200平成18  1028 土曜日

上野でも給油開始/E3燃料
実証車300台に増加


上野給油所に設置されたE3燃料給油機から給油する(右から)砂川農林水産調整監、長濱副本部長、宮国経済部長=27日、上野地区の上野
 バイオエタノールをガソリンに三%混合して製造する自動車用燃料「E3」の実証試験で、現在りゅうせきのみで稼働しているE3給油機がJAおきなわの上野給油所にも設置され、二十七日午後から本格的な給油を開始した。同日、開始セレモニーが同給油所内で行われ、関係者が新しいE3給油機の稼働を祝った。給油場所が二カ所になることで、実証車の台数も現在の百台余から約三百台に増える見込みだ。国は今後、公用車のみの実証ではなく、E3給油機設置台数を増やしながら宮古島内を走る全車両の約二万台でE3を活用する方針だ。
 セレモニーは午後二時から行われ、りゅうせきをはじめ、県、宮古島市、JAおきなわなど関係機関が出席した。宮古島市の宮国泰男経済部長やJAおきなわ宮古地区本部の長濱哲夫副本部長、県宮古支庁の砂川光弘農林水産調整監が給油を行い、本格的な給油を開始させた。
 サトウキビの糖蜜から生み出されるバイオエタノールは現在、沖縄製糖内で製造。りゅうせきがガソリンに三%混ぜてE3を製造し、宮古島市や宮古支庁の公用車で実証試験を実施している。
 国は今後、二〇〇七年度中に実証車台数を千台にまで増やす方針。この段階になると公用車のみの実証試験は困難であることから、会社や団体で使用している自動車も対象範囲となる見込み。給油機の設置台数も増やす。
 現在は環境省中心で実施されているE3バイオエタノール事業だが、〇八年度からは内閣府をはじめ農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省など関係省庁が連携して事業の推進に当たる予定。宮古島島内における連絡会議の開催も検討されている。
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25年間母校に図書贈る/宮沢盛次さん(那覇市在)
「子どもたちに夢を」/鏡原小 「宮沢文庫」に3000冊超


25年間で約3000冊を寄贈した宮沢盛次さん(右から2人目)と妻貞子さん(右)と図書員の児童ら=27日、鏡原小学校
 「子どもたちに夢を持ってもらいたい」−。宮古島市鏡原出身の宮沢盛次さん(71)=那覇市在住=は、二十五年にわたり母校の宮古島市立鏡原小学校(砂川和子校長)に、図書を毎月十冊寄贈し続けている。二十五年間で約百三十回、合計三千七十三冊を贈り、児童らには「宮沢文庫」として親しまれている。同校は二十七日、体育館で寄贈二十五周年を記念して講師に宮沢さんを招き教育講演会・読み聞かせ会を開いた。宮沢さんは「子どもたちの喜ぶ顔を想像して本を選ぶ。元気でいる限り贈り続けたい」と目を細めた。
 宮沢さんは同校の二十四期卒。琉球大学卒業後、琉球銀行に入行。一九八一年の宮古支店長に赴任した際に母校を訪問、蔵書の少なさから寄贈を始めたという。
 「少しずつ新しい本を送り続ける方が効果的。こつこつと続けたかった」と毎月十冊、図書を届けた。転勤で宮古を離れてからは二カ月に一度二十冊を送ったという。
 同校図書館の蔵書は約九千五百冊。約三分の一が宮沢さんが寄贈した図書となる。図書館の「宮沢夢文庫」コーナーに、毎月のように届く新刊に児童らは目を輝かせる。本は平和や偉人伝などを中心に選び、図書月間には指定図書などをまとめて送ることもあった。
 砂川校長は「同校の情操教育に多大な功績を残した。学校としては大変ありがたい。感謝の意は言葉では表せない」と述べた。
 毎年、宮沢さんの元には子どもたちから暑中見舞いや年賀状が届く。感謝の言葉や感想がつづられ、中には「次はこの本が読みたい」とリクエストもあったという。
 児童会副会長の狩俣賀奈子さん(五年)は「宮沢文庫でたくさんの本に出会えた。これからも大切に読みたい」と礼を述べた。
 講演会で宮沢さんは「私の小学生時代、皆さんに望むこと」をテーマに講話。「人はいろいろな能力を持って生まれている。夢に向かって努力すること。継続することを忘れないで」とエールを送った。
 読み聞かせ会では宮沢さんの妻で元教師の貞子さんが八重山の昔話「シカボーサンダー」を披露。夫婦で本の素晴らしさを児童らに伝えた。
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「宮古病院が最優先」/稲嶺知事が移転新築で見解


老朽化した病院施設を視察した稲嶺知事(中央)=27日、県立宮古病院
 稲嶺恵一知事は二十七日午後、県立宮古病院を視察した。老朽化について稲嶺知事は「想像していた通り、厳しい現状がある」と強調。新築移転については「宮古病院は最優先の方針。三月末までには県の考え方をまとめたい」と述べた。
 稲嶺知事は午後四時ごろ、砂川佳一県議とともに宮古病院を訪れ、同病院の安谷屋正明院長の案内を受けながら院内を視察した。その上で老朽化に伴う配管劣化などの現状把握に努めた。
 視察後、報道陣の質問に答えた稲嶺知事は「宮古病院については、砂川県議からも早くフォローしてくれなどと強い要望を受けている。土地など数多くの問題も残されているが、現状を十分に把握し、地域住民の望む方向で努力していきたい」と前向きな姿勢を示した。
 また、知事任期満了についても触れ「後任にも今の現状を踏まえながらしっかりと説明していきたい」と述べた。
 宮古病院は老朽化の度合いが著しく、これまでコンクリートがはがれ落ちたり、雨漏りが頻繁に発生するなど医療活動に支障を来しているのが現状だ。管理棟は築三十三年、本館も築三十年目に入っており、早急な対応が求められている。
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「地域の安全」で意見交換/宮古島署
警官の保育所立ち寄り実施へ


市民の代表者と警察側が安全なまちづくりへ向け意見を交わした=27日、宮古島市中央公民館
 宮古島警察署(岸本亮署長)管内の地域の安全を語る会が二十七日、宮古島市中央公民館で開かれた。「安心・安全なまちづくりの推進」と「飲酒運転の撲滅」を討議テーマに、警察側からは大平修県警本部長や仲宗根孝交通部長、岸本署長らが、住民側は宮古島市の下地学助役から高校生までの幅広い層が参加し、安全な生活のため意見を交わした。市民側からは「保育所などを警察官の立ち寄り場所に」などを要望。岸本署長は「相談して効果的な時間帯に立ち寄りたい」と答えた。
 この会議は地域住民から率直な意見・要望を今後の警察行政に反映させることと、地域と連携した安全なまちづくりを推進することが目的。
 市民側の代表は下地助役のほか、多良間村の下地昌明村長、池間方用宮古島警察署協議会長、自主防犯パトロール関係者、県立宮古高校生徒会長ら十三人。また、防犯協会や交通安全協会、少年補導員などの関係者四十二人も傍聴した。
 市民側は「高齢者に対する防犯対策も必要」「青色回転灯車の貸し出しは可能か」などと要望も上がった。
 冒頭、大平本部長は「それぞれの地域で抱える課題は違う。皆さんの意見や要望を参考にし、沖縄を日本で一番安全なまちにしたい」とあいさつした。
 岸本署長が管内の犯罪発生概況を説明。今年発生したコンビニ強盗や男性二人殺傷事件を挙げ「犯罪の認知件数は減少しているものの予断は許されない」と述べた。また、車上狙いや非行少年の増加などの現状改善を課題に挙げた。
 また、全国的に高まりを見せる飲酒運転撲滅に関しては、管内では居酒屋や事業所にステッカーやのぼりを設置するキャンペーンなどを実施していることを紹介した。
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災害復旧に役立てて/台風被害の八重山に義援金
県建設業協会宮古支部


下地助役(左)に義援金を手渡す松川支部長=27日、宮古島市役所平良庁舎

 県建設業協会宮古支部(松川勝弘支部長)は二十七日、今年九月の台風13号で大きな被害を受けた八重山地区の災害復旧に役立ててと、同支部加盟六十社から募った義援金を宮古島市に託した。同日、松川支部長が市役所平良庁舎に下地学助役を訪ね、金一封を手渡した。
 松川支部長は「宮古に被害を与えた二〇〇三年九月の台風14号のときには、莫大な義援金を頂いた。宮古支部六十社を代表して今回、義援金を持参した。一日も早く復旧してほしい」と述べた。義援金を託された下地助役は「皆さんの気持ちをきちんと石垣市民に伝えたい」と感謝した。
 宮古島市では十一月二日まで、福祉保健部生活福祉課に窓口を設け、八重山地方の台風被害に対する義援金を募っている。問い合わせは同課(電話77・4901)。
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不法侵入 許さない/下地島空港
関係者が緊急対処訓練


空港内への侵入者を警察官が取り押さえた訓練=27日、下地島空港
 不法侵入者を想定した緊急対処訓練が二十七日、下地島空港で行われ、県の下地島空港管理事務所(仲間一明所長)と大阪航空局下地島空港事務所(清水雄一所長)の職員をはじめ、宮古島警察署の警察官、日本航空、全日空の両社、下地島空港施設、県空港課の職員らが参加し、対応の手順を確認した。
 訓練は二十七日午後四時ごろ、男が普通乗用車を強奪し、空港方面に向かって逃走したことを想定した。逃走車両は同空港のゲートの鍵を壊してエプロン内に侵入。宮古島署伊良部交番のパトカーと、空港管理事務所の車両で逃走車両を挟み込み、追い詰められて車両から出てきた男が警官に取り押さえられた。
 管理事務所の職員らは、それぞれの持ち場で速やかに警戒態勢を強化し、事態に対応できるよう備えた。
 清水所長は「無線機の使い方など、おおむね良好に訓練が行えた」と講評。訓練の本部長を務めた仲間所長は「訓練を通し、実際の事件が速やかに解決できるよう、役割分担をきちんと認識しておいてほしい」と、職員らに呼び掛けた。
 訓練は、テロを未然に防止し航空機を安全に運航するための空港の保安態勢強化を図るため、空港関連業務の関係機関が組織的な連携強化を進め、空港に対する脅威に迅速・的確に対応するのが目的。
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