200平成19  19 金曜日

約40億円の財源不足/市新年度予算編成
各基金底付き歳出抑制苦慮

 二〇〇七年度当初予算案の編成作業を進めている宮古島市(伊志嶺亮市長)だが、十八日現在で約四十億円(要求ベースで試算)の財源が不足している。国の三位一体改革の影響で歳入増は見込めず、歳出を抑制しなければ収支のバランスは取れない状況だ。現在、財政課が歳出抑制に向けて事業の査定作業に入っているが「四十億円の抑制は非常に厳しい」との見方が強い。〇七年度当初予算案の一時内示は今月二十五日を予定。

 財政課によると、〇七年度当初予算の歳入は前年度並みの三百二十億円前後に設定。これに対し要求額は歳入額を約七十億円上回った。前年度並みとなる約三十億円の起債を充てる方針だが、これを差し引いても約四十億円の財源が不足。財源不足を補う財政調整基金などの各基金も底を突いているため、歳出を抑制して収支バランスを取るしかないのが現状だ。
 財政当局は、〇七年度予算編成説明会で市の厳しい財政事情を説明。その上で要求段階における各課の理解を求めた。しかし、要求額は歳入見込みを七十億円も上回る結果になった。財政課の石原智男課長は「説明会の中で要求を考えるように説明したのだが…」と莫大な要求額に頭を抱えている。今後、具体的には新規事業の先送りや、市の財政に直接響く単独事業の見直しなどで歳出抑制に取り組む方針だ。石原課長は「非常に厳しい査定になるが分かっていただければならない」などと話した。
 市町村合併後も厳しい財政状況が続く宮古島市だが、典型的な「依存型予算」による先行きは不透明のままだ。自己財源の確保や徹底的な経費の削減を含めて、さらなる歳入歳出改革の断行が求められている。
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先進地2施設を視察/市新ごみ処理施設建設
住民ら活発に現状把握


建設に反対した地域住民の代表らと意見交換を行った=18日、那覇・南風原クリーンセンター

 【南風原町で洲鎌恵仁】宮古島市の新ごみ処理施設建設で同市は十八日、沖縄本島の那覇・南風原クリーンセンターなど二施設を視察した。施設内を見学したほか、同センターの建設に反対した地元自治会の代表らと意見交換会も行われた。住民らは「素晴らしい施設」としながらも建設には対しては慎重な態度を見せた。伊志嶺亮市長は「良い施設を住民に見せ、説明もできた。話し合いを続け互いに良い結果を出せるようにしたい」と述べた。視察はきょう十九日まで。
 視察には現施設の周辺住民をはじめ、荷川取自治会、西仲字会の関係者も参加。市側から伊志嶺市長、上地廣敏福祉部長、平良哲則環境施設整備局長らが同行した。午前は浦添市リサイクルプラザを午後からは那覇・南風原クリーンセンターを視察した。
 同センターでは、建設に反対した地域住民の代表らと意見交換会も行われた。建設を受け入れたいきさつについて「受け入れたく受け入れたわけではない。施設があることで負の遺産を背負い、地域が差別化されるなど目に見えない被害がある」と述べた。
 住民側は「建設したメリット、デメリットは」「一番の課題は何か」などと質問。これに対し「施設はきれいになった。デメリットはない。協定を結んだごみ搬入の道路を守らない業者がいる」と答えていた。また、住民らに対し「賛成、反対を抜きにして住民と市が互いに本音で語り合う必要がある」と助言した。
 参加した現施設の周辺住民のほとんどは賛成・反対を決めていない住民がほとんど。施設に対しては「素晴らしい施設」と声を合わせたが、ある男性は「施設が目の前に建つのは気持ちの問題。家族らとともに考えたい」と複雑な表情、別の男性は「施設の安全性は理解できた。搬入車のマナーが心配だ」とそれぞれ不安を口にした。
 また、ある男性は墓地に囲まれた同センターの状況を見て「ここは住宅地ではない。話にならない」と厳しい表情で語った。
 きょう十九日は糸満・豊見城環境美化センターを視察する。
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早期株出し管理で増産を/サトウキビ/栽培技術の知識深める
農家ら、県主催で推進大会


サトウキビの早期株出し推進に向け、農家や関係者が理解を深めた=18日、JAおきなわ宮古地区本部

 「二〇〇六年度県サトウキビ早期株出管理推進大会」(主催・県)が十八日、JAおきなわ宮古地区本部で行われた。二〇〇五−〇六年期、宮古地区での株出しの栽培面積は九十一fで全体(四千百f)の二・二%しかないが、政府の「サトウキビ増産プロジェクト」の中で、増産目標達成に向けての取り組みとして「早期株出し管理作業の推進」が掲げられており、参加した農家らが株出しし栽培について知識を深めた。

 県農業研究センターの説明によると、宮古地区での株出し栽培は、一九七九−八〇年期では全体の五五%を占めたが、有機塩素系農薬の使用禁止で急激に減少。〇五−〇六年期は夏植えの栽培面積が三千八百九fで全体の九二・九%に上り、春植えは百九十九fで全体の四・九%、株出しは九十一fで全体の二・二%にすぎない。
 株出し栽培が少ない原因は土壌害虫による芽や根の食害。▽ハリガネムシによる不萌芽▽アオドウガネ、ケブカアカチャコガネによる立ち枯れ−などの被害があり、病害虫防除対策が必要なるという。同センターでは、病害虫防除や耕種対策、土づくりなどを適切に行えば、萌芽数や萌芽率などが高まると説明した。
 また、サトウキビ生産性向上緊急対策の実証事業で株出し栽培の取り組みを行った辺土名豊一さん=島尻=が事例を報告。辺土名さんは三fのほ場で、昨年二月の収穫後に株出し管理を行って、サトウキビを栽培した。「株出しは経費が少なくて済み、農家の収入の面では非常に良いと感じる」と話した。
 主催者を代表してあいさつした県農林水産部の国吉秀治部長は「県内のサトウキビ生産量は沖縄本島が三割に対し、離島が七割。この中でも特に宮古は重要」と強調。「サトウキビは言うまでもなく沖縄県の基幹作物で他の産業への影響も大きいが、年々収量が減少している。早期株出し管理についておさらいし、もう一度確認して、地道な技術に関する研修を重ねながら、サトウキビの増産を図ろう」と呼び掛けた。
 来賓で宮古島市の伊志嶺亮市長(代読・下地学助役)は「宮古のサトウキビ栽培は夏植えに偏っており、株出しや春植えの収穫農家を増やしている中で、大変意義深い大会」と開催を喜んだ。JAおきなわ常務理事の砂川博紀管理事業本部長は「サトウキビの増産を図る上では、株出しに積極的に取り組んでいく必要がある。JAとしても願わくば百万dを目指して、取り組みを支援していきたい。増産へ、皆さんの団結をお願いしたい」と述べた。
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心肺蘇生法など学ぶ/マリンレジャースタッフ講習会
OMSB


マリンレジャースタッフらは心肺蘇生法などを学んだ=18日、宮古島警察署

 マリンレジャーを提供する業者や水難救助に関する知識を深めようと「マリンレジャースタッフ講習会」(主催・県警察本部、沖縄マリンレジャーセイフティービューロー=OMSB)が十八日、宮古島警察署で開かれた。昨年中の県内における水難事故の発生状況や事故防止策などが説明。心肺蘇生法の実習などが行われ、水難事故防止を呼び掛けた。
 心肺蘇生法では、OMSBの講師が救命手当の基礎実技を指導。▽意識を調べる▽助けを呼ぶ▽気道の確保▽呼吸の確認▽人工呼吸▽心臓マッサージ−などの手順を説明した。次にAED(自動体外式除細動器)を使用した蘇生法を実演。参加者一人ひとりが手順を確認しながら、AEDの使用方法を学んだ。
 県警本部水上安全対策室の砂川道男室長は「観光客の水難事故は過去五年間で毎年十人が死亡しており、全水難事故の約三割強が観光客の死亡となっている。シュノーケルの認定制度を受け、それぞれが意識を高め、個人でシュノーケルの遊泳をしないよう客に注意してほしい」と話した。
 県警によると、二〇〇六年中の水難事故は四十七件で、三十四人が死亡。うち、十五人が観光客だった。宮古島署管内では同年中六件の水難事故が発生し、うち四人が死亡。内訳は▽シュノーケル絡み三件▽魚介取り一件−となっている。
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宮高理数科が1.75倍/高校推薦入試志願状況
今月26日までに合否通知

 【那覇支局】県教育委員会(仲宗根用英教育長)は十八日、二〇〇七年度県立高校入試の推薦入学と連携型入学(中高一貫教育校)の志願状況を発表した。宮古地区で最も倍率が高かったのは宮古高校理数科の一・七五倍(前年度一・〇倍)となっている。
 宮古地区五高校全体の志願者数は、百五十三人で前年の百十二人よりも四十一人増加している。伊良部高校ではいなかった。推薦入学の受け付けは今月十六、十七日の両日に各校でそれぞれ行われた。
 各高校の推薦試験日は、宮古工業高校が十八日に実施し、きょう十九日は宮古高校と宮古農林高校。二十二日に翔南高校が実施する。選抜結果については今月二十六日までに中学校校長を通じて本人に通知される。
 五高校各学科の推薦枠に対して、志願者数が上回ったのは宮古高校の理数科のほか普通科が一・〇二倍、翔南高校の商業科が一・〇七倍の三学科のみで、そのほかはすべて志願者数が推薦枠を下回っている。
 県全体の志願者数は、全日制で推薦枠四千百五十二人に対し、三千三百十七人(前年度比十七人減)。倍率は〇・八〇倍となり、対前年度比では〇・〇一倍低くなっている。定時制は前年と同様にゼロとなった。
 志願倍率が二倍以上となった学科は五校五学科(前年度四校五学科)で、最も高かったのが向陽高校普通科が三・〇六倍。次いで、開邦高校理数科二・二九倍、那覇国際高校普通科二・二三倍、普天間高校普通科二・一六倍、球陽高校理数科二・〇二倍となっている。
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「第二の夕張市」の危機/梶元伸さん(自治大学校教授)が講演
市職員に早急な行革推進促す


市職員約40人が出席した研修会=18日、市中央公民館

 宮古島市職員を対象にした市町村政策法務研修会(主催・自治研修協会、県自治研究所)が十八日、二日間の日程で同市中央公民館で始まった。初日は総務省自治大学校教授の梶元伸さんが「地方分権と自治立法」と題して講演した。梶さんは、同省から昨年三月まで県に派遣され県離島振興課長を務めたことから、県内各自治体の財政状況を詳しく分析した経験がある。梶さんは冒頭、「宮古島市は第二の夕張市のように破綻する。宮古島市の財政状況を分析すると分かる」と強調し、出席した職員約四十人に、早急な行財政改革を促した。


梶元伸さん

 研修会は、地方分権が進展する中、自治体職員に求められる政策立案と、実現する法務能力の向上を図るため、自治立法の意義を認識するとともに、条例および行財政改革に関する先進的取組事例を研究することが目的。昨年七月に開催される予定だったが、台風の影響で、この日に延期されていた。
 北海道夕張市は多額の負債を抱え、今年四月から財政再建団体になる予定。
 梶さんは、地方分権改革を背景に、全国の地方公共団体で政策実現手段として、各種条例を制定する条例ブームを説明。
 その上で、地方公共団体に求められている能力については、事務執行能力から政策形成能力・政策法務能力に転換したとして「地方公共団体は国や県の支持なく、条例を作ってやっていく姿勢とスタンスが必要」と語った。
 政策法務の定義は、法を政策実現の手段としてとらえ、そのためにどのような立法や法執行が求められるかを検討しようとする実務および理論における取り組み−など。
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