、行政処分の対象業者はなかった。
 しかし、生洋菓子二十三検体のうち八検体で大腸菌群と一般細菌数が、豆腐およびその加工品で十検体中、一検体で大腸菌数が国の指導基準を上回っているとして、衛生管理の改善指導を行った。
 ホテルでの食中毒発生を想定した議題では、同会議の金城康政議長(宮古福祉保健所生活環境班長)が「対応が後手に回ると事態をより悪くする。患者に病院を紹介するのと同時に保健所にも相談してほしい」と話した。また、修学旅行など団体宿泊は、保健所への事前報告を依頼した。
 参加者の情報交換では、市内の大手リゾートホテルが「従業員だけでなく出入り業者にも手洗いを励行し衛生面に配慮している」と報告。他社からも「できる範囲で見習いたい」との賛成意見が相次いだ。
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市長に「芸能まつり」PR/沖縄宮古郷友連合会
 
国立劇場で来月15日開催

兼島会長(中央)、狩俣事務局長(右)が伊志嶺市長を訪ね「芸能まつり」をPRした=14日、宮古島市役所平良庁舎
兼島会長(中央)、狩俣事務局長(右)が伊志嶺市長を訪ね「芸能まつり」をPRした=14日、宮古島市役所平良庁舎

 沖縄宮古郷友連合会の兼島恵孝会長と狩俣三千男事務局長が十四日、平良庁舎に伊志嶺亮市長を訪ね、四月十五日に浦添市の国立劇場おきなわで開催する「芸能まつり」をPRした。兼島会長は「今回は二十回の節目。従来よりレベルアップして、観客と舞台が一つになって盛り上がるまつりにしたい。『大大成功』させたい」と述べた。
 まつりは同連合会の恒例行事。例年は「演芸会」のタイトルで那覇市民会館を会場に行っているが、二十回目を迎える今回は特別に国立劇場での開催に決まった。当日は昼夜二回公演。昼の部は午後一時、夜の部は午後五時三十分開演。十一学区の郷友や宮古から日本舞踊の「竹の会」、下地勇さんら総勢三百人が出演する予定。
 伊志嶺市長は「沖縄本島の郷友の皆さんの頑張りを心強く思っている。このまつりを成功させ、三十回、四十回と続けられることを期待している」と笑顔で話した。
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