200平成18  1217 日曜日

市有地分筆売買/議会が特別委設置へ
市議会総務財政委/補正予算案は差し戻し

 宮古島市(伊志嶺亮市長)が地方自治法などで定められた議会議決を経ずに沖縄本島の民間会社と市有地の売買契約を交わしたことは違法だとして、市議会総務財政委員会(前川尚誼委員長)は十六日、売買契約に至った経緯などを調査する調査特別委員会の設置を決めた。十八日の本会議に動議として提出する方針。付託された本年度補正予算案は差し戻しとなり、当局に予算案を修正し再提案することを求めた。

 この日の委員会は、歳入として見込んだ財産売払収入が議会議決を経なかったことから、売買契約そのものを無効、売払収入を減額し、地方交付税を充てるという新たな補正予算案を審議しようと前川委員長が臨時に召集した。
 しかし、委員からは「不正な契約で実害が出ており、市民に不利益を与えている」として、違法性がある予算案を審議することはできないと突っぱねた。
 また、土地売買契約に関連した前日の市議会十二月定例会一般質問で伊志嶺市長が「市民に不利益を与えたとは思っていない」との答弁に対しても、質問した池間雅昭氏が「反市民的な態度で、許されるべきものではない。委員会として告発すべきだ」と市長の姿勢を厳しく非難した。
 結局、この日は補正予算案の審議は行わず、本会議に差し戻すことを決定した。
 また、同問題を調査する調査特別委員会を早急に設置していくことを委員会の総意として本会議に動議として提出することにした。
 伊志嶺市長の責任の取り方については、前川委員長が十八日の本会議前にも本人と面談し、意向を確認する。その上で修正した補正予算案を本会議に提案するよう求めていくことで一致した。


市長の処分逃れず/特別委の調査注視

 宮古島市が所有する市有地の売買契約で地方自治法などでは議会議決に付すべきだった問題は、伊志嶺亮市長が「瑕疵があった」と自らの責任を認め、議会に謝罪。自らの処分についても自ら市職員懲罰分限審査会に諮問するという、前代未聞の事態にまで発展した。
 しかし、特別職である市長の処分を同審査会で審議できるかは、極めて難しい。ただ、議会の場で自らの処分を同審査会に諮問すると明言したことから、市長自らが何らかの責任を取らざるを得ない状況に立たされたとも言える。
 市議会総務財政委員会は十六日、議会議決に付さなかった土地売買契約は違法だとして売買契約に至った経緯などを調査する調査特別委員会設置の動議の提出を決めた。
 この動議が議題として取り上げられるかは本会議の採決で決まるが、伊志嶺市長が議会で自らの責任を認め謝罪していることなどから、可決される見通しだ。
 土地売買契約を地方自治法などに定められた議会議決を経ずに、二筆として相手側と売買契約を交わした市職員の意識も問われる。
 同問題に対しては、総務財政委員会から、担当課の業務日誌などの提出も求められている。これを機会に、市内部のあらゆる業務の再チェックが必要だ。  (平良幹雄)
top.gif (811 バイト)

雨の中サッカー楽しむ/レキオスFCと交流
宮古島市スポーツフェス


選手から指導を受ける子どもたち=16日、宮古島市陸上競技場

 宮古島市スポーツフェスティバル(主催・同実行委員会)が十六日開催され、沖縄本島のプロサッカークラブ「レキオスFC」と市民らが交流を深めた。午前は宮古島市陸上競技場で小中学生を対象にサッカー教室、午後からは前浜ビーチで一般を対象としたビーチサッカー交流試合が開かれた。参加者らはあいにくの雨にも負けず、元気いっぱいにプレーを楽しんでいた。
 レキオスFCは昨年十月、沖縄本島で活動を始め、今年十月の第一回ビーチサッカー全国大会で優勝を果たしたチーム。
 同フェスティバルは青少年の技術育成、沖縄のサッカーとビーチサッカーの発展を目指すことが狙い。
 午前のサッカー教室には、市内の小中学生ら約二百五十人が参加。小学生はゲームを交えたリフティング練習などを行い、中学生はボールコントロールの訓練やヘディング、さまざまなシュートパターンなどを学んだ。
 友利基紀君(東小四年)は「選手たちがリフティングをかかとや背中でやって見せてくれてすごかった。一緒に練習できてうれしい」と笑顔。名嘉真道明君(北中二年)は「レキオスFCの監督も直接教えてくれたので分かりやすかった。自分たちのチームに足りない所を見つけ、学んで帰りたい」と話した。
top.gif (811 バイト)

宮古苧麻績み保存会/初の糸績み展示会
養成教室の160人が出品


展示会は大勢の参観者でにぎわった=16日、宮古島市下地公民館

 宮古苧麻績み(ぶーんみ)保存会(下地正子会長)は、同会発足以来三年間の活動の集大成となる第一回の苧麻糸績み展示会を十六日から、宮古島市下地公民館で開いている。きょう十七日までの日程。会場には保存会が主宰する養成教室の受講生約百六十人が、腕によりをかけて績んだ苧麻糸を展示。苧麻の繊維採りやブー(苧麻糸)績みなどの実演も行われた。
 宮古上布に使う苧麻糸を績む人が高齢化し後継者の確保が危ぶまれている中、国は二〇〇三年に同技術を国の保存技術に選定。これを受け、同年、同技術の保存団体として苧麻績み保存会が発足した。保存会は宮古地区に十七の伝承者養成教室(下地十、平良二、上野二、城辺一、伊良部一、多良間一)を開設。教室では若者からお年寄りまで百七十人が技術を磨きこの日の展示会となった。
 苧麻糸は細くて均一の太さの物が高品質。展示会は自作と他人の作品を見比べて勉強する機会にもなった。会場には伝統工芸士の荷川取キヨさん(平良)、洲鎌ツルさん(下地)、友利ヒデさん(平良)らの作品も展示され、目にした人たちは「素晴らしい」と絶賛していた。
 受講者たちの作品も、この日のためにと丹精込めて作り上げた自信作ばかり。垣花信子さんは「人それぞれの特徴が出ている。お年寄りの作品はすごい。若い人は努力の成果がうかがえる」と感想を語った。下地会長は「百七十人の受講生中、百六十人が出品したことは、ブー績みに対する情熱の表れ。この機会に勉強し一段上の目標に向かって修練を重ねてほしい」と、輪の広がりと技術向上に期待した。
 文化庁から訪れた文化財調査官の近藤都代子さんは「これだけの作品が並ぶ光景は壮観。後継者確保が危ぶまれたころと比べると、隔世の感がする。教室を通して若者たちが育ったことが何よりうれしい」と、明るい表情を見せた。
top.gif (811 バイト)

創立60周年の節目祝う/翔南高校
関係者集い盛大に式典・祝賀会


創立60周年の節目を式典と祝賀会で盛大に祝った=16日、翔南高校体育館

 県立翔南高校の創立六十周年を祝う式典と祝賀会が十六日午後、同校で行われた。歴代校長をはじめとする学校関係者が多数出席し、六十年の歴史を振り返りながら、さらなる発展に向けて決意を新たにした。新崎直昌校長は新しい学校づくりを決意。「地域や県民の期待に応えるために、本校創立六十年の歴史と伝統を継承、発展させることを誓う」などと力強い式辞を述べた。
 記念式典は午後三時に開会。はじめに参加者全員で校歌を斉唱した。新里光弘教頭による記念事業の経過報告の後、新崎校長があいさつ。一九九二年の商業科移設に伴い全国でも例の少ない水産と商業の併設校となり、新生・翔南高校が誕生した経緯を踏まえ「地域に親しまれる専門高校としての校風も定着した」などと振り返った。今後の学校運営に当たり「人格の完成を目指し真理、正義、平和を愛し、民主社会の形成者にふさわしい心豊かな人材を育成する」と決意を述べた。
 県教育委員会の仲宗根用英教育長(代読)は「校章に込められた生徒が全世界で活躍することを希求するとの願い通り、この宮古の地から世界に羽ばたくことを期待する」と激励。
 期成会の砂川勝哉会長も「水産業、商業、金融流通業など、ありとあらゆる分野で活躍できる人材を育成してほしい」と話し、人材育成に重点を置いた教育に大きな期待を込めた。
 同校発展における功労者に対する表彰も行われ、期成会の砂川会長が該当者一人ひとりに感謝状を贈呈した。
 式典後は祝賀会が催され、参加者は各種余興を楽しむとともに、翔南高校のさらなる発展に向け決意を新たにしていた。
 功労者や感謝状受賞者、高額寄付者は次の皆さん。(敬称略)
 【教育功労賞】▽源啓祐(十七代校長)▽大川隆信(十八代校長)▽今井敏彦(十九代校長)▽狩俣武則(二十代校長)
 【感謝状受賞者】▽棚原文男▽松岡光男▽山内健▽伊山國昭▽宮国泰男▽山川玄榮▽宮里尚安▽友利春一▽新城文良
 【高額寄付者】▽黒島正夫▽川満雅夫▽大城眞徳▽大川隆信▽塩川博司▽伊志嶺善三▽下地稔▽仲間弘▽森山晃▽宮古製糖城辺工場職員一同▽宮古製糖多良間工場職員一同▽宮古製糖伊良部工場職員一同▽山川玄榮▽仲間成長▽前原新吉▽砂川朝信▽瑞慶覧博良▽空港前給油所▽砂川純一▽宮里敏男▽神里裕夫
3年間の活動成果ずらり
top.gif (811 バイト)

焼却炉撤去、本格化/西原産廃
事前説明なしに住民憤り


煙突部分を撤去するなど作業を本格化させた=16日、平良西原

 二〇〇一年十一月に発生した平良西原の産業廃棄物最終処分場火災で、営業停止となっている同処分場焼却炉二基の撤去作業が十六日、本格化した。強い風が吹き付ける中、作業員らがバーナーで鉄骨部分を焼き切り、クレーンでつり上げ、煙突部分を撤去した。十五日は、報道で解体作業を知った大浦地区の自治会長らが同処分場に駆け付け、住民に説明がないままの作業の着手に強い憤りをあらわにした。解体作業は十九日まで行われる。
 十五日午後五時すぎから大浦地区の住民や宮古福祉保健所、宮古島市、元事業者と作業を進める業者らとの話し合いの場が設けられた。
 元事業者の男性は住民らを前に「大浦の皆さんから撤去するよう要請があったが、私には力がなく、県医療廃棄物事業協同組合にお願いし一切の段取りも任せて、昨日から作業が始まっている」と説明。労働基準監督署に提出した作業計画書の公表を住民らが求めると、男性は「書類は医療組合に提出しているのでできない」と公表を拒否した。
 大浦自治会の大浦敏光会長は「焼却炉の撤去は三年以上も要求し続けていた問題であり、撤去実現は歓迎できる」と評価。一方で住民に対する事前説明がなかったことに対し「ダイオキシンの数値や作業概要などの説明の場を設けてほしい。住民の知らないうちに作業が進められることに、何か問題があるのかと不信感がわく」と、県と業者による住民説明会の開催を要望した。
 これに対し、宮古福祉保健所の金城康政保健総括兼生活環境班長は「要望として所長や本庁と、対応について検討し、後日返事したい」と述べた。
 元事業者の男性は「早く撤去してもらえたら、僕自身も楽。やっと肩の荷が下りた」と安堵の声。説明会の開催に関しては「医療組合の人にやってもらう分には構わない」と了承した。
 大浦自治会の砂川保さんは「住民の不安を取り除くようにしてほしかった。もしかして処分場を再利用するのでは、と一つ懸念している」と表情を曇らせた。
 作業は十九日まで行われる見通し。▽洗浄▽解体▽養生▽積み込み−の作業を行い、撤去したものは土などを含め沖縄本島へ送られ、処分するという。
top.gif (811 バイト)

安全確保を最優先に/労働災害防止で合同パト


工事の概要説明を受けながら、作業内容や人員などを確認・点検した=15日、伊良部大橋橋梁整備第2期工事現場

 建設業労働災害防止協会沖縄県支部宮古分会(松川勝弘会長)と宮古労働基準監督署(並里智浩署長)、沖縄労働局(片淵仁文局長)は十五日、市内各地で二〇〇六年年末建設工事合同パトロールを実施した。安全指導員らが四班に分かれ、建設現場での足場の組み方など作業上の安全管理面をチェック。安全確保を最優先に、労働災害防止に向けての意識を高めた。
 パトロールは市内各地の民間工事現場や海岸護岸工事など約二十カ所で実施。このうち、伊良部大橋橋梁整備第二期工事(伊良部仮桟橋その一)では、並里署長や沖縄労働局労働基準部の野田洋一部長らがパトロールを行い、工事の概要説明を受け、作業内容や人員などを確認・点検した。
 仮桟橋を沖合にかけて百四十四b築造しているという同工事を現場代理人とともに安全点検しながら、並里署長は「現場をよくまとめて管理している。クレーンなど大型重機を扱う際、ちょっとしたミスで重大災害につながりかねない。無事に工期終了が迎えられるよう安全作業をお願いしたい」と講評した。
 年末年始は特に、労働災害が増加する傾向があるといい、今年は県内の建設業における死亡労働災害が多発。十一月末現在で死亡者数が昨年同期と比較し五倍の十人となっている。
 全産業における労働災害発生件数は十一月末現在で、六百五十六件と、昨年同期を十七件上回っている。宮古地区での建築業労働災害は、昨年同期に比べて二倍の四件発生した。
top.gif (811 バイト)