200平成18  1216 土曜日

市有地文筆売買/市長が違法性認め謝罪
自らを分限委に諮問/過去に例なく対応苦慮
市議会一般質問


市議会一般質問で土地売買契約の違法性をめぐり市当局を厳しく追及する池間氏=15日、宮古島市議会議場

 宮古島市(伊志嶺亮市長)が所有する市有地の土地売買契約で、地方自治法では議会議決に付すべきだった売買金額と土地面積を有する問題で伊志嶺市長は十五日、「違法であった」と認め、議会の場で謝罪するとともに、自らの処分を懲罰分限委員会に諮ると述べた。同問題が、市民に不利益を与えたという指摘については「与えていないと思う」と述べた。同日行われた同市議会(友利恵一議長)十二月定例会一般質問最終日で池間雅昭氏の質問に答えた。

 ただ、市長自らの処分を懲罰分限委員会に諮ることは過去に例がなく、市当局では県などに問い合わせて対応を決める方針。
 伊志嶺市長は「地方自治法と関連条例をあとから読み、違法であることを承知した。職務を怠慢したという義務違反があったことを認めたいと思っている」と述べ、同売買契約が違法であるとの認識を示した。
 池間氏が、道交法違反で検挙された市職員については、厳しい処分を下している市長が自ら法律違反を犯したとして、その責任を求めたことに対し伊志嶺市長は「議会の権限を見過ごして(売買契約書に)決裁したという瑕疵 (かし)がある」と述べ、自らの処分を懲罰分限委員会に諮るとした。
 さらに池間氏が、同売買契約が無効になったことで、市民に不利益を与えたとした質問については「市民には不利益を与えていないと思う。現物(土地)はあり、実際にまだ売買契約は白紙の状態」との見解を示した。
 この答弁に、池間氏は「契約が正しく結ばれていたならば、(契約相手側から)保証金や延滞金も入るべきだった」と指摘。「不動産売払金として入るべきだった土地売買金が入らなかったという実害があった」として、市民に対する背任行為だと厳しく非難した。
 同問題は、平良字荷川取(下崎)にある市有地で、市は那覇市に本社のある民間会社と土地売買契約を結んだ。
 土地の面積は七千六百十九平方bだったが、これを二筆に分割し、二件の売買契約を締結した。
 地方自治法に基づく市条例では、土地売買契約は面積が五千平方b以上で売買金が二千万円以上については、議会議決に付すことが明記されているが、市側は土地を二筆に分けたことから議会議決に付さなくてもよいと判断したとされる。
 市議会総務財政委員会(前川尚誼委員長)では、契約に違法性があるとして、売買契約を無効とすることを決定。新たに売買契約を結ぶよう市側に求めていた。
 この日の一般質問には池間氏のほか、棚原芳樹、下地秀一、豊見山恵栄、前川尚誼の五氏が登壇した。
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伊架橋前倒しに努力/奥平氏の質問に仲井真知事
県議会代表質問


伊良部架橋など離島振興について仲井真知事の見解を求めた奥平一夫県議=15日、県議会

 【那覇支局】開会中の県議会(仲里利信議長)十二月定例会は十五日、代表質問が行われ、宮古地区選出の奥平一夫県議が離島振興策などについて、仲井真弘多知事の見解を求めた。自らが方針として示していた伊良部架橋の二年前倒し完成について仲井真知事は「伊良部架橋前倒しについては予算の問題であり、予算の確保にしっかり頑張りたい。これから先を見てほしい」と述べ、当初二〇一二年完成予定を二〇一〇年とすることに向け、積極的に取り組む姿勢を示した。この日の代表質問では、奥平氏を含む五会派五氏が登壇し、当局の見解をただした。
 伊良部架橋の建設については、首里勇治土木建築部長も「現在は海中道路工事などを実施している。これまでにない大規模な海上橋梁であり、適切な品質、安全性の確保、自然環境への配慮を行いながら早期完成に向け取り組みたい」と述べた。
 県立宮古病院の新築移転について、知念清病院事業局長は「宮古病院の改築については建設から相当の期間が経過している。病院事業局としては老朽化した宮古病院の新築移転に向け現在、病院現場と具体的な検討を行っており、本年度中には新築移転時期が明示できるよう取り組んでいる」と説明した。
 また、宮古病院の脳外科医の常任医師不在など、県立病院の専門医不足問題について県は「関係機関との連携を図り中長期的な視点で医師確保に努めたい」との見解を示した。
 そのほか、仲井真知事が掲げているユニバーサルサービス実現に向けた取り組みについて、上原良幸企画部長は「離島の振興を図るためにはその不利制軽減に努め、有利性を高める取り組みが必要。この認識の下、離島地域の振興を県政の重要課題と位置付けて各分野における施策事業を推進し、ユニバーサルサービスの提供に向けて取り組みたい」と述べた。
 仲井真知事は伊良部架橋建設について、本紙のインタビューでも「予定よりも早く完成させて次の展開に進めたい。めどとしては二〇一〇年完成を目指し、国とも調整したい」と述べ、予定の二〇一二年度の完成よりも約二年前倒しで取り組むとの方針を示している。
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「違法行為取り締まって」/ダイビング事業組合
「警察権放棄」と迫る
伊良部漁協の嫌がらせ/海保は抗議文受け取り拒否


焼却炉にビニールシートをかぶせて養生し、撤去に向けて作業を行った=14日、平良西原

 宮古島ダイビング事業組合(加入業者十三社)の渡真利将博会長ら十四人は十五日午後、平良海上保安署(上鵜瀬啓二署長)を訪ね、伊良部漁業協同組合が伊良部島周辺海域で、ダイビング船に対して嫌がらせをしている違法行為を取り締まらないのは警察権の使命を放棄しているとして、抗議文を渡そうとしたが門前払いされた。渡真利会長は、シャットアウトされた入り口ドア前で、ハンドマイクを使って抗議文を読み上げて強く抗議した。現場は一時、物々しい雰囲気に包まれていた。

「これからダイビング業者と伊良部漁協は安全行動を取るよう指導したい」と強調する上鵜瀬署長=平良海上保安署

 上鵜瀬署長はマスコミのインタビューに応じ、「抗議内容については、(宮古地区)海面利用協議会があるので、そこで堂々と述べてもらいたい」と述べた。
 ハンドマイクを手にした渡真利さんは「平成八年から今日まで、伊良部漁協と宮古島ダイビング組合および他ダイビング事業者間において、宮古島海域の海面利用をめぐるトラブルが続いている」と前置き。
 その上で「(平良海上保安署は)今日まで、著しく妥当性を欠いた伊良部漁協所属の監視船による監視行為(実体はスピーカーによる業務妨害および脅迫行為)を事実上黙認している。再三にわたり、伊良部漁協による不法行為(裁判所の判断有り)を取り締まるよう訴えるも、的外れな『民事不介入』を唱え、積極的に警察権を行使していない」と糾弾した。
 さらに渡真利さんは「県観光条例に違反している伊良部漁協の不法行為により、平穏なダイビングを楽しみに来た観光客へ恐怖感が植え付けられていることをそのまま放置している」と声を荒げ、警察権を行使しない保安署の姿勢を強く抗議した。
 同保安署に抗議文の受け取りを拒否された渡真利さんは「第十一管区海上保安本部と平良海上保安署には、抗議文を郵送で送る」と語った。
 上鵜瀬署長は「伊良部漁協とダイビング業者の双方には利害関係と主義主張がある。双方が同じテーブルに付いて、妥協点を見いだせば良いが、それが難しい。これから双方に対しては安全行動を取るよう指導したい」と重ねて強調した。
 伊良部漁協は、ダイビング事業組合が海面利用料を支払う協定を結んでいないとして、伊良部島・下地島周辺海域でダイビングする行為には反発。一方、同組合は、海面利用料を支払う姿勢は示し、海面利用料の目的をはっきり示すよう求めている。
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仮桟橋を視察/伊良部大橋耐風検討委ら


伊良部大橋の仮桟橋を視察する委員ら=15日、伊良部大橋建設現場の宮古本島側

 伊良部大橋(仮称)耐風検討委員会(委員長・久保喜延九州工業大学工学部建設社会工学科教授)の第二回検討委員会が十五日、宮古島市平良のホテルで開かれた。委員会では今後、ガスト応答(自然風では、時間とともに風速が変動する乱れ成分があり、この風速変動の作用によって構造物が強制振動させらることの意味)などについて審議し、来年二月に開かれる予定の第三回検討委員会で検討結果をまとめる。
 第二回検討委員会に先立って、委員らは伊良部大橋の建設に伴う仮桟橋を視察した。
 同委員会は、伊良部大橋が他に例を見ない橋梁形式であることから、耐風安定性の検討として実施した結果の妥当性や不足する検討の有無などについて、評価ならびに指導を依頼する目的で設置された。
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年賀状受け付け開始/25日までに投函を
郵便局


心を込めて書いた年賀状を投函する子どもたち=15日、宮古郵便局

 宮古郵便局(辻勝己局長)は十五日、二〇〇七年用年賀状受け付けを開始した。開始セレモニーには、ちゅうりっぷ保育園(上地玲子園長)の三、四歳児らを招待し、園児たちが今年一番乗りで投函した。同郵便局では、今月二十五日までの年賀状投函を呼び掛けている。
 宮古管内の年賀状発売枚数は四十万六千枚。引き受け予測枚数は、五十二万通、配達予想枚数は五十九万八千通で、いずれも前期比一万一千枚の減。
 年賀はがきは、無地、写真用、インクジェット、絵入りの四種類があり、同局では早めの購入を呼び掛けている。
 受け付け開始セレモニーでは、園児たちがかわいらしい衣装姿で元気いっぱいに踊りを披露し、居合わせた利用客らを楽しませた。

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「仰木さん忘れない」/一周忌 顕彰碑前で追悼
オリク協力会など


仰木さんの顕彰碑の前で、黙とうする関係者ら=15日、宮古島市民球場

 プロ野球オリックス・バファローズの元監督、故仰木彬さん(享年70)の一周忌となった十五日、宮古島市民球場で追悼式が挙行された。宮古島オリックス協力会(中尾英筰会長)をはじめ関係者が集まり、仰木さんの造語で座右の銘として使ったという「信汗不乱」の文字を刻んだ顕彰碑の前で黙とう。宮古島を愛した仰木さんの功績をしのんだ。
 式には宮古島市や宮古観光協会、宮古青年会議所、宮古島商工会議所などの関係者が参加した。中尾会長は「仰木さんは宮古を最も愛した監督で、忘れられない人物。リーグ優勝や日本一を勝ち取ったのがつい最近のことのように思える。宮古島キャンプが続く限り、この功績を大事にしながら、私たちも頑張らないといけない」と述べるとともに、来年で十五回の節目となる宮古島キャンプ成功に向け決意を新たにした。
 仰木さんは一九三五年福岡県生まれ。長いコーチ経験、近鉄バファローズ監督を経て、一九九四年にオリックスの監督に就任。九五年にリーグ優勝、九六年には日本シリーズ制覇を達成した。この間には、米大リーグのイチロー、田口壮の両外野手を育てるなど、多くのスター選手が生まれた。二〇〇五年十二月十五日、肺がんのため死去。
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