200平成18  12 土曜日

ブランド化の可能性探る/たらまピンダシンポ
島興しに官民一丸/生産加工と流通で提言


官民から多くの関係者が集まり、ブランド化への可能性などについて考えた=8日、JAおきなわ宮古地区本部

 「山羊(やぎ)で島興し」をテーマに「たらまピンダシンポジウムin宮古島」(主催・多良間村、共催・県宮古支庁など)が八日、JAおきなわ宮古地区本部で開かれた。地域住民やヤギ愛好家、畜産関係者らが参加。講演や基調報告などに耳を傾け、ブランド化への可能性や今後の事業展開などについて考えた。シンポジウムでは生産や加工、流通についてパネリストがそれぞれの立場から提言した。きょう九日は同村の特産品を展示・販売する「たらまピンダ祭り」が午前九時から午後五時まで、同本部あたらす市場前で開催される。

 シンポジウムは同村の産業振興の一つである「たらまピンダ島興し事業」の課題や方向性について、各専門分野の提言を受け事業の方向性をともに考えることが目的。
 パネリストは食生活ジャーナリストの岸朝子氏、琉球大学農学部教授の砂川勝徳氏、たらまピンダ島興し事業検討委員会委員長の多良間朝時氏、県産業振興公社産業振興部の佐藤英彦氏、多良間村長の下地昌明氏の五人。県宮古支庁の兼城克夫支庁長がコーディネーターを務めた。
 砂川氏は、ブランド化に向けての飼育向上について「ヤギの肉と乳はダイエット効果のある中鎖脂肪酸が多く含まれている。機能性に富んだ高い付加価値を持つ商品開発の可能性を持っている」と説明した。また、ブランド化を成功に導くポイントとして▽大型化▽寄生虫対策▽飼育管理−などを挙げた。
 流通が専門の多良間氏は「継続的かつ安定的に出荷するには宮古島にヤード的な施設が必要。観光とリンクさせることで、雇用も収入も人口も増え、活性化につながる」と力説した。
 佐藤氏は「生産、加工、販売を村内で一括して行うと失敗する可能性が高い」と警鐘を鳴らし、「皆さんは生産のプロになり加工や販売などは分業化したほうが良い」と助言した。また、「地産地消の風が吹いているが、さらに沖縄から全国へと地産全消の流れがある」と可能性を語った。
 岸氏は「夢を持てばかなえられる。ヤギが世界を救うと大きな夢を持ってもらいたい。沖縄のためなら広告塔になる」と述べた。
 行政の立場から下地氏は「現在は村内で九百頭飼育している。サトウキビのように波及効果がある産業にしたい。土産品として定着させるために増頭、品種改良に努めたい」と語った。
 同村は来年度に向け、ヤギ肉の加工施設、ヤギ舎の建設を内閣府の「一島一物語事業」で予算要求している。ブランド化は事業化が立ち上がるまでは行政主導で進められ、段階的に運営母体に移行する方針。目標は五年後に設定している。
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ヤギ汁などに舌鼓/シンポ参加者がピンダ会


たらまピンダに舌鼓を打つ参加者ら=8日、JAおきなわ宮古地区本部

 たらまピンダシンポジウムin宮古島の参加者らの交流を目的に「ピンダ会」が八日夕、JAおきなわ宮古地区本部で開かれた。シンポジウムのパネリストや聴衆らがともに「たらまピンダ」を調理したヤギ汁などをほお張り「たらまピンダは最高だ」などと舌鼓を打った。
 主催者を代表して多良間村の下地昌明村長は「たらまピンダは肉質も良い。今後も研究を重ねさらに良いものにしたい。観光産業に取り込み村の活性化につなげたい」とあいさつした。
 参加者らは調理されたヤギ肉を口いっぱいにほお張りながら、楽しそうにヤギ談義に花を咲かせていた。
 宮古島市の久貝勝盛教育長、砂川佳一県議らが壇上で乾杯の音頭を取り、ブランド化への成功を願った。
 舞台では在宮古多良間郷友会による余興も披露され、交流会を盛り上げていた。
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まちの駅「ゆくいの家」オープン/平良字西里
地元の新鮮野菜など販売/商店街活性化のけん引役に


商品棚には地元宮古産の野菜など満載されている=8日、「ゆくいの家」

 地元宮古産の野菜や農海産物の加工品などを販売する、まちの駅「ゆくいの家」が八日、平良字西里中央通り(こばやしストア向かい)にオープンした。買い物がてらに家族、友人同士でお茶を飲み話が楽しめる場所。西里大通り商店街振興組合と特定非営利活動法人にぎわいみゃーくが、共同運営する。同日午前、関係者出席の下、オープニングセレモニーが開かれ、「ゆくいの家」が商店街活性化のけん引役になるよう祈念した。 

 「ゆくいの家」は、郊外のスーパーに徒歩で行くのが困難な交通弱者のお年寄りの買い物の便宜を図ることや、地域活動・交流の拠点形成、空き店舗対策、地産地消による地域活性化などを狙いに開設した。「ゆくいの家」は空き店舗を活用した店で、改装資金の一部は国が補助した。
 売り場の面積は約百三十平方b。バリアフリーの構造。健常者・障害者ともに使える広々としたトイレも整備した。
 商品棚には地元で取れたゴーヤーやインゲン、ダイコン、キャベツなどの野菜や、油みそ、カツオのつくだ煮などの特産品を満載。友好都市との物産交流も続ける方針で、この日は福島県産の米や秋田県産のリンゴも商品棚を飾った。
 お茶のみ話ができる「おじおばサロン」には、約二十人が休めるいすとテーブルを確保。お茶とコーヒーが無料で飲める。
 オープニングセレモニーで、西里大通り商店街振興組合の小林直樹理事長代行は「高齢化社会を迎え、商店街は商業機能のみならず、コミュニティー形成の場などとしての公共的役割が重要になっている」と述べ、同店の活用による商店街活性化に決意を新たにした。伊志嶺亮宮古島市長と砂川恵助宮古島商工会議所副会頭もあいさつし、「ゆくいの家」開設が商店街再生の手本になるよう祈念した。
 宮古方言の「ゆくい」は「休む」の意味。
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住民闘争の歴史を1冊に/「知ることは守ることのはじまり」
支援する会/産廃火災の全容つづる

発刊された資料集「知ることは守ることのはじまり」

 大浦の裁判を支援する会(共同代表・奥平一夫県議)は大浦火災の全容をつづった資料集「知ることは守ることのはじまり−大浦の産廃処分場火災から五年−」を発刊した。火災直前の生々しい写真や住民の訴え、裁判に提出された陳述書、意見書など住民の闘争の歴史を二百八十七nにわたって編集した。八日に発刊の報告を行った住民らは「一人でも多くの人に読んでいただき、自分たちの島を良くしていこうというきっかけになれば」と話した。
 資料集には、出火直前の産廃処分場や避難する住民、マスクを着けて農作業する住民、県への抗議要請など、火災によって生活が一変した住民らの様子をカラー写真で紹介。裁判に至った経緯と住民の要望、原告九人の陳述書、地元住民へのインタビューなどで大浦火災を検証するとともに五年を振り返った。
 また、資料編として新聞記事や旧平良市と県の調査報告書、住民の自覚症状調査など「客観的な資料」(支援する会)で編集した。
 支援する会共同代表の奥平県議は「この資料集を通して、大浦火災の持つ意味を考えてもらいたい。次代を担う子どもたちに、産廃問題がいかに大事なことかを分かってもらうだけでも発刊の意義はある」と述べた。
 また、原告団の団長、下地博和さんは「これまで自分たちの足元に危険なものがあるということを知らな過ぎた。それは、私たちにつけとしてはね返ってくる。二度と過ちを起こさないためにもこの資料集を読んで、自分の島を良くしていこうという意識につながれば」と話した。
 資料集は定価千円。問い合わせは大浦の裁判を支援する会事務局(電話0980・73・5230)まで。売り上げの一部は原告団の支援のために使用される。
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全国制覇で記念碑建立/狩俣小ジュニアゴルフ
「夢無限」の文字


全日本小学生ゴルフスナッグクラス優勝の記念碑が除幕された=8日、狩俣小学校

 宮古島市立狩俣小学校(桃原廣市校長)は八日、ジュニアゴルフクラブが今年九月の第一回全日本小学生ゴルフトーナメント決勝大会スナッグクラスで優勝したことを記念し、記念碑を建立・除幕した。記念碑には「夢無限」の文字と選手らの名前が刻まれている。除幕式で同クラブの根間誠君(六年)は「僕たちのために記念碑を造ってもらい、ありがとうございます。この記念碑を胸に、勉強もスポーツも頑張りたい」と話した。
 除幕式でPTAの根間研二会長は、「狩俣小の先輩方、地域や自治会の皆さんの厚意が詰まった記念碑。選手たちには日本一におごらず、『夢無限』にチャレンジしてほしい」とあいさつ。校歌斉唱に続き、クラブのメンバーや学校関係者、父母らの手で除幕した。
 桃原校長は「子どもたちは全国優勝で大きな自信と誇りと勇気を得ただろう。狩俣小の歴史にさんぜんと刻まれる」と快挙をたたえ、「偉業を成し遂げたのは選手の努力・精進はもちろん、保護者や地域の皆さんのおかげ。心から感謝したい」と謝辞を述べた。同クラブ父母会の平良功会長は「自治会や郷友会などからたくさんの寄付を頂き、素晴らしい記念碑ができたことを心から喜んでいる。子どもたちには大きな夢を持って成長してほしい」と願いを込めた。第一回全日本小学生ゴルフトーナメント決勝大会(主催・日本女子プロゴルフ協会など)は今年九月、福島県富岡町で行われ、県代表として出場した同クラブの根間君と伊良部竜也君(五年)、平良航大君(四年)が、三人一組で競うスナッグクラスで優勝した。
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「沖縄料理を次世代に」/食生活ジャーナリスト岸さんが講演
たらまピンダシンポ


沖縄料理と健康・長寿などについて講演する岸朝子さん=8日、JAおきなわ宮古地区本部

 「たらまピンダシンポジウムin宮古島」(主催・多良間村)が八日、JAおきなわ宮古地区本部で行われた。シンポジウムに先立ち、食生活ジャーナリストの岸朝子さんが、「命は食にあり−沖縄料理を美味しく食べて健康・長寿」の演題で講演。岸さんは、「沖縄の伝統料理を大事にし、作り方、食べ方を次世代に伝えて」と呼び掛けた。
 岸さんは、「掃除や裁縫は他人に任せてもよいが、料理は命にかかわることなので一家の主婦が行うべき」との両親の教えの下に育ち、栄養学を学んで「食」に携わる仕事を続けている。講演会では、沖縄の食文化について、「ゆで汁をこぼして脂肪分をカットする豚肉の使い方や、イモの葉も食べるような倹約精神が緑黄色野菜の摂取量につながっている」などと評価。一方で、「沖縄の長寿県としての地位は危うくなっており、特に三十五歳から四十四歳までの男性層の平均寿命は全国ワースト1とのデータもある。これは、親の世代で米国風の食文化が広がったためであり、現代の車社会による運動不足も深刻な問題」と警鐘を鳴らした。
 また、「二十一世紀は日本食の時代。日本食の人気とともに沖縄料理が世界に広まり、私たちの誇りである沖縄料理がその価値を保ち続けるよう大事にしていこう」と話し、ファーストフードやコンビニ弁当など食生活が多様化する現代において、いま一度昔ながらの手料理の良さに目を向けるよう促した。
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