200平成18  12 金曜日

オリックス/第2球場整備強く求める
「長年の要望かなわぬ」/春季キャンプ撤退の可能性も


伊志嶺市長(左)に施設の整備・充実を求める金田部長(左から2人目)ら=30日、宮古島市役所平良庁舎

 プロ野球パ・リーグ、オリックス・バファローズの金田義倫管理部長、小林晋哉育成部長が三十日、宮古島市役所平良庁舎に伊志嶺亮市長を訪ね、毎年二月に春季キャンプを張る宮古島市民球場について、第二球場の整備やブルペンの拡張など、施設面の整備・充実を強く要望した。今年十月にテリー・コリンズ新監督が就任し、長い低迷からの脱却を目指すオリックス。金田部長は「十四年間で要望が形になっていないことが多い。会社の総意としてこれから進むべき方向を確認したい」と述べ、要望が満たされなければ二〇〇八年からキャンプを撤退する可能性も示した。

 きょう一日まで、宮古島市民球場をはじめ、各地の野球関連施設を視察する金田部長は「私たちは宮古島で十四年間やってきており、続けられるのが一番ありがたい」と、宮古島キャンプを第一に考える姿勢を強調。「新監督の要望にはすべて対応したいというのが球団の方針。各球場を回って可能性を探りたい」と話した。
 これに伊志嶺市長は「今まで財政的な問題で応えられなかったが、私たちも十四年間大切に思ってきた。オリックスが宮古でキャンプをするメリットは大きい。できる限りの協力はする」と応じた。
 屋内練習場を併設する平良市民球場(現在の宮古島市民球場)で、オリックスのキャンプが始まったのは一九九三年。九五年にリーグ制覇、九六年には日本一を達成した。しかし、二〇〇〇年からは七年連続Bクラスと低迷にあえいでいる。
 この間、球団からはより良いトレーニング環境に向けた施設充実の要望があったが、財政難の状況下で、屋内練習場の人工芝化がようやく今年度に予算化されるなど、非常に厳しい状態が続いているのが現状。
 金田部長は、東北楽天ゴールデンイーグルスのキャンプを誘致した久米島町や、阪神タイガースを誘致した宜野座村が、次々と施設の整備・充実を図っていることを例示。その上で、「もう少し実現の可能性があるかどうかを考えなければならない。(新監督の考えに)フロントも共鳴してやらなければならない」と、チーム強化への考えを強調し、第二球場整備の計画などを示すよう求めた。同席した宮古島オリックス・バファローズ協力会の中尾英筰会長は「当面は第二球場の整備を市長が決断すべき。キャンプをできるかどうかが懸かってくる」と語気を強め、当局の早急な対応を求めた。
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宮古島市は6600万円減/新型交付税県試算
県全体では2億円減

 【那覇支局】人口と面積を基本に算定し配分する新型地方交付税について、県が総務省から示された具体的な算定方法に基づいて再試算した結果がこのほど、各市町村に示された。それによると宮古島市は、移行対象需要額が五十億四十二万二千円で、新型交付税等試算額は四十九億三千三百六十八万六千円となり、移行対象需要額から新型交付税等試算額を差し引いた影響額は六千六百七十三万六千円の減額となっている。また、多良間村の影響額は二千二百七十四万三千円の増額となった。
 県内四十一市町村のうち、新型交付税の導入で減額となるのは宮古島市を含む十六団体で、県全体の影響額は二億五百六十四万一千円の減額となっている。
 県内十一市のうち、影響額で減額となるのは南城市を除く十市。宮古島市の減少額は沖縄市、那覇市、名護市に次いで四番目となった。
 今回試算は▽「国の基準付けがない、あるいは弱い行政分野」から新型交付税を導入▽人口規模や土地の利用形態による行政コスト差を反映▽離島・過疎など真に配慮が必要な地方団体に対応する仕組みを確保▽財政運営に支障が生じないよう制度を設計−などの基本的考え方に基づいて実施された。
 また、へき地・離島など条件不利地域への対応など今回は地域振興費(仮称)が新たな配分枠として設けられている。
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市内中学校/校長、生徒にけが負わす
「いじめ指導」で勘違い

 宮古島市内の中学校の校長が今年九月、男子生徒(二年)がいじめに加わっているものと勘違いし、床に倒してけがを負わせていたことが三十日までに分かった。男子生徒は左腕を痛め、校長が治療に掛かる費用を負担している。校長は「けがをさせたのは紛れもない事実。処分は受ける。申し訳なかった」と謝罪の言葉を述べた。
 校長らの説明によると今年九月十三日、全校生徒が参加して行われた運動会の組体操の練習前に、ある男子生徒が別の男子生徒三人に手足を押さえられ、馬乗りの状態で「心臓マッサージ」のように胸部を圧迫されていた。校長はいじめ指導として、けがをした生徒もいじめに加わっていたものと思い、合わせて四人の生徒の肩をつかんで床に倒した。その他三人の生徒にけがはなかった。けがをした生徒は組体操の練習に参加して帰宅後、母親に「校長に投げられて腕を付いたときに痛めた」と訴えたという。
 校長は、その日の晩にけがをした生徒の自宅に出向いて謝罪。翌十四日には宮古島市教育委員会に報告書を提出し、臨時の職員会議を開いて、教職員にも「申し訳ない」と話した。
 生徒は運動会のあった九月十七日以降、学校を休みがちになり、出席しても早退が増えたという。母親の報告を受けた学校によると、生徒は腕や首にしびれを訴えていて、宮古だけでなく沖縄本島の病院でも診察を受けている。
 校長は、「けがをさせて本当に申し訳なかった。いじめを止めなければならないと思った」と反省。三十日には県教育庁の担当者に対し、宮古教育事務所で事実関係を説明した。
 宮古教育事務所の新崎治所長は「当該校長もいじめに対し注意して目を見張っていたと思う。今回に関しては行き過ぎた部分をしっかり反省しなければならない」と、けがをさせた行為を非難。一方で、「子どもたちはいじめの認識がないままに行為に及んでいることが多く、教師は子どもの気になる行動を見掛けたらその場で指導し、いじめは絶対に許さないという姿勢を示すべき」と述べ、いじめ行為に対しては毅然(きぜん)とした対応を取るべきだとの考えを強調した。
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少年非行防止に尽力/長年の功労者を表彰
少年補導員協創立30周年式典


功労者に対し感謝状が手渡された=30日、ホテル共和

 宮古島地区少年補導員協議会(根間貞倶会長)の創立三十周年記念式典が三十日夜、市内のホテルで行われた。補導員をはじめ、警察関係者や地域ボランティア、事業所など多数が出席。三十年の節目を盛大に祝うとともに、さらなる協議会の発展と今後の繁栄を祈念した。また、非行防止や健全育成活動に功労のあった十二個人、十九団体に対し宮古島警察署と同協議会連名で表彰状が贈られた。
 少年問題などが大きな社会問題となった一九六五年、健全育成を求める声が高まって少年補導員制度が発足。当時は本部長から委嘱を受けた十人の補導員が活動を行っていたという。七五年には「安心、安全な郷土づくり」を掲げて宮古地区少年補導員協議会を結成。これまで三十年間、継続しているという「少年の日」街頭パトロール活動や青少年の健全育成、居場所づくりなどの取り組みを続けている。現在は約二十五人の役員、補導員が各地域で活動している。
 同会の根間会長は「近年の社会情勢の変化に伴い、子どもが絡む事件事故が多発している。大人が子どもたちを見詰めながら良い環境をつくり、いかなる要望にも応えられるよう取り組んでいきたい。子どもと向き合い、常に対応できるよう自覚と教養を深めながら非行防止に努め活動を推進していこう」とあいさつ。
 宮古島署の岸本亮署長は「活動は地道で苦労もあるが、少年たちの健全育成活動の中核となる役割や機能は大きい。息長く粘り強い活動に取り組んでいただきたい」と激励した。
 受賞者を代表して添道自治会の池田健吉会長(代読)は「私たち自治会の地道な努力が実り、重大な事件事故が起きていないことは喜ばしいが、本土で凶悪事件が多発する中、宮古でも安心はできない。防犯パトロールを継続しながら、子どもたちと本気で触れ合える交流を目指したい」と感謝した。祝賀会には、県警察本部の大平修本部長も出席し、協議会の発展を祈願。子どもたちのアトラクションが催されるなど、華やかな雰囲気に包まれた。
 表彰者は次の通り。(敬称略)
 【個人の部】▼歴代補導員(功労年数二十年)▽佐久田貞雄▽下里進▽下地勝子▽砂川寛茂▽友利ハツ子▽仲間克江▽川田弘明▼一般(ボランティア活動功労者)▽平良末廣▽池田洋▽松堂亨▽川平正
 【団体および事業者の部】▽宮古島地区防犯協会▽宮古高校▽宮古農林高校▽宮古工業高校▽翔南高校▽伊良部高校▽沖縄銀行宮古支店▽添道自治会▽次郎工業▽ぐしけん印刷▽アプロ▽イーウェイブ▽富士製菓製パン▽A&W宮古下里通り店
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宮古全域で海岸一斉清掃/2dダンプ42台分のごみ


海岸清掃に取り組む参加者ら=30日、白川田海岸

 宮古地域海岸一斉清掃(主催・県宮古支庁農林水産整備課、宮古島市経済部、市伊良部総合庁舎経済課、多良間村建設課)が三十日、宮古、多良間など計七カ所の海岸で実施された。
 市村関係者をはじめ、土木建築業者、地域のボランティアなど総勢三百五十人が清掃に参加。二dダンプ四十二台分のごみが集められ、参加者は改めて環境保全の意識を高めていた。
 台風や季節風の影響もあり、宮古地域海岸一帯には、大量のごみが漂着している。この現状を受け、「美(か)ぎ島(すま)宮古」の実現に向けて、全島一斉に海岸清掃を実施し、海浜の浄化とともに環境保全意識の高揚を図ることが目的。
 清掃は▽白川田▽真謝▽浦底▽新城▽保良▽佐和田▽水納島−の計七海岸で行われた。
 このうち高野漁港の白川田海岸では、百十二人が参加し、ごみ袋を片手に海外から漂着したと思われるペットボトルやプラスチック類などを分類して収集。
 同海岸から二dダンプ十二台分のごみが集められた。
 主催者を代表して県宮古支庁農林水産整備課の下地功祐課長は「海は生活、観光資源としても大きな財産。みんなで守り、環境保全に取り組んでいこう」とあいさつした。
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上布の保存継承誓う/宮古神社で「稲石祭」


出席者が稲石の記念碑前に手を合わせ、宮古上布の保存継承を誓った=30日、宮古神社

 宮古上布の創製者・稲石刀自(いないしとうじ)の霊を慰める「稲石祭」(主催・宮古織物事業協同組合)が三十日、宮古神社で行われ、多数の関係者が出席して宮古上布の保存継承と産業振興に決意を新たにした。
 稲石祭は、宮古神社に建立されている稲石記念碑前で執り行われ、祝詞が読み上げられたほか、稲石の子孫に当たる洲鎌ツルさんをはじめ宮古上布の製作に携わる多数の関係者が厳かに礼拝した。
 同組合の赤嶺一成代表理事は「人も物も文化もボーダレス化している昨今、宮古の財産である宮古上布を継承発展させていくことは今後の大きな課題。力を結集して頑張ろう」とあいさつを述べた。また、宮古島市の伊志嶺亮市長に代わってあいさつに立った下地学助役は「戦前戦後と島を守り支えてきた宮古上布を、私たちの手で末永く守り抜こう」と述べた。
 宮古上布が創製されて今年で四百二十三年。創製者の稲石は、下地地区洲鎌の真屋御嶽に祭られている。
 宮古上布は一九七八年に国の重要無形文化財に指定されている。
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