現在、総務省のロードマップで、先島地区の民放デジタル放送が「検討中」となっており、県内の民放三社も自助努力だけでは先島地区での放送実現は難しいとの状況から、昨年十一月には県に支援要請を行っている。
　こうした状況から県は今回、新年度予算で初めて、先島地区と南北大東地区における民放三社の地上デジタル放送移行に向けた調査費として二千二百万円計上した。
　同事業について県では「先島の民放デジタル放送は現在検討中となっており、今回の予算化は放送実現に向けて県として適切な支援のあり方などを検討するために計上された。今後は国、放送事業者、地元と協議しながら放送実現に向け検討、調査していく」と説明した。
　そのほか、新規では県内外の民間医療機関から離島・へき地への医師派遣などの調整を図ることを目的に「離島・へき地ドクターバンク等支援事業」に二千三百十二万九千円が計上された。
　継続事業では、伊良部架橋など県道等の整備にかかる「公共地方道新設改良費」が百六十二億六十五万八千円、平良・城辺線など電線共同溝整備事業費が二億八千六百九十万八千円などとなっている。
　離島関連の継続では▽石油製品輸送等補助事業費（八億八千五百二十三万一千円）▽離島活性化専門家派遣事業費（三千三百七十九万二千円）―などとなっている。
　県全体の五千九百四十七億九千七百万円は、前年度比で十億二百万円（〇・二％）減額となっており、歳出の義務的経費（人件費、扶助費、公債費）は同比四・六％（百三十一億七百万円）増加している。
　歳出の投資的経費は、美術館・博物館の建設費減で、単独事業費が前年度比で七十億九千三百万円（三八・七％）の減額となるなど、投資的経費全体は同比百六十一億八千九百万円（一〇・二％）の減少となっている。
　県では、人件費の増額について退職手当所要額の増加、公債費は元金償還金の増加が要因としている。　
　新年度の予算編成について県は「県行財政改革プランに基づく徹底した行財政改革の推進を図り、事業の優先度に十分配慮し、限られた財源を緊急かつ重要な施策に的確に対応することを基本とした」と説明した。

　第二十六回全宮古中学校春季総合体育大会（主催・宮古中学校体育連盟）は最終日の二十八日、六競技で熱戦が繰り広げられた。
　二十七日までに野球、ソフトテニス、柔道、剣道、卓球の五競技を終了し、同日は六会場で熱戦。各競技会場とも、父母や友人らが大勢駆け付け、真剣な表情でプレーを展開する選手に声援を送った。選手らは応援に後押しされるように、優勝を目指して力を尽くした。 北中学校ではバスケットボール競技が行われ、女子は北が十六年ぶりの優勝を飾った。


写真＝バスケットボール女子決勝・北―下地、カットインする北の上地美佳�G＝28日、宮古島市総合体育館

　サトウキビの畝間を従来までの一つから二つに増やして、限りある畑を有効活用し増産につなげようと試験的な栽培をしている人がいる。苗はこれまでより二倍必要となるが、収穫も単純に考えると二倍となる計算だ。植え方は「二条植え」と言い、話を聞きつけた農家が畑を見学に訪れるなど話題になっている。キビの持ち主は「従来に比べ一・六倍は収穫できると思う。来年の収穫を楽しみにしたい」と期待している。
　このユニークな栽培を行っているのは、宮古島市平良で農業機械などを製作している仲宗根康彦さん（39）。
　仕事の合間を縫って農作業をしているが、今ある面積でキビの増産はできないものかと思案した結果が、この「二条植え」だ。
　畝は約一・二�bを確保し、畝間はキビの根が左右に十五�aほど広がってから土中に根を下ろすという特性を考えて同間隔を設けて二つ設置。この畝を二つ同時に作る特殊な機械を考案し、約五十�eの畑に「農林８号」や「農林16号」を植え付けた。
　肥培管理も従来までと変わらず「根が土中にびっしりと伸びるから、台風にも強いのではないか」と仲宗根さん。気掛かりだった害虫や野ネズミの被害も今のところはなく、キビは順調に二�b以上にも育っている。 　
県農業研究センター宮古島支所によると、この植え方は、南大東島や久米島などで以前は盛んに行われていたという。
　しかし▽苗の本数が従来より増える▽茎の本数が多いため光が隅々まで当たらず枯死が多い▽ネズミの食害が増える―などの理由で、今ではほとんどこの方法では植えられていないという。
　同支所作物園芸班の上原数見班長は「苗を今までより二倍植えると収穫も二倍増えると思われがちだが、面積当たりの苗の適正本数もあり、そうもいかない場合が多い」と指摘する。
　収穫についても「手刈りならよいが、ハーベスターでは『株張り』が広過ぎてロスが出る」と話している。
　しかし上原さんは「限られた面積で、いかに農作物を増産させるかという考えを常に持ち続けていく姿勢は立派。他の地域ではうまくいかなかったからといって、宮古でもだめだとは断言できない。一作目は確実に増産するというデータもあることから、来年の収穫を楽しみにしたい」と話している。

写真＝キビの「２条植え」を試験的に栽培している仲宗根さん＝平良地区にある畑

　「んみゃーち　美（か）ぎ島（すま）宮古島（みゃーくずま）」―。高知県からのツアー客百四十六人を乗せた、農協観光チャーター便の第一便が二十九日、宮古島に到着した。宮古空港では、宮古観光協会などの関係者が、横断幕や花束で歓迎した。宮古島には来月二十四日まで、日本トランスオーシャン航空（ＪＴＡ）のチャーター便計十九便が到着する。すべての便が満席の場合、東北、中国・四国、北海道から、最高で二千八百五十人が来島する。
　農協観光のチャーター便は、寒さが厳しくなる本土客に、南国でのんびりと過ごしてもらおうと、毎年実施されている企画で、今年で七年目。石垣に二泊した後、宮古に一泊する、三泊四日の日程。
　今年の「第一便」で二十九日に来島したのは、高知県からの観光客百四十六人。宮古空港到着ロビーでは、歌手の真也よう子さんが三線を演奏しながら、沖縄と宮古の歌で歓迎した。
　歓迎セレモニーで、宮古観光協会の藤村明憲会長は「ヒーリング・アイランド（癒やしの島）と言われる宮古へ、縁あって訪れた皆さんを心から歓迎したい。短い期間だが、楽しんでいただき、ますます元気になって帰ってからの仕事にも励んでほしい」と歓迎の言葉。ミス宮古の前里由香利さんが、ツアー客代表の川島光明さんに歓迎の花束を贈ると、川島さんは「宮古島の皆さん、どうもありがとう」と笑顔を見せた。
　このチャーター便は、農協観光の沖縄送客キャンペーンの一環で、二〇〇一年度に運航開始。ＪＴＡによると、〇五年度までの利用客は全体で約二万六千四百八十七人に上る。

写真＝ツアー客代表の川島さん（左）にミスティダの前里さんから歓迎の花束が手渡された＝29日、宮古空港