200平成18  1228 木曜日

合併補助金/4億円確保は不透明
使途で困惑 事業前倒しで確保!?/宮古島市

 合併市町村補助金に関する国の交付要綱がまとまり二十七日、合併市町助役・担当部課長会議が宮古島市役所平良庁舎で開かれた。県市町村課は同補助金が見込み通り交付されないことを示唆、全額交付を受けるためには分割的な要求はせず、今年度内に市が見込んだ四億五千万円の七割に当たる三億円以上を要求するよう助言した。四億五千万円の補助金で、三年間の事業実施を計画していた市側は困惑。「当初は何年かに分けてもらえる予算だった。急に方針を変えられても困る。来年度以降の事業の前倒しを検討しなければならない」としている。突然の方針変更を受け、市が見込んだ四億五千万円の確保は、不透明な状況になった。

 同補助金は市町村合併を推進するためのもので、人口に応じて六千万−三億円を限度に分割支給する。宮古島市は補助額が年間一億五千万円。市側によると三年間で計四億五千万円が交付される予定だったという。
 宮古島市など経過措置団体も補助の対象とするかで、総務省と財務省とで見解が異なっていた。今月になって交付要綱がまとまり、今回の担当者会議が開催された。
 国は今年度、二〇〇五年度に合併した経過措置団体(三百二十四団体)を含む五百一団体のまちづくりのスタートの年と位置付け、合併後の新しいまちづくりや住民サービスの確保のため、緊急に必要な事業を実施するための補助金を計上した。
 国は合併団体に対し来年一月十九日までの要望調査を受け付け、精査し交付を決める。事業繰越を認めるが、内示される二月五日までに終了している事業は対象外という。
 同補助金について同市では、総合行政情報ネットワーク構築経費、電算システム新規端末導入経費、住民基本台帳関係などに県の補助金を含めて対応する予定だった。
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30年間で1/3に /伊良部の森林
サシバの休息環境狭まる


土地改良区域内で翼を休めるサシバ=10月、伊良部(撮影・伊良波彌)

 県内有数のサシバ(タカ科)の中継地、宮古島市伊良部島・下地島の森林面積は、一九七三年には千六百三十二fだったのが、三十年後の二○○三年には約三分の一の六百九fに激減していたことが二十六日、県が発表した地域森林計画資料で分かった。宮古野鳥の会の岡徹会長は「森林面積が狭小になっていくことは、越冬するオチダカ(落ちタカ=越冬タカ)が少なくなっていくので」と警鐘を鳴らし、行政へ森林育成・保護・保全の取り組みを提起している。サシバは、宮古島市の市鳥。
 環境省は今月二十二日、絶滅の恐れのある野生生物の種のリスト「レッドリスト」を発表。サシバは、リスト外にあったが、絶滅の危険性が増大している種の「絶滅危惧U類」に指定された。 
 伊良部島では、伝統のカツオ一本釣り漁業が盛ん。かつお節製造工場では、現在も昔ながらにまきを燃料にして名産のかつお節を作る。そのまきに使用するため、特に緑が豊かな南区のリュウキュウマツやモクマオウの樹木が伐採され、かつお節製造業を支えてきた。明治後期にカツオ一本釣り漁業は導入されており、まきを使ったかつお節製造業の歴史は長い。
 近年、南区では土地改良事業が進展。農地の内側や周辺に生えていたリュウキュウマツなどはほとんど消失した。農地で防風林の役割を果たす樹木は、森林面積には算入されない。里山などのように団体的にまとまっている緑が森林面積に算入されるという。
 県は、旧伊良部町の合併前に役場職員らを対象に、土地改良と関連した説明会を開いた。県は「土地改良する場合は、小動物の環境にも配慮した整備を」と提言し、農地周辺の樹木の保護・保全に協力を求めていた。
 伊良部総合支所の幹部一人は「個人の農地周辺などの樹木を保護・保全するのは難しい。市が私有地を買い取り、植樹しなければ森林は増えない」と語り「樹木の消失の影響か、スマバンダカ(島番タカ=落ちタカ)の数は以前と比べて減っている」と危機感を募らす。
 岡会長は「衛星を使ったサシバ追跡調査では、伊良部で越冬したサシバの一部は、翌年も越冬していたことが確認された」と話し「越冬できない環境になったら、八重山諸島で越冬するのでは」と憂慮する。
 サシバは、中国北東部や朝鮮半島、本州の一部で繁殖し、秋は越冬地の東南アジアへ移動する。南下途中、宮古には年平均一万羽以上が飛来し、その九割は伊良部で一泊した後、目的地へ旅立つ。
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宮古沖でクジラ/海保撮影 「極めてまれ」


潮を吹いて泳ぐ姿が確認されたクジラ=26日午前10時38分ごろ、東平安名崎東南東約24`沖合(第11管区海上保安本部石垣航空基地提供)

 26日午前10時38分ごろ、東平安名崎の東南東約二十四`の沖合で、クジラが泳いでいるのを第十一管区海上保安本部石垣航空基地所属のヘリコプターが発見し、撮影した。
 クジラの体長は一五−二〇b程度。約五分間、ほぼ北に向かって移動し、背中から潮を吹いたあと、海中に潜っていったという。
 同基地によると「宮古島周辺で今回のようなクジラを見ることは極めてまれ。この一年間で初めてのこと」だという。
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現役介護助手 歌手デビュー/渋みと甘さ天性の歌声
宮古出身の砂川恵理歌さん(那覇市在)
TV番組でチャンスつかむ/ふるさとでのライブに意欲


確かな歌唱力でオーディションを突破しデビューを果たした砂川さん

 現役介護助手が歌手デビュー−。宮古島市出身で那覇市在住の介護助手、砂川恵理歌さん(29)が、R and C(アール・アンド・シー)からデビューマキシシングル「Heart Drops(ハート・ドロップス)」を発売した。大人の女性の渋みと甘さを持ち合わせた天性の歌声が持ち味で、全国テレビのオーディション番組を勝ち抜いた。介護と歌手の仕事を両立し、沖縄本島などでミニライブなどの活動を行う砂川さん。「宮古でも、チャンスがあればぜひ歌いたい」と話し、ふるさとでのライブに意欲を見せている。

 砂川さんは現在、豊見城市の介護老人施設のリハビリ助手として働いている。歌いながらの訓練や体操はより効果があることから、業務中にもお年寄りたちと歌う機会は多いという。明るいキャラクターとその歌声は利用者から評判で、二〇〇五年に嘉手納町で行われたNHK「のど自慢大会」で優勝した。
砂川さんのデビューシングル「Heart Drops」

 その後、いくつかのオーディションに挑戦し今年、日本テレビ系のオーディション番組「歌スタ!!」に応募。リクルートの求人誌「ガテン」と同番組の共同企画「ガテンなアイドル(ガテドル)」発掘企画を勝ち抜き、CDデビューが決まった。決定の瞬間の心境を、「半分はほっとした。残り半分は、まだまだ足りない部分ばかりなのでそれをクリアしていきたいという気持ち」と振り返る。
 SMAPの楽曲提供などを手掛けるシンガーソングライター、市川喜康さんのプロデュースでのデビュー。シングル「Heart Drops」は五曲入り。一曲目のタイトル曲はしっとりとしたバラード、三曲目の「恋唄」は働く人への応援歌だ。砂川さんは「曲を作っていただく段階で、多くの人に力を貸してもらった。この曲をぜひ、世の中に出したいと思った」と力を込める。
 歌手としての活動を始めた今も、介護の仕事を続けている。「(職場で)休みを調整してもらったり、(利用者に)ラジオ聞いたよ、テレビ見たよ、と言われたり。温かい言葉をもらっている」と感謝。「聞いていただいた人の『良かった』という声が励みになっている。沖縄を拠点に、呼ばれればどこにでもはせ参じます」と笑顔で話した。
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2900年前の生活痕/新城アラフ遺跡
従来の最古記録を更新


第8次調査では大きな規模の集石遺構が確認された=27日、城辺新城のアラフ遺跡

 二千九百年前に形成された城辺新城海岸のアラフ遺跡の第七層で、炊事場とみられる大規模な生活痕が確認された。貝斧を中心とした先島先史時代後期の生活層の中で確認された遺跡では最も古く、浦底遺跡(二千五百年前)を四百年さかのぼった。アラフ遺跡を調査している調査団の江上幹幸団長(沖縄国際大学教授)が二十七日、明らかにした。
 黒い生活痕のある第七層は砂地を四・五b掘り下げた所にあり、上下の白い砂の層との対比で区別が付く。今回の調査で確認された黒く染まった砂(生活痕)の面積は約十二平方b。域内には石を焼いて貝を上に乗せ蒸したとみられる遺構が十一、二カ所、貝はチョウセンサザエの殻がほとんどを占め、タカセガイ、イソハマグリも少し確認された。
 江上団長は「従来の集石(焼き石)遺構は、散在していた。今回は、十カ所以上集中し域的な状況で出てきた」と、これまでに発見された遺構との違いを強調。その上で、「同遺構が炊事場として使われ、住居は別の所にあったのでは」と推察した。
 第七層の出土品は炭素年代測定の結果、二千九百年前のものと特定された。
 アラフ遺跡の調査は、二〇〇〇年から始まり今回は八回目となった。これまでの調査では、八重山でしか採れない黒色変岩も発掘され太古の時代の宮古と八重山の交流を裏付けた。
 江上団長は「アラフは想像していた以上に重要な遺跡。特に第七層で、まとまった遺構が出てくることは想像していなかった。今回の調査では、千年の間同じ調理法で人々が生活していたことも分かった」と、七年間の調査の感想を語った。
 宮古島市教育委員会は、同遺跡の文化財指定に向けて文化財保護審議会に諮問する方針。この日は同審議会の安谷屋昭会長らが、現場を視察した。
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教育関係者に動揺/集団暴行事件で中高生逮捕
生徒指導のあり方に苦慮

 宮古島市内の県立高校に通う男子生徒とその弟(中学二年)に集団暴行を加え、中高生の男女三人が傷害容疑で逮捕された事件が報じられた二十七日、宮古の教育関係者らの間では動揺が広がった。被害者と加害者を含む全体的な生徒指導の在り方に苦慮している。
 集団暴行事件発生のたび、市教育委員会(久貝勝盛教育長)ではその都度、学校側に対して生徒指導の在り方などを指導。それ故の事件発生だったため、久貝教育長は落胆の色を見せた。「大ショック。どんな状況下においても暴力は許せない」と肩を落とした。子どもたちが発するSOSに耳を傾けるためには、行政や教育現場だけでなくPTAの力も必要だと訴えた。また、加害者に対しては「自分の内面をしっかりと見詰め直してほしい」とコメントを寄せた。
 宮古地区生徒指導連絡協議会の新崎直昌会長(翔南高校長)は「どう考えても人にけがを負わせるということは、人間の行為としてあってはならない」と声を震わせた。「加害者の学校も複数にまたがるので警察の捜査結果などの結論を待ち、それから具体的な生徒指導を考えていきたい」と述べた。
 暴行の集団化について宮古教育事務所の新崎治所長は「子どもたちの自尊感情が低いのではないか」と指摘。「一人だと自信がないが、集団となることで安心感が芽生える。集団暴行は仲間意識が裏目に出た形だと思う」と話し「今後は被害者と加害者の心のケアが大事。また、自分の気持ちをコントロールできるような指導も必要だろう」と話し、全体と個別をうまく利用した生徒指導が問題解決につながると強調した。
 宮古島署によると、宮古管内における今年の少年による集団暴行事件の摘発件数は二十四日現在で、三件、十三人に上る。県全体では十七件、九十一人。全体的に見て中学生が関与した事件が目立っている。
 宮古島署では引き続き、逮捕した中高生に対して取り調べを進めており、きょう二十八日にも検察庁に送致する。
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