200平成19  2 土曜日

相手は「同級生」8割/いじめ実態把握アンケート
市教教育委員会/言葉による中傷や無視、仲間はずれ

 宮古島市教育委員会(久貝勝盛教育長)はこのほど、市内の学校に通う小中学生を対象に独自調査したいじめに関する実態把握アンケートの結果をまとめた。それによると「いじめを受けている」小学生は二人で全体の〇・一%。同中学生は三人で〇・二%。いじめを受けた相手は、過去の経験を含め小・中共に同級生が八割を占めた。内容は「言葉」が四割で最多。同教委は「件数の多少で一喜一憂できない。いじめられている子どもが一人でもいれば深刻な問題であり、問題解決に全力を注ぐ」としている。

 このアンケートは、市立小学校(四−六年生)と中学校に通う全児童・生徒を対象に、昨年十一月に実施。回答者は、小学生が在籍数千九百八十三人のうち千六百二十二人で回答率八二%だった。
 中学生が同二千百四人のうち同千八百八十九人で同九〇%。「いじめを受けている」の項目については、それぞれの内容を学校と同教委が掘り下げ、いじめの定義に即していると判断したケースを最終的なデータとして残した。
 「いじめている」の質問に「はい」と答えたのは小学生が四十六人で二・八%。中学生は十五人で〇・八%だった。
 いじめられた経験のある子どものうち、その相手は「同級生」が最も多く、次いで「先輩」「後輩」の順だった。
 いじめの内容については「言葉」が全体の四割を占め、「うざい(うっとうしい)」「きもい(気持ち悪い)」などの中傷、本人が不快に感じているあだ名などが含まれていた。次いで「無視」や「仲間外れ」など集団的なケースが三割、その他には暴力が続いた。
 今回のアンケート調査の目的について同教委は「毎学期の学校訪問で各学校の現状や課題を把握し対応している。その『再確認』として実施した」と説明。「子どもたちの生の声でより実態がつかめた」と意義を強調し、アンケートの回収に伴い、緊急性があると判断したケースについては順次対応していることを示した。
 同教委の島袋正彦学校教育課長は「宮古は、学校、教育行政、福祉行政、警察などサポート体制の基盤がすでに整っている。今後も、ケースに応じて必要な人材を柔軟に招集し子どもたちの支援に当たる」と話した。また、悩みを抱える児童生徒や保護者で、身近な人に相談しづらい場合は、スクールカウンセラーや市の教育相談室を気軽に活用するよう呼び掛けた。
 文部科学省は「いじめ」の定義について「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの。なお、起こった場所は学校の内外を問わない」と定めている。
 

@ヒトミ(小6)の場合
「寄らないで、汚い」 ある日突然ターゲットに

 新学期。クラスメートの五人グループができた。教室の移動時に一緒に行動したり、たわいない冗談で笑い合ったり。新しいクラスにも慣れ始めた五月、ヒトミ=仮名、宮古島の小学校六年生(当時)=の穏やかな学校生活は、何の前触れもなく一変した。
 ある朝、いつも通りに登校してグループの友達に話し掛けたが、返事がない。無表情の友達にさらに言葉を掛けようとすると、彼女たちはまゆをつり上げ「寄らないで、汚い」「来ないで」と叫んだ。事態が飲み込めず呆然と立ち尽くすヒトミ。それが、「いじめられっ子」になった瞬間だった。
 いじめは日に日にエスカレートしていった。基本は無視。廊下ですれ違うと、露骨に顔をゆがめ、肩を強張らせて避けられた。朝、登校すると机が倒されていたり、ノートや手紙を見られていたり、靴の中に画びょうが入っていたこともあった。机の上には油性マジックで派手な落書き。スカッチで黙々と消すヒトミに、彼女たちは「何で消しているかー?」「何と書いてあるかー?」「手伝うー?」とはしゃいだ声を上げてあざ笑った。
 授業中も勉強どころではなかった。グループ内で通用するあだ名で自分のことを指し「きもくない?」「死ねばいいのにね」と誰かが言えば「ねーっ」と他の誰かが合いの手を入れる。そんな会話が教室の中を飛び交った。
 一度だけ、担任が「最近、彼女たちと一緒にいないけどどうしたの?」と尋ねた。「いきなり無視をされている」と答えると「お前にも原因があるかもしれないから話し合ってごらん」と言われた。話し合うにも、状況から言って取り付く島もないのだ。「先生に相談しても無理なんだろうな」とため息が漏れた。その後、先生のフォローはなかった。
 最初の一カ月は気が動転してパニックだった。「怒りではない。友達の裏切りがショックで、自分の存在が拒否されていることが悲しかった。夜、眠る前が一番嫌な時間だった。眠ったらまた明日が来る…」
 家族の前では、心配を掛けたくない一心で普段通りに振る舞った。ただ、お風呂の中で一人になると、きょう一日のいじめが脳裏をよぎって涙が止まらなかった。ぬるいシャワーを頭から浴びてしくしく泣いた。「ストレスを発散する場所も助けてくれる人もいない。ただじっと我慢して、時が過ぎるのを待つだけだった」

仲良しのクラスメートが突然いじめの対象に(写真と本文は関係ありません)

 ◇友達なんて要らない
 二学期に入ると、いじめが止んだ。「今まで無視を決め込んでいた女子も『あんたの番は終わり』と言わんばかりに、平然と話し掛けてきた」。悪口も言われなくなって、休み時間の教室移動時には誘われることすらあった。しかし、ヒトミは誘いを断った。「いじめる側になりたくなかったから」元のグループには戻らなかった。いじめグループの行動が「幼稚であほらしく思えて」もう悲しみを感じなかった。一人で行動することも平気になっていた。「友達ってこんなもの。特に要らないし、期待しない」と割り切った。
 ◇大人に対して
 でも、今の中学校生活には友達がいる。親友と呼べるかは分からないが、一つ言えることは「友達がいるから楽しく過ごせる」ということだ。
 「親にすら話していないのだから、大人は学校の中のいじめを知らないと思うよ。ニュースでは聞いていても、宮古の大人は都会の話だと思ってるんじゃない?でも、いじめはどこにでもあるよ。都会でも田舎でも」。淡々とした口調で話す。
 「いじめている人は、いじめが楽しいからいじめているだけでそれ以上の意味はない。他の遊びやゲームと一緒。たまたま『今はいじめにハマってます!』みたいな」。それが、ヒトミが自分の目で見て、心に感じたいじめの実態だ。ターゲットはたまたま自分だったのだろう。理由は今でも分からないのだから。
 「いじめを楽しむ人は、大人の目を盗んでいじめるから大人が知ったところでどうにもならない。だから大人に努力をしてほしいとは思わないし、期待もしてないよ」。あっけらかんと言い放って一瞬の沈黙を迎え、大きな瞳が頼りなく宙を泳ぐ。「でももしこれまでに、頼りになる大人に出会えていたら違っていたかもしれないけど」。あきらめたような、あきらめきれないような、困惑の表情を浮かべた。    (砂川智江)
◇ ◇ ◇
 子どもたちのいじめが深刻な社会問題になっている。子どもたちの実体験から宮古の実態を探った。
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週明けから全庁体制/宮古島市
市税収納率アップへ職員90人

 宮古島市の伊志嶺亮市長は二日午前、今月五−九日までの五日間実施する特別臨戸訪問に向け、宮川耕次総務部長ら約九十人を徴税吏員に任命し辞令を交付した。全庁体制で、市税の収納率アップに取り組む。
 辞令交付式で、伊志嶺市長は「歳入の市税は行政運営の大きな鍵といっても過言ではない。歳入の低下が財政を圧迫している。市税の徴収率を上げ、しっかりとした財政運営にまい進したい」と述べ、市税徴収率向上へ期待を込めた。
 市税収納率の向上には納税者一人ひとりの納税意識の向上が不可欠であることから、特別臨戸訪問を実施し納税思想の普及・啓発を促進することなどが目的。市内の平良、城辺、上野、下地、伊良部の全地域が対象。
 交付式の後、市税徴収対策会議が開かれた。市では一月−三月までを滞納整理強化期間と位置付けている。年度末行動計画では、三月末時点での徴収率は九○%達成の目標を掲げている。
 市によると、沖縄本島に在住する滞納者は約六百五十人で、滞納額はおよそ四千万円。市在住の滞納者総数は六千人に上り、そのうち五十万円未満の少額滞納事案件数が九○%を占める。
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比嘉さん(狩俣3年)が最優秀賞/全宮古中学ストコン
各校代表18人が英語力競う
優秀 親泊さん(久松3年)、優良 新城さん(北2年)


最優秀賞を受賞した比嘉さん(中央)、優秀賞の親泊さん(右)、優良賞の新城君=2日、県宮古支庁

 第十六回全宮古中学校英語ストーリーテリングコンテスト(主催・宮古島市教育委員会)が二日、県宮古支庁で行われた。各中学校の代表十八人が、英語で物語を発表し、英語力を競った。審査の結果、最優秀賞には比嘉あかねさん(狩俣中三年)が輝いた。比嘉さんは「緊張したけど自分なりの表現ができた。とてもうれしい」と喜びを語った。優秀賞は親泊さつきさん(久松中三年)、優良賞は新城晴海君(北中二年)がそれぞれ選ばれた。

 同大会は国際語である英語への関心を高め、その能力やチャレンジ精神を培うことを目的に開催している。宮古地区の全中学校からそれぞれ代表が出場した。生徒たちは、物語の場面に合わせて表情を変えたり、ジェスチャーを交えるなどしてストーリーを披露。練習の成果を堂々と発表した。
 最優秀賞に選ばれた比嘉さんは「トラときこり」を発表した。ALT(外国語指導助手)や英語担当教諭からの指導を受け今大会に備えたという。「イントネーションや声の強弱、楽しい場面、悲しい場面が伝わるように注意した」と発表を振り返り、「留学してもっと英語を学びたい。英語力を生かしたい」と抱負を語った。
 優秀賞の親泊さんは「発表が一瞬止まったのでダメだとあきらめていた。賞がもらえて、うれしかった」と感激の涙を流した。優良賞の新城君は「上位三位までに入ることが目標だった。達成できて良かった」と感想を述べた。
 受賞者は次の皆さん。(敬称略)
 【最優秀賞】▽比嘉あかね(狩俣中三年)【優秀賞】▽親泊さつき(久松中三年)【優良賞】▽新城晴海(北中二年)【奨励賞】▽平良奈穂(福嶺中二年)▽アミーゴ・ジャネット(来間中三年)▽津田衣里奈(砂川中二年)▽根間紗弥花(大神中三年)▽福原吟子(平良中二年)▽山原大幸(鏡原中三年)▽波平愛美(伊良部中二年)▽佐久本孟(池間中二年)▽仲間莉菜(多良間中二年)▽花城麻彩(下地中二年)▽新里英二(西城中一年)▽山口真喜子(佐良浜中三年)▽池間祥子(西辺中二年)▽平安山佳晃(城辺中二年)▽江戸萌穂(上野中二年)
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架橋伴い伊良部島へ送水/宮古島市
評価委員会 水道整備計画を答申

 宮古島市水道事業管理者(職務代理者・砂川定之次長)から伊良部島への送水計画を含む今後十年間(二○○七−二○一六年度)の「宮古島市水道施設整備事業計画(第一次拡張事業)」の事前評価について提案され、審議を進めてきた同市水道施設整備事業評価委員会(渡真利光俊委員長)はこのほど、同計画は妥当と判断。二日、同委員会は同管理者にその旨を答申し、併せて同市の伊志嶺亮市長に水道事業の提言書を手渡した。答申を踏まえ、市議会三月定例会に新たな事業展開のための条例改正案を提出する予定。
 同管理者は、新たに事業計画を立てた場合、県の変更認可が必要で、厚生労働省の通知では、事業採択前に公共工事事前評価システムに基づき学識経験者から事前評価を受けることになっていることから、同委員会に審議させていた。
 計画の一つは、二○一二年度に完成予定の伊良部大橋に送水管を添架し、宮古島から伊良部島へ送水。同島にある維持管理費が高額な浄水方法(低圧逆浸透幕処理)の浄水場を休止する。
 答申を受け、伊志嶺市長は「水道事業の安定化に向け取り組んでいきたい」と前向きの姿勢を示した。
 渡真利委員長は、伊志嶺市長に▽現在不在の水道局長の早急な任命▽多良間村との水道の広域化推進−などを提言した。
 伊志嶺市長は「これから考えたい」と述べた。
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「早く捕まえてほしい」/平良女性殺害
発生から1週間 住民の不安募る


事件から1週間。現場では聞き込み調査が続けられている=2日、平良字西里

 二十六日午後に宮古島市平良字西里のアパートに住む無職の前泊美智子さん(48)が遺体で発見された事件で、発生から一週間を迎えた二日、依然として犯人の逮捕には至っていない。刃物と思われる凶器も見つかっておらず、特別捜査本部は現場近くの聞き込み調査や捜索に力を入れている。周辺住民らは「犯人を早く捕まえてほしい」と不安に包まれている。
 調べによると、事件は二十六日午後二時三分ごろ、同市平良字西里のアパート三階に一人で住む前泊さんが自室の浴室で死亡しているのを知人の女性が発見した。発見当時、前泊さんは浴室にある洗濯機にもたれかかるように倒れており、背中には内蔵に達するほど深い傷が一カ所あった。当時、玄関は鍵とチェーンで施錠されており、ベランダにつながる窓は開いていたという。
 二十七日に行われた司法解剖の結果、前泊さんの死因は失血死で、背中の傷が致命傷になったとみられる。捜査本部は殺人事件として捜査を進めている。アパートの室内と階段から、血痕や指紋、足跡、毛髪などが採取され、事件との関連性について特定を急いでいる。
 事件から一週間を迎えた二日、捜査本部は現場付近道路で聞き込み調査を実施。ドライバーや通行人を呼び止め、事件当日について「この道を通りませんでしたか」「不審な人を見ていませんか」などと質問し、「事件に関する情報があれば警察署に連絡を」と呼び掛けた。現在、宮古島署には市民から事件に関する情報が数十件寄せられているが、犯人特定につながる有力な手掛かりはつかめていない。
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きょう節分/北幼稚園/一足早く豆まき楽しむ


怖がりながらも鬼に向かって豆を投げた園児たち=2日、北幼稚園
 「鬼は外、福は内」−。きょう三日は「節分」。季節の分かれ目の意味で、もともとは「立春」「立夏」「立秋」「立冬」のそれぞれの前日をさしていた。立春の節分に豆をまく「豆まき」の行事は、中国から伝わった風習。「厄払い」「鬼やらい」などと呼ばれ、疫病などをもたらす悪い鬼を追い払う儀式だったという。
 二日、宮古島市立北幼稚園(来間恒祐園長、園児数四十一人)では北っ子シアター「節分まつり」(主催・北幼稚園保護者会)が行われた。園児らは手作りの面をかぶり、豆まきで福を呼び込むなど一足早い節分を楽しんだ。
 同まつりは、在園する父母らで十三年前から引き継がれている恒例行事。今回は▽紙芝居「うみにしずんだおに」▽エプロンシアター「こぶとりじいさん」▽パネルシアター「せつぶん」▽子どもたちの歌「豆まき」−の四本立てで、鬼が出てくる話を中心に紹介された。
 まつりのフィナーレには、保護者扮する「赤鬼」と「青鬼」が登場。園児らは豆を手に、「忘れ物鬼、いじわる鬼、行儀悪い鬼は外だー」「福は内ー」と元気いっぱいに豆をまき、友達と仲良くし園生活を送ることを約束した。
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