200平成19  314 水曜日

島内でエネルギー自給/多良間島
  バイオマス、風力、太陽光を利用
総合事務局が事業化検討

 【那覇支局】宮古島で国が進めるバイオエタノール実証実験が二〇〇八年度から一府四省で事業が拡大する予定となっている中、沖縄総合事務局が多良間島でも畜産廃棄物を活用したバイオマスエネルギーと風力、太陽光を利用して島内で利用するエネルギー自給を目的とした事業化を検討していることがこのほど分かった。現在は、沖縄新エネ開発がシステム導入に関する調査を行っており、近々その結果がまとまる予定。同事務局はこの調査結果を踏まえて本格的な事業化を視野に検討していくとしている。

 本年度、沖縄新エネ開発は「島嶼(とうしょ)の再生可能エネと燃料電池の組み合わせ調査」を多良間島、黒島、石垣島平久保半島で実施。その中で多良間島での導入が最も可能性が高いとし、沖縄総合事務局経済産業部でも今後、この調査結果を踏まえ経済産業省、農林水産省などとの連携プロジェクトとして「多良間島のバイオ及び燃料電池システム実用化モデル事業(案)」を検討する予定となっている。
 多良間島で原料となるバイオマスは、島内で発生する畜産廃棄物と、台所から出る野菜くずや食べ物の残りなどのごみ。システムとしては、バイオマス変換技術として燃料電池と親和性が高いメタン発酵を選択してシステムを構築。これにより、燃料電池と既設の風力、太陽光発電により島内の電力需要の一部(一〇−五〇%)を新エネルギーとして補えるという。将来的には島内のエネルギーすべてを新エネルギーで補うことも可能としている。
 多良間村の下地昌明村長も十二日に行われた同村議会三月定例会で、二〇〇七年度施政方針の中で、新エネルギーの開発でバイオガス試験導入を検討していくことを表明している。
 沖縄総合事務局経済産業部は「まだ、案の段階で関係省、機関との調整もこれから。調査結果のレポートがまとまってから本格的事業化に向けて検討していくことになる」と述べた。
 多良間村では、サトウキビ生産が年々低下する一方で、肉用牛生産が盛ん。〇三年には、キビを抜いて主要産業となっている。現在の飼育頭数は四千頭だが、将来的には五千頭まで増やす予定。また、それに伴い牛ふんが水質汚染として、環境問題となっているため、堆肥センターの増設も計画している。
 こうした状況から、畜産廃棄物を活用したバイオマスエネルギーシステムは、発電コスト削減などの経済効果だけでなく、環境負担軽減にも効果が期待されている。
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新図書館計画を答申/市庁舎等建設委
  
位置付けは「情報センター」
着工目標09年度 中央館には25万冊収蔵

伊志嶺市長(右)に基本計画を手渡す知念委員長=13日、宮古島市役所平良庁舎
伊志嶺市長(右)に基本計画を手渡す知念委員長=13日、宮古島市役所平良庁舎

 宮古島市庁舎等建設委員会(知念信正委員長)は十三日、伊志嶺亮市長に「宮古島市の新しい図書館基本計画」を答申した。新しい図書館像を「すべての市民に開かれた情報センター」と位置付け。新たに二十五万冊収蔵を目標とする中央図書館を設置する。基本計画を踏まえ、新年度からは中央図書館の細部にわたる施設計画策定と用地選定に入り、二〇〇九年度の着工を目指す。四−五月にかけて、同委員会に諮問する予定。

 基本方針は、▽市民生活に役立つ図書館▽情報センターとして地域活力の源となる図書館−など四項目。「多岐にわたる資料ニーズに的確に応え、資料・情報や活動を通して市の産業や地域課題を支援し、人・まちづくりを支える」としている。
 中心市街地とその周辺地を利用圏とする中央図書館をサービス網の核に、既存の城辺図書館を分館として、サービスを行う。下地、伊良部、上野の各地区は移動図書館などで対応し、段階的に分室などの配置を検討する。
 図書館業務の効率化やサービスの充実、多様なサービスの提供などを目的に電算システムを強化。膨大な情報量を処理できるICタグを導入する。利用者がカウンターを通さずに貸出・返却を行える児童貸出返却機や、不正持ち出し防止システムも整備する方針。
 サービス水準では数値目標を設定。登録率は、現在の平良図書館の二四%から、県内市立図書館の平均登録率(五一%)に近い五〇%を当面の目標とした。蔵書冊数は中央図書館で二十五万冊、城辺図書館で三万冊。資料の年間増加計画は一万七千冊。
 市役所平良庁舎で伊志嶺市長に基本計画を手渡した知念委員長は「最近は図書館でビジネス支援という言葉もあり、文化や産業、生活も含め支援し、使える図書館にするという部分を色濃くできた」と強調した。
 伊志嶺市長は「新図書館は合併前からの大きな宿題だった。最高の基本計画になっていると思う。宮古の図書館は県内でも貧弱な図書館。計画に沿って、市民のための良い図書館づくりをしたい」と感謝した。
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「国土と交通に関する作文」/池村君(北中3年)が国交事務次官賞
  
人・環境に優しい島に

「国土と交通に関する作文」で国土交通事務次官賞を受賞した池村君(中央)。左は与那覇校長、右は指導した砂川義治教諭=13日、北中学校校長室
「国土と交通に関する作文」で国土交通事務次官賞を受賞した池村君(中央)。左は与那覇校長、右は指導した砂川義治教諭=13日、北中学校校長室

 「国土と交通に関する作文」で北中学校三年の池村隆弘君が優秀賞に当たる国土交通事務次官賞に輝いた。「未来を築く、宮古島」と題した作文で池村君は、環境問題に視点を当て、宮古で実験が進められているバイオエタノール事業の普及を期待しながら「人にも環境にも優しい宮古島を、私たちの手で築いていくことができれば素晴らしいこと」とつづった。
 池村君は、昨年の佳作に続く二度目の入賞で、十三日に北中学校で受賞の喜びを報告。「(受賞の)報告を受けた時はびっくりしたが、賞状が届けられてうれしさがこみ上げてきた」と話した。
 池村君は、自動車や鉄道などの乗り物に興味があり、作文に応募したという。
 作文の中で池村君は、宮古でも便利さを求めて自動車が増えている現状を示しながら、車社会で地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素が大量に放出されることを懸念。「これからの交通手段とは、便利であると同時に環境に配慮したものでなければならない」と提起した。
 宮古島で研究が進められているバイオエタノールの技術に注目した池村君は、バイオエタノールの原料となるサトウキビが宮古の基幹作物であり、県全体の約四割を生産していることを説明しながら「まさに地域に合った環境問題への取り組み」だと評価した。
 「便利さを追求することと、環境保全に努めることはどちらも実現できる」と思った池村君は「環境問題への取り組みは、それぞれの地域に合ったもので、みんなが協力してできるものでなければならない」とアピール。自分たちの手で、環境に優しい宮古島を創出していこうと締めくくった。
 同校の与那覇正博校長は「地球規模で環境問題が憂慮される中、どうすれば宮古の環境が良くなるのか彼なりの視点でとらえている。大変立派な作文で、今後にも生かしてほしい」とたたえた。↓作文
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管内6本に認定証/おきなわの名木
  うち多良間5本「名誉なこと」

伊良皆助役(前列右)、長浜光雄伊良部総合支所長(同左)に認定証が伝達された=13日、県宮古支庁
伊良皆助役(前列右)、長浜光雄伊良部総合支所長(同左)に認定証が伝達された=13日、県宮古支庁

 県が認定する二〇〇六年度「おきなわの名木」の認定証交付式が十三日、県宮古支庁で行われた。管内からは多良間村から五本、宮古島市から一本の計六本が選ばれ、兼城克夫支庁長が認定証を伝達した。多良間村の伊良皆光夫助役は「五本も選ばれたことは名誉なこと」と喜んだ。今回を含めて宮古地区から認定されたのは十二本。
 宮古地区で承認されたのは▽宮古島市伊良部字伊良部の「ガジュマル」(樹高十八b、幹周七・五b、樹齢推定七十年)▽多良間村字仲筋の「アカギ」(樹高十二b、幹周三・六b、樹齢同三百年)▽同仲筋の「アカギ」(樹高十b、幹周三b、樹齢同百五十年)▽同仲筋の「フクギ」(樹高八b、幹周二・二b、樹齢同四百年)▽同塩川の「フクギ」(樹高八b、幹周二・二b、樹齢同三百年)▽同塩川の「テリハボク」(樹高十b、幹周二・一b、樹齢同二百年)−となっている。
 認定証を受け取った伊良皆助役は「島や集落の周囲に木々で囲んだ先祖の偉大な功績が認められた。今後も緑を大切にしていきたい」と語った。
 兼城支庁長は「多良間には御嶽などに古木、名木がある。引き続き一本一本の木を大事にしてほしい」と述べた。
 「おきなわの名木」は、県内に生育する巨木や老樹などの保護、保全対策を図り、古里の樹木への関心と理解を高めることなどが目的。二〇〇二年にスタートし、県全体では今回を含めて八十五本が認定されている。
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長崎裕子教諭(北小)に教育長が伝達/文科大臣優秀教員表彰
「先輩、子どもたちに感謝」

優秀教員として文部科学大臣表彰の伝達を受けた長崎裕子教諭=13日、県庁
優秀教員として文部科学大臣表彰の伝達を受けた長崎裕子教諭=13日、県庁

 【那覇支局】二〇〇六年度文部科学大臣優秀教員表彰の伝達式および報告会が十三日、県庁で行われ、北小学校の長崎裕子教諭らに表彰状が伝達された。
 長崎教諭は「こんな大きな表彰を受けるとは夢にも思わなかったので心から感謝するとともに喜んでいる。これも、ここまで導いてくれた諸先輩や子どもたちのおかげ。これからも頑張っていきたい」と笑顔で感想を述べた。
 長崎教諭は、教員歴三十二年。これまで学力向上対策として文部科学省指定のフロンティアスクール研究校の研究主任として全校的な取り組みを実施したほか、組織的な取り組みの中で教員のチームワークを図るとともに個々の教師の授業力を高め、子どもたちの確かな学力保障に貢献したことなどが高く評価された。
 伝達式で仲宗根用英教育長は「皆さんは勤務実績も素晴らしく他の模範となったこれまでの活動が評価された。今、教員一人ひとりの資質の向上が問われている。皆さんはこれからもさらなる精進をして、子どもたちのために頑張ってほしい」と激励した。
 同表彰は、学校教育における教育実践等に顕著な成果を上げた教員について、その功績を表彰するとともに教員全体の意欲及び資質の向上に資することを目的に行われる。今回、県内からは長崎教諭を含め計十四人が表彰を受けた。
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 4中学校で卒業式 
 島挙げて紗弥花さん祝う/大神中 在校生は弟勇輔君だけに

大きな夢を胸に巣立った紗弥花さんと弟で在校生の勇輔君、(後方来賓席)父功一郎さん=13日、大神中学校
大きな夢を胸に巣立った紗弥花さんと弟で在校生の勇輔君、(後方来賓席)父功一郎さん=13日、大神中学校

 大神中学校(座嘉比幸枝校長)で十三日午前、卒業式が行われた。卒業生一人の根間紗弥花さんに卒業証書が授与され、大きな夢と希望を胸に学びやを巣立った。在校生は紗弥花さんの弟で一年生の勇輔君一人だけとなった。
 大勢の地域住民らが出席し、紗弥花さんの卒業を盛大に祝福し、今後の勇輔君の頑張りに期待を寄せた。
 式で座嘉比校長は「九年間の義務教育を終え、いよいよ旅立ちの日を迎えた。明るく前向きに、何事にも挑戦してください。大神中学校で身に付けた優しさとたくましさで、胸を張って歩んでください」と式辞。
 次いで宮古島市教育委員会の久貝勝盛教育長(代読)、大神自治会の島尻彦吉会長が祝辞。
 勇輔君は、姉と過ごした学校生活を振り返り「四月からは離れ離れになるが、僕は大神島で頑張ります」と決意を新たにした。紗弥花さんは「数年後、今の私より成長している私を楽しみにしてください」と強調した。
 紗弥花さんと勇輔君の父功一郎さん(47)が登壇。学校と地域住民に感謝の意を表した。
 紙吹雪が舞う花道で、紗弥花さんは教諭や住民らと握手を交わし、母校を後にした。
 

城辺中

紙吹雪で祝福を受ける卒業生=13日、城辺中学校
紙吹雪で祝福を受ける卒業生=13日、城辺中学校

 城辺中学校(与那城高治校長)では十三日、卒業式が行われ、二十五人(男子十八人、女子七人)が母校を巣立った。三年間皆勤賞で新城翔大君、「すなかぎくがに賞」で垣花誉君が、それぞれ表彰された。
 卒業生の歌「旅立ちの日に」では、三年間慣れ親しんだ学びやに名残を惜しんで涙が止まらず、言葉を詰まらせる場面も。くす玉からは、「夢に向かって羽ばたけ」と在校生のメッセージが飛び出した。式辞で与那城校長は「本校で培った強い意志と誇りを持ち、自己の目標に向かって突き進むことを期待する。両親や先生方、地域の人たちに感謝し、友情のきずなを忘れずに大きく羽ばたいて」と激励した。
 

多良間中

大きな夢を胸に巣立った卒業生ら=13日、多良間中学校
大きな夢を胸に巣立った卒業生ら=13日、多良間中学校

 多良間中学校(知念安則校長)で十三日、卒業式が行われた。卒業生十六人(男子七人、女子九人)が卒業証書を手に思い出深い学びやを巣立った。
 式で知念校長は「体と心の健康を何よりも大事にしてほしい。そして常に学ぶ・考えるという姿勢を持ち、思いやりの心で人に接してほしい」と式辞。
 次いで多良間村教育委員会の福嶺常夫教育長、同村の下地昌明村長、同校PTAの名嘉真正夫会長が祝辞を述べた。
 卒業記念品贈呈、保護者代表謝辞に続いて、全体で「旅立ちの日に」を合唱した。卒業生の中には、目頭を押える人もいた。
 卒業生らは花道の両側で並ぶ在校生や父母らの祝福を受け、母校を後にした。
 

来間幼・小中

胸を張って卒業証書を受け取る卒業生=13日、来間小中学校
胸を張って卒業証書を受け取る卒業生=13日、来間小中学校

 来間幼稚園・小中学校(宮城正侑園長・校長)は十三日、修了式・卒業式を行った。園児と小・中学生合わせて八人が修了、卒業となり、父母や地域住民の祝福を受けた。
 卒業を迎えたのは中学生がアミーゴ・ジャネットさん、倉井千春さん、堀之内貴之君の三人、小学生が小笠原望さん、洲鎌希早さん、堀之内健悟君の三人。幼稚園修了生が古波蔵恵太君、国仲翔太君の二人。
 一人ひとり、卒業証書、修了証書を受け取り、「中学では予習・復習を頑張りたい」「先生方、みんなのことが大好き。決して忘れない」「ここまで成長させてくれた両親に感謝」など、それぞれの目標や思い出、気持ちを発表した。
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