200平成18  1221 木曜日

離島へき地医師派遣に5600万円/07年度内閣府沖縄予算内示
バイオ事業を新規計上/伊架橋は増額見込み

 【那覇支局】政府は二十日、二〇〇七年度予算の国庫原案を各省庁に内示した。内閣府沖縄担当部局の内示額は、二千六百三十五億九千百万円となり、〇六年度の当初予算額二千七百二十億四千万円を八十四億四千九百万円(三・一%)下回った。宮古関連では、「下地与那覇海岸防災林造成事業」が新規公共事業で認められたほか、脳外科の常勤医師が不在となっている県立宮古病院など離島・へき地の中核病院に対する医師派遣費補助の新規メニューとして、専門医派遣事業五千六百万円も計上された。また、環境省予算で宮古島や大都市圏におけるバイオエタノール導入実証事業費として二十八億円が新規で計上されている。

 離島・へき地医師派遣費等補助金の新規メニューとして、県立宮古病院、八重山病院などへの専門医派遣事業が全国で唯一認められた。県立宮古病院では、脳神経外科が不在のため、緊急時は沖縄本島へヘリで搬送している。同事業は、離島へき地の中核病院において医師が不足している診療科において、全国の民間医療機関から専門医(通年三人)の派遣を受ける事業に補助を行うもので、補助率は国が四分の三で残りを県が負担する。派遣により、医師を確保する直接の効果だけでなく、多くの医師に離島・へき地医療の経験を提供することにより、沖縄の離島・へき地医療に意欲・理解を持つ層を拡大し、安定的な医師確保につなげることを狙いとしている。
 バイオエタノールに関して環境省は、バイオマスエネルギーの導入加速化を目指し、宮古島や大都市圏においてバイオエタノール導入実証事業を実施する。新年度ではエコ燃料実用化地域システム実証事業費として二十八億円が新規で計上され、宮古においてもバイオエタノール実用化に向けた取り組みが今後加速していく。
 新規の公共事業として認められた「下地与那覇海岸防災林造成事業」の事業内容は、植裁工二・五f、丸太暴風柵工七百五十b、木製暴風工六千五百bで総事業費は六千万円となっている。事業の目的は、台風などの気象災害により、海岸防風林としての機能が著しく損なわれ、背後地に潮風害が発生しているため、植裁工などを実施し、保安林の防潮機能の回復・向上を図るとしている。
 今年度二十三億円が計上されている伊良部架橋については、新年度予算でも盛り込まれたが具体的な額については来年三月ごろに明示される。県宮古支庁によると、今年度は二カ所だった橋脚工事を新年度は十二カ所で予定しており、予算額も増加が見込まれている。
 平良・城辺線の電線地中化についても、個別の予算額については来年三月ごろに明示される。同事業の事業期間は、○五−○八年度の四年間で総事業費は十六億五千万円。○五年度は実施設計などの調査を実施し、今年度から本体工事がスタートしている。予算要求で県は、今年度の当初要求よりも増額で要求。国も同事業を重要事業として位置付けており、今年度も県が要求した額が満額計上されていることから、新年度の予算額は増額される見通しとなっている。
 新年度の沖縄関係予算案については今後、内閣府沖縄担当部局と財務省との復活折衝が行われ、二十四日の臨時閣議で正式に決定される。
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宮古和牛をアピールへ/畜産関係者 購買者誘致に出発


山形県などに向け出発したJAおきなわ宮古地区本部の下地隆弘本部長(左)ら=20日、宮古空港

 JAおきなわ宮古地区営農センター畜産部と宮古島市農政課畜産係、宮古郡農業共済組合の関係者ら十人が二十日、三泊四日の日程で宮古産和牛の購買者増加の誘致に向け東北や九州などへ出発した。今年度中に、目標総販売高三十億円の突破を目指し決意を新たにしていた。
 宮古空港の出発式で、JAおきなわ宮古地区本部の下地隆弘本部長は「購買者には、これまでの購買に感謝し、来年一年間の購買をお願いする。宮古産和牛の改良成果を広くアピールしよう」と述べた。その上で「来年の宮古産和牛の飼育頭数は上昇の傾向にあり購買者のニーズに応えたい」と語り、購買者増加の誘致に意欲を示した。
 一行は二班に分かれて出発した。一班の五人は九州、二班の五人は山形県・愛知県でそれぞれ精力的に購買者増加の誘致活動を展開する。
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「飲んつかー乗らん」/宮古島署/飲酒運転防止を啓発
ステッカーを居酒屋に配布/昨年の罰金4000万円


ステッカーを手渡す(左2人目から)岸本署長、伊志嶺会長、黒島会長、下地会長=20日、「居酒屋琉球王国さんご家」

 宮古島警察署(岸本亮署長)と関係機関は二十日、飲酒運転防止に注意を喚起する「飲(ぬ)んつかー乗(ぬ)らん」ステッカーを市内の居酒屋各店舗に配布した。飲酒機会の増える年末を控え、酒類提供店の協力を求めた。配布に先立ち、宮古島市役所平良庁舎で出発式が行われ、関係者が飲酒運転撲滅に士気を高めた。昨年の宮古管内の交通死亡事故に占める飲酒運転の比率は全国最悪、飲酒運転に絡む罰金は四千万円に上った。

 ステッカーは、宮古島署と宮古島地区交通安全協会が連名で発行しているもので、この日は千五百枚を配布。約五十人の参加者が四グループに分かれ、百店舗の居酒屋を訪ねて計千五百枚のステッカーを手渡し、来店客の目に付きやすいトイレ内に張り付けるよう協力を求めた。
 安全運転管理事業所など二百九十九団体にはすでに配布を終えているという。
 ステッカーを受け取った居酒屋「さんご屋」の平戸新也店長は「お酒を出す側も飲む側も互いに注意し、飲酒運転のない楽しい酒席であってほしい」と話した。
 出発式では、宮古地区交通安全母の会の下地正子会長が飲酒運転のない交通社会の実現を目指す宣言文を読み上げ、参加者全員で採択した。岸本署長は「『自分の身近から事故の被害者を出さない』『飲酒運転は犯罪である』との認識を広め、交通事故のない安全で住み良い街づくりを」と広く呼び掛けた。
 市交通安全推進協議会長の伊志嶺亮市長は「宮古はオトーリ文化が定着しており飲酒機会の多い地域。楽しくお酒を飲めるよう、飲酒運転ゼロを目指して頑張ろう」とあいさつを述べた。
 宮古島地区交通安全協会の黒島正夫会長は「宮古から飲酒運転をする人がいなくなれば、交通事故発生数は大幅に減る」とし、撲滅に向けて粘り強く取り組むことを宣言した。
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子どもたちの安全確保を/冬休み控え、声明文発表
高校校長会と市教委など


共同声明文を読み上げる宮古地区高等学校生徒指導連絡協議の新崎直昌会長=20日、翔南高校校長室
 

冬休み期間中の児童生徒の安全確保を呼び掛ける教育関係団体の代表ら=20日、宮古島市役所平良庁舎

 年末年始を迎え、宮古地区高等学校校長会(下地義雄会長)と宮古地区高等学校生徒指導連絡協議会(新崎直昌会長)は二十日、翔南高校で「高校生の交通事故・深夜はいかい防止等に家庭・地域のご協力を」と題した共同声明文を発表した。
 声明文では、「年末年始を迎え、宮古地区においてもオートバイを所持する高校生は多く、死亡事故という重大な悲劇がいつ起こっても不思議ではない状況下にある」と指摘。その上で「多発する交通死亡事故を未然に防ぎ、犠牲者をこれ以上増やさないためにも大人の一声や家庭からの言葉かけをお願いする」と協力を求めている。
 子どもたちには▽夜間外出は慎む▽交通ルールをよく守り、暴走行為は絶対しない▽家族との対話を大切にする−などを順守するようアピールした。
 一方、宮古島市教育委員会(久貝勝盛教育長)など教育関係五団体も同日、冬休みを控える児童生徒の安全を守るための声明を発表した。「大切な子どもたちの命と安全を守るために」とし、家庭や地域に対し、冬休み期間中における安全確保の徹底を呼び掛けた。
 声明では家庭や地域が子どもたちを見守り、正面から真剣に向き合うことの大切さを強調している。久貝教育長は「子どもたちが冬休みを安全に過ごすためにも、家庭や地域の協力をお願いしたい」と話した。今年七月に開催された「心のみやこ」推進大会で確認した二つの誓いと七つの習慣の推進も強調。二つの誓いは▽私たちは、社会で認められないことは、学校でも認められない▽私たちは、いじめや暴力のない「安全で楽しい学校」や「やすらぎのある家庭」をつくる−こと。「明るいあいさつをしよう」や「子どもにその日のことを話させよう」など七つの習慣の徹底も促した。
 この声明は、宮古島市教委をはじめ、多良間村教委、宮古地区小・中学校PTA連合会、宮古地区小学校長会、宮古地区中学校長会が発表した。
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「産廃火災」報告書を寄贈/大浦の裁判を支援する会
市長「市民にも知ってもらいたい」


産廃火災についての報告書を伊志嶺市長(左から2人目)に手渡す大浦住民の下地博和さん(右から2人目)=20日、宮古島市役所平良庁舎

 平良西原の産業廃棄物最終処分場火災の発生から五年を受け、大浦の裁判を支援する会(奥平一夫会長)のメンバーらが二十日、宮古島市役所平良庁舎に伊志嶺亮市長を訪ね、同火災の発生から今日に至るまでの経過をまとめた「知ることは守ることのはじまり」という報告書を寄贈した。伊志嶺市長は「貴重な報告書を作っていただいた。(産廃火災のことを)市民にも知ってもらいたい」と同会の取り組みを高く評価した。
 報告書には、火災のことや被害に遭った大浦住民の声、裁判、新聞記事の切り抜きなど、火災からこれまでの資料がまとめられている。発刊に当たっては「なぜあの火災が起きたのか、あの火災から私たちは何を学び、これから何をすべきなのか。改めて考える機会にしていきたい」などとしている。
 寄贈に当たり、大浦住民の一人、下地博和さんは「多くの市民に読んでもらいたい報告書。そして一人でも多くの市民が島の環境のことを考えてくれれば幸い」などと話した。これに伊志嶺市長は「市としても、皆さんとともにこれからも頑張っていきたい。火災から五年を機に、貴重な報告書を作っていただいた」と感謝した。
 報告書はA4判の全二百八十七n。「写真に見る大浦産廃火災」「公害紛争調停」「裁判」「大浦住民の訴え」「インタビュー」「裁判を支えた郷友会」「裁判におけるそれぞれの主張」「資料編」で構成されている。 報告書を発刊した支援する会は、中学校や高校への寄贈も予定している。
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マスク自販機を設置/宮古病院
せきの時は着用を


このほど設置されたマスク自動販売機=20日、県立宮古病院

 県立宮古病院(安谷屋正明院長)はこのほど、マスクの自動販売機を宮古で初めて設置した。インフルエンザや風邪が流行しやすい時期を控え、同院ではせきのある来院者のマスク着用を呼び掛けている。
 せきの飛沫(ひまつ)感染でうつる感染症は、結核、インフルエンザ、風邪、はしか、風疹、新型肺炎(SARS)などがある。マスクは、病原微生物が飛び散るのを防ぐ効果があるほか、乾燥した冷気の湿度や温度を上げるため、症状の緩和にもつながる。
 同院は、施設正面出入り口にマスクの自動販売機を設置。百円玉を投入してハンドルを一八〇度回すと、二枚のマスクが購入できる仕組み。口だけでなく鼻まで覆うようになっている。
 昨年冬季は、宮古福祉保健所がマスク着用を推進するモニタリング調査を実施。せきのある来院者にマスク着用を促した。着用率が低い時期にインフルエンザ患者数が増加するデータをまとめている。
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