200平成18  1110 金曜日

し尿、不法投棄の疑い/浄化センターで異常相次ぐ
放流処理水の汚染を懸念

 下水を処理する宮古島市浄化センターの汚水終末処理槽で、菌の異常発生や異臭など通常の処理過程では想定されない異常が発生していることが九日までに分かった。同センターは、断定を避けながらも下水管に大量のし尿が流れ込んでいる可能性を指摘。何者かが下水管につながるマンホールに、一般家庭から収集した汚物混入のし尿を投棄しているという見方を強めている。同センターで処理できる下水は生活排水に限られており、し尿処理には未対応。同センターは「海に放流する処理水の汚染は避けられない」と懸念している。

 終末処理槽内で大きな異常が確認され始めたのは昨年十一月。同センターによると、菌の異常発生や槽内におけるペーハー値の低下、異臭などが発生したという。直ちに原因究明作業に取り掛かり、一般家庭からくみ取られるし尿流入の可能性に結び付けた。し尿処理は市のし尿処理施設で処理されており、下水管に流入することは通常あり得ない。この現状を踏まえ、マンホールから下水管へ流し込むという不法投棄の可能性を指摘している。
 同センターは放置すれば「処理水の放流ができなくなるという最悪の事態を招きかねない」などとして、し尿を収集する業者に注意を喚起。これを機に異常は見られなくなったが、今年三月から再び異常が発生し始めたという。処理槽内の異常は週明けの月曜日と火曜日に集中していることもあり、し尿の投棄は日曜日に行われているものと推測。日曜日は市のし尿処理施設が稼働していないことも不法投棄を疑う材料の一つだ。
 同センターでは「下水を処理する施設そのものがし尿の処理に対応していない。し尿の濃度は下水の五十倍にもなる。このままでは放流する処理水の水質が汚染されてしまう」と警戒を強めている。
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有機性資源活用を学ぶ/JICA研修生5人
地下水保全の取り組み研修


パソコンなどを用いて研究内容を研修する研修生ら=8日、宮古農林高校

 「熱帯バイオマス利用」宮古島研修(主催・JICA=国際協力機構)研修生五人が八日、宮古農林高校(下地盛雄校長)で地下水保全に関する研修を受けた。研修員らは同校環境班が力を入れて取り組む地下水の硝酸性窒素の分析や有機肥料Bio−P(バイオリン)に活用している土壌微生物の分離選抜などの知識を深めた。
 バイオマスとは、動植物から生まれた再生可能な有機性資源のことで、その利用法では▽牛のふんなどを発酵させガスを取り出し発電▽下水汚泥や食品廃棄物の堆肥化−などが挙げられる。▽中国▽インドネシア▽ケニヤ▽マレーシア▽タイ−からのJICA研修員五人が参加した。
 研修に先立ち、環境班の生徒たちによる研究内容に関する発表が行われ、研修生たちは「なぜ、地下水を保全する必要があるのか」「地下水を保全する方法として、どうして有機肥料を開発したのか」などといった活発な質問があった。
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「戸締まり用心、火の用心」/秋季火災予防運動スタート
園児が防火パレード


パーランクーを打ち鳴らしながら「戸締まり用心、火の用心」と呼び掛ける園児ら=9日、城辺字福里
 二〇〇六年秋季全国火災予防運動が九日、始まった。期間中は防災フェアー(十二日)などさまざまな行事で火災予防の意識の高揚を図る。宮古島市立福里保育所(砂川ヒロ子所長)の三、四歳児の二十六人が防火パレードを行った。保育所から市役所城辺庁舎までの道のりを、園児らは「戸締まり用心、火の用心」と元気な声で呼び掛けた。
 この運動は火災が発生しやすい時季を迎えるため、火災予防思想の一層の普及を図ることと、火災の発生を防止し命や財産の損失を防ぐことが目的。
 出発を前に宮古島市消防本部の平良朝一予防課長が「火災のない明るく住み良いまちづくりのためにパレードしましょう」とあいさつした。
 パレードには同消防本部職員らも同行した。消防車両が先導し、園児らは法被姿でパーランクーを打ち鳴らしながら歩いていた。目的地の城辺庁舎では職員らが拍手で園児らを出迎えた。
 職員を代表して福祉保健部の池村直記部長が「家に帰ったら両親に火の扱いは気を付けるよう話しましょう。子どもたちはライターやマッチで遊ばないで」と述べた。
 またこの日は、消防長点検や車両広報パレードも実施された。署員を前に伊舎堂勇消防長は「火災が発生しないようこの運動を行う。スムーズに実施できるよう協力してほしい」と訓示した。
 今年の秋季火災予防運動期間は九−十五日。期間中は防火パレードや建物火災防御訓練、高齢者住宅防火調査、防災フェアーなどが実施される。全国統一の防火標語は「消さないで あなたの心の 注意の火」。
 重点目標は▽住宅防火対策の推進▽放火火災・連続放火火災防止対策の推進▽特定防火対象物などにおける防火安全対策の推進−の三項目。
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「飲酒運転しないで」/市内の居酒屋でステッカー配布
客の反応もまずまず


同店オリジナルの飲酒運転撲滅のステッカーを客に配布し、飲酒運転防止を呼び掛けている=8日、海鮮酒家「中山」
 「お車でお帰りですか?飲酒運転はしないでくださいね」−。宮古島市平良字西里の海鮮酒家「中山」で、ほろ酔い加減で精算する客に、従業員が差し出すのは「ストップ!飲酒運転」と書かれたステッカーだ。全国的に多発傾向にある飲酒運転に対し、飲食店側から注意喚起しようと、約二週間前から始めている。「損得だけで考えるのでなく、お酒を提供する側として、宮古島から飲酒運転をなくす努力をするのは職業柄、当然の義務。お客様の違反や事故があれば結局、店の存続にかかわる」と、経営者は説明する。
自然と共生の意味も込められたキジムナーをデザインしたポスターとステッカー

 飲酒運転事故が多発し、大きな社会問題となっている中、事故を未然に防ごうと、酒を提供する側がステッカーやポスターを配布しての呼び掛けは宮古初の取り組み。
 「中山」の中山直美さんは「宮古島は昔から特に飲酒運転の多い島であり、私たち居酒屋にとっても心を痛めることだった」と話す。繁忙時に難しい口頭での注意に悩み、同店の中山誠代表がポスターやステッカー作製を提案。「帰る時にステッカーを渡して呼び掛ければ、明るい雰囲気で注意を促すことができ、効果があるのではと考えた」と、作製に至った経緯を振り返る。
 十月中旬にはデザインが決定し、下旬には完成した。ステッカー三千枚、ポスター二百枚を準備し配布しているが、客の反応は予想を上回り好評を博し、現在、追加分を準備中だという。
 旅行で訪れたという斎藤俊一さん(54)=北海道旭川市=は「地元でも居酒屋がステッカーを配布して注意を呼び掛けるとは聞いたことがない。とても良いことだと思う。北海道でもやってほしい取り組みだ」と感想。毎週飲みに来るという下地照章さん(45)=平良字東仲宗根=は「会計時にステッカーをもらうと、言葉だけでないから改めて飲酒運転は絶対しないぞ、という気になる。ちょっとそこまでだからと考える人に、良い効果が表れるだろう」と話した。
 直美さんは「飲酒運転撲滅を目指して、私たちのような活動が全国に広まることを心から願っている。そして、宮古島から飲酒運転をなくしていきたい」と語った。
 従業員の思いが込められたステッカーとポスターは、中山グループ各店で配布している。
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「経営厳しく収入減」と不満/取り締まり強化で意見交換
警察・社交飲食業組合

 宮古島社交飲食業組合(奥平玄信組合長)は七日午後、宮古島警察署(岸本亮署長)が強化している風俗営業店の立ち入り査察の実施に伴い、意見交換をする懇談会を市内飲食店で開いた。同組合員四十人と同署生活安全課の仲桝純課長ら三人の署員が出席。組合員からの「午前零時以降の営業を取り締まられると経営がきつい。給料を半分近く減らされたホステスもいる」などの意見に対し、同署は「法律上認められていないため、取り締まざるを得ない」と返答。今後も風営店に対し、抜き打ちで査察を実施していく意向を示した。
 同署は十月中旬の三日間、同月に発生したコンビニエンスストア前殺傷事件を受けて、事件現場周辺の夜間巡回パトロールと風営店の取り締まり強化を実施。現在も取り締まりを継続している。風営店の午後零時以降の営業は風営法で認められていないため、平良地区の飲食店街(イーザト)を中心とした多くの店舗では、午前零時以降の営業を自粛している。
 風営店の営業が厳しい状況から組合員らは「お酒を飲むお客様にも二次会に行く足を一時間でも早くしていただきたい」と理解を求めている。
 市内には二百二十店余りの風営店があり、このうち組合に加入しているのは約六十店舗。奥平組合長は「組合で閉店時間の繰り上げを決めても、未加入店が遅くまで営業を続けてしまうと、組合加入店の営業が厳しい状態に追い込まれる」と現状を話した。
 同署の仲桝課長は「組合は法律を守ろうと健全に呼び掛けているので、組合以外の店舗も歩調を合わせてほしい」と話している。
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市長賞に下地勝子さん/マイバッグコンクール
ごみ減量化に自ら一役


利便性や機能性を重視し、審査が行われた=9日、宮古島市中央公民館
 宮古リサイクル運動友の会(下地勝子会長)は九日、宮古島市中央公民館で、レジ袋に代わる手作りの買い物バッグを募集した「マイバッグコンクール」(主催・同友の会)の審査会を行った。機能性や利便性、デザイン性などの審査の結果、下地勝子さんの作品を最優秀賞である「市長賞」に選定した。出品作品および入賞作品は、十一、十二の両日、市中央公民館創作室で展示される。
 下地さんの作品は、廃品となった傘の布を使って作られたもの。傘本来が持つ防水性に加えて、薄く折り畳める利便性やデザイン性、廃品をリサイクル活用した点などが高く評価された。
 コンクールには、同会会員や一般公募などで二十八点の作品が寄せられた。会員や一般の厳正なる審査の下▽機能性▽利便性▽デザイン性▽アイデア性▽リサイクル性−などを重視して選んだ。作品には、保冷シートで商品を守る工夫がされたものや、パッチワークでデザインにこだわったもの、奥行きや使いやすさを重視したものなど趣向を凝らした多くの作品が出品された。
 下地会長は「マイバッグを持つことは、身近にできる環境保全だが、宮古における浸透状況はまだまだ」と話した上で、「昨年中全国で使われたビニール枚数は約三百億枚だという。大人から子どもまで自分の買い物袋を持参して、環境問題に対する意識を高めていけたらうれしい」と述べた。
 このコンクールは地球温暖化防止対策の一環として開催。身近な問題として、マイバッグを活用することによりレジ袋の削減によるごみ減量化を目指すことを目的としている。
 結果は次の通り。(敬称略)
 【市長賞】下地勝子【教育長賞】幸地恵子【文化協会長賞】平良マサエ【リサイクル賞】下地勝子【アイデア賞】宮平美代【おしゃれ賞】平良マサエ
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