200平成18  1120 月曜日

仲井真弘多氏が初当選/野党推す糸数氏破る
県民は現県政継承を選択


稲嶺県政の継承発展を掲げ、当選しバンザイ三唱で喜びを爆発させた仲井真氏(中央)=19日夜、那覇市銘苅の仲井真氏選対本部

 【那覇支局】仲井真氏が激戦制し、保守県政を死守−。任期満了に伴う第十回県知事選挙は十九日、投開票が行われ保革一騎打ちの大接戦は、無所属で前県商工会議所連合会長の仲井真弘多氏(67)=自民、公明推薦=が無所属で前参院議員の糸数慶子氏(59)=社民、社大、共産、民主、自由連合、国民新党、新党日本推薦、そうぞう支持=と、琉球独立党党首で会社経営の屋良朝助氏(54)の新人二人を敗り、当選した。革新陣営は長引いた人選作業による出遅れが響き、切り札として臨んだ糸数氏でも八年ぶりの県政奪還はならなかった。

 投開票当日の有権者数は、百三万六千七百四十三人。投票率は前回よりも七・三二]上昇し、六四・五四%となった。
 選挙戦最終盤まで大激戦となっていた今回選挙。運動量、基礎票で上回り、期日前投票でも優位に立った仲井真氏が当日票も着実に伸ばして追いすがる糸数氏を退けた。
 午後十時三十分すぎにテレビの開票速報で「当確」の文字が示されると、緊張した空気に包まれていた仲井真陣営の選対事務所は一気に歓喜に包まれた。
 激戦を制した仲井真氏は「稲嶺県政を継承発展させていこうとの県民の思いがこの結果になった。政策で示した失業率を全国平均にもっていきたい」と、経済振興に意欲を示し、笑顔で勝利を喜んだ。
 一方の敗れた糸数氏は「私の力不足。支援してくれた皆さんに申し訳ない」と肩を落とした。
 革新陣営は、切り札として擁立した糸数氏で敗れたことのダメージは大きく、立て直しには時間を要しそうだ。
 当選した仲井真氏は離島地域の振興に対する本紙のインタビューで「すべての地域と人に一律に提供されるサービス」(ユニバーサルサービス)を掲げており、宮古地区の諸課題にも積極的に取り組むとの姿勢を示している。
 大激戦となった今回知事選。「自公」対「反自公」の構図も成立し、「自公勢力」は昨年の衆院選沖縄1区で敗れた痛手を、今回の勝利である程度取り戻した。
 さらに今回の結果は、今後の県内政局に大きな動きをもたらす見込みで、勢いを取り戻した「自公勢力」に対して、「反自公勢力」は早期に体制の立て直しができるかが今後の注目となっている。
 仲井真 弘多氏(なかいま・ひろかず)1939(昭和14)年8月19日生まれ。67歳。那覇市出身。東京大学工学部機械工学科卒。61年通商産業省入省、87年沖縄電力理事、89年同常務取締役、90年県副知事、95年沖縄電力代表取締役社長、2003年同社代表取締役会長(06年8月31日辞任)などを歴任。
 

仲井真氏/運動先行で逃げ切る
革新 出遅れ響き奪還ならず

  八年ぶりに保革一騎打ちとなった今回選挙。米軍再編に伴う普天間移設問題、経済活性化など沖縄の将来を大きく左右する課題を争点に仲井真弘多氏と糸数慶子氏が激戦を展開したが運動を先行させ、運動量、基礎票で上回った仲井真氏が当選した。人選作業が長引き、野党各党と、「支持」を打ち出した政党「そうぞう」の思惑が混在した中で擁立された糸数氏は野党統一候補となるも、出遅れが大きく影響して県政奪還はならなかった。
 ◇「自公」対「反自公」
 今回の保革一騎打ちは実質「自公」対「反自公」の構図も成立し、選挙戦序盤は「公明党」対政党「そうぞう」がそれぞれの集会で多数の支持者を集めた。両者の激しい動きが目立ち、保革一騎打ちの構図の基軸は「自公」対「反自公」が前面に押し出され鮮明となっていた。
 この対立構図を基軸に両陣営ともそれぞれの支持票をまとめながら、後半戦は無党派層に集中して支持拡大を図ったが、仲井真陣営は公明党が自党候補の扱いで活発な活動を展開したことも影響し、基礎票を手堅くまとめた。
 一方の政党「そうぞう」側は、代表の下地幹郎衆院議員を中心に各集会で多数の支持者を集めて糸数氏への支援を呼び掛けたが「反自公」の流れを広げていくことができなかった。
 ◇投票率
 糸数陣営は、二年前の参院選で投票率が過去最低の中、三十一万六千票を獲得し、自公候補に九万五千票差をつけ勝利した糸数氏の人気に今回選挙を託した。
 各マスコミの中間情勢が「激戦」と伝えられると、勝敗のカギを握るとされた約三割の支持未決定層に各陣営とも注目した。
 特に糸数陣営は、支持未決定層への支持浸透に自信があったことから、投票率向上が絶対条件として、後半戦は大票田の都市部を中心に支持拡大を図った。 
 両陣営とも投票率は六五%が勝敗の分かれ目として、有権者の動向に注目したが結局投票率は、前回よりも七・三二]上昇するも六四・五四%にとどまった。
 ◇保守
 昨年の衆院選沖縄1区で「反自公」の急先鋒である政党「そうぞう」の下地代表に議席を奪われた自公勢力は、今回の勝利で大きく勢いづくことになる。
 来年の参院選補選、本選とも今回の勝利の勢いをそのまま持ち込んで、優位に展開させていくことになる。
 さらに、今回の争点の一つでもある米軍再編に伴う普天間代替施設の移設問題も県内移設に柔軟な姿勢を示している仲井真氏の当選で大きく進展する見込みだ。
 ◇革新 
 今回の敗戦は革新陣営にとって大きな痛手となった。切り札として参議院を辞職させてまで擁立した糸数氏での負けは、これまでの敗戦よりも大きなダメージとなった。
 来年の参院選に向けても体制を再構築することが急務となっている。さらに、基地問題を前面に押し出して展開したが、世論調査では県民の関心は基地問題よりも経済振興の方が数値が高かった。選挙戦術の見直しを含め、政党「そうぞう」を含めた「反自公勢力」の共闘態勢についても現在は思惑と政党間の確執も存在していることから、再構築に向けた協議を行うことができるかが注目される。
 (那覇支局・垣花尚)

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初当選の仲井真さん/「身の引き締まる思い」
公約実現に強い決意

当選に沸く選対/
支持者らと喜びかみしめる


バンザイで仲井真氏勝利の喜びを爆発させた=19日、平良西里の後援会宮古連合支部事務所前

 初当選を果たした仲井真弘多さんの選対本部事務所内は「当確」のテレビ速報とともに割れんばかりの歓声と拍手が鳴り響いた。感極まった様子の仲井真さんは「理解していただいた県民の皆さんに感謝したい。身の引き締まる思い。県民の生活を守るために、公約の実現に向けて頑張っていきたい」と感謝と決意の言葉を繰り返した。

 那覇市銘苅にある仲井真さんの選対本部にはテレビの開票速報が始まる前から大勢の支持者が詰め掛けた。開票速報が始まると、テレビ画面にくぎ付け。それぞれ息をのんで知事選「当確」の瞬間を待ち続けた。
 そして午後十時三十六分ごろ、待ちに待った当確が報じられた。その瞬間、事務所内は歓喜の渦に包まれた。バンザイを繰り返す支持者や抱き合う支持者、喜びのあまりあふれ出る涙を抑え切れない女性支持者も。詰め掛けた大勢の支持者がそれぞれのスタイルで喜びを表現した。
 選対本部長を務めた稲嶺恵一知事は「ほっとしている。経済の振興に多くの県民が関心を示したことが勝因。仲井真さんは経済面でも経験が豊富であり、そういう部分が県民に認められた」などと選挙戦を総括した。その上で「仲井真さんの総合能力は私より上。沖縄の知事は難しいが仲井真さんには体力と信念、エネルギーがある。県民の生活のために、頑張ってほしい」と述べ、新知事となる仲井真さんの手腕に期待を込めた。
 当確を受け握手攻めのほか、支持者から何度も力強く抱きしめられた仲井真さん。興奮冷めやらぬ様子で報道陣のインタビューに応えた。初当選については「勝利に向けて大きなうねりを感じていた。勝利できるはずだと確信があった。皆さんんの支援に、心から感謝したい」と選挙戦を振り返りながら大勢の支持者に感謝した。
 事務所内ではだるまの目入れや関係者からの花束贈呈が行われ、そのたびに支持者の歓声が会場中に響いた。集まった支持者らは、これまでの運動の成果をたたえ合うとともに、これからの沖縄のために働く仲井真さんの手腕に大きな期待を込めていた。
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「政策浸透図れず」/糸数さん出遅れ悔やむ

 テレビの開票速報で仲井真弘多さんの「当確」が報じられると、糸数慶子さんをはじめ、陣営に詰め掛けた大勢の支持者は絶句した。糸数さんは「県民の思いが届かなかったのは、やはり運動の出遅れ。政策をしっかりと浸透できなかったところに敗因を感じる」と淡々と話した。
 糸数さん陣営は那覇市おもろまちの選対本部事務所よりも多くの支持者が集まれる同市古島の教育福祉会館で、開票速報を見守った。当初は糸数さんのリードが伝えられ沸き立つ場面もあったが、一進一退の状況下で、午後十時三十六分ごろ、仲井真さんの当確が打ち出されると、陣営は沈痛な空気に包まれた。
 糸数さんは「(県民が経済振興を選んだことを)重く受け止めたい。新しい基地は沖縄に造らせないという県民の思いは結集できたと思う」と述べ、支持者に感謝。仲井真さんに対しては、「新しい基地を造らせないという思いを県政に反映させてほしい」と願いを込めた。
 島袋宗康選対本部長は「革新共闘が実現し、必ず勝つという気持ちで戦ったが、結果的には残念だ」と肩を落とした。
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前月より2万8000円下げ/11月肉用牛競り
子牛46万円 キロ単価1734円

 宮古本島の十一月期肉用牛競りが十九日、JAおきなわ宮古家畜市場で開かれた。子牛(生後十二カ月以内)一頭平均価格は四十六万七百七十二円で、先月過去最高を記録した四十八万八千七百四十七円と比べて二万七千九百七十五円安値の取引となった。平均キロ単価は千七百三十四円で、先月と比較して七十五円の安値。成牛を含めた全体の販売額は一億七千八百十万三千百円。同市場では「飼育の良い牛は高値取引だった。牛の中には出荷日齢が長く、出荷体重が小さかったものもあり、全体の価格を下げた」と分析する。
 今月の競りは、子牛三百七十八頭(去勢二百八頭、雌百七十頭)が上場され、三百七十二頭が成立。一頭当たりの平均価格は去勢が四十九万五千百十八円、雌は四十一万七千六百八十三円。
 最高値を付けた牛は去勢で六十七万二千円。総販売体重は九万八千八百四十四`。子牛のみの販売金額は一億七千百四十万七千二百五十円。
 成牛を含めた全体の上場頭数は四百十二頭で(去勢二百八頭、雌二百四頭)で、四百三頭が競り落とされた。総販売体重は十一万二千七百六十五`。平均キロ単価は千五百七十九円だった。
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渡久山さんら10人表彰/産業振興賞
宮古の産業発展に尽力


産業振興賞受賞者の表彰を受けた経営者の皆さん=19日、うえのドイツ文化村

 第二十九回宮古の産業まつり(主催・同実行委員会)で、農林漁業および商工観光業の発展に寄与した人に贈られる「産業振興賞」の表彰式が十九日、うえのドイツ文化村で行われた。宮古の農林漁業および商工観光業に模範的な実績を上げた経営者計十人に対し、同実行委員会の中尾英筰会長から表彰状が手渡された。
 賞は宮古地区において農林漁業および商工観光業の経営の改善または技術の発展や継承で、模範となる実績を上げ発展に寄与した人に贈られる。商工観光部門、農林水産部門の二部門から合わせて十人が選ばれた。
 受賞者を代表して渡久山洋装店の渡久山和子さんは、「受賞は好きなことを仕事として日々励んできたことを皆さんに認められた結果だと思う。自分一人の受賞ではなく、家族や関係者の協力があってのもの。今後とも魅力あふれる活動を展開し、地域に協力できるようやっていきたい」と謝辞を述べた。
 中尾会長は、「地域の特性を生かした農業や観光の振興を図るのはとても大事。受賞者には今後とも、培った経験と幅広い知識を、宮古に貢献してもらいたい」と激励した。
 受賞者は次の通り。(敬称略)
 【農林水産部門】▽砂川博一(畜産)=城辺=▽友利研一・優子(施設園芸)=同=▽豊見城玄弘(畜産)=多良間=▽津嘉山光子(特産品加工所)=同=▽下地春美(葉タバコ・サトウキビ)=城辺=▽洲鎌三郎(サトウキビ・畜産)=下地=▽仲宗根玄一(畜産・サトウキビ)=伊良部=▽伊佐善博(サトウキビ・野菜など)=伊良部=
 【商工観光部門】▽砂川恵昭(八千代バス・タクシー)=平良=▽渡久山和子(渡久山洋装店)=同=
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池間さんがグランプリ/産業まつりTシャツデザインコンテスト


受賞作品を手に笑顔を見せる入賞者の皆さん=19日、うえのドイツ文化村

 「南国沖縄宮古島らしさ、宮古の良さ、元気さが伝わるものを!」をテーマに募集のあった第三回Tシャツデザインコンテスト イン 宮古島(主催・宮古の産業まつり実行委員会)の表彰式が十九日、うえのドイツ文化村で行われた。審査の結果、島内外から応募のあった五十三点の作品の中から、マックオペレーターの池間寿和子さん=宮古島市=がグランプリに輝いた。
 東京や京都、沖縄本島など島内外から五十三点の応募作品があり、最少年齢は五歳から最高年齢は六十歳までと、アイデアあふれるさまざまな作品が寄せられた。
 コンテストでは展示会場において行われた一般投票を参考に、審査委員らが審査基準に従い商品化の可能性が高い作品を厳選。観光土産品につなげていく可能性があるとして、池間さんほか五人が表彰を受けた。
 グランプリに輝いた池間さんは「観光客に対してマリンスポーツ以外に宮古島を見てほしいという思いがずっとあった。宮古島に生息する動植物をもっとピーアールしたいと思い、オオゴマダラをモチーフにしました」と作製に至った経緯を話した。主催者を代表して宮古観光協会の藤村明憲会長は「Tシャツデザインコンテストも回を重ねるたびに非常に好評。受賞者は今後、商品化に向けて話を進めていく」と激励した。
 表彰者は次の通り。(敬称略)
 【グランプリ】池間寿和子=マックオペレーター=宮古島市【優秀賞】上田真由美=アルバイト=京都府【奨励賞】仲本奈美子=パート=宮古島市▽仲程五雄=非常勤=那覇市【特別賞】廣田愛乃=高校生=宮古島市▽中田光洋=小学一年生=宮古島市
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